建設省経建発第九七号
平成二年五月一八日

各都道府県主管局部長あて

建設経済局建設業課長通達


指定建設業監理技術者資格者証運用マニュアルについて

建設業法の一部を改正する法律(昭和六二年法律第六九号)により、指定建設業に係る建設工事で国、地方公共団体等が発注者である工作物に関するものについては、専任の者でなければならない監理技術者は、指定建設業監理技術者資格者証(以下「資格者証」という。)の交付を受けている者のうちからこれを選任しなければならず、当該工作物の発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならないこととされたところである(建設業法第二六条第四項及び第五項)。当該規定については、平成二年六月六日以降適用されることとなっている。
今般、資格者証に関する規定の的確な運用に資するため、建設業者に対して指導を行う際の指針となる標記マニュアルを別添のとおり定めたので送付する。
貴職におかれては、標記マニュアルを指針として、建設業者に対して指導されたい。
資格者証(指定建設業監理技術者資格者証)運用マニュアル
目次

一 趣旨
二 技術者の工事現場における専任
三 監理技術者の設置
三―一 工事外注計画の立案等
三―二 監理技術者の設置の判断
三―三 資格者証の携帯
四 工事現場に掲げる標識等
五 建設業法の遵守

1 趣旨

建設業法では、建設工事の適正な施工の確保のために技術者の設置を求めているが、昭和六二年の改正により、指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業)に係る建設工事の監理技術者は、一級の国家資格者又は建設大臣認定者に限られることとなり、さらに、指定建設業に係る建設工事で国、地方公共団体等が発注者である工作物に関するものについては、専任の者でなければならない監理技術者は、指定建設業監理技術者資格者証(資格者証)の交付を受けた者から選任しなければならないこととなった。
今回の法改正で整備された監理技術者及び資格者証に関する制度は、建設市場に不当に参入している不良不適格業者を排除し、「技術と経営に優れた企業」が成長できるような条件整備を行うことを目的としており、建設工事の適正な施工の確保及び建設産業の健全な発展のために、的確に運用される必要がある。
本マニュアルは、今回の建設業法の改正の重要な柱である資格者証に関する制度(資格者証制度)を的確に運用するため、行政担当部局が指導を行う際の指針となるものであり、併せて建設業者の業務を遂行する際の参考となるものである。
(1) 建設業法の改正

・ 我が国の建設業は、国民総生産の二割近くに相当する建設投資を担い、全産業就業人口の一割近くを抱えており、基幹産業として国民経済上重要な位置を占めているが、一方、施工技術水準の高度化への対応、経営体質の改善等早急に解決しなければならない課題を抱えている。このような状況の中で、昭和六二年一月の中央建設業審議会の答申「今後の建設産業政策の在り方について(第一次答申)」を踏まえて、昭和六二年六月に「建設業法」が改正され、翌六三年六月に施行された。
・ 建設業法では、建設業を建設工事の種類に対応して二八業種に分類しているが、今回の法改正により、施工技術の総合性、施工技術の普及状況等を考慮して、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業の五業種を「指定建設業」として定めている(法第一五条第二号、政令第五条の二)。
・ 建設工事を施工するときは、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、「主任技術者」を置かなければならないが、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上となる場合には、主任技術者に代えて「監理技術者」を置かなければならない(法第二六条第一項及び第二項、政令第二条)。
・ 主任技術者や監理技術者になるためには、一定の国家資格や実務経験を有していることが必要であるが、今回の法改正により指定建設業に係る建設工事の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者(表―1)又は建設業法第一五条第二号の規定に基づき建設大臣が認定した者(建設大臣認定者)に限られることとなった(法第二六条第二項)。また、併せて指定建設業監理技術者資格者証(資格者証)の規定が設けられた(法第二六条第四項等)。

(2) 資格者証に関する新たな規定

・ 資格者証に関する建設業法の主要な改正点は、次のとおりである。

1) 指定建設業に係る建設工事で、国、地方公共団体等が発注者である工作物に関するものについては、専任のものでなければならない監理技術者は、資格者証の交付を受けている者のうちから、これを選任しなければならない(法第二六条第四項)。
2) 1)により選任された監理技術者は、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならない(法第二六条第五項)。
3) 建設大臣は、指定資格者証交付機関(財団法人建設業技術者センターが指定されている。)に、資格者証の交付及びその有効期間の更新の実施に関する事務を行わせることができる(法第二七条の一九第一項)。

・ 建設業法上、資格者証に関する規定が適用される発注者は、国、地方公共団体、法人税法別表第一に掲げる公共法人(表―2参照)、東京湾横断道路株式会社、帝都高速度交通営団及び関西国際空港株式会社である(法第二六条第四項、政令第二七条の二、省令第一七の二)。

(3) 本マニュアルの位置付け

・ 資格者証制度が円滑かつ的確に運用されるためには、行政担当部局は建設業者を適切に指導する必要がある。本マニュアルは、今回の建設業法の主要な改正点である資格者証に関する規定を中心として、技術者の専任、監理技術者等に関する規定も含め、資格者証制度を運用する上で必要な事項について整理し、運用に当たっての基本的な考え方を示したものである。

なお、建設業者についても、本マニュアルを参考に、制度の概要とその運用方法について熟知し、建設業法に基づき適正に業務を行う必要がある。

2 技術者の工事現場における専任

主任技術者又は監理技術者は、公共性のある工作物に関する重要な工事については、工事現場ごとに専任でなければならない。
「専任」とは、「他の工事現場の主任技術者又は監理技術者との兼任を認めないこと。」を意味し、専任の主任技術者又は専任の監理技術者は、常時継続的に当該建設工事現場に置かれていなければならない。
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者については、技術者を専任で設置すべき期間は、施工における品質確保、安全確保等を図るため、施工計画の立案等準備期間における管理、指導が重要であることから、契約工期を基本に考える。
なお、建設工事の適正な施工の確保のためには、専任の主任技術者及び専任の監理技術者については、当該企業と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者である必要がある。
(1) 主任技術者と監理技術者

・ 主任技術者及び監理技術者の職務は、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることであり、建設工事の施工に当たり、その施工計画を作成し、具体的な工事の工程管理や工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行い、また、工事の施工に伴う公衆災害、労働災害等の発生を防止するための安全管理等を行うことである。
・ 特に監理技術者は、建設工事の施工に当たり、大規模に工事を外注する場合に専門工事業者等を適切に指導、監督するという総合的な機能を果たすものであり、工事の施工に関する総合的な企画、指導等の職務が重視されるため、そのような工事の適正な施工の確保のために、より高度な技術力が必要である。
・ 主任技術者及び監理技術者は、公共性のある重要な工事については、より適正な施工の確保が求められるため、工事現場ごとに専任の者でなければならない(法第二六条第三項)。
・ なお「現場代理人」は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項を処理するものとして工事現場に置かれる請負者の代理人であるが、監理技術者、主任技術者等は、これを兼ねることができる(公共工事標準請負契約約款第一一条参照)。

(2) 公共性のある重要な工事

・ 公共性のある重要な工事は、次の各号に該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が一、五〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上のものをいう(政令第二七条)。

1) 国又は地方公共団体が注文者である工作物に関する工事
2) 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道
3) 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。)
4) 学校、児童福祉法第七条に規定する児童福祉施設、集会場、図書館、博物館、陳列館、教会、寺院、神社、工場、ドッグ、倉庫、病院、市場、百貨店、事務所、興行場、ダンスホール、旅館業法第二条に規定するホテル、旅館若しくは下宿、共同住宅、寄宿舎、公衆浴場、鉄塔、火葬場、とちく場、ごみ若しくは汚物の処理場、熱供給事業法第二条第四項に規定する熱供給施設、石油パイプライン事業法第五条第二項二号に規定する事業用施設又は電気通信事業法第一二条第一項に規定する第一種電気通信事業者がその事業の用に供する施設に関する工事

(3) 工事現場における技術者の専任の基本的な考え方

・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者にあっては、主任技術者又は監理技術者を専任で設置すべき期間は、契約工期を基本に考える。なお、当該建設工事の完成検査も終了し事務手続のみが残っている場合、工事を一時中止している場合等については兼務を認める余地はあるが、その期間について手続上明確になっている必要がある。
・ 密接な関係のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる(政令第二七条第二項)が、専任の監理技術者については、この規定は適用されない。
・ 建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するために、専任の主任技術者又は専任の監理技術者については当該企業と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者を設置する必要がある。またこのような技術者を設置して適正な施工を確保することが、当該企業が技術と経営に優れたものとして評価されることにつながる。
・ 雇用関係を明らかにするために、資格者証の所持者は、資格者証の裏面に、所属建設業者名を的確に記入しておかなければならない。

3 監理技術者の設置

3―1 工事外注計画の立案等
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、監理技術者の設置の要否の判断等にも必要であるため、専門工事業者等への工事外注の計画(工事外注計画)を立案し下請契約の請負代金の予定額(下請契約の予定額)を的確に把握しておく必要がある。
また、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、建設業法に基づく適正な施工の確保等を図るため、施工体制台帳を整備すること等により、建設工事の施工体制を的確に把握する必要がある。
(1) 総合工事業者の役割

・ 建設産業の生産活動においては、総合的管理監督機能(企画力、技術力等総合力を発揮して建設工事全般にわたり管理監督を行う機能)を主として担う総合工事業者と、直接施工機能(専門的技能を発揮して工事施工を担当する機能)を主として担う専門工事業者とが、それぞれ相互に役割を分担しつつ協力して行う方式が基本となっている。

このうち総合工事業者は、総合的管理監督機能を担うとともに、建設工事の発注者に対して契約に基づき、工事完成についてのすべての責任を持つという役割を有している。

(2) 工事外注計画と下請契約の予定額

・ 一般的に、工事現場においては、総合的な企画、指導の任務を遂行する監理技術者等を中心とし、専門工事業者等とにより施工体制が構成されることとなる。その際、建設工事を適正に施工するためには、工事のどの部分を専門工事業者等の施工として分担させるのか、また、その請負代金の額がどの程度となるのかなどについて、工事外注計画を立案しておく必要がある。工事外注計画としては、受注前に立案される概略のものから工事施工段階における詳細なものまで考えられる。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、監理技術者の設置の要否の判断のためには、工事受注前におおむねの計画を立て、工事受注後すみやかに工事外注の範囲とその請負代金の額に関する工事外注計画を立案し、下請契約の予定額を的確に把握しておく必要がある。なお、当該建設業者は工事外注計画について、工事の進捗段階に応じて所要の見直しを行う必要がある。
・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、下請契約の予定額が二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上となるか否か的確に把握する必要がある。

なお「建設工事の全体の請負代金の額」に対する「下請契約の請負代金の額」の割合は、工事ごとに異なり、更に地域によりまた個々の企業によっても多様であるが、平均的には建築工事以外の土木工事等においてはおおむね五割、建築工事ではおおむね七割となっている。このため、平均的には、請負代金の額がおおむね四、〇〇〇万円の工事の場合、下請契約の額はおおむね二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)となる。

(3) 施工体制台帳の整備

・ 総合工事業者は、業種・工程間の総合的な施工管理及び専門工事業者の適切な指導監督を行い、的確かつ効率的な施工の確保を図るために、工事外注の状況等に基づき、施工体制台帳を整備すること等により、的確に建設工事の施工体制を把握しておく必要がある。

(4) 下請契約について

・ 下請契約とは、建設業法において次のように定められている(法第二条第四項)。

「建設工事をその他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約」

「請負契約」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約」であり、単に使用者の指揮命令に従い労務に服することを目的とするだけで、仕事の完成にともなう危険を負担するものではない「雇用」とは区別される。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、このような点を踏まえ、工事外注の範囲を明らかにしておく必要がある。

3―2 監理技術者の設置の判断
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の予定額を的確に把握して監理技術者を置くべきか否かの判断を行い、適正に技術者を設置する必要がある。
(1) 監理技術者の設置における考え方

・ 工事途中で施工管理をつかさどっている責任ある技術者を変更することは、適正な建設工事の施工の確保の観点からは好ましいものではない。このため、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、事前に監理技術者を設置する工事に該当すると判断される場合には、当初から監理技術者を設置しなければならないが、監理技術者を設置する工事に該当するかどうか流動的であるものについても、工事途中の技術者の変更が生じないように、監理技術者になり得る資格を有する技術者を設置しておくべきである。
・ なお、適正な施工の確保の観点から、主任技術者・監理技術者の区分にかかわらず、工事の規模、難易度等によっては、下請契約の請負代金の額(下請契約の額)が小さくとも高度の技術力を持つ技術者が必要となるので、国家資格者等の活用を図ることが適切な場合がある。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、これらの点も勘案しつつ、適切に技術者を設置する必要がある。

(2) 共同企業体における監理技術者の設置

・ 建設業法第二六条の規定により、共同企業体が公共工事を施工する場合、下請契約の額が二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上となるときには、特定建設業者たる構成員一社以上が監理技術者を専任で設置しなければならない。このうち、分担施工方式の共同企業体にあって、分担工事に係る下請契約の額が二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上となる場合には、当該分担工事を施工する特定建設業者たる構成員が監理技術者を専任で設置しなければならない。

なお、いずれの場合も、その他の構成員については、国家資格を有する主任技術者(経常建設共同企業体にあっては原則として国家資格を有する主任技術者)をそれぞれ当該工事現場に専任で設置しておくべきである。

・ 共同企業体による公共工事の施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が、施工しようとする工事にふさわしい技術者を適正に設置し、共同施工の体制を確保しなければならない。したがって、各構成員から派遣される技術者等の数、資格、配置等は、信頼と協調に基づく共同施工の確保という観点から、工事の規模・性格等に応じ適正に決定される必要がある。このため、編成表の作成等現場職員の設置の決定に当たっては、次の事項に配慮するものとする。

1) 工事の規模、性格、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な設置人数を確保すること。
2) 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、派遣される職員は、ポストに応じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること。
3) 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること。
4) 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること。

(3) 主任技術者から監理技術者への変更

・ 当初は主任技術者の設置で十分であった工事で、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負代金の額が二、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は三、〇〇〇万円)以上となるような場合には、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければならない。
・ なお、工事施工途中における技術者の変更は望ましいものではないため、監理技術者を設置しなければならない工事に該当するかどうか流動的である場合においては、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、監理技術者になり得る資格を持つ技術者を置くべきである。

3―3 資格者証の携帯
指定建設業に係る建設工事で国、地方公共団体等が発注者である工作物に関するものについては、専任の者でなければならない監理技術者は、指定建設業監理技術者資格者証(資格者証)の交付を受けている者のうちから、これを選任しなければならない。また、当該監理技術者は、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならず、当該建設工事に係る職務に従事しているときは、常時資格者証を携帯している必要がある。

・ 資格者証については、建設業法第二六条第四項及び第五項等に規定されているが、資格者証は、公共性のある工作物に関する重要な工事の中でも、より適正な施工の確保が求められるものについて、当該建設工事の監理技術者が所定の資格を有しているかどうか、定められた本人が従事しているかどうかを確認するために導入されたものである。
・ 資格者証は、指定建設業に係る建設工事の監理技術者になり得る者であれば、申請により交付を受けることができる(この者は、表―1に掲げる国家資格者又は建設大臣認定者に限られる。)。この資格者証の交付等の業務は、指定資格者証交付機関である財団法人建設業技術者センターが行っているが、資格者証の交付申請は、申請者本人が同財団の支部に直接出向いて行わなければならない。
・ 資格者証には、本人の顔写真の他に次の事項が記載され(法第二七条の一八第二項、省令第一七条の一六)、様式は図―1に示すものとなっている。

(1) 交付を受ける者の氏名、生年月日、本籍及び住所
(2) 交付の年月日
(3) 交付を受ける者が有する指定建設業監理技術者資格
(4) 指定建設業の種類
(5) 資格者証交付番号
(6) 資格者証の有効期間の満了する日
なお、資格者証に記載される指定建設業監理技術者資格は表―3のように略語で記載されている。

4 工事現場に掲げる標識等

建設工事の責任の所在を明確にすること等のため、建設業者は、建設工事の現場ごとに、建設業許可に関する事項のほか、主任技術者・監理技術者の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号を記載した標識を、公衆の見易い場所に掲げなければならない。
また、発注者から直接工事を請け負った建設業者は、建設工事の全貌を常に把握する必要があること、下請業者も含めて当該建設工事の施工に対する責任があること等から、建設業法に基づく標識とは別に、当該建設工事に係るすべての建設業者名、技術者名等を記入した施工体系図を作成する必要があり、またこの施工体系図は、工事現場の適切な場所に掲示する必要がある。

・ 建設業者は、建設業法第四〇条及び同法施行規則第二五条の規定により、建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に標識を掲げなければならないこととされている。
・ 建設工事現場に標識を掲げる意義は、次のとおりである。

(1) 建設工事の施工が建設業法による許可を受けた適法な業者によってなされていることを対外的に明らかにすること。
(2) 建設工事は、その工事現場が移動的であり、多数の建設業者が同時に施工に携わるため、安全施工、災害防止等の責任が曖昧になりがちであるため、対外的にその責任主体を明確にすること。
現場に掲げる標識の様式は、昭和六二年の改正建設業法の施行の際に、資格名、資格者証交付番号等を記載するよう改正されており、監理技術者を設置する場合は図―2の様式となる。この様式の標識を掲示することにより、主任技術者又は監理技術者の資格を明確にするとともに、資格者証の交付を受けている者が設置されていることを明らかにすることができる。

5 建設業法の遵守

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものである。したがって、建設業者は、この法律を遵守すべきことは言うまでもないが、行政担当部局は、建設業法の遵守について、適切に指導を行う必要がある。

・ 建設業法第一条では、建設業法の目的を次のように規定している。

「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」

・ 建設業法第四一条では、建設大臣又は都道府県知事は、工事の適正な施工の確保等を図るために建設業者に対して必要な指導、助言等を行うことができることとされ、また、同法第二八条第一項本文では、その許可を受けた建設業者が、建設業法の規定に違反した場合において、当該建設業者に対して、監督処分として必要な指示を行うことができ、同条第三項では、この指示に違反した場合、営業の全部または一部の停止を命ずることができることとなっている。



表―1 指定建設業に係る建設工事の監理技術者の資格要件

指定建設業
国家資格等
土木工事業
・一級土木施工管理技士
・一級建設機械施工技士
・技術士 建設部門

農業部門(農業土木)
林業部門(森林土木)

・建設大臣認定者(土木)
建築工事業
・一級建築施工管理技士
・一級建築士
・建設大臣認定者(建築)
管工事業
・一級管工事施工管理技士
・技術士 機械部門(流体機械、冷暖房及び冷凍機械)

水道部門
衛生工学部門

・建設大臣認定者(管)
鋼構造物工事業
・一級土木施工管理技士
・一級建築施工管理技士
・一級建築士
・技術士[建設部門(鋼構造及びコンクリート)]
・建設大臣認定者(鋼構造物)
舗装工事業
・一級土木施工管理技士
・一級建設機械施工技士
・技術士[建設部門]
・建設大臣認定者(舗装)



表―2 法人税法別表第一の公共法人(地方公共団体は除く。)
名称
根拠法
奄美群島振興開発基金
奄美群島振興開発特別措置法(昭和二九年法律第一八九号)
沖縄振興開発金融公庫
沖縄振興開発金融公庫法(昭和四七年法律第三一号)
海外経済協力基金
海外経済協力基金法(昭和三五年法律第一七三号)
簡易保険郵便年金福祉事業団
簡易保険郵便年金福祉事業団法(昭和三七年法律第六四号)
環境衛生金融公庫
環境衛生金融公庫法(昭和四二年法律第一三八号)
金属鉱業事業団
金属鉱業事業団法(昭和三八年法律第七八号)
空港周辺整備機構
公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律(昭和四二年法律第一一〇号)
軽自動車検査協会
道路運送車両法(昭和二六年法律第一八五号)
公営企業金融公庫
公営企業金融公庫法(昭和三二年法律第八三号)
公害防止事業団
公害防止事業団法(昭和四〇年法律第九五号)
港務局
港湾法
小型船舶検査機構
船舶安全法
国際観光振興会
国際観光振興会法(昭和三四年法律第三九号)
国際協力事業団
国際協力事業団法(昭和四九年法律第六二号)
国民金融公庫
国民金融公庫法(昭和二四年法律第四九号)
国民生活センター
国民生活センター法(昭和四五年法律第九四号)
国立教育会館
国立教育会館法(昭和三九年法律第八九号)
国立劇場
国立劇場法(昭和四一年法律第八八号)
雇用促進事業団
雇用促進事業団法(昭和三六年法律第一一六号)
自動車運転安全センター
自動車運転安全センター法(昭和五〇年法律第五七号)
社会福祉・医療事業団
社会福祉・医療事業団法(昭和五九年法律第七五号)
社会保険診療報酬支払基金
社会保険診療報酬支払基金法(昭和二三年法律第一二九号)
住宅金融公庫
住宅金融公庫法(昭和二五年法律第一五六号)
住宅・都市整備公団
住宅・都市整備公団法(昭和五六年法律第四八号)
首都高速道路公団
首都高速道路公団法(昭和三四年法律第一三三号)
新技術開発事業団
新技術開発事業団法(昭和三六年法律第八二号)
心身障害者福祉協会
心身障害者福祉協会法(昭和四五年法律第四四号)
新東京国際空港公団
新東京国際空港公団法(昭和四〇年法律第一一五号)
森林開発公団
森林開発公団法(昭和三一年法律第八五号)
水害予防組合
水害予防組合法(明治四一年法律第五〇号)
水害予防組合連合
 
石炭鉱害事業団
石炭鉱害賠償等臨時措置法(昭和三八年法律第九七号)
石油公団
石油公団法(昭和四二年法律第九九号)
船舶整備公団
船舶整備公団法(昭和三四年法律第四六号)
地域振興整備公団
地域振興整備公団法(昭和三七年法律第九五号)
地方住宅供給公社
地方住宅供給公社法(昭和四〇年法律第一二四号)
地方道路公社
地方道路公社法(昭和四五年法律第八二号)
中小企業金融公庫
中小企業金融公庫法(昭和二八年法律第一三八号)
中小企業信用保険公庫
中小企業信用保険公庫法(昭和三三年法律第九三号)
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四七年法律第六六号)
土地改良区
土地改良法(昭和二四年法律第一九五号)
土地改良区連合
 
土地区画整理組合
土地区画整理法(昭和二九年法律第一一九号)
日本育英会
日本育英会法(昭和五九年法律第六四号)
日本開発銀行
日本開発銀行法(昭和二六年法律第一〇八号)
日本下水道事業団
日本下水道事業団法(昭和四七年法律第四一号)
日本国有鉄道清算事業団
日本国有鉄道清算事業団法(昭和六一年法律第九〇号)
日本私学振興財団
日本私学振興財団法(昭和四五年法律第六九号)
日本体育・学校健康センター
日本体育・学校健康センター法(昭和六〇年法律第九二号)
日本中央競馬会
日本中央競馬会法(昭和二九年法律第二〇五号)
日本鉄道建設公団
日本鉄道建設公団法(昭和三九年法律第三号)
日本道路公団
日本道路公団法(昭和三一年法律第六号)
日本万国博覧会記念協会
日本万国博覧会記念協会法(昭和四六年法律第九四号)
日本貿易振興会
日本貿易振興会法(昭和三三年法律第九五号)
日本放送協会
放送法(昭和二五年法律第一三二号)
日本輸出入銀行
日本輸出入銀行法(昭和二五年法律第二六八号)
日本労働協会
日本労働協会法(昭和三三年法律第一三二号)
年金福祉事業団
年金福祉事業団法(昭和三六年法律第一八〇号)
農用地整備公団
農用地開発公団法(昭和四九年法律第四三号)
農林漁業金融公庫
農林漁業金融公庫法(昭和二七年法律第三五五号)
阪神高速道路公団
阪神高速道路公団法(昭和三七年法律第四三号)
放送大学学園
放送大学学園法(昭和五六年法律第八〇号)
北海道東北開発公庫
北海道東北開発公庫法(昭和三一年法律第九七号)
本州四国連絡橋公団
本州四国連絡橋公団法(昭和四五年法律第八一号)
水資源開発公団
水資源開発公団法(昭和三六年法律第二一八号)
労働福祉事業団
労働福祉事業団法(昭和三二年法律第一二六号)



表―3 資格の略語
略語
略語が表す意味
一機施
・一級建設機械施工技士
一土施
・一級土木施工管理技士
一建施
・一級建築施工管理技士
一管施
・一級管工事施工管理技士
一建士
・一級建築士認(舗)
技(建)
・技術士[建設部門]
技(建鋼)
・技術士[建設部門(鋼構造及びコンクリート)]
技(農土)
・技術士[農業部門(農業土木)]
技(林森)
・技術士[林業部門(森林土木)]
技(機流)
・技術士〔機械部門(流体機械、冷暖房及び冷凍機械)〕
技(水)
・技術士[水道部門]
技(衛)
・技術士[衛生工学部門]
認(土)
・建設大臣認定者(土木)
認(建)
・建設大臣認定者(建築)
認(管)
・建設大臣認定者(管)
認(鋼)
・建設大臣認定者(鋼構造物)
認(舗)
・建設大臣認定者(舗装)



図―1 資格者証の様式
<別添資料>



図―2 工事現場に掲げる標識の様式(監理技術者の場合)
<別添資料>


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