建設省直轄工事においては、平成五年度から一般競争入札方式を試行してきたところであるが、今般、平成五年一二月二一日の中央建設業審議会建議「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」において、会計法令上の原則である一般競争入札方式を、当面、一定規模以上の工事について採用することとされたところである。これを受けて、建設省直轄工事において、入札・契約手続のより一層の透明性・客観性及び競争性を確保するため、一般競争入札方式の手続を下記のとおり定めたので、十分留意の上、平成六年度当初予算に係る事業から一般競争入札方式を実施することとされたい。
1 対象工事
本手続の対象工事は、一件につき予定価格が別に定める額以上の工事とするものとする。
2 入札の公告
(1) 地方建設局長は、1の対象工事を一般競争に付そうとする場合においては、予算決算及び会計令(昭和二二年勅令第一六五号。以下「予決令」という。)第七四条及び国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(昭和五五年政令第三〇〇号)第五条第一項に基づき、官報により公告するものとする。
(2) (1)の公告は、別添1の標準入札公告例によるものとする。
なお、公告においては、次に掲げる事項を英語により記載するものとする。
1) 契約担当官等(会計法(昭和二二年法律第三五号)第二九条の三第一項に規定する契約担当官等をいう。以下同じ。)の氏名及びその所属する部局の名称
2) 工事名
3) 競争参加資格確認申請書(以下「申請書」という。)及び競争参加資格確認資料(以下「資料」という。)の提出期限
4) 入札執行の日時
5) 5の入札説明書を入手するための照会窓口
3 競争参加資格
(1) 予決令第七五条第二号の「競争に参加する者に必要な資格に関する事項」として次に掲げる事項を公告するとともに、入札説明書においても当該事項を明らかにするものとする。
1) 予決令第七〇条及び第七一条の規定に該当しない者であること。
2) 当該地方建設局において、対象工事に係る工事種別について、地方支分部局工事請負業者選定事務処理要領(昭和四一年一二月二三日付け建設省厚第七六号。以下「選定要領」という。)に基づく一般競争参加資格の認定を受けていること。
3) 対象工事が別途通知する工事種別である場合においては、当該地方建設局における対象工事の工事種別に係る一般競争参加資格の認定の際に選定要領第2第二号イの客観的事項(共通事項)について算定した点数(以下「経営事項評価点数」という。)が、一定の点数以上であること。
4) 対象工事と同種の工事の施工実績があること(個別の工事に応じてできるだけ詳細に明示すること。)。
5) 対象工事に配置を予定する主任技術者、監理技術者等が適正であること(個別の工事に応じて技術者の資格及び同種の工事の経験をできるだけ詳細に明示すること。)。
6) 当該地方建設局長から地方支分部局所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領(昭和五九年三月二九日付け建設省厚第九一号。以下「指名停止措置要領」という。)に基づく指名停止を受けている期間中でないこと。
7) 対象工事が大規模構造物の工事、特殊な作業条件下の工事等であって高度な施工技術を必要とするもの(以下「施工計画審査タイプ」という。)である場合においては、施工計画が適正であること(個別の工事に応じてできるだけ詳細に明示すること。)。
8) 対象工事に係る設計業務等の受託者(受託者が設計共同体である場合においては、当該設計共同体の各構成員をいう。以下同じ。)又は当該受託者と資本若しくは人事面において関連がある建設業者でないこと(「対象工事に係る設計業務等の受託者」及び「資本若しくは人事面において関連がある」ことの具体的内容について、5の入札説明書において明示すること。)。
(2) (1)3)に掲げる事項を競争参加資格とする工事種別及び当該工事種別毎の競争参加資格として用いる経営事項評価点数については、別途通知する。
4 競争参加資格の決定
3に掲げる競争に参加する者に必要な資格(以下「競争参加資格」という。)は、対象工事毎に、入札・契約手続運営委員会の議を経て、地方建設局長が決定するものとする。
5 入札説明書の交付
(1) 入札説明書は、別添2の標準入札説明書例により作成するものとし、別冊として、公告の写し、契約書案、入札心得、図面、仕様書及び現場説明書を含めるものとする。
(2) 入札説明書は、公告後速やかに交付を開始することとし、入札執行の日の前日まで交付するものとする。
(3) 入札説明書の交付期間、交付場所及び交付方法を公告において明らかにするものとする。
(4) 入札説明書の交付に当たっては、実費を徴収することができるものとし、実費を徴収する場合においては、その旨を公告において明らかにするものとする。
6 申請書及び資料の提出
(1) 地方建設局長は、一般競争入札に参加する者の競争参加資格を確認するため、参加希望者から申請書及び資料の提出を求めるものとする。
(2) (1)の申請書及び資料の提出期間は、原則として、入札説明書の交付を開始した日の翌日から一〇日間(対象工事が施工計画審査タイプである場合においては、三〇日間)とする。
(3) 申請書及び資料の提出場所は、総務部契約課とするものとする。
(4) 申請書及び資料の提出は、提出場所へ持参することにより行うものとし、郵送又は電送によるものは受け付けないものとする。
(5) 期限までに申請書及び資料を提出しない者並びに地方建設局長が競争参加資格がないと認めた者は、当該競争に参加することができないものとする。
(6) (1)から(3)までに掲げる事項を公告において明らかにするものとする。
(7) (1)から(5)までに掲げる事項及び次に掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
1) 申請書及び資料は、入札説明書において示す様式により作成すること。
2) 申請書及び資料の作成及び提出に係る費用は、提出者の負担とすること。
3) 地方建設局長は、提出された申請書及び資料を、競争参加資格の確認以外に提出者に無断で使用しないこと。
4) 提出された申請書及び資料は返却しないこと。
5) 提出期限以降における申請書又は資料の差し替え及び再提出は認めないこと。
6) 申請書及び資料に関する問い合わせ先
7) その他地方建設局長が必要と認める事項
7 資料の内容
(1) 資料の内容は、1)及び2)(対象工事が施工計画審査タイプである場合には、1)から3)まで)とするものとし、資料の内容を入札説明書において明らかにするものとする。
なお、1)の同種の工事の施工実績及び2)の配置予定の技術者の同種の工事の経験については、工事が完成し、引き渡しが済んでいるものに限り記載することができるものとし、2)の配置予定の技術者については、複数の候補技術者を記載することができるものとし、その旨を入札説明書において明らかにするものとする。
1) 施工実績
3(1)4)に掲げる資格があることを判断できる同種の工事の施工実績
2) 配置予定の技術者
3(1)5)に掲げる資格があることを判断できる配置予定の技術者の資格、同種の工事の経験及び申請時における他工事の従事状況等
3) 施工計画
3(1)7)に掲げる資格があることを判断できる施工方法、仮設備計画等の技術的事項に対する所見
(2) 地方建設局長は、特に必要があると認めるときは、(1)1)から3)までに加えて、(1)に掲げる資料の内容を証明するための書類を資料として求めることができるものとし、当該資料の提出を求める場合においては、その旨を入札説明書において明らかにするものとする。
8 競争参加資格確認資料作成説明会
(1) 地方建設局長は、対象工事が施工計画審査タイプである場合において、必要があると認めるときは、競争参加資格確認資料作成説明会(以下「説明会」という。)を実施することができるものとする。
(2) 説明会は、原則として、申請書及び資料の提出期限の二〇日前までに実施するものとする。
(3) 説明会への参加の申込みは、書面(様式は自由)を申込先へ持参し、又は郵送することにより行うものとし、電送によるものは受け付けないものとする。
(4) 説明会への参加申込の期間は、原則として、公告の日の翌日から説明会の実施の日の三日前までとするものとする。
(5) 説明会への申込先は、本局の対象工事の担当課とするものとする。
(6) 説明会を実施する場合には、説明会を実施する旨を公告において明らかにするとともに、次に掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
1) 説明会を実施する旨
2) 説明会の日時及び場所
3) 説明会への参加申込方法、申込期間及び申込先
4) その他地方建設局長が必要と認める事項
9 資料のヒアリング
(1) 地方建設局長は、対象工事が施工計画審査タイプである場合において、必要があると認めるときは、資料のヒアリングを実施することができるものとする。
(2) ヒアリングは、申請書及び資料の提出期限の日の翌日から10(5)の競争参加資格の確認結果の通知の期限の日の前日までの間に行うものとする。
(3) ヒアリングを実施する場合においては、ヒアリングを実施する旨を公告において明らかにするとともに、次に掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
1) ヒアリングを実施する旨
2) ヒアリングの日時及び場所
3) その他地方建設局長が必要と認める事項
10 競争参加資格の確認
(1) 地方建設局長は、申請書及び資料の提出者の競争参加資格の有無について確認を行うものとする。ただし、申請書及び資料の提出者が申請書及び資料の提出期限の日において3(1)2)の認定を受けていない場合において、競争参加資格のうち3(1)1)及び4)から8)までに掲げる事項を満たしているときは、開札の時において3(1)2)及び3)に掲げる事項を満たしていることを条件として競争参加資格があることを確認するものとする。
(2) (1)の確認は、入札・契約手続運営委員会の議を経て行うものとする。
(3) (1)の確認は、申請書及び資料の提出期限の日をもって行うものとする。ただし、3(1)6)については、申請書及び資料の提出期限の日から競争参加資格の確認を行う日までのすべての期間について確認するものとする。
(4) 3(1)4)の同種の工事の施工実績及び3(1)5)の配置予定の技術者の同種の工事の経験の確認を行うに当たっては、効力を有する政府調達に関する協定を適用している国及び地域並びに我が国に対して建設市場が開放的であると認められる国及び地域以外の国又は地域に主たる営業所を有する建設業者にあっては、我が国における同種の工事の施工実績及び経験をもって行うものとする。
(5) 地方建設局長は、原則として、申請書及び資料の提出期限の日の翌日から起算して一〇日以内(対象工事が施工計画審査タイプである場合には、一四日以内)に、競争参加資格の確認の結果を申請書及び資料の提出者に対し通知するものとする。
(6) (5)の通知は、別記様式により行うものとする。
(7) (5)の通知に当たっては、競争参加資格がないと認めた者に対しては、その理由を付すとともに、所定の期限内に競争参加資格がないと認めた理由について説明を求めることができる旨を明記するものとする。
(8) (1)、(3)、(4)及び(5)に掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
(9) 地方建設局長は、競争参加資格の確認を行った日の翌日から開札の時までの期間に、競争参加資格があると認めた者が指名停止措置要領に基づく指名停止を受けた場合、当該者に対する(5)の通知を取り消し、競争参加資格がないと認めたことを通知するものとする。なお、この通知に当たっては、(7)の規定を適用するものとする。
11 競争参加資格がないと認めた者に対する理由の説明
(1) 競争参加資格がないと認められた者は、10(5)の通知の期限の日の翌日から起算して七日(行政機関の休日に関する法律(昭和六三年法律第九一号)第一条に規定する行政機関の休日を含まない。)以内に、地方建設局長に対して競争参加資格がないと認めた理由について説明を求めることができるものとする。
(2) 競争参加資格がないと認められた者が説明を求める場合においては、書面(様式は自由)を持参することにより行うものとし、郵送又は電送によるものは受け付けないものとする。
(3) (2)の書面の提出場所は、総務部契約課とするものとする。
(4) 地方建設局長は、(1)の説明を求められたときは、原則として、(1)の競争参加資格がないと認めた理由についての説明を求めることができる最終日の翌日から起算して一〇日以内に、説明を求めた者に対し、書面により回答するものとする。
(5) 地方建設局長は、(4)の回答内容を入札・契約手続運営委員会に報告するものとする。
(6) 地方建設局長は、説明を求めた者に競争参加資格があると認める場合においては、10(5)の通知を取り消し、(4)の回答と併せて競争参加資格がある旨を通知するものとする。
(7) 地方建設局長は、(6)の通知を行う場合においては、入札・契約手続運営委員会の議を経るものとする。
(8) (1)から(4)までの事項を入札説明書において明らかにするものとする。
12 現場説明会
(1) 現場説明会は、地方建設局長が特に必要があると認める場合を除き行わないものとする。
(2) 現場説明会を行う場合においては、現場説明会を行う旨を公告において明らかにするとともに、次に掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
1) 現場説明会を行う旨
2) 現場説明会の日時及び場所
3) その他地方建設局長が必要と認める事項
(3) 現場説明会を行う日は、11の競争参加資格がないと認めた者に対する理由の説明手続が終了した以降の日とするものとし、原則として、入札執行の日の一〇日前の日とするものとする。
13 入札説明書等に対する質問
(1) 現場説明及び入札説明書に対する質問書の提出があった場合においては、その質問に対する回答書を閲覧に供するものとする。
(2) 質問書の提出期間は、原則として、入札説明書の交付を開始した日の翌日から、11(4)の競争参加資格がないと認めた者に対する理由の説明の回答期限の日の翌日まで(現場説明会を行う場合においては、入札説明書の交付を開始した日の翌日から、現場説明会の日の二日後まで)とするものとする。
(3) 質問書の提出場所は、総務部契約課とするものとする。
(4) 質問書の提出は、提出場所へ持参し、又は郵送することにより行うものとし、電送によるものは受け付けないものとする。
(5) 質問に対する回答書の閲覧は、原則として、質問書の提出期間の最終日の翌日から起算して五日後までに開始し、入札執行の日の前日に終了するものとする。
(6) 質問に対する回答書の閲覧場所は、地方建設局の本局とするものとする。
(7) (1)から(6)までに掲げる事項を入札説明書において明らかにするものとする。
14 入札保証金及び契約保証金
(1) 入札保証金は免除するものとする。
(2) 契約保証金は納付させるものとする。ただし、有価証券等の提供又は銀行、契約担当官等が確実と認める金融機関若しくは保証事業会社(公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二七年法律第一八四号)第二条第四項に規定する保証事業会社をいう。)の保証をもって契約保証金の納付に代えることができ、公共工事履行保証証券による保証を付し、又は履行保証保険契約の締結を行った場合は、契約保証金を免除するものとする。
(3) (1)及び(2)に掲げる事項を公告及び入札説明書において明らかにするものとする。
15 入札の執行
(1) 入札は、原則として、13(2)の質問書の提出期間の最終日の翌日から起算して八日後に執行するものとする。なお、郵便による入札の受領期限は、入札執行の日時前の日時とすることができるものとする。
(2) 地方建設局長は、入札の執行に先立ち、競争参加資格があることを確認した旨の通知書の写しを入札参加者に提出させるものとする。ただし、郵便による入札の場合は、当該通知書を表封筒と入札書を入れた中封筒の間に入れて郵送させるものとする。
(3) 第一回の入札に際しては、入札参加者に工事費内訳書の提出を求めるものとする。なお、郵便による入札の場合は、当該工事費内訳書を表封筒と入札書を入れた中封筒の間に入れて郵送させるものとする。
(4) 開札は、入札執行の日時及び場所において、入札者又はその代理人を立ち会わせて行い、入札者又はその代理人が立ち会わない場合においては、入札事務に関係のない職員を立ち会わせて行うものとする。
(5) (1)から(4)までに掲げる事項を入札説明書において明らかにするとともに、落札者の決定方法を公告及び入札説明書において明らかにするものとする。
16 入札の無効
公告に示した競争参加資格のない者のした入札、申請書又は資料に虚偽の記載をした者のした入札及び入札に関する条件に違反した入札は無効とする旨を公告及び入札説明書において明らかにするとともに、無効の入札を行った者を落札者としていた場合には落札決定を取り消す旨及び地方建設局長により競争参加資格のあることを確認された者であっても、開札の時において3(1)に掲げる資格のないものは競争参加資格のない者に該当する旨を入札説明書において明らかにするものとする。
17 対象工事の請負者又はその下請業者によって調達される主要な資機材
対象工事の請負者又はその下請業者によって調達されることが想定される主要な資機材に関する情報を公告において提供するものとする。
18 苦情申立て
本通達に基づく競争参加資格の確認その他の手続に関し、「政府調達に関する苦情の処理手続」(平成七年一二月一四日付け政府調達苦情処理推進本部決定)により、政府調達苦情検討委員会に対して苦情を申し立てることができる旨を入札説明書において明らかにするものとする。
19 その他
(1) 対象工事に直接関連する他の工事の請負契約を対象工事の請負契約の相手方との随意契約により締結することが予想される場合においては、その旨を公告及び入札説明書において明らかにするものとする。
(2) 契約の手続において使用する言語及び通貨は、日本語及び日本国通貨に限るものとし、その旨を公告及び入札説明書において明らかにするものとする。
(3) 申請書又は資料に虚偽の記載をした場合においては、指名停止措置要領に基づく指名停止を行うことがある旨を入札説明書において明らかにするものとする。
(4) 「入札・契約手続のより一層の透明性・競争性の確保について」(平成五年五月三一日付け建設省厚発第一七七号)記5[入札執行回数]は、一般競争入札においても適用されるものであることに留意するものとする。
(5) 地方建設局長は、落札者が7(1)2)の資料に記載した配置予定の技術者が対象工事の現場に配置されるよう、必要な措置を講じるものとする。
(6) 公告及び入札説明書に記載する事項については、上記に定めるもののほか、別添1の標準公告例及び別添2の標準入札説明書例によるものとする。