JVの適正な運営については、既に共同企業体協定書、共同企業体運営指針(平成元年五月一六日付け建設省経振発第五二〜五四号)及び共同企業体運営モデル規則(平成四年三月二七日付け建設省経振発第三三〜三五号)において周知されているところであるが、実際のJVの運営においては意思決定や資金管理の方法について構成員間の意思疎通が不十分なことにより適正な運営が実現されていない場合もしくはあらかじめ構成員間で十分な合意に達していないため運営に混乱が生じている場合が見受けられるため、左記の事項に留意しつつJVのより適正な運営をお願いしたい。
1 前払金の取扱については、出資の割合に基づき分配する方法とJVの前払金専用口座に留保する方法があり、各JVの構成員間の協議によりどちらの方法をとるか決定できること。
2 資金管理については、代表者が一元的に行っている場合が多いが、その場合でも各構成員に対して手形の使途や出入金の事実等について報告する等、資金管理についての疑義が生じないよう配慮すること。
3 実行予算の作成や利益の分配、下請企業の決定等の重要事項については、代表者のみで決定せず共同企業体の最高意思決定機関である運営委員会において協議の上決定すること。
4 共同企業体の取引は、共同企業体の名称を冠した代表者名義の別口預金口座によるものとし、取引の際には相手方に対して、共同企業体としての取引であることを明らかにすること。また、共同企業体として締結した下請契約に基づき下請企業が有する債権に係る支払及び共同企業体の構成員が共同企業体に対して有する債権に係る支払等については、当該口座から支払うものとすること。
5 代表者が脱退した場合及び代表者としての責務を果たせなくなった場合における代表者の権限の停止や代表者の変更等について、あらかじめ共同企業体協定書等で定めておくことは差し支えない。
また、発注者に対しては、会社更生手続申立ての事実のみをもって契約を解除することなく、当該共同企業体の施工能力を実質的に勘案して契約の存否を決めることが望ましい旨通知したところであるが、共同企業体の構成員間においても、会社更生手続申立ての事実のみをもってして、共同企業体の構成員を除名又は脱退を勧告することは妥当でなく、当該申立て会社が構成員としての義務を果たすことができるかどうかを実質的に判断することが望ましい。