行政手続法(平成五年法律第八八号)は平成五年一一月一二日に公布され、現在、本年一〇月一日の施行予定に向けて各行政機関において必要な準備を行っているところである。行政手続法は、公正で透明な行政運営を確保するため行政庁が行う処分等に関して統一的な手続規定を定めるものであり、行政庁が処分等を行う場合には同法の定めるところにしたがって事前手続等を経ることが必要である。
新住宅市街地開発法(以下「法」という。)において施行者が行うこととされている各処分も行政手続法に定める事前手続等に従って実施することが必要であり、同法が施行されるまでに、各施行者は審査基準を定める等の措置を講じた上で同法の規定に従って各処分等を行うことが必要となる。
各施行者におかれては、左記に定めるところを参考として行政手続法の施行までに審査基準を定める等の所要の措置を講ずるとともに、別添の「行政手続法の運用に当たって(未定稿) (各省庁事務次官等あて 総務事務次官通知 平成六月九日下旬発出予定)」等を参照して同法の趣旨を理解して事前手続等を遺漏なく行うよう取り計らわれたい。
一 法第三四条の二第二項に規定する標識の移転等に係る承諾について
(一) 本規定の趣旨
新住宅市街地開発事業の施行の準備又は施行のために測量を行うことが必要な場合においては、第三四条の二第一項の規定により、新住宅市街地開発事業を施行しようとする者又は施行者(以下「施行者等」という。)は、測量の目的及び施行者等が表示された標識(以下「標識」という。)を設置することができることとされている。本規定はこれにより設置された標識を移転又は除却する場合等においては施行者等の承諾を得ることを規定したものであり、承諾を与える行為は「申請に対する処分」に該当することとなるため、以下(二)及び(三)を参考として審査基準を定める等の措置を講ずることを含む、行政手続法第二章に規定されるところに従って、本事務を行うことが必要となる。
(二) 行政手続法第五条に規定する審査基準の設定について
本事業のために必要な測量の結果は、標識を設置して保存しておかないと現地との照合が不可能となり事業施行の支障となるので、標識を除却、汚損又は損壊するについては災害救助等の緊急の事由がない限り基本的には承諾を与えることは適切でない。また、標識の移転については、公共工事の実施等の真にやむをえない理由があり、かつ、測量結果の保存が可能で今後の事業実施に支障を与えない場所に移転される場合等については承諾を与えることができること。
(三) 行政手続法第六条に規定する標準処理期間の設定について
施行者が承諾に関する処分を行うに際しては、過去の実例等を参考として、各施行者において標準処理期間を定めることが必要であるが、本件処分の性質にかんがみれば特段の事情がない限り、最長でも一週間程度で承諾・不承諾の別に定めることが可能であろう。
二 法第三六条第一項に規定する事業実施の同意について
本規定は、新住宅市街地開発事業の重複施行は従前からの施行者の同意を得た場合でなければならない旨を定めたものである。本規定の同意が法第四五条第一項の規定によって事業施行者となる民間の法人に対してなされる場合においては、同意を与える行為は「申請に対する処分」に該当するため、行政手続法第二章に規定されるところに従って、本事務を行うことが必要となるが、法施行から現在に至るまでにおいて、民間の法人が新住宅市街地開発事業の施行者となった例はなく、また、今後も当面は民間の法人による事業施行は予定されていないことから、将来、民間の法人による事業施行が想定されるようになった段階において審査基準を定める等の措置を講ずれば足りるものであること。