予算決算及び会計令第八五条の基準については、昭和六二年二月二日付け建設省会第一号により定められたところであるが、この基準の運用に関しては、左記により取り扱われたい。
1 本基準の運用の基本方針について
(1) 本基準は、「当該契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがあると認められる場合」の基準を定めたものであり、本基準に該当する場合には、落札の決定を保留し、契約担当官等が予算決算及び会計令(以下「令」という。)第八六条の調査を行うものであること。
(2) したがって、本基準に該当する場合であっても、令第八六条の調査の結果、当該価格によって、当該契約の内容に適合した履行がされると認めた場合には、その者を落札者とするものであること。
(3) 令第八六条の調査は、「相手方となるべき者の申込みに係る価格によっては、当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあるかどうか」を具体的に判断するため、次の事項について行うものとすること。
1) 当該工事を行うに当たって当該入札者が予定している労務、資材等の量及びそれらの調達等に関する事項
2) 1)の適否
3) 特別な事由により市場価格より低い価格で労務、資材等の調達ができるとの主張がある場合におけるその適否
4) 当該入札者の経営状態
5) その他必要な事項
2 本基準の運用について
本基準を運用する場合、契約ごとに三分の二から一〇分の八・五の範囲内で契約担当官等の定める割合の算定は次のとおりとされたい。
(1) 予定価格算出の基礎となった次に掲げる額の合算額に、一〇〇分の一〇五を乗じて得た額を予定価格で除して得た割合とする。ただし、その割合が一〇分の八・五を超える場合にあっては一〇分の八・五とし、三分の二に満たない場合にあっては三分の二とする。
1) 直接工事費の額
2) 共通仮設費の額
3) 現場管理費相当額に五分の一を乗じて得た額
(2) 特別なものについては、(1)の算定方法にかかわらず三分の二から一〇分の八・五の範囲内で適宜の割合とする。
3 その他
(1) 執行体制の整備
本基準は、昭和六二年四月一日以降の建設省所管に係る工事の請負契約(予定価格が一〇〇〇万円を超えるものに限る。)の入札に適用されることになるので、関係職員に対し趣旨の徹底を図り、事務の執行に遺憾なきを期されたい。
(2) 用語の定義
本通達中「現場管理費相当額」とは、土木工事にあっては現場管理費の額、建築工事にあっては現場経費の額をいう。また、「直接工事費」、「共通仮設費」、「現場管理費」及び「現場経費」の用語の定義については、原則として、それぞれ下記の要領等の例によるものであること。
1) 「土木請負工事工事費積算要領」(昭和四二年七月二〇日付け建設省官技第三四号)
2) 「建設省建築工事積算基準」(昭和六〇年四月一二日付け建設省営計発第二九号)
(3) 予定価格調書への調査基準価格の記載
契約担当官等は、事務の適正な執行を確保するため、令第七九条の「予定価格を記載した書面」の予定価格が記載された行の下に、本基準に基づく具体的金額を「(調査基準価格○○円)」と記載し、さらに、当該調査基準価格に一〇五分の一〇〇を乗じて得た金額を「(調査基準価格の一〇〇/一〇五 ○○)」と記載しておくものとすること。