建設省官技発第八九号
昭和五五年二月二二日

各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長、筑波研究学園都市営繕建設本部長あて

技術審議官通知


土木請負工事の共通仮設費算定基準について

建設省直轄工事を請負施工に付する場合における工事費算定のための「土木請負工事工事費積算基準(昭和四二年七月二〇日付け、建設省官技第三五号。以下「積算基準」という。)」3の(1)共通仮設費の算定基準を別紙のとおり定めたので実施については遺憾のないよう取り扱われたい。
共通仮設費算定基準
1 総則

この算定基準は、間接工事費のうち共通仮設費の算定に係る必要な事項を定めたものである。
共通仮設費の構成は、左記のとおりとする。

2 一般事項

(1) 工種区分

共通仮設費は、「土木請負工事工事費積算基準の運用」の別表第1に掲げる区分ごとに算定するものとする。
イ 工種区分は、工事名にとらわれることなく、工種内容によって適切に選定するものとする。
ロ 二種以上の工種内容からなる工事については、その主たる工種区分を適用するものとする。

なお、主たる工種区分とは左記(2)のイに定める対象額の大なる工種区分をいう。

(2) 算定方法

共通仮設費の算定は、別表第1の工種区分にしたがって所定の率計算による額と積上げ計算による額とを加算して行うものとする。
イ 率計算による部分

左記に定める対象額ごとに求めた率に、当該対象額を乗じて得た額の範囲内とする。

対象額(P)=直接工事費+(支給品費+無償貸付機械等評価額)+仮設費+事業損失防止施設費

(イ) 左記に掲げる費用は対象額に含めない。

(あ) 簡易組立式橋梁、PC桁、門扉、ポンプの購入費、グレーチング床版
(い) 前記(あ)を支給する場合の支給品費
(う) 鋼桁、門扉等の工場製作に係る費用の工事原価
(え) 大型標識柱(オーバーハング柱、オーバーヘッド柱)の製作費を含む材料費

(ロ) 支給品費及び無償貸与機械等評価額は「直接工事費+仮設費+事業損失防止施設費」に含まれるものに限るものとする。

ただし、別途製作工事等で製作し、架設及び据付工事等を分離して発注する場合は、当該製作費は対象額に含めない。

(ハ) 無償貸付機械等評価額の算定は次式により行うものとする。

無償貸付機械等評価額=無償貸付機械と同機種、同型式の機械等損料額−当該建設機械等の設計書に計上された経費(無償貸付機械損料額)

ロ 共通仮設費率の補正

施工地域、工事場所を考慮した共通仮設費率の補正は別表第1の共通仮設費率に左表の補正値を加算するものとする。なお、コンクリートダム・フィルダム及びCAB工事には適用しない。

施工地域・工事場所区分
 
補正値(%)
市街地
 
二・〇
山間僻地及び離島
 
一・〇
地方部
施工場所が一般交通等の影響を受ける場合。
一・五
 
施工場所が一般交通等の影響を受けない場合。

注1) 施工地域の区分は以下のとおりとする。

市街地‥施工地域が人口集中地区(DID地区)、及びこれに準ずる地区をいう。
山間僻地及び離島‥施工地域が人事院規則における特地勤務手当を支給するために指定した地区、及びこれに準ずる地区をいう。
地方部‥施工地域が前記以外の地区をいう。

注2) 施工場所の区分は以下のとおりとする。

一般交通等の影響を受ける場合‥

1)施工場所において、一般交通の影響を受ける場合
2)施工場所において、地下埋設物件の影響を受ける場合
3)施工場所において、五〇m以内に人家等が連なっている場合

ハ 積上げ計算による部分

現場条件等を適確に把握することにより必要額を適正に積上げるものとする。

(3) 条件明示

安全対策上、重要な仮設物等については設計図書に条件明示し、極力指定仮設とするものとする。

(4) 適用除外

この算定基準によることが困難又は不適当であると認められるものについては適用除外とすることができる。

3 運搬費の積算

(1) 運搬費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 建設機械器具の運搬等に要する費用

(イ) 重量二〇t以上の建設機械の貨物自動車等による運搬
(ロ) 仮設材等の運搬
(ハ) 重量二〇t未満の建設機械及び器材等(型枠材、支保材、足場材、橋梁ベント、橋梁架設用タワー等)の搬入、搬出並びに現場内小運搬
(ニ) 建設機械の自走による運搬
(ホ) 建設機械等の日々回送に要する費用
(ヘ) 建設機械の現場内小運搬

ロ 上記イに掲げるもののほか、工事施工上必要な建設機械器具の運搬等に要する費用

(2) 積算方法

運搬費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分は、前記(1)のイの(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)とし、積上げ計上する項目は、次の各項に要する費用とする。
イ 重量二〇t以上の建設機械の貨物自動車による運搬

重量二〇t以上の建設機械器具の搬入、又は搬出の積算は運搬車両一台ごとに次式によりおこなうものとする。

UK={A・(1+C1+C2+C3+C4)+B}・D+M

ただし UK‥貨物自動車による運搬費

A‥基本運賃料金

各運輸局の認可した「一般貨物運送事業の貸切り運賃」によるものとする。

なお、車扱運賃料金の適用は原則として「距離制運賃料金」によるものとし、運搬距離は運搬基地より現場までの距離とする。
また、基本運賃料金の一〇%の範囲での増減運用は一般の場合は通用しない。

B‥諸料金

(イ) 地区割増料……………適用する
(ロ) 車両割増料……………適用しない

C1〜C4‥運賃割増率

C1‥特大品割増(表―1)
C2‥悪路割増……………適用する
C3‥冬期割増……………適用する
C4‥深夜早朝割増………適用する
その他の割増率は適用しない。

D:運搬車両の台数

一を代入する。

M:その他の諸料金

(イ) 組立て、解体に要する費用

重建設機械の組立て、解体に要する費用は別途加算する。

(ロ) その他、左記事項の料金を必要により計上する。
a荷役機械使用料
b自動車航走船使用料
c有料道路利用料
dその他

(表―1)
割増項目
適用範囲
 
 
割増率
特大品割増
建設機械類
使用車両積載標記t数
一五t未満
六割増
 
 
 
一五t以上
七割増

注) 誘導車及び誘導員に係る費用は割増率に含まれている。

ロ 仮設材等の運搬

仮設材等(鋼矢板、H形鋼、覆工板、等)の運搬は前記(2)のイの「重量二〇t以上の建設機械の貨物自動車による運搬」に準ずるものとする。

(3) 建設機械等の運搬基地

運搬基地は、建設機械等の所在場所等を勘案して決定するものとする。

4 準備費の積算

(1) 準備費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 準備及び跡片付けに要する費用

(イ) 着手時の準備費用
(ロ) 施工期間中における準備、跡片付け費用
(ハ) 完成時の跡片付け費用

ロ 調査・測量、丁張等に要する費用

(イ) 工事着手前の基準測量等の費用
(ロ) 縦、横断面図の照査等の費用
(ハ) 用地幅杭等の仮移設等の費用
(ニ) 丁張の設置等の費用

ハ 伐開、除根、除草、整地、段切り、すりつけ等に要する費用
ニ イからハに掲げるもののほか、工事施工上必要な準備等に要する費用

(2) 積算方法

準備費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分は、前記(1)のイ、ロ、ハとし、積上げ計上する項目は前記(1)のニに要する費用とする。

5 仮設費の積算

(1) 仮設費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 工事施工に必要な機械設備の設置、撤去、及び補修等に要する費用

(イ) コンクリートプラント、アスファルトプラント等の設置、撤去及び当該施設の補修に要する費用
(ロ) トンネル工事における照明設備に係る設置、撤去、補修に要する費用及び当該設備の使用期間中の電力料

ロ 電力、用水等の供給設備の設置、撤去、補修等に要する費用

(イ) 電力、用水等の供給設備に係る設置、撤去、補修に要する費用及び当該供給設備の使用期間中の損料

ハ 仮道、仮橋、現道補修等に要する費用

(イ) 仮道、仮橋に係る設置、撤去、補修に要する費用及び当該仮施設の使用期間中の損料
(ロ) 公道等の補修に要する費用

ニ 工事施工に必要な防護施設(転落、飛来等の防止柵及び発破用防護柵等)、仮囲い(工事用防護塀)に係る設置、撤去、補修に要する費用及び当該防護設備等の使用期間中の損料
ホ 工事施工に伴う防じん対策(簡易舗装、タイヤ洗浄装置、路面清掃等)に係る設置、撤去、補修に要する費用及び使用期間中の損料
ヘ 仮設備の美装化、完成予想図、工法説明図、工事工程表、フラワーポット、見学路の設置、ライトアップ等に要する費用
ト 仮区画線に係る費用

(2) 積算方法

仮設費の積算は、現場条件を適確に把握することにより必要額を適正に積上げるものとする。
なお、前記への積算方法は別途定める。

6 事業損失防止施設費の積算

(1) 事業損失防止施設費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 工事施工に伴って発生する騒音、振動、地盤沈下、地下水の断絶等に起因する事業損失を未然に防止するための仮施設の設置費、撤去費、及び当該仮施設の維持管理等に要する費用
ロ 事業損失を未然に防止するために必要な調査等に要する費用

(2) 積算方法

事業損失防止施設費の積算は、現場条件を適確に把握することにより必要額を適正に積上げるものとする。

7 安全費の積算

(1) 安全費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 交通管理等に要する費用
ロ 安全施設等に要する費用
ハ 安全管理等に要する費用
ニ イからハに掲げるもののほか、工事施工上必要な安全対策等に要する費用

(2) 積算方法

安全費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分は、前記(1)のイ、ロ、ハのうち下記事項とする。

1) 工事地域内全般の安全管理上の監視、あるいは連絡等に要する費用
2) 不稼働日の安全要員等の費用
3) 標示板、標識、保全灯、防護柵、バリケード、照明等の安全施設類の設置・撤去、補修に要する費用及び使用期間中の損料
4) 夜間作業を行う場合における照明に要する費用
5) 河川、海岸工事における救命艇に要する費用
6) 酸素欠乏症の予防に要する費用
7) 粉塵作業の予防に要する費用
8) 長大トンネル等における防火安全対策に要する費用
9) 安全用品等の費用
10) 安全委員会等に要する費用

前記以外で積上げ計上する項目は、次の各項に要する費用とする。
イ 交通整理員及び機械の誘導員等の交通管理に要する費用
ロ 鉄道等に近接した工事現場における出入口等に配置する安全管理要員等に要する費用
ハ バリケード、転落防止柵、照明、工事標識等の美装化等に要する費用
ニ 高圧作業の予防に要する費用
ホ その他、現場条件等により積上げを要する費用

前記ハの積算方法は別途定める。

8 役務費の積算

(1) 役務費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 土地の借上げ等に要する費用
ロ 電力、用水等の基本料

(2) 積算方法

役務費の積算は、現場条件を適確に把握することにより必要額を適正に積上げるものとする。

9 技術管理費の積算

(1) 技術管理費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 品質管理のための試験等に要する費用
ロ 出来形管理のための測量等に要する費用
ハ 工程管理のための資料の作成等に要する費用
ニ イからハに掲げるもののほか、技術管理上必要な資料の作成に要する費用

(2) 積算方法

技術管理費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分は、前記(1)のイ、ロ、ハのうち下記の項目とする。

1) 品質管理基準に含まれる試験に要する費用
2) 出来形管理のための測量、図面作成、写真管理に要する費用
3) 工程管理のための資料の作成等に要する費用
4) 完成図及びマイクロフィルムの作成に要する費用
5) 建設材料の品質記録保存に要する費用
6) コンクリート中の塩化物総量規制に伴う試験に要する費用
7) PC上部工、アンカー工等の緊張管理、グラウト配合試験等に要する費用
8) トンネル工(NATM)の計測Aに要する費用
9) 塗装膜厚施工管理に要する費用
10) 施工管理で使用するOA機器の費用

前記以外で積上げする項目は、次の各項に要する費用とする。
イ 自主的施工により工事を請負に付する場合の加算費用
ロ 特別な品質管理に要する費用

・土質等試験:品質管理基準に記載されている項目以外の試験
・地質調査:平板載荷試験、ボーリング、サウンディング、その他原位置試験
・溶接試験:放射線透過試験(現場)

ハ 現場条件等により積上げを要する費用

・軟弱地盤等における計器の設置・撤去及び測定・取りまとめに要する費用
・試験盛土等の工事に要する費用
・下水道工事において目視による出来形の確認が困難な場合に用いる特別な機器に要する費用

ニ その他前記イ、ロ、ハに含まれない項目で、特に技術的判断に必要な資料の作成に要する費用

10 営繕費の積算

(1) 営繕費として積算する内容は次のとおりとする。

イ 現場事務所、試験室等の営繕(設置・撤去、維持・補修)に要する費用
ロ 労務者宿舎の営繕(設置・撤去、維持・補修)に要する費用
ハ 倉庫及び材料保管場の営繕(設置・撤去、維持・補修)に要する費用
ニ 労務者の輸送に要する費用
ホ 前記イ、ロ、ハに係る土地・建物の借上げに要する費用
ヘ 監督員詰所及び火薬庫の営繕(設置・撤去、維持・補修)に要する費用
ト イからヘに掲げるもののほか工事施工上必要な営繕等に要する費用

(2) 積算方法

営繕費として積算する内容で共通仮設費率に含まれる部分は、前記(1)のイ、ロ、ハ、ニ、ホ及びヘのうち以下の項目とする。
コンクリートダム、フィルダム工事では、監督員詰所及び火薬庫等の設置・撤去、維持・補修に要する費用を含む。
前記以外で積上げする項目は、次の各項に要する費用とする。
イ 監督員詰所及び火薬庫等の営繕(設置・撤去、維持・補修)及び用地に要する費用

監督員詰所及び火薬庫等の設置は、工事期間、工事場所、施工時期、工事規模、監督体制等を考慮して必要な費用を積上げるものとする。

ロ 現場事務所、監督員詰所等の美装化、シャワーの設置、トイレの水洗化等に要する費用
ハ その他、現場条件等により積上げを要する費用

前記ロの積算方法は別途定める。



別表第1

共通仮設費率

第1表
 
 
対象額
300万円以下
300万円を超え10億円以下
 
10億円を超えるもの
 
 
適用区分
下記の率とする。
(2)の算定式により算出された率とする。ただし、変数値は下記による。
 
下記の率とする。
工種区分
 
 
 
A
b
 
河川工事
 
 
23.84
2311.2
−0.3067
4.01
河川・道路構造物工事
 
 
22.40
822.4
−0.2416
5.50
海岸工事
 
 
15.69
209.3
−0.1737
5.72
道路改良工事
 
 
24.59
1255.4
−0.2637
5.31
鋼橋架設工事
 
 
23.18
353.6
−0.1827
8.02
PC橋工事
 
 
31.07
1461.4
−0.2582
6.93
舗装工事
 
 
24.23
791.9
−0.2338
6.23
砂防・地すべり等工事
 
 
25.84
2687.1
−0.3114
4.23
公園工事
 
 
24.74
1551.9
−0.2775
4.94
CAB工事
 
 
29.67
4214.3
−0.3323
4.31
第2表
 
 
対象額
300万円以下
300万円を超え1億円以下
 
1億円を超えるもの
 
 
適用区分
下記の率とする。
(2)の算定式により算出された率とする。ただし、変数値は下記による。
 
下記の率とする。
工種区分
 
 
 
A
b
 
道路維持工事
 
 
25.06
1330.1
−0.2663
9.85
河川維持工事
 
 
27.82
3202.0
−0.3182
9.12
第3表
 
 
対象額
1,000万円以下
1,000万円を超え20億円以下
 
20億円を超えるもの
 
 
適用区分
下記の率とする。
(2)の算定式により算出された率とする。ただし、変数値は下記による。
 
下記の率とする。
工種区分
 
 
 
A
b
 
共同溝等工事
 
(1)
16.76
134.7
−0.1293
8.45
 
 
(2)
23.90
327.5
−0.1624
10.11
トンネル工事
 
 
18.05
432.6
−0.1971
6.35
下水道工事
 
(1)
15.37
216.5
−0.1641
6.44
 
 
(2)
25.70
543.3
−0.1893
9.43
 
 
(3)
12.49
154.9
−0.1562
5.46
第4表
 
 
対象額
3億円以下
3億円を超え50億円以下
 
50億円を超えるもの
 
 
適用区分
下記の率とする。
(2)の算定式により算出された率とする。ただし、変数値は下記による。
 
下記の率とする。
工種区分
 
 
 
A
b
 
コンクリートダム工事
 
 
12.04
103.1
−0.1100
8.84
フィルダム工事
 
 
13.52
301.8
−0.1591
8.64

(2) 算定式

Kr=A・Pb

ただし、Kr:共通仮設費率(%)

P:対象額(円)
A,b:変数値

(注)Krの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとする。



附 則

この算定基準は、平成6年4月1日から適用する。



中小企業者向け契約実績、契約目標
(単位:10億円)
 
平成7年度
 
 
平成8年度
 
 
 
官公需総実績額A
中小企業者向け契約実績額B
B/A(%)
官公需総予算額A′
中小企業者向け契約目標額B′
B′/A′(%)
9,286
3,797
40.9
8,118
3,541
43.6
公団等
4,575
1,461
31.9
4,778
1,609
33.7
13,861
5,258
37.9
12,896
5,150
39.9


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