砂防

砂防工事がめざすこと

緑をつくり、活かし、共生する
  砂防事業を実施するにあたっては、土砂災害から地域の安全を確保することを基本に据えつつ、自然環境に配慮し、 地域の歴史・文化や生態系等の特性を活かせるようにしていく必要があります。荒廃した山地を緑に復元して環境回復・保全を図る ことにより、安全で住みよい地域づくりを目指します。

緑をつくり

■フランス式階段工(長野県 牛伏川)
江戸時代後期(1860年~)以降の乱伐と森林火災により、はげ山と化した牛伏川流域は、 フランス式階段工により緑豊かな渓谷に生まれ変わりました。


■オランダ堰堤(滋賀県 草津川)
 淀川上流域の田上山をはじめとする山地は、千数百年以前には一大美林でしたが、宮殿の造営や社寺仏閣の建立のため多量の木が伐採され、荒廃した状態となりました。下流域では流出した土砂が河床に堆積し、天井川になるとともに、河川の氾濫被害を拡大させました。

明治期における淀川上流域の禿地の状況(田上地区)

 写真の草津川桐生堰堤(通称:オランダ堰堤)は、明治時代に来日したオランダ人技術者デレーケの指導のもとに日本人技師田辺義三郎が設計したと言われており、砂防工事として淀川支川の草津川に築造されたもので、流出する土砂をせき止め、河床を安定させる役割を現在も果たしています。

オランダ堰堤

■庭園砂防工事(広島県 紅葉谷川)
日本三景のひとつ宮島では、史跡名勝と調和を図るため、土石流により荒廃した渓流を、巨石を庭園風に 組み合わせてみごとに復元しました。


■山腹工(兵庫県 再度山)
神戸市街地の背後に連なる六甲山系は、神戸港の発展とともに森林の乱伐によりハゲ山となりましたが、 山腹工事により、緑がよみがえりました。

緑を活かし

■緑の斜面工法(東京都 大島町)
緑豊かな斜面空間を創出するため、既存樹木を残したまま斜面の安全度を最大限に高める「緑の斜面工法」 を積極的に導入しています。

自然と共生する

■魚道(青森県 赤石川)
河川に生息する魚などの移動の障害とならないように、魚道を設けています。

安全で緑豊かな都市づくり~グリーンベルト整備事業~

市街地に隣接する山麓斜面にグリーンベルトとして一連の樹林帯を形成することにより、土地利用の誘導及び規制を行います。

地域の明日を支える

  国土の約7割を山地が占める日本では、都市化の進展等に伴い上流山間地に至るまで、土砂災害の危険性が高まって きています。このような地域においては、砂防施設の整備による治水安全度の向上と併せて、以下のように土地利用 の高度化及び地域活性化に資するための砂防事業が実施されています。

大谷川流路工施工後(栃木県今市市 平成7年)

(1)大谷川周辺における地域活性化の例

  栃木県の大谷川では、砂防事業により周辺地域の安全性が高まるとともに、今まで氾濫原だった場所が安全な敷地として 生まれ変わり、住宅団地、運動場、公園などに活用され、地域の活性化に役立っています。

(2)特定利用斜面保全事業

  がけ崩れ、または地すべりの危険箇所の対策とあわせて、対策によって創り出された空間を公園など に有効利用することを目的としています。

  • 人家約120戸をがけ崩れから保全するとともに、病院、老人保健施設や地域福祉センターが新たに建設されました。 (宮城県女川町堀切山地区)

  • 地すべり対策により、安定した土地を利用して公園を整備。(長野県長野市茶臼山地区)

(3)特定地下水関連地すべり対策事業

  集水井工、水抜ボーリング工などにより、地すべりの発生誘引となる地下水を排除し、地すべり地を安定化させるとともに、 排出される地下水を地域社会の生活用水、消雪用水などとして有効利用することを目的としています。

  • 積雪時の消雪用として活用

  • 親水公園の用水として活用

  • 防火用水として活用

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