建設省東地厚発第三一号の二
昭和四四年三月三一日

各地方建設局長(東北を除く。)あて

官房長通知


設計変更に伴う契約変更の取扱いについて

標記について、東北地方建設局長から別紙1のとおり照会があり、これに対して別紙2のとおり回答したので、今後これに準拠して処理することにつきとくに異議がないので了知するよう通知する。



別紙1

設計変更に伴う契約変更の取扱いについて(照会)

(昭和四四年三月二二日)
(東建契四四第一三二号)
(東北地方建設局長から官房長あて)
標記について、別紙により実施してよろしいか照会する。
別紙

設計変更に伴う契約変更の取扱いについて

(目的)
1 この取扱いは、設計変更に伴う契約変更の取扱いに関し必要な事項を定めることにより、契約に関する事務の簡素化と合理化を図るとともに、請負代金の支払を迅速にする等請負契約の双務性の維持等に資することを目的とする。
(定義)
2 この取扱いにおいて、次の各号に掲げる用語は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 設計変更 工事請負標準契約書第一五条及び第一六条の規定により図面又は仕様書(土木工事にあっては、金額を記載しない設計書を含む。以下同じ。)を変更することとなる場合において、契約変更の手続の前に当該変更の内容をあらかじめ請負者に指示することをいう。
二 単価、工事量又は一式工事費の変更 設計変更に伴い、工事費内訳明細書(以下「内訳書」という。)の単価、工事量又は一式工事費を増減することとなる場合をいう。

(注) 単価の変更とは、工事現場の実態によりコンクリート側溝の壁厚を変更したため単価に変更があるようなものをいい、工事量の変更とは、工事現場の実態により単価の変更を生ずることなく工事量を増減することをいい、一式工事費の変更とは、数量を一式として表示した工事(以下「一式工事」という。)のうち請負者に設計条件又は施工方法を明示したものにつき、工事現場の実態により当該設計条件又は施工方法を変更し、その結果当該工事費に増減を生ずることをいう。

三 新工種 設計変更に伴い、内訳書に設計変更に係る工事に対応する工種がないため、当該工事の種別、細別等(営繕工事(事業費をもってする営繕工事を除く。以下同じ。)にあっては、科目、細目等)を新たに追加することとなる場合における当該工事をいう。

(契約変更の範囲)
3 設計表示単位に満たない設計変更は、契約変更の対象としないものとする。

(注) 工事量の設計表示単位は、別に定める設計積算に関する基準において工事の内容、規模等に応じ適正に定めるものとする。

4 一式工事については、請負者に図面、仕様書又は現場説明において設計条件又は施工方法を明示したものにつき、当該設計条件又は施工方法を変更した場合のほか、原則として、契約変更の対象としないものとする。
5 変更見込金額が請負代金額の三〇%をこえる工事は、現に施工中の工事と分離して施工することが著しく困難なものを除き、原則として、別途の契約とするものとする。
(土木工事に係る設計変更の手続)
6 土木工事に係る設計変更は、その必要が生じた都度、総括監督員がその変更の内容を掌握し、当該変更の内容が予算の範囲内であることを確認したうえ、文書により、主任監督員を通じて行なうものとする。ただし、変更の内容が極めて軽微なものは、主任監督員が行なうことができるものとする。
7 前項の場合において、当該設計変更の内容が次の各号の一に該当するものであるときは、あらかじめ、契約担当官等の承認を受けるものとする。

一 変更見込金額が請負代金額の一〇%又は一、〇〇〇万円をこえるもの
二 構造、工法、位置、断面等の変更で重要なもの

(営繕工事に係る設計変更の手続)
8 営繕工事に係る設計変更は、原則として、その必要が生じた都度、当該設計変更の内容に関する契約担当官等の指示又は承認に基づき、総括監督員が文書により行なうものとする。
(設計変更に伴う契約変更の手続)
9 設計変更に伴う契約変更の手続は、その必要が生じた都度、遅滞なく行なうものとする。ただし、軽微な設計変更に伴うものは、工期の末(国庫債務負担行為に基づく工事にあっては、各会計年度の末及び工期の末)に行なうことをもって足りるものとする。

(注) 軽微な設計変更に伴うものとは、次に掲げるもの以外のものをいう。

イ 構造、工法、位置、断面等の変更で重要なもの
ロ 新工種に係るもの又は単価若しくは一式工事費の変更が予定されるもので、それぞれの変更見込金額又はこれらの変更見込金額の合計額が請負代金額の一〇%をこえるもの

(部分払)
10 部分払は、既済部分検査の時期における内訳書により出来高を確認し、請負代金額を限度として行なうものとする。この場合において、工事量の変更が予定されるものは当該変更工事量を対象とし、単価又は一式工事費に変更が予定されるもののうち変更増となるものは元の単価又は一式工事費によりそれぞれ出来高を確認するものとし、変更減となることが予定されるもの及び新工種に係るものは出来高の対象としないものとする。
(入札者又は契約の相手方に対する説明)
11 契約担当官等は、工事を指名競走に付そうとする場合の入札者又は随意契約によろうとする場合の契約の相手方に対し契約条項を示す際には、現場説明により、この取扱いに定める事項のほか、設計変更に関し必要な事項を了知させておくものとする。
(この取扱いの実施時期)
12 この取扱いは、昭和四四年四月一日以降に工事の請負契約を締結するものから実施するものとする。



別紙2

設計変更に伴う契約変更の取扱いについて(回答)

(昭和四四年三月三一日)
(建設省東地厚発第三一号)
(官房長から東北地方建設局長あて)
昭和四四年三月二二日付け東建契四四第一三二号をもって照会のあった標記について、左記のとおり回答する。
工事を発注するにあたっては、事前の計画及び調査を慎重に行ない、工期中みだりに設計変更の必要が生じないように措置されたい。なお、工事には、その性格上不確定な条件を前提に設計図書を作成せざるを得ない制約があり、このため予期し得ない設計変更が発生するものと認められるので、このような原因による設計変更に伴う契約変更については、当分の間、照会のとおり処理することについてはやむを得ないものと了承する。ただし、照会の九の取扱いについて、軽微な設計変更に伴うものであっても、出来高認定の留保期間が長期に亘るため部分払にあたり請負者に著しく不利になると認められるものがあるときは、出来高認定の留保期間が長期に亘らないよう当該設計変更に伴う契約変更の手続をとることとされたい。


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