所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成六年法律第一〇九号)及び地方税法等の一部を改正する法律(平成六年法律第一一一号)が平成六年一二月二日に公布され、消費税の税率の改正及び地方消費税の導入が平成九年四月一日から施行されることとされている。
これにより、平成九年四月一日以後に国内において事業者が行う課税資産の譲渡等に、改正後の税率による消費税及び地方消費税(消費税と地方消費税とを合わせた税率は五パーセント)が課されることとされたところであるが、昭和六三年一二月三〇日から平成八年九月三〇日までの間に締結した工事請負契約等に基づき平成九年四月一日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合は、当該課税資産の譲渡等については改正前の税率(消費税の税率は三パーセント)が適用されることとされたところである。
このため、先に「所管事業の執行に当たっての留意事項について」(平成八年九月二〇日付け建設省厚契発第四五号)により所管事業の執行に当たっての適正な取扱いについて通知したところであるが、今般、地方支分部局等の所掌する工事等について、左記のとおり取り扱うこととしたので、遺憾なきを期するとともに、請負者等に対する周知にも留意されたい。
なお、「消費税の導入に伴う建設工事の取扱いについて」(昭和六三年一二月二六日付け建設省厚発第四五一号)及び「消費税の導入に伴う直轄工事等の取扱いについて」(平成元年二月八日付け建設省厚発第二五号)は、平成九年四月一日をもって廃止する。
第1 工事等の取扱いに関する基本的方針
平成九年四月一日(以下「適用日」という。)以後に契約を締結する工事等(測量、建築関係建設コンサルタント業務、土木関係建設コンサルタント業務、地質調査業務及び補償関係コンサルタント業務を含む。以下同じ。)の取扱いに関する基本的方針は、次のとおりとする。
(1) 予定価格の決定
消費税及び地方消費税は、税の転嫁を通じて最終的には発注者等の消費者が負担すべきものであることにかんがみ、予定価格は、別に定める積算基準により消費税及び地方消費税分を考慮して適正に定めるものとする。
(2) 入札、落札者の決定等の方法
消費税及び地方消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、入札、落札者の決定等に当たっては、次の方法によるものとする。
1) 入札公告又は指名通知書に「落札決定に当たっては、入札書に記載された金額に当該金額の一〇〇分の五に相当する額を加算した金額(当該金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てた金額)をもって落札価格とするので、入札者は、消費税及び地方消費税に係る課税事業者であるか免税事業者であるかを問わず、見積もった契約希望金額の一〇五分の一〇〇に相当する金額を入札書に記載すること。」の文言を明記するとともに、現場説明の際にその旨を説明するものとする。
2) 入札書には、事業者が見積もった契約希望金額の一〇五分の一〇〇に相当する金額(課税事業者の場合は消費税及び地方消費税抜きに相当する金額、免税事業者の場合は課税事業者と同一の間尺で比較できるようにするために用いる計算上算出された金額)を記載させるものとする。
3) 契約金額は、入札書に記載された金額に当該金額の一〇〇分の五に相当する額を加算した金額(当該金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てた金額)とするものとする。
なお、会計法令上は、入札書に記載された金額に当該金額の一〇〇分の五に相当する額を加算した金額(当該金額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てた金額)が相手方の申込みに係る価格であるので、留意すること。
4) 実務上は、予算決算及び会計令(昭和二二年勅令第一六五号)第七九条に規定する「予定価格を記載した書面」の予定価格が記載された行の下に入札書に記載された金額と比較する価格を「入札書比較価格○○円」と記載するものとする。
5) 随意契約による場合には、1)から4)までの方法に準じた方法によるものとする。
(3) 工事請負契約書等の請負代金額等の記載方法
工事請負契約書等においては、契約の相手方が課税事業者の場合についてその取引に課される消費税及び地方消費税の額を明らかにするため、請負代金額等に併せて当該取引に係る消費税及び地方消費税の額(請負代金額等に一〇五分の五を乗じて得た額)を記載するものとする。この場合において、契約の相手方が課税事業者と免税事業者とで結成された共同企業体の場合の当該取引に係る消費税及び地方消費税の額は、甲型にあっては請負代金額等に課税事業者の出資の割合を乗じて得た額に一〇五分の五を乗じて得た額とし、乙型にあっては請負代金額等のうち課税事業者の分担工事額に一〇五分の五を乗じて得た額とする。
なお、消費税及び地方消費税の額の算出に当たって一円未満の端数が生じたときは、その端数金額を切り捨てるものとする。
第2 〔略〕