薬液注入工法による建設省所管の建設工事の施工については、先に昭和四九年五月二日付け建設省官技発第一〇二号をもつて指示したところであるが、今般、その取扱いについて、別添のとおり薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針を定めたので、左記事項に留意し、その取扱いについて遺憾なきを期せられたい。
1 この暫定指針は、今後新たに着手する薬液注入工法による建設省所管の建設工事に適用するものであること。
2 この暫定指針は、現段階においては、薬液の地中での性質が必ずしも明らかでないものがあることにかんがみ、安全性重視の観点に立つて、その性質が明確になるまでの間、薬液の種類を限定することとしたが、今後研究の進展に伴い、その見直しを行うものであること。
3 現在、薬液の注入を一時中止している工事の再開については、次の各号に定めるところによること。
(1) 周辺の井戸水に関し、別表1に掲げる検査項目について、同表の検査方法により、検査を行い、その測定値が同表に掲げる水質基準に適合しているか否かを確認すること。この場合において、同基準に適合していないものがあるときは、簡易水道の敷設等飲料水の確保に関し代替措置を講ずること。
(2) 再開工事において使用する薬液は、水ガラス系の薬液で劇物又は弗素化合物を含まないものに限るものとすること。
(3) 再開工事の施工については別添暫定指針第三章の、また、同工事の施工に伴う地下水等の水質の監視については同第4章の例によること。
(4) この暫定指針でその使用を認められていない薬液を注入した地盤を掘削することとなる場合においては、次によること。
(イ) 掘削残土の処分にあたつては、地下水等としや断すること。
(ロ) 地下水等の水質の監視については、別表1に定める検査項目、検査方法及び水質基準により行うこと。この場合において、採水回数は、薬液注入完了後一年間、一月に二回以上行うものとする。
(ハ) 排出水の処理にあたつては、別表2の基準に適合するように行うこと。
4 なお、この暫定指針においては、工事施工中緊急事態が発生し、応急措置として、行うものについては適用除外とすることとしたが、この通知の趣旨にかんがみ安全性の確保に努め、特に地下水等の水質の事後の監視については、上記3の(4)に準じて厳重に行うこと。