建設投資の低迷等建設業を取り巻く環境が大きく変化する中で、建設業は大変厳しい経営環境に直面しており、建設省においては、平成一〇年一月と一二月に建設業の経営改善に関する対策を取りまとめるとともに、平成一一年七月一日には、「建設産業再生プログラム」を策定し、元請下請取引の適正化や経営改善の推進等の諸施策に対して機動的に対応してきたところである。
しかし、我が国経済はいまだ自律的な回復には至っておらず、中小・中堅建設業者を取り巻く環境は厳しく、本年一一月一一日に決定された経済新生対策や中小企業基本法の改正などを踏まえ、中小建設業者等の受注機会の確保、円滑な資金供給の確保等に万全を期す必要がある。
1 補正予算の円滑かつ着実な実施、中小建設業者等の受注機会の確保、適切な発注ロットの設定
平成一一年度第二次補正予算に係る工事の契約について円滑かつ着実な実施に努めるとともに、平成一一年度中小企業者に関する国等の契約の方針の趣旨を踏まえ、中小建設業者等の受注機会の確保に努めること。
その際、適切な発注ロットの設定を推進するものとし、その設定に当たっては、工事の性質又は種別、建設労働者の確保、建設資材の調達等を考慮した上、地元建設業者、専門工事業者等の中小建設業者等を活用して円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、コスト縮減の要請の範囲内で可能な限り分離・分割を行い、工事種別が異なる場合にあっては、可能な限り分離を行うこと。
2 経常建設共同企業体の活用の促進
経常建設共同企業体の活用については、既に周知しているところであるが、特に、公共事業依存度の高い中小・中堅建設業者の企業連携・協業化を進める観点から、以下の事項について留意すること。
(1) 経常建設共同企業体の対象企業の拡大
経常建設共同企業体の構成員となり得べき中小・中堅建設業者は、資本の額又は出資の総額が二〇億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が一、五〇〇人以下の会社及び個人とすること。
(2) 客観点数及び主観点数の調整
経常建設共同企業体の客観的事項の審査及び級別格付を行うに当たっては、当該企業体の結合の強弱及び適否を勘案し、客観的事項について算定した点数(以下「客観点数」という。)及び主観的事項について算定した点数(以下「主観点数」という。)について、おおむね二〇%の範囲内で調整することができるものとすること。
なお、当分の間、当該企業体について、適切な施工力を備え、かつ、継続的な協業関係が確保されると認められる場合には、客観点数及び主観点数について、それぞれ一〇%プラスに調整することができるものとすること。
3 発注標準の引上げや下位等級業者の上位等級工事への参入の促進
一般競争入札方式の客観点数条件については、必要以上に高い点数としないこと。特に比較的規模が小さく技術的難度の低い工事については、点数の引下げを積極的に行い、一般競争参加資格の緩和を図ること。
また、競争性を一層高める観点から、発注標準を引上げるとともに、発注する工事の技術的難易度に応じて、当該工事の規模に対応する等級に格付された建設業者以外の建設業者の指名を推進すること。
特に、優良な工事成績を上げた中小建設業者等については、施工能力に相応した範囲内での上位等級に属する工事への指名を推進すること。
4 下請セーフティネット債務保証事業の推進
本年二月より実施している下請セーフティネット債務保証事業に関し、未だ、事業協同組合等に対して、未完成工事代金債権の譲渡を認めていない発注者にあっては、同制度の趣旨を踏まえ、積極的に推進を図ること。
なお、下請セーフティネット債務保証事業の対象工事の拡大(対象工事金額の下限の緩和など)を図る方向で検討しているので念のために申し添える。
5 前払金等の支払の円滑化
平成一一年度の臨時特例的な措置として、一二月以降に契約する国債工事における前払金の支払についても、年度末特例(契約年度において、当該年度及び翌年度の出来高予定額に対して前払金を支払うことのできる特例)を適用することとした(「建設省直轄工事における前金払等の円滑化について」(H一一、一一、一八建設省会発第六五三号))ので、その活用を図ること。
また、中間前金払や既済部分払の積極的な活用が図られるよう、認定及び検査手続の簡素化・迅速化の徹底を図ること。
6 前払金支払制度の改善
前払金による下請代金の的確な支払等の確保について、一層の徹底を図るため、保証事業会社に対し、「前払金による下請代金の的確な支払等の確保について」(H一一、一一、三〇建設省経建発第三四五号)を通知したので、その旨、留意すること。
7 元請下請取引の適正化
下請業者に対する請負代金の設定及びその支払が適正に行われるよう、明確な経費内訳による見積り・協議の徹底、前払金の適切な支払の徹底、現金払の促進、手形期間の短縮等建設業法等の関係規定の遵守を請負業者に徹底すること。
また、これまでも、下請代金の設定をより合理的にすることを促進するため、請負業者に施工体制台帳の提出を求めるようお願いしているところであるが、未だ求めていない発注者にあっては、その提出を求めること。
8 前払金の拡充の徹底、部分払、中間前払金の利用促進
(1) 前払金支払率の引上げ、支払限度額の見直し
前払金支払率の引上げについては、これまでも要請を行い、支払率を法令上の上限値である四〇%に設定している地方公共団体も増えてきているところであるが、未だその上限を四〇%としていない地方公共団体や工事の規模に応じて支払率の制限や支払限度額の設定を行っている地方公共団体については、その改善を図ること。
(2) 部分払制度の適切な実施
部分払の活用を図るため、請負業者の請求があり次第、所定の出来高検査を行う等迅速な対応により、支払までの期間短縮が図られるよう、以前より要請しているところである。
しかし、依然として、設計の変更に伴う契約の変更、出来高検査のための工事中断等を理由に、部分払制度の活用に消極的であるとの指摘もあるので、部分払における所定の出来高検査については、より一層の簡素化を図り、積極的な活用を促進すること。
(3) 中間前払金制度の早期導入
中間前払金制度については、平成一一年二月一七日の地方自治法施行令の改正により地方公共団体で導入することが可能になったが、その導入は一部の団体に限られているので、未導入の団体においては同制度の早期導入を図ること。また、導入済みの団体においては認定手続の簡素化・迅速化を通じて同制度の利用を促進すること。
9 適正な積算の確保
積算に当たっては、基準に準拠した適正な積算の徹底に努めるとともに、予定価格の設定に当たっては、設計書金額の一部を正当な理由なく控除するいわゆる歩切りについては、厳に慎むこと。
10 中小・中堅建設業者の構造改善対策
中小・中堅建設業者の構造改善対策については、昨年一月と一二月に取りまとめた対策においても、不良・不適格業者の排除の徹底、企業連携・協業化の促進による経営基盤の強化などの措置をお願いしているところであるが、これらの措置の導入は一部の団体に限られているので、未導入の団体においては、同制度の早期導入を図ること。
なお、現在、国会において、中小企業施策の拡充について検討されているところであり、その内容等については、後日通知する予定であるので、念のため申し添える。