建設省経建発第三一九号の二
平成九年一二月二六日

各都道府県主管部局長あて

建設省建設経済局建設業課長通知


改正廃棄物処理法の施行について


廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)(以下「廃棄物処理法」という。)は、平成九年六月一八日に公布された廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八五号)により、その一部が改正され、廃棄物の減量及び再生利用、廃棄物処理業者の許可要件の強化、罰則の強化、情報交換の促進等に係る事項については本年一二月一七日に施行されたところである。
ついては、別添1のとおり建設業者団体の長あて通知したので、貴職におかれても傘下の建設業者団体に対し、周知方お願いする。
また、近年、建設工事に伴う廃棄物の不法投棄が多発していることにかんがみ、建設業許可部局においても廃棄物担当部局との連携を強化し不法投棄者に対する情報交換を緊密に行い、建設業者が不法投棄を行った場合には、建設業法に基づき、適切な対応を行うようお願いする。
なお、貴管下関係市町村に対しても、この旨を周知徹底されるようお願いする。
(別添2のとおり、厚生省から、産業廃棄物部局に対して同様の趣旨の通知をしていることを申し添える。)



別添1

改正廃棄物処理法の施行について

(平成九年一二月二六日)
(建設省経建発第三一九号)
(建設業者団体の長あて建設省建設経済局建設業課長通知)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)(以下「廃棄物処理法」という。)は、平成九年六月一八日に公布された廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八五号)により、その一部が改正され、廃棄物の減量化及び再生利用の推進、廃棄物処理業者の許可要件の強化、罰則の強化、情報交換の促進等に係る事項については本年一二月一七日に施行されたところである。
今回の改正の中で、一定の廃棄物の再生利用に関し、その内容が生活環境保全上支障がない等の一定の基準に適合していることについて厚生大臣の認定を受けた者の廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置の許可を不要とする再生利用認定制度が創設され、一定の建設工事に伴って生じた汚泥を再生利用認定制度の対象とする関係厚生省令及び厚生省告示が本年九年一二月二六日に施行されたところである。
また、産業廃棄物の不法投棄が多発し、社会問題になっていることにかんがみ、不法投棄に対する罰則の強化が図られ、産業廃棄物の不法投棄については三年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金又はこの併科(法人の代表者等が不法投棄を行った場合には、さらに法人に対して一億円の罰金)に引き上げられたところである。
ついては、改正された廃棄物処理法の内容を十分理解され、排出事業者として適正処理を確保することと併せて、今後、建設工事に伴って生じた汚泥のリサイクルの促進のため、下記の事項に留意の上、貴団体傘下の建設業者に対し周知徹底を図り、再生利用認定制度の積極的な活用が図られるようお願いする。
1 再生利用認定制度の対象となる汚泥は、シールド工法若しくは開削工法を用いた掘削工事、杭基礎工法、ケーソン基礎工法若しくは連続地中壁工法に伴う掘削工事又は地盤改良工法を用いた工事に伴って生じた無機性のものに限られること。
2 汚泥の再生品(汚泥の再生によって得られる物のことをいう。)は、河川法(昭和三九年法律第一六七号)第六条第二項に規定する高規格堤防に利用されるものに限られること。
3 廃棄物処理法第一五条の四の二第一項に基づく再生利用の認定の申請は、汚泥の脱水等の改質を行って再生品を製造する者が、厚生大臣に対して行うこと。



別添2

廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について

(平成九年一二月二六日)
(衛環第三一九号)
(各都道府県・政令市廃棄物主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八五号。以下「改正法」という。)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成九年政令第三五三号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第八五号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第九三号。)の施行については、別途、厚生事務次官通知(厚生省生衛第一一一二号)及び生活衛生局水道環境部長通知(衛環第三一八号)により指示されたところであるが、なお左記の事項に留意の上、その運用に遺漏のないようにされたい。
第1 廃棄物処理業の適正な実施について

1 廃棄物処理業の欠格要件の強化

(1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「法」という。)第七条第三項第四号ニに定める者については次のとおりであること。

ア 「業務を執行する社員」とは、商法第七〇条の規定により合名会社又は合資会社の業務を執行する権利を有し義務を負う社員をいうこと。
イ 「これらに準ずる者」とは、株式会社の監査役、公益法人・協同組合の理事、監事等をいうこと。
ウ 「法人に対し業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」とは、例えば、相談役や顧問といった名称を有する者や、一定比率以上の株式を保有する株主又は一定比率以上の出資をしている者等が該当する可能性を有していること。

ただし、これらの者が常に「法人に対し業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」に該当するとは限らず、また、その他の者が該当すると認められる場合も考えられることから、個別の事例について、必要に応じて当該法人の従業員からの情報聴取や事務所の状況調査等を行うなどして、欠格要件に該当する者が実質的に支配する法人に対して許可を行うことのないよう、厳格に審査されたいこと。

(2) 改正法の施行の際現に都道府県知事等に対し改正前の法の規定によりされている申請については、改正法により規定された欠格要件は適用されないものであること。したがって、改正法の施行日前になされた当該申請に係る一般廃棄物処理業又は産業廃棄物処理業の許可の適否の審査は、改正前の法の基準により行われたいこと。

なお、改正法施行の際現に許可を受けている者については、当該許可の変更又は更新に当たって改正法により規定された欠格要件を適用し、当該変更の許可又は更新の適否を審査されたいこと。したがって、変更許可又は更新までの間に、当該者が改正法により規定された新しい欠格要件に該当することをもって、許可を取り消すことはできないこと。

2 一般廃棄物収集運搬業及び一般廃棄物処分業者の許可の更新期間の延長

一般廃棄物収集運搬業及び一般廃棄物処分業の許可の更新期間を一年から二年に改めることとしたが、法第七条第二項又は第五項の更新の許可に当たっては、従来どおり、一般廃棄物処理計画との整合性等に留意し、判断されたいこと。

3 産業廃棄物の処理の受託の禁止

産業廃棄物の処理の受託禁止の規定は、産業廃棄物の収集又は運搬若しくは処分を受託する地方公共団体については適用されないこと。

第2 廃棄物の再生利用に係る認定

1 認定の対象

認定の対象となる廃棄物は、再生利用により生活環境の保全上支障が生じることを防止するため、廃棄物自体が生活環境の保全上支障を生じさせない蓋然性の高いものに限定し、厚生大臣が個別に指定することとしたこと。

2 認定の基準

(1) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号。以下「規則」という。)第六条の四第四号の規定は、廃棄物を原材料として再生利用することに伴い結果として行われる燃焼を除き、燃料として用いる再生利用は対象としないこととしたものであること。
(2) 認定を受けた者は、認定に係る再生利用を自ら行い、他人に委託してはならないこと。
(3) 再生利用の用に供する施設の基準は、廃棄物処理施設と同等の基準が適用されること。

3 認定の手続

(1) 認定は、認定を受けようとする者の厚生大臣に対する申請に基づき行うものであること。
(2) 認定を受けた者が当該認定に係る再生利用の内容を変更しようとするときは、新たに認定を受けることが必要であること。ただし、別途処理業及び施設設置の許可を受けることは差し支えないこと。

4 その他

(1) 認定を受けた者が自ら認定に係る廃棄物を収集又は運搬する場合には、廃棄物収集運搬業の許可を要しないものであること。なお、認定を受けた者以外の者が当該収集又は運搬を行う場合は、当該者は許可を受けた廃棄物収集運搬業者、法第七条第一項ただし書等に規定する専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者又は規則第二条第二号等に規定する指定を受けた者でなければならないこと。
(2) 認定を受けた者に対しても、廃棄物処理業者等と同様に指導監督を行えること。
(3) 報告徴収(法第一八条第一項)や立入検査(法第一九条第一項)を行った場合にはその結果を、改善命令(法第一九条の三)や措置命令(法第一九条の四)を行う際には事前にその旨を連絡されたいこと。

第3 その他

(1) 罰則の強化の趣旨を踏まえ、法の違反その他の廃棄物処理に関する犯罪の情報を得たときは、速やかに関係都道府県警察へ当該情報並びにこれに関する情報及び資料を提供するとともに、警察が法の規定により都道府県知事等が知り得た情報について法違反その他の廃棄物処理に関する犯罪の捜査のためにその提供を要請した場合には、法令上支障のない限り、当該要請の趣旨に沿った協力をされたいこと。
(2) 産業廃棄物の不法投棄に占める建設廃棄物の割合が大きいことが指摘されているが、建設業法(昭和二四年法律第一〇〇号)では、他の法令の規定に違反し建設業者として不適当と認められる建設業者については、指示又は営業停止等の処分の対象とされているので、建設業者が法に違反し、又はその疑いがある場合には、建設業許可行政主管部局に対して当該事実を速やかに連絡する等、連携の強化に努めること。


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