建設省会発第七一五号
昭和五八年九月九日

会計課長・各附属機関の長・各地方建設局長・関係公団等の長・住宅金融公庫総裁あて

事務次官通知


官公需についての中小企業者の受注機会の確保等について


官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(昭和四一年法律第九七号。以下「法」という。)第三条においては、国等が契約を締結するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めなければならないこととされ、同法第四条に基づき閣議決定される毎年度の中小企業者に関する国等の契約の方針(以下「契約方針」という。)においても、中小企業向け契約目標及び中小企業者の受注機会の増大のための措置が定められており、当省においてもこれに従って事務を遂行するため、建設省所管事業の執行についての毎年度の通達(以下「事業執行方針」という。)等により配慮しているところであるが、去る昭和五七年九月一六日、行政管理庁より「官公需についての中小企業者の受注機会の確保に関する行政監察結果に基づく勧告」が出されたところでもあり、今後、官公需についての中小企業者の受注機会の確保等については、法、契約方針及び事業執行方針等の各種通達によるほか、左記事項に留意して取り扱うこととし、遺憾なきを期せられたく、命により通知する。
なお、官公需についての中小企業者の受注機会の確保等について(昭和五一年一月九日付け建設省会発第五号、第六号及び第七号)は、廃止する。

第1 全般的事項

1 法、契約方針、事業執行方針等の周知徹底等

法、契約方針及び事業執行方針等の各種通達について、内部通達等によるほか、各種会議及び研修等の機会を通じて関係職員にその趣旨の徹底を図るよう配慮するとともに、その趣旨の具体的実施を促進するため、各発注機関ごとに関係職員の会議を随時開催し、各事項ごとに検討、打合せ等を行うこと。
〔参考〕

1 「昭和五八年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の実施について(昭和五八年七月二九日付け建設省会発第五九四号)、(昭和五八年七月二〇日付け五八企庁第九六九号各省大臣あて通商産業大臣通達)
2 「昭和五八年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の運用について(昭和五八年九月一日付け建設省会発第七〇〇号)、(昭和五八年八月二六日付け五八企庁第一一四四号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)
3 昭和五八年度建設省所管事業の執行について(昭和五八年四月一三日付け建設省会公発第四号)

2 合理的な官公需契約見込額の算出及び進行管理

毎年度の官公需契約見込額の算出に当たっては、「官公需契約見込・実績額等取りまとめ要領」(官公需契約見込・実績額等取りまとめ要領等について(昭和五八年四月一三日付け建設省会発第二七九号)別添第一。以下「取りまとめ要領」という。)及び「中小企業向け官公需の選別のための具体的方針」(同通達別添第二)に基づき、合理的な契約見込額を算出するものとし、関係部局から提出された契約見込額については、総括部局において、その妥当性に関し十分検討を行うこと。
また、各発注機関においては、必要に応じその実績を把握し、目標達成のための適切な進行管理を行うこと。

3 官公需契約実績の正確性の確保

毎年度の官公需契約実績は、「取りまとめ要領」に基づきまとめるものとし、必要に応じ内部点検を行い、その正確性の確保に努めること。
また、取りまとめ事務を電子計算機により処理している部局においては、契約の相手方の区分等の入力を正確に行うものとし、その他の部局においては、契約台帳の備考欄に契約の相手方の区分等を記載しておく等により、取りまとめ事務の簡素合理化を図るとともに、電子計算機による取りまとめを検討すること。

4 事業協同組合等の活用

国等の契約については、法第三条後段の規定により、企業組合、協業組合、事業協同組合等を活用するよう配慮しなければならないこととされているとともに、昭和四二年度より中小企業庁が官公需適格組合について証明することとなっているが、この官公需適格組合証明制度の趣旨の周知徹底を図るとともに、官公需適格組合をはじめとする事業協同組合等に対する受注機会の増大に努めること。(昭和五八年度契約方針II(二))
〔参考〕

1 中小企業者の官公需確保対策等について(昭和四二年三月一〇日付け建設省中会第三号)、(昭和四一年一〇月二八日付け四一企庁第一五九二号各省事務次官あて中小企業庁長官通達)別添一の事業協同組合等の活用についての実施要領
2 官公需方針の実施要領について(昭和四二年一〇月二〇日付け建設省会発第七八七号の一)

官公需適格組合の証明及び競争契約参加資格申請書の内容確認要領(昭和四二年九月三〇日付け四二企庁第一三八九号)

3 官公需適格組合の積極的活用について(昭和五八年六月三〇日付け建設省会発第五四〇号)、(昭和五八年三月二四日付け五八企庁第二四二号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)

5 指名競争契約等における受注機会の増大

(1) 指名競争契約等を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保するものとし、特別な事由により特例的取扱いをする場合は、具体的理由を付して事務処理を行うこと。
(2) 指名競争契約における業者の指名に当たっては、公共工事の特殊性等に配意しつつ、指名基準に従い機会均等及び公正の確保に努め、可能な限り中小企業者の受注機会の増大に努めること。
(3) 資格等級区分を定めていない種別において指名競争契約又は随意契約を行う場合においては、官公需の内容と中小企業者の受注能力を総合的に勘案のうえ、可能な限り中小企業者を指名し、又は中小企業者に見積りを依頼することとし、中小企業者とその他の者との競合を極力避けること。

(昭和五八年度契約方針II(三))

6 中小企業者への説明の徹底

発注に当たっては、中小企業者の入札又は見積りが円滑に行われるよう性能、規格等入札又は見積りを行うため必要な事項について十分説明に努めること。

(昭和五八年度契約方針II(四))

7 銘柄指定の廃止

銘柄指定については、「銘柄指定が真にやむを得ないかどうかの判断基準」(官公需契約見込・実績額等取りまとめ要領等について別添第三)に基づき、官公需の内容を十分検討し、真にやむを得ない場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないこと。

(昭和五八年度契約方針II(五))

8 分割発注の推進

発注に当たっては、数量面、工程面等からみて分割して発注することができるかどうかを十分検討し、可能な限り分割発注を行うよう努めること。

(昭和五八年度契約方針II(六))

9 適正価格による発注

発注に当たっては、需給の状況、原材料価格の実情等を勘案し、適正な価格での発注に配慮すること。

(昭和五八年度契約方針II(七)、昭和五八年度事業執行方針記三(一))

10 地方支分部局等における中小企業者の受注機会の増大

地方支分部局等における契約限度額については、物価水準の変動等をも勘案しつつ、適時所要の検討を行い、必要に応じ、その見直しを行うとともに、本省庁等において一括調達を行っている部局においては、その必要性を見直し、地方支分部局等において契約することが可能なものについては、極力地方支分部局等において契約することにより、地元中小企業者の受注機会の増大に努めること。

(昭和五八年度契約方針II(八))

11 中小企業者への情報の提供等

中小企業者への情報の提供等については、第二の一(中小企業官公需特定品目の発注情報等の提供及び発注の増大)及び工事請負契約に係る入札結果等の公表について(昭和五七年五月二七日付け建設省厚発第二二二号。公団・公庫については、これに準ずる通達)によるほか、次によること。
(1) 官公需の受注に意欲的な中小企業者の受注能力の向上に資するため、中小企業者から発注計画、落札結果、資格登録及び入札に関する手続き等について情報の提供を求められた場合は、事務、事業に支障のない範囲において、事務量をも勘案し、可能な限り提供するよう努めること。
(2) 特に、競争入札参加資格申請に関する情報については、官報、掲示等によるほか、競争入札参加資格を有するものが随意契約に参加できるものとなることの明示を含め、公示後速やかに中小企業団体中央会等の関係団体を通じ、中小企業者に提供するよう努めること。
(3) 各発注機関ごとに官公需相談担当者を明確にし、中小企業者から相談があった場合は、可能な限りそれに応ずるよう努めること。

(昭和五八年度契約方針II(一〇))
〔参考〕

1 官公需相談担当者の明確化について(昭和五四年一一月二四日付け事務連絡)、(昭和五四年一一月七日付け各省担当課長あて中小企業庁計画部下請企業課長事務連絡)
2 「昭和五八年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の運用について(昭和五八年九月一日付け建設省会発第七〇〇号)、(昭和五八年八月二六日付け五八企庁第一一四四号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)

第2 物品契約についての特記事項

1 中小企業官公需特定品目の発注情報等の提供及び発注の増大

中小企業団体中央会等から中小企業官公需特定品目(織物、外衣・下着類、その他の繊維製品、家具、機械すき和紙、印刷、潤滑油、事務用品、台所・食卓用品及び再生プラスチック製製品)に関する発注計画及び落札価格等契約結果に関する情報提供の依頼があった場合においては、所定の様式に従い、各々の項目について情報内容を可能な限り具体的にし、かつ、適時に提供すること。
また、この特定品目については、努めて中小企業者に受注機会を与えるよう配慮することとし、特別な事由により特例的取扱いをする場合は、具体的理由を付して事務処理を行うこと。(昭和五八年度契約方針II(一))
〔参考〕

1 「昭和四四年度中小企業者に関する国等の契約の方針」に基づく発注計画の作成および官公需事務に関する体制の整備について(昭和四四年一二月五日付け建設省会発第九二九号及び九三〇号)、(昭和四四年一〇月九日付け四四企庁第一三五八号各省事務次官あて中小企業庁長官通達)
2 官公需落札ニュースの提供要領について(昭和五三年一二月七日付け建設省会発第一一六一号)、(昭和五三年一一月三〇日付け五三企庁第一八一七号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)
3 「昭和五六年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の運用について(昭和五六年七月二三日付け建設省会発第七〇四号)、(昭和五六年七月一五日付け五六企庁第一一四五号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)
4 「昭和五八年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の運用について(昭和五八年九月一日付け建設省会発第七〇〇号)、(昭和五八年八月二六日付け五八企庁第一一四四号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)
5 中小企業官公需特定品目に係る情報提供について(昭和五七年一二月一六日付け建設省会発第一一〇三号)、(昭和五七年一二月一三日付け五七企庁第一七〇八号各省中小企業官公需担当官あて中小企業庁長官通達)

2 事業協同組合等の活用

予算決算及び会計令(昭和二二年勅令第一六五号)第九九条第一八号においては、国が事業協同組合等の保護育成のためこれらの者から直接に物件を買い入れるときは、随意契約によることができることとされているので、中小企業者の業界の実態等を総合的に勘案のうえ、この制度の活用により、官公需適格組合をはじめとする事業協同組合等に対する受注機会の増大に努めること。
なお、公団・公庫にあっては、可能な限り国の制度に準じ処理すること。

(昭和五八年度契約方針II(二))

〔参考〕 第1の4の「参考」を参照

第3 工事契約についての特記事項

1 指名競争契約における受注機会の増大

発注標準を遵守し、契約予定金額に対応する等級より上位の建設業者を選定することは、極力避けること。
なお、優良な工事成績をあげた中小建設業者に対しては、施工能力に相応した範囲内で上位の等級に属する工事に指名する等積極的に受注機会の確保を図ること。
また、発注標準に係る契約予定金額については、定期の競争入札参加資格を審査するに際して、あらかじめ、その設定又は最終改正後の物価水準の変動等をも勘案しつつ、所要の検討を行い、必要に応じその見直しを行うこと。

(昭和五八年度契約方針II(三)、昭和五八年度事業執行方針記二(一))

2 分割発注の推進

工事の性質又は種別、建設労働者の確保、建設資材の調達等を考慮したうえ、地元建設業者、専門工事業者等中小建設業者の活用により円滑かつ効率的な施行が期待できる工事については、極力分割発注すること。

(昭和五八年度契約方針II(六)、昭和五八年度事業執行方針記二(二))

3 共同請負制度の活用

中小建設業者の施工能力の向上を図るため、共同請負制度の活用を指導し、その施工能力に応じた規模の工事について、受注機会を与えるよう配慮すること。
なお、中小建設業者以外の者との共同請負についても、相互に技術、労働力等を提供し合うことによって、工事の円滑な施工が期待される場合においては、極力これを活用すること。(昭和五八年度契約方針II(三)、昭和五八年度事業執行方針記二(三))

4 事業協同組合等の活用

適正な施工が確保できると認められる事業協同組合等については、極力これを活用すること。(昭和五八年度契約方針II(二))

〔参考〕 第1の4の「参考」を参照

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport