建設省厚契発第二七号
平成七年六月三〇日

各地方建設局長等あて

官房長通知


工事請負契約書の運用基準について


平成七年一〇月一日以降に締結する工事請負契約に係る工事請負契約書については、「工事請負契約書の制定について」(平成七年六月三〇日付け建設省厚契発第二五号)をもって通知されたところであるが、その運用基準を左記のとおり定めたので、取扱いに遺憾なきを期せられたい。
なお、「工事請負契約書の運用基準について」(昭和四八年四月二六日付け建設省厚発第一二九号)は、廃止する。ただし、平成七年九月三〇日までに締結した工事請負契約については、なお従前の例による。


第一条関係
(1) 第二項において、仮設、施工方法等についてその責任の所在を明らかにするため、設計図書に特別の定めがある場合を除き、請負者の責任において定めることとしているので、設計図書における特別の定めについては、その必要性を十分検討し、必要最小限のものとすること。
(2) 第五項において、本契約書に定める請求、通知、報告、申出、承諾及び解除といった行為については、その明確化を図るため、書面で必ず行うこととされたので、その趣旨を十分配慮し遺憾のないよう措置すること。
(3) 第一二項において、請負者が共同企業体を結成している場合には、契約担当官等と請負者との間では全ての行為は共同企業体の代表者を通じて行うこととなったので、遺憾のないよう措置すること。
第二条関係
関連工事における工程等の調整は本条において契約担当官等の義務としているが、その運用に当たっては地方建設局請負工事監督検査事務処理要領(昭和四二年三月三〇日付け建設省厚第二一号。以下「監督検査要領」という。)第四の規定に従い、重要なものについては総括監督員、その他については主任監督員が行うものとすること。
第三条関係
(1) 請負代金内訳書については、契約担当官等(会計法(昭和二二年法律第三五号)第二九条の三第一項に規定する契約担当官等をいう。以下同じ。)の承認を要せず、契約担当官等及び請負者を拘束するものではないので、第二四条の規定による請負代金額の変更、第二九条の規定による天災その他不可抗力による損害の負担、第三七条の規定による部分払等を行う場合の額の確認に当たっては、工程表を参考にして設計書の内訳により行うものとすること。
(2) 第一項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、必要な範囲内で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第四条関係
〔注〕において、「契約の保証を免除する場合」とは、次の各号の一に該当する場合をいう。

一 予算決算及び会計令(昭和二二年勅令第一六五号)第一〇〇条の二第一項第一号の規定により工事請負契約書の作成を省略できる工事請負契約である場合
二 落札者が共同企業体である場合。ただし、当該共同企業体の構成員の全部が中小企業者(中小企業基本法(昭和三八年法律第一五四号)第二条第一号に規定する会社及び個人をいう。)であって、その数が三人以下である場合又は構成員のうち工事施工能力が最低と認められる者の等級(地方支分部局工事請負業者選定事務処理要領(昭和四一年一二月二三日付け建設省厚七六号)第七第一項第二号の規定により付された等級をいう。)が当該共同企業体の等級より二等級以上下位であるものを含む場合を除く。

第七条関係
「その他必要な事項」とは、下請負人の住所、施工部分の内容、当該工事現場の担当責任者の名称等を含むものであること。
第九条関係
(1) 第三項にいう「二名以上の監督職員を置き、前項の権限を分担させたとき」とは、監督検査要領第四に規定する同一の監督業務について二名以上の監督職員を任命して権限を分担させた場合をいい、この場合には、それぞれの職務内容を監督職員通知書に明示すること。
(2) 第四項は第一条第五項の特則を規定したものではなく、契約書でなく設計図書において権限が創設される監督職員の指示又は承諾について、原則、書面によることを定めたものであること。
第一一条関係
契約の履行についての報告とは、過去の履行状況についての報告のみでなく、施工計画書等の履行計画についての報告も含むものであること。
第一二条関係
第一項に規定する契約担当官等の権限は、その権限の重要性にかんがみ、総括監督員のみに委任できるものとすること。
第一三条関係
(1) 第三項の「○日」については、検査の態様、施工条件等により七日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、必要な範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
(2) 第五項の「○日」については、工事材料の態様、施工条件等により七日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、必要な範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第一四条関係
第四項及び第五項前段の「○日」については、立会い又は見本検査の態様、施工条件等により七日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、必要な範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第一五条関係
第一項の貸与品の「性能」については、使用時間又は使用日数及び最終定期調整後の使用時間又は使用日数を設計図書に明示すること。
第一六条関係
(1) 第一項は契約担当官等の工事用地の確保義務を規定したものであるが、「乙が工事の施工上必要とする日」とは請負者の工事の進捗状況を勘案して現実に請負者が工事を施工するため用地を必要とする日をいう。
(2) 第三項の「撤去」には、支給材料又は貸与品を契約担当官等に返還することが含まれること。
(3) 第四項の「処分」には、支給材料又は貸与品を回収することが含まれること。
第二〇条関係
(1) 第一項において、工事用地等の確保ができないため工事の全部又は一部の施工を中止させなければならない場合とは、現実に請負者が工事を施工できないと認められるときをいう。
(2) 第三項の「増加費用」とは、中止期間中、工事現場を維持し又は工事の続行に備えるため労働者、機械器具等を保持するために必要とされる費用、中止に伴い不要となった労働者、機械器具等の配置転換に要する費用、工事を再開するため労働者、機械器具等を工事現場に搬入する費用等をいう。
第二三条関係
(1) 第一項の「工期の変更」とは、第一五条第七項、第一七条第一項、第一八条第五項、第一九条、第二〇条第三項、第二一条、第二二条第一項及び第二項並びに第四三条第二項の規定に基づくものをいう。
(2) 第一項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
(3) 第二項にいう「工期の変更事由が生じた日」とは、第一五条第七項においては、支給材料等に代えて他の支給材料等を引き渡した日、支給材料等の品名等を変更した日又は支給材料等の使用を請求した日、第一七条第一項においては、監督職員が改造の請求を行った日、第一八条第五項においては、設計図書の訂正又は変更が行われた日、第一九条においては、設計図書の変更が行われた日、第二〇条第三項においては、契約担当官等が工事の施工の一時中止を通知した日、第四三条第二項においては、請負者が工事の施工の一時中止を通知した日とする。
第二四条関係
(1) 第一項の「請負代金額の変更」とは、第一五条第七項、第一七条第一項、第一八条第五項、第一九条、第二〇条第三項、第二二条第三項及び第四三条第二項の規定に基づくものをいう。
(2) 第一項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
(3) 第二項にいう「請負代金額の変更事由が生じた日」とは、第一五条第七項においては、支給材料等に代えて他の支給材料等を引き渡した日、支給材料等の品名等を変更した日又は支給材料等の使用を請求した日、第一七条第一項においては、監督職員が改造の請求を行った日、第一八条第五項においては、設計図書の訂正又は変更が行われた日、第一九条においては、設計図書の変更が行われた日、第二〇条第三項においては、契約担当官等が工事の施工の一時中止を通知した日、第二二条第三項においては、契約担当官等が同条第四項又は第二項の請求を行った日、第四三条第二項においては、請負者が工事の施工の一時中止を通知した日とする。
(4) 第三項の「乙が増加費用を必要とした場合又は損害を及ぼした場合」とは、第一五条第七項、第一七条第一項、第一九条、第二〇条第三項、第二二条第三項及び第四三条第二項の規定に基づくものをいう。
第二五条関係
(1) 第一項の請求は、残工事の工期が二月以上ある場合に行うことができること。
(2) 第二項の「変動前残工事代金額」の算定の基礎となる「当該請求時の出来形部分」の確認については、第一項の請求があった日から起算して、一四日以内で契約担当官等が請負者と協議して定める日において、総括監督員に確認させるものとする。この場合において請負者の責により遅延していると認められる工事量は、当該請求時の出来形部分に含めるものとすること。
(3) 第三項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
(4) 第四項に規定する再スライドを行う場合は、(1)から(3)までを準用すること。
(5) 契約担当官等は、現場説明書により(1)及び(2)の事項を了知させること。
(6) 第五項の「特別な要因」とは、主要な建設資材の価格を著しく変動させるおそれのある原油価格の引上げのような特別な要因をいう。
(7) 第三項及び第七項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又短縮した日数を記載できるものであること。
第二九条関係
(1) 第四項の「請負代金額」とは、被害を負担する時点における請負代金額をいうものであること。
(2) 一回の損害額が当初の請負代金額の五/一〇〇〇の額(この額が二〇万を超えるときは二〇万円)に満たない場合は、第四項の「当該損害の額」は〇として取扱うこと。
(3) 第四項の「当該損害の取片づけに要する費用」とは、第二項により確認された損害の取片づけに直接必要とする費用をいう。
(4) 契約担当官等は、現場説明書により(1)及び(2)の事項を了知させること。
第三〇条関係
第一項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第三五条関係
第二項において、前払金超過額を返還する場合における前払金の保証契約の変更は、その超過額を返還した後に行うものとし、その変更後の保証金額は、減額後の前払金額を下らないこと。
第三七条関係
第六項の「○日」については、工期、工事の態様等により一〇日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、一四日未満であり、かつ、必要な範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第三八条関係
第二項の「○日」については、工期、工事の態様等により一四日とすることが妥当でない場合は、当該事情を斟酌の上、十分な協議が行える範囲で伸張又は短縮した日数を記載できるものであること。
第三九条関係
契約担当官等は、現場説明書等により次に掲げる事項を了知させること。
(1) 各会計年度における請負代金額の支払の限度額(○年度○%と割合で明示すること。)
(2) 各会計年度における請負代金額の支払の限度額及び出来高予定額は、請負者決定後契約書を作成するまでに落札者に通知すること。
第四五条関係
(1) 検査期間は、遅延日数に参入しないこと。
(2) 工期内に工事が完成し、検査の結果不合格の場合には、完成した日から契約書記載の工事完了の日までの日数は、修補日数から差し引いて遅延日数を算定すること。
第四九条関係
(1) 第六項「撤去」には、支給材料又は貸与品を契約担当官等に返還することが含まれること。
(2) 第七項の「処分」には、支給材料又は貸与品を回収することが含まれること。
第五二条関係
(1) (A)項を採用する場合には、現場検証、鑑定等の費用、調停人に対する謝礼等紛争の処理に要する費用の負担について、あらかじめ定めておくこと。
(2) 一般競争に付した工事の請負契約においては、〔 〕内に〔中央〕の字句を記入すること。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport