建設省技調発第一六七号・経事発第二二号
平成十年八月四日

各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長、土木研究所長、建築研究所長、国土地理院長、建設大学校長あて

建設大臣官房技術審議官通知


建設リサイクル推進に係る実施事項について


建設リサイクルの推進に関しては、建設リサイクル推進計画'97に基づき各種施策の具体化実施を図っており、特に公共工事発注者の責務の徹底が行動計画の重点課題の一つとなっているところである。
ついては、このような認識を踏まえ、建設省所管の直轄事業の実施にあたっての実施事項を「建設リサイクルガイドライン」としてとりまとめたので、今後は本ガイドラインに基づき事業の実施に遺漏のなきよう取り計らわれたい。
なお、本ガイドラインについては、都道府県関係部長、政令指定市関係局長、関係公団担当理事、建設業者団体等に対しても通知しているので、各機関に対し、本ガイドラインの趣旨を踏まえてより一層の連絡調整を図り、連係のとれた施策推進を図られたい。



建設リサイクルガイドライン
一 目的

建設リサイクル推進計画'97のリサイクル率の目標値を達成するためには、事業の初期の段階から、実施の各段階においてリサイクルの検討状況を把握・チェックすることにより、リサイクル原則化ルールの徹底など、公共工事発注者の責務の徹底を図ることが必要である。
このため、本ガイドラインでは、リサイクル計画書の作成など、建設事業の計画から設計、積算、完了の各執行段階における具体的な実施事項をとりまとめたものである。

二 対象事業

建設省所管の直轄事業(受託事業を含む。)を対象とする。

三 実施事項

1) 体制の整備
1 目的の趣旨の達成に向けた対象事業を実施する機関(以下「対象機関」という。)の取り組みを支援するため、以下の委員会を設置する。

(別添「建設副産物対策委員会設置要綱」参照)
(1) 地方建設局等建設副産物対策委員会
(2) 事務所等建設副産物対策委員会

2) リサイクル計画書等の取りまとめ

対象機関は、リサイクルの状況を把握し、リサイクルのより一層の徹底に向けた検討や調整を行うため、以下のものを取りまとめる。
(1) リサイクル計画書(別添1、別添2、別添3)

1) 目的

建設副産物の発生・減量化・再資源化等の検討・調整状況を把握する。

2) 作成時期及び作成者

1) 設計業務(概略設計、予備設計(営繕工事では基本設計)、詳細設計(同実施設計))の実施時点

・業務成果として、設計者(設計業務の受注者等)が作成する。

(対象機関は、設計者に対し、リサイクル計画書の作成を指示する。)
(「設計業務におけるコスト縮減及びリサイクル推進対策について」平成一〇年七月一日建設省技調発第一一七号及び、建設省営建発第二四号、建設省営設発第六六号))

2) 工事仕様書案の作成時点(積算段階)

・対象機関の当該工事の積算担当課が作成する。

(2) リサイクル阻害要因説明書(別添4)

1) 目的

建設副産物のリサイクル率が目標値 ※に達しない場合にその原因等を把握する。

2) 作成時期及び作成者

1) 工事仕様書案の作成時点

・対象機関の積算担当課(営繕部においては設計担当課)が作成する。
・工事実施時のリサイクル率が積算段階と比較して一〇パーセント以上下がった場合には、工事完了段階において再度作成する。
※目標値:建設リサイクル推進計画'97(平成九年一〇月七日建設省技調発第一六六号、建設省経事発第六四号、建設省経建発第二八八号地方建設局長等あて建設事務次官通達)の目標を基本とし、必要に応じて地方建設局等建設副産物対策委員会により変更できるものとする。

(3) 再生資源利用計画書及び再生資源利用促進計画書(再生資源利用[促進]計画書)

1) 目的

建設資材を搬入又は建設副産物を搬出する建設工事を施工する場合において、リサイクルの実施状況を把握する。
(建設資材を搬入する場合:再生資源利用計画書建設副産物を搬出する場合:再生資源利用促進計画書)

2) 作成時期及び作成者

1) 工事の着手時及び完成時

・対象機関から直接工事を請け負った建設工事事業者(元請業者)が作成する。

(対象機関は、元請業者に対し、再生資源利用[促進]計画書(工事着手時)及び実施状況(完成時)の報告を特記仕様書により指示する。)

3) リサイクルの徹底に向けた検討・調整等

対象機関は、リサイクルのより一層の徹底に向け、以下の検討・調整を行う。
(1) 計画案(計画・設計方針)の策定時点

・リサイクル計画書を基に発生抑制・減量化再生利用のより一層の徹底のための検討を行う。
・建設発生土等、工事間流用が可能なものについては、他機関も含めた調整を図る。
・検討・調整に際しては、必要に応じて事務所等建設副産物対策委員会を開催し、意見聴取を行う。

(2) 工事仕様書案の作成時点

・事務所等建設副産物対策委員会は、リサイクル計画書及びリサイクル阻害要因説明書についてチェックを行い、リサイクル原則化ルールの徹底が不十分と判断した場合は、当該工事の積算担当課(リサイクル阻害要因説明書について、営繕部においては設計担当課)に対し、改善を指示することができる。
・地方建設局等建設副産物対策委員会が定める規模を超える工事については、原則として、事務所等建設副産物対策委員会と同様の事項を、地建等建設副産物対策委員会においても実施する。

(3) 工事完了時点

・対象機関は、請負業者から提出される再生資源利用[促進]計画の実施報告(再生資源利用[促進]実施書)をチェックし、とりまとめのうえ、地方建設局等建設副産物対策委員会に提出する。

4) リサイクル実施状況の取りまとめ・公表

完了時の再生資源利用[促進]実施書は、地方建設局等建設副産物対策委員会が半期毎に取りまとめ・集計し、集計結果を公表する。

四 その他

・3 実施事項 2) リサイクル計画書等の取りまとめにより作成されるリサイクル計画書等の様式については、別添を使用する。
・工事内容を変更する際には、個々のケースにより必要な段階まで遡って検討・調整等を改めて実施する。
・本ガイドラインについては、平成一〇年一〇月一日以降速やかに運用を開始する。



別添1
<別添資料>



別添2
<別添資料>



別添3
<別添資料>



別添4
<別添資料>



様式1 再生資源利用計画書(実施書)―建設資材搬入工事用―
<別添資料>



(別添)

建設副産物対策委員会設置要綱

1 目的

建設リサイクル推進計画'97の推進において建設省所管の直轄事業が先導的な役割を果たすため、建設副産物の発生抑制、再利用、適正処理の徹底を図るため、建設副産物対策委員会を設置する。
建設副産物対策委員会は、地方建設局等に設置する委員会(地方建設局等建設副産物対策委員会)と、事務所等に設置する委員会(事務所等建設副産物対策委員会)から構成される。

2 用語の定義

1) 地方建設局等

地方建設局、北海道開発局、沖縄総合事務局

2) 事務所等

地方建設局の工事事務所、北海道開発局の開発建設部、沖縄総合事務局の事務所

3) 大規模な工事

各地方建設局等において、基準を定める一定規模以上のもの

3 地方建設局等建設副産物対策委員会

(1) メンバー等

局長を委員長とし、その他、企画部長、関係部長及びその他委員長が必要と認めた者を委員とする。
なお、前記の構成員を満たす他の委員会等が存在する場合は、その委員会等が下記所掌事務を行うことをもって、足りることとする。

(2) 所掌事務

1) 大規模な工事の判断基準の策定

大規模な工事の判断基準を策定する。

2) 大規模な工事のリサイクル状況の評価

大規模な工事については、工事仕様書案の作成時点において事務所等建設副産物対策委員会より提出されるリサイクル計画書及びリサイクル阻害要因説明書について、リサイクル原則化ルールの徹底状況を審査し、不十分と考えられるケースについては、事務所等建設副産物等対策委員会に対し改善を指導することができる。

3) 目標値の設定

リサイクル阻害要因説明書の目標値について、建設リサイクル推進計画'97の目標から変更する必要がある場合に、これを変更することができる。

4) リサイクル実施状況のとりまとめ・公表

再生資源利用計画書及び再生資源利用促進計画書(以下「再生資源利用[促進]計画書」という。)の実施状況ほか、委員長が必要と認める事項について、事務所等建設副産物対策委員会からの報告を受け、半期毎にとりまとめ、公表する。

5) その他建設リサイクルの推進に関する事項

(3) 部会等の設置

委員長は、必要に応じて部会等を設置することができる。

4 事務所等建設副産物対策委員会

1の目標を達成するため、事務所等の所長を委員長とする事務所等建設副産物対策委員会(営繕部においては、事務所等に設ける委員会及び、営繕部内に設置する営繕部建設副産物対策委員会。以下「事務所等委員会」という。)を設置する。
(1) メンバー等

事務所等の所長を委員長とし、その他、関係副所長、関係課長及び、委員長が必要と認めた者を委員とする。但し、営繕部においては、事務所等の他に、営繕部内においても事務所等建設副産物対策委員会を設置することができ、この場合、委員長は営繕調査官等とし、関係課長等、委員長が必要と認めた者を委員とする。
なお、上記の構成員を満たす他の委員会等が存在する場合は、その委員会等が下記所掌事務を行うことをもって足りることとする。

(2) 所掌事務

1) 事業の各段階における、リサイクル状況の把握・検討・調整・指示等

事務所等の管内の全ての事業について、以下の検討・調整等を行う。
(計画案(計画・設計方針)の策定時点)

1) 設計業務の成果に基づき、発生抑制・減量化・再生利用の促進の観点から、必要に応じて改善措置の要否について検討し、必要な改善措置の提案を行うほか、再利用可能な建設副産物について、他機関も含めた利用調整を行う。

(工事仕様書案の作成時点)

2) 積算担当課が作成するリサイクル計画書・リサイクル阻害要因説明書について、リサイクル原則化ルールの徹底が不十分と判断した場合には、必要な改善措置を講じるよう積算担当課に対して指示をすることができる。
3) 大規模な工事については、リサイクル計画書・リサイクル阻害要因説明書を地方建設局等建設副産物対策委員会に提出して審査を受け、改善の指導があった場合には、当該工事の積算担当課に対して必要な改善措置を指示する。

2) 他機関等との連絡調整

工事間利用によるリサイクルを促進するため、他の建設工事発注機関等との連絡調整を図る。

3) リサイクル実施状況のとりまとめ

事務所等の管内で実施されるすべての建設省直轄の公共工事について作成される再生資源利用[促進]計画書の実施状況等について、半期毎にとりまとめ、地方建設局等建設副産物対策委員会に報告する。

4) その他建設リサイクルの推進に関する事項



(参考)
<別添資料>


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