総行行第一九九号・国地契第四五号
平成一三年一二月一三日

各都道府県・政令指定都市担当部長あて

総務省自治行政局行政課長・国土交通省地方課長(中央公共工事契約制度運用連絡協議会事務局)通知


工事請負契約等に係る指名停止措置の適切な運用等について


工事請負契約等に係る指名停止措置については、入札・契約に係る不正行為の排除の徹底を図る観点から厳正に行われるべきものであり、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成一二年法律第一二七号)」に基づく「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成一三年三月九日閣議決定)」において、「指名停止については、その恣意性を排除し客観的な実施を担保するため、各省各庁の長等(地方公共団体の長を含む。)は、あらかじめ、指名停止基準を策定し、これを公表するものとする。」とされているところです。
中央省庁等の各発注機関が所掌する工事等の請負契約に係る指名停止措置の運用については、「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」(昭和五九年三月二三日採択。以下「中央公契連指名停止モデル」という。)及び「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルの運用申合せ」(平成六年四月二〇日採択。以下「運用申合せ」という。)に定められており、各発注者はこれらに基づき適切な運用を図っているところです。
貴都道府県及び政令指定都市におかれても、中央公契連指名停止モデル及び運用申合せを参考として策定された指名停止基準に基づき指名停止措置を運用されているものと思慮されますが、中央公契連指名停止モデル及び運用申合せの内容に照らしたときに、望ましくないと思われる指名停止措置を講じている場合が散見されるところです。
つきましては、再度別添のとおり中央公契連指名停止モデル及び運用申合せを送付しますので、これらを参考に指名停止措置の適切な運用に配慮されるようお願いします。
また、参考までに、「(別紙)中央公契連指名停止モデルに照らして望ましくない指名停止措置運用事例」も併せて送付しますので、これにも十分御留意願います。
なお、貴管内市町村に対しても、速やかにこの旨を周知徹底されるようお願いします。



(別紙)

中央公契連指名停止モデルに照らして望ましくない指名停止措置運用事例

1 一事不再理の原則(二重処罰の禁止)の考え方に反する事例

1) 虚偽記載、自発注粗雑工事、契約違反、自発注工事事故において発注者の調査により指名停止措置を講じたが、後に同事案で現場代理人等の逮捕、公訴提起又は行政処分等が行われた際に、新たな悪質性が認定されないにも拘わらず(認定された場合は中央公契連指名停止モデル第三第五項により期間変更)、再度の指名停止措置を講ずること(中央公契連指名停止モデル別表第一第一号、第二号、第四号、第五号及び第七号関係並びに運用申合せ記五の二関係)。
2) 逮捕又は公訴提起がなされ指名停止措置を講じた場合で、判決が確定した際に再度の指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第二第一号〜第四号、第七号、第八号及び第一〇号関係並びに運用申合せ記五の二のロ、五の三及び六の七のイ関係)。
3) 独占禁止法違反事件において、排除勧告応諾等の時期に指名停止措置を講じているにも拘わらず、審決が確定した段階で再度の指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第二第五号及び第六号関係並びに運用申合せ記六の三及び四関係)。

2 指名停止措置を講じる時期等が問題となる事例

1) 逮捕又は公訴提起が指名停止措置要件となっている場合で、逮捕又は公訴提起がなされていないにも拘わらず、書類送検がなされた段階で指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第二第一号〜第四号、第七号、第八号及び第一〇号関係並びに運用申合せ記5の二のロ、5の三及び6の七のイ関係)。
2) 一般工事(他発注)事故における指名停止措置要件は、原則、現場代理人等の刑法、労働安全衛生法等の違反の容疑による逮捕又は公訴提起であるが、現場代理人等の逮捕又は公訴提起がなされていないにも拘わらず、独自の判断で指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第一第六号及び第八号並びに運用申合せ記5の三関係)。
3) 独占禁止法違反事件において、排除勧告応諾等の時期を待たずして立ち入り調査や排除勧告がなされた時点で指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第二第五号及び第六号関係並びに運用申合せ記6の三及び四関係)。
4) 独占禁止法違反被疑事件において、公正取引委員会から同法違反の疑いがあるとして警告のみが発出されたにも拘わらず、指名停止措置を講じること(中央公契連指名停止モデル別表第二第五号及び第六号関係並びに運用申合せ記六の三及び四関係)。
5) 代表役員等の逮捕、公訴提起等が指名停止措置要件となっている場合で、代表役員等の逮捕、公訴提起等が行われていないにも拘わらず、不正行為等をした疑いがあるという新聞報道等のみを判断基準として、指名停止措置を講じること。

3 その他

1) 短期加重措置要件に該当しないにも拘わらず、短期加重措置を講じること(中央公契連指名停止モデル第三第二項並びに運用申合せ記2の三及び三関係)。
2) 不起訴処分が確定したにも拘わらず指名停止措置を解除しないこと(中央公契連指名停止モデル第三第六項関係)。
3) 未だ指名停止措置要件には該当していないにも拘わらず、指名停止措置要件に該当する疑いがあるという判断のみをもって事実上の指名回避を行い、事業者に対して不利益な取扱いをすること(中央公契連指名停止モデル第一第一項関係)。


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