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別添 建設工事公衆災害防止対策要綱
土木工事編
第一章 総則
(目的)
第一 この要綱は、土木工事の施工に当たって、当該工事の関係者以外の第三者(以下「公衆」という。)に対する生命、身体及び財産に関する危害並びに迷惑(以下「公衆災害」という。)を防止するために必要な計画、設計及び施工の基準を示し、もって土木工事の安全な施工の確保に寄与することを目的とする。
(適用)
第二 この要綱は、公衆に係わる区域で施工する土木工事(以下単に「土木工事」という。)に適用する。
2 起業者及び施工者は、土木工事に当たっては、公衆災害を防止するために、この要綱の各項目を遵守しなければならない。ただし、この要綱において起業者が行うこととされている内容について、契約の定めるところにより施工者が行うことを妨げない。
(工法の選定)
第三 起業者又は施工者は、土木工事の計画、設計及び施工に当たって、公衆災害の防止のため、必要な調査を実施し、関係諸法令を遵守して、安全性等を十分検討した有効な工法を選定しなければならない。
(工期)
第四 起業者は、土木工事の工期を定めるに当たっては、この要綱に規定されている事項が十分に守られるように配慮しなければならない。
(公衆災害防止対策経費)
第五 起業者は、工事を実施する地域の状況を把握した上、この要綱に基づいて必要となる措置をできるだけ具体的に明示し、その経費を工事金額のなかに計上しなければならない。
(現場組織体制)
第六 施工者は、土木工事に先立ち、当該土木工事の現場の立地条件等を十分把握した上で、工事の内容に応じた適切な人材を配置し、指揮命令系統の明確な現場組織体制を組むとともに、工事関係者に工事の内容や使用機器材の特徴等の留意点について周知させるものとする。
2 施工者は、複数の請負関係のもとで工事を行う場合には、特に全体を統括する組織により、安全施工の実現に努めなければならない。
(隣接工事との調整)
第七 起業者及び施工者は、他の建設工事に隣接輻輳して土木工事を施工する場合には、公衆災害に係わる事項について、連絡調整を行うものとする。
(付近居住者等への周知)
第八 起業者及び施工者は、土木工事の施工に当たっては、あらかじめその工事の概要を付近の居住者等に周知させ、その協力を求めなければならない。
2 施工者は、土木工事の施工に当たっては、起業者と連絡を密にし、付近の居住者等の公衆災害防止に対する意向を十分考慮しなければならない。
なお、交通規制を伴う場合は、通行者の通行をできるだけ妨げないようにするとともに、規制状況の広報に努めなければならない。
(事故発生時の措置と原因調査)
第九 土木工事の施工により事故が発生し、公衆に危害を及ぼした場合には、その起業者及び施工者は、直ちに応急措置及び関係機関への連絡を行うとともに、速やかにその原因を調査し、類似の事故が再発しないよう措置しなければならない。
第二章 作業場
(作業場の区分)
第一〇 施工者は、土木工事を施工するに当たって作業し、材料を集積し、又は機械類を置く等工事のために使用する区域(以下「作業場」という。)を周囲から明確に区分し、この区域以外の場所を使用してはならない。
2 施工者は、公衆が誤って作業場に立ち入ることのないよう、固定さく又はこれに類する工作物を設置しなければならない。ただし、その工作物に代わる既設のへい、さく等があり、そのへい、さく等が境界を明らかにして、公衆が誤って立ち入ることを防止する目的にかなうものである場合には、そのへい、さく等をもって代えることができるものとする。
また、移動を伴う道路維持修繕工事、軽易な埋設工事等において、移動さく、道路標識、標示板、保安灯、セイフティコーン等で十分安全が確保される場合には、これをもって代えることができるものとする。
3 前項のさく等は、その作業場を周囲から明確に区分し、公衆の安全を図るものであって、作業環境と使用目的によって構造を決定すべきものであるが、特に風等により転倒しないよう十分安定したものでなければならない。
(さくの規格、寸法)
第一一 固定さくの高さは一・二メートル以上とし、通行者(自動車等を含む。)の視界を妨げないようにする必要がある場合は、さくの上の部分を金網等で張り、見通しをよくするものとする。
2 移動さくは、高さ〇・八メートル以上一メートル以下、長さ一メートル以上一・五メートル以下で、支柱の上端に幅一五センチメートル程度の横板を取り付けてあるものを標準とし、公衆の通行が禁止されていることが明らかにわかるものであって、かつ、容易に転倒しないものでなければならない。また、移動さくの高さが一メートル以上となる場合は、金網等を張り付けるものとする。
(さくの彩色)
第一二 固定さくの袴部分及び移動さくの横板部分は、黄色と黒色を交互に斜縞に彩色(反射処理)するものとし、彩色する各縞の幅は一〇センチメートル以上一五センチメートル以下、水平との角度は四五度を標準とする。ただし、袴及び横板の三分の二以下の部分に黄色又は白色で彩色した箇所を設け、この部分に工事名、起業者名、施工者名、公衆への注意事項等を記入することはさしつかえない。
(移動さくの設置及び撤去方法)
第一三 施工者は、移動さくを連続して設置する場合には、原則として移動さくの長さを超えるような間隔をあけてはならず、かつ、移動さく間には保安灯又はセイフティコーンを置き、作業場の範囲を明確にしなければならない。
2 施工者は、移動さくを屈曲して設置する場合には、その部分は間隔をあけてはならない。また、交通流に対面する部分に移動さくを設置する場合は、原則としてすりつけ区間を設け、かつ、間隔をあけないようにしなければならない。
3 施工者は、歩行者及び自転車が移動さくに沿って通行する部分の移動さくの設置に当たっては、移動さくの間隔をあけないようにし、又は移動さくの間に安全ロープ等を張ってすき間のないよう措置しなければならない。
4 施工者は、移動さくの設置及び撤去に当たっては、交通の流れを妨げないよう行わなければならない。
(作業場への車両の出入)
第一四 施工者は、道路上に作業場を設ける場合は、原則として、交通流に対する背面から車両を出入りさせなければならない。ただし、周囲の状況等によりやむを得ない場合においては、交通流に平行する部分から車両を出入りさせることができる。この場合においては、交通誘導員を配置し、できるだけ一般車両の通行を優先するとともに公衆の通行に支障を与えないようにしなければならない。
(作業場内の工事用車両の駐車)
第一五 施工者は、道路上に設置した作業場内に、原則として、作業に使用しない車両を駐車させてはならない。また、作業に使用する作動中の車両にあっては、やむを得ない場合を除き、運転手を当該車両に常駐させなければならない。
(作業場の出入口)
第一六 施工者は、作業場の出入口には、原則として、引戸式の扉を設け、作業に必要のない限り、これを閉鎖しておくとともに、公衆の立入りを禁ずる標示板を掲げなければならない。ただし、車両の出入りが頻繁なときは扉を開放しておくことができるが、その間、必ず見張員を配置し、出入りする車両の誘導にあたらせなければならない。
2 施工者は、作業場に出入りする車両等が、道路構造物及び交通安全施設等に損傷を与えることのないよう注意しなければならない。損傷させた場合には、直ちに当該管理者に報告し、その指示により復旧しなければならない。
第三章 交通対策
(道路標識等)
第一七 起業者及び施工者は、道路敷に又は道路敷に接して作業場を設けて土木工事を施工する場合には、工事による一般交通への危険及び渋滞の防止、歩行者の安全等を図るため、事前に道路状況を把握し、交通の処理方法について検討の上、道路管理者及び所轄警察署長の指示するところに従い、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三五年総理府・建設省令第三号)」及び「道路工事現場における標示施設等の設置基準(昭和三七年建設省道発第三七二号)」による道路標識、標示板等で必要なものを設置しなければならない。
2 施工者は工事用の諸施設を設置するに当たって必要がある場合は、周囲の地盤面から高さ〇・八メートル以上二メートル以下の部分については、通行者の視界を妨げることのないよう必要な措置を講じなければならない。
(保安灯)
第一八 施工者は、道路上において又は道路に接して土木工事を夜間施工する場合には、道路上又は道路に接する部分に設置したさく等に沿って、高さ一メートル程度のもので夜間一五〇メートル前方から視認できる光度を有する保安灯を設置しなければならない。
この場合、設置間隔は、交通流に対面する部分では二メートル程度、その他の道路に面する部分では四メートル以下とし、囲いの角の部分については特に留意して設置しなければならない。
(遠方よりの工事箇所の確認)
第一九 施工者は、交通量の特に多い道路上において土木工事を施工する場合には、遠方からでも工事箇所が確認でき、安全な走行が確保されるよう、保安施設を適切に設置しなければならない。このため、第一七(道路標識等)及び第一八(保安灯)に規定する道路標識及び保安灯の設置に加えて、作業場の交通流に対面する場所に工事中であることを示す標示板(原則として内部照明式)を設置するものとする。
さらに、必要に応じて夜間二〇〇メートル前方から視認できる光度を有する回転式か点滅式の黄色又は赤色の注意灯を、当該標示板に近接した位置に設置しなければならない。
2 前項の場合において、当該標示板等を設置する箇所に近接して、高い工事用構造物等があるときは、これに標示板等を設置することができる。
3 施工者は、工事を予告する道路標識、標示板等を、工事箇所の前方五〇メートルから五〇〇メートルの間の路側又は中央帯のうち視認しやすい箇所に設置しなければならない。
(作業場付近における交通の誘導)
第二〇 施工者は、道路上において土木工事を施工する場合には、道路管理者及び所轄警察署長の指示を受け、作業場出入口等に必要に応じて交通誘導員を配置し、道路標識、保安灯、セイフティコーン又は矢印板を設置する等、常に交通の流れを阻害しないよう努めなければならない。なお、交通量の少ない道路にあっては、簡易な自動信号機によって交通の誘導を行うことができる。
また、近接して他の工事が行われる場合には、施工者間で交通の誘導について十分な調整を行い、交通の安全の確保を図らなければならない。
(まわり道)
第二一 起業者及び施工者は、土木工事のために一般の交通を迂回させる必要がある場合においては、道路管理者及び所轄警察署長の指示するところに従い、まわり道の入口及び要所に運転者又は通行者に見やすい案内用標示板等を設置し、運転者又は通行者が容易にまわり道を通過し得るようにしなければならない。
(車両交通のための路面維持)
第二二 施工者は、道路を掘削した箇所を車両の交通の用に供しようとするときは、埋戻したのち、原則として、仮舗装を行い、又は覆工を行う等の措置を講じなければならない。この場合、周囲の路面との段差を生じないようにしなければならない。
やむを得ない理由で段差が生じた場合は、五パーセント以内の勾配ですりつけるものとし、施工上すりつけが困難な場合には、標示板等によって通行車両に予知させなければならない。
2 施工者は、道路敷において又は道路敷に接して工事を行う場合で、特に地下掘進工事を行うときは、路面の変状観測を行うものとし、必要に応じ、本章各項に規定する設置を講じなければならない。
(車道幅員)
第二三 起業者及び施工者は、土木工事のために一般の交通の用に供する部分の通行を制限する必要のある場合においては、道路管理者及び所轄警察署長の指示に従うものとし、特に指示のない場合は、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 制限した後の道路の車線が一車線となる場合にあっては、その車道幅員は三メートル以上とし、二車線となる場合にあっては、その車道幅員は五・五メートル以上とする。
二 制限した後の道路の車線が一車線となる場合で、それを往復の交互交通の用に供する場合においては、その制限区間はできるだけ短くし、その前後で交通が渋滞することのないように措置するとともに、必要に応じて交通誘導員等を配置する。
(歩行者対策)
第二四 起業者及び施工者は、第二三(車道幅員)に規定する場合において、歩行者が安全に通行し得るために歩行者用として別に幅〇・七五メートル以上、特に歩行者の多い箇所においては幅一・五メートル以上の通路を確保しなければならない。
この場合、車両の交通の用に供する部分との境には第一一(さくの規格、寸法)から第一三(移動さくの設置及び撤去方法)までの規定に準じてすき間なく、さく等を設置する等歩行者用通路を明確に区分するとともに、歩行に危険のないよう路面の凹凸をなくし、必要に応じて階段等を設けておかなければならない。
(通路の排水)
第二五 施工者は、土木工事の施工に当たり、一般の交通の用に供する部分について、雨天等の場合でも通行に支障がないよう、排水を良好にしておかなければならない。
(高い構造物等及び危険箇所の照明)
第二六 施工者は、道路上に又は道路に近接して杭打機その他の高さの高い工事用機械類若しくは構造物を設置しておく場合又は工事のため一般の交通にとって危険が予想される箇所がある場合においては、それらを白色照明灯で照明し、それらの所在が容易に確認できるようにしなければならない。
2 前項の場合において、照明装置は、その直射光が通行者の眼を眩惑しないようにしなければならない。
(施設の維持等)
第二七 起業者及び施工者は、第二章及び本章の規定に基づいて必要な施設を設置したときは、それらの施設が十分に機能を発揮するよう維持するとともに、標示板等が、道路標識等の効果を妨げることのないよう注意しなければならない。
第四章 軌道等の保全
(軌道経営者との事前協議)
第二八 起業者は、軌道敷内又は軌道敷に近接した場所で土木工事を施工する場合においては、あらかじめ軌道経営者と協議して、工事中における軌道の保全方法につき、次の各号に掲げる事項について決定しなければならない。
一 軌道経営者に委託する工事の範囲
二 工事中における軌条、架線等の支持方法
三 工事中における軌道車両の通行に関する規制及び規制を実施するための具体的方法
四 軌道車両の通行のために必要な工事施工の順序及び方法並びに作業時間等に関する規制及び規制を実施するための具体的方法
五 工事中軌条、架線等の取りはずしを行う必要の有無及び必要ある場合の取りはずし方法、実施時間等
六 相互の連絡責任者及び連絡方法
七 その他、軌道保全に関し必要な事項
八 前各号の事項に関し、変更の必要が生じた場合の具体的措置
(軌道施設等の仮移設等)
第二九 起業者は、土木工事に関して軌条、停留場、安全地帯等の軌道施設等の仮移設等が必要となる場合においては、あらかじめ軌道経営者、道路管理者及び所轄警察署長と協議しなければならない。
(協議事項の周知及び遵守)
第三〇 起業者は、第二八(軌道経営者との事前協議)及び第二九(軌道施設等の仮移設等)の規定に基づく協議により決定された事項を、施工者に周知徹底させなければならない。
2 施工者は、第二八(軌道経営者との事前協議)及び第二九(軌道施設等の仮移設等)の規定に基づいて決定された事項を遵守し、疑問の生じた場合には、その事項について起業者に確認しなければならない。
(絶縁工)
第三一 起業者及び施工者は、軌道帰線から一メートル以内の箇所に、金属製の管路等を埋設する等の場合においては、軌道経営者の指示に従い絶縁工を施さなければならない。
(鉄道)
第三二 起業者は、鉄道敷内又は鉄道敷に近接した場所で土木工事を施工する場合においては、鉄道経営者に委託する工事の範囲及び鉄道保全に関し必要な事項を鉄道経営者と協議しなければならない。
第五章 埋設物
(保安上の事前措置)
第三三 起業者は、土木工事の設計に当たっては、工事現場、工事用の通路及び工事現場に近接した地域にある埋設物について、埋設物の管理者の協力を得て、位置、規格、構造及び埋設年次を調査し、その結果に基づき埋設物の管理者及び関係機関と協議確認の上、設計図書にその埋設物の保安に必要な措置を記載して施工者に明示しなければならない。
(立会)
第三四 起業者は、埋設物の周辺で土木工事を施工する場合において、第三三(保安上の事前措置)に規定する調査を行うに当たっては、原則として、各種埋設物の管理者に対し埋設物の種類、位置(平面、深さ)等の確認のため、第三六(埋設物の確認)の規定による立会を求めなければならない。ただし、各種埋設物の状況があらかじめ明らかである場合はこの限りではない。
(保安上の措置)
第三五 起業者又は起業者から埋設物の保安に必要な措置を行うよう明示を受けた施工者は、埋設物に近接して土木工事を施工する場合には、あらかじめその埋設物の管理者及び関係機関と協議し、関係法令等に従い、工事施工の各段階における保安上の必要な措置、埋設物の防護方法、立会の有無、緊急時の連絡先及びその方法、保安上の措置の実施区分等を決定するものとする。
2 起業者が前項の規定により決定し、施工者に通知したときは、施工者は決定事項を厳守しなければならない。
(埋設物の確認)
第三六 起業者又は施工者は、埋設物が予想される場所で土木工事を施工しようとするときは、施工に先立ち、埋設物管理者等が保管する台帳に基づいて試掘等を行い、その埋設物の種類、位置(平面・深さ)、規格、構造等を原則として目視により確認しなければならない。
なお、起業者又は施工者は、試掘によって埋設物を確認した場合においては、その位置等を道路管理者及び埋設物の管理者に報告しなければならない。
この場合、深さについては、原則として標高によって表示しておくものとする。
2 施工者は、工事施工中において、管理者の不明な埋設物を発見した場合、埋設物に関する調査を再度行い、当該管理者の立会を求め、安全を確認した後に処置しなければならない。
(布掘り及びつぼ掘り)
第三七 施工者は、道路上において土木工事のために杭、矢板等を打設し、又は穿孔等を行う必要がある場合においては、埋設物のないことがあらかじめ明確である場合を除き、埋設物の予想される位置を深さ二メートル程度まで試掘を行い、埋設物の存在が確認されたときは、布掘り又はつぼ掘りを行ってこれを露出させなければならない。
(露出した埋設物の保安維持等)
第三八 施工者は、工事中埋設物が露出した場合においては、第三五(保安上の措置)の規定に基づく協議により定められた方法によって、これらの埋設物を維持し、工事中の損傷及びこれによる公衆災害を防止すめために万全を期するとともに、協議によって定められた保安上の措置の実施区分に従って、常に点検等を行わなければならない。
なお、露出した埋設物には、物件の名称、保安上の必要事項、管理者の連絡先等を記載した標示板を取り付ける等により、工事関係者等に対し注意を喚起しなければならない。
2 露出した埋設物がすでに破損していた場合においては、施工者は、直ちに起業者及びその埋設物の管理者に連絡し、修理等の措置を求めなければならない。
3 施工者は、露出した埋設物が埋戻した後において破損するおそれのある場合には、起業者及び埋設物の管理者と協議の上、適切な措置を行うことを求め、工事終了後の事故防止について十分注意しなければならない。
4 施工者は、第一項の規定に基づく点検等の措置を行う場合において、埋設物の位置が掘削床付け面より高い等通常の作業位置からの点検等が困難な場合には、あらかじめ起業者及びその埋設物管理者と協議の上、点検等のための通路を設置しなければならない。
ただし、作業のための通路が点検のための通路として十分利用可能な場合にはこの限りではない。
(近接位置の掘削)
第三九 施工者は、埋設物に近接して掘削を行う場合には、周囲の地盤のゆるみ、沈下等に十分注意するとともに、必要に応じて埋設物の補強、移設等について、起業者及びその埋設物の管理者とあらかじめ協議し、埋設物の保安に必要な措置を講じなければならない。
(火気)
第四〇 施工者は、可燃性物質の輸送管等の埋設物の付近において、溶接機、切断機等火気を伴う機械器具を使用してはならない。
ただし、やむを得ない場合において、その埋設物の管理者と協議の上、周囲に可燃性ガス等の存在しないことを検知器等によって確認し、熱遮へい装置など埋設物の保安上必要な措置を講じたときにはこの限りではない。
第六章 土留工
(土留工を必要とする掘削)
第四一 起業者又は施工者は、地盤を掘削する場合においては、掘削の深さ、掘削を行っている期間、当該工事区域の土質条件、地下水の状況、周辺地域の環境条件等を総合的に勘案して、土留工の型式を決定し、安全かつ確実に工事が施工できるようにしなければならない。
この場合、切取り面にその箇所の土質に見合った勾配を保って掘削できる場合を除き、掘削の深さが一・五メートルを超える場合には、原則として、土留工を施すものとする。また、掘削深さが四メートルを超える場合、周辺地域への影響が大きいことが予想される場合等重要な仮設工事においては、親杭横矢板、鋼矢板等を用いた確実な土留工を施さなければならない。
(土質調査)
第四二 起業者は、重要な仮設工事を行う場合においては、既存の資料等により工事区域の土質状況を確認するとともに、必要な土質調査を行い、その結果に基づいて土留工の設計、施工方法等の検討等を行うものとする。
(土留工の構造)
第四三 土留工の安定に関する設計計算は、学会その他で技術的に認められた方法及び基準に従い、施工期間中における降雨等による条件の悪化を考慮して行わなければならない。また、土留工の構造は、その計算結果を十分満足するものでなければならない。
(杭、鋼矢板等の打設工程)
第四四 施工者は、道路において杭、鋼矢板等を打設するためこれに先行する布掘りを行う場合には、その布掘りの工程の範囲は、杭、鋼矢板等の打設作業の工程の範囲において必要最小限にとどめ、打設後は速やかに埋め戻し、念入りに締め固めて従前の機能を維持し得るよう表面を仕上げておかなければならない。
なお、杭、鋼矢板等の打設に際しては、周辺地域への環境対策についても配慮しなければならない。
(鋼矢板等の適用)
第四五 起業者又は施工者は、掘削予定箇所の土質が軟弱で、地下水位が高い等好ましくない条件のもとで工事を行う場合においては、鋼矢板による土留工法又はこれと同等以上の安全性を有する土留工法を採用しなければならない。
(杭、鋼矢板等の根入れ)
第四六 杭、鋼矢板等の根入れ長は、安定計算、支持力の計算、ボイリングの計算及びヒービングの計算により決定するものとする。この場合、重要な仮設工事にあっては、原則として根入れ長は、杭の場合においては一・五メートル、鋼矢板等の場合においては三・〇メートルを下回ってはならない。
(軟弱地盤対策)
第四七 起業者又は施工者は、掘削基盤付近の地盤が沈下、移動又は隆起するおそれがある場合においては、土留壁の根入れ長の増加、底切りばりの設置、地盤改良等適切な措置を講じるとともに、工程及び工法についても安全が確保できるように配慮しなければならない。
(親杭横矢板)
第四八 重要な仮設工事に用いる親杭横矢板が、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 土留杭は、H―三〇〇を最小部材とする。
二 土留板は、所要の強度を有する木材で最小厚を三センチメートルとし、その両端が、四センチメートル以上(当該土留板の板厚が四センチメートルを超えるときには当該板厚以上)土留杭のフランジに係る長さを有するものとする。
2 施工者は、土留板を掘削後速やかに掘削土壁との間にすき間のないようにはめ込まなければならない。また、土壁との間にすき間ができたときは裏込め、くさび等ですき間のないように固定しなければならない。
(鋼矢板の寸法)
第四九 重要な仮設工事に用いる鋼矢板は、III型以上を標準とする。
(腹おこし)
第五〇 施工者は、腹おこしの施工に当たっては、土留杭又は鋼矢板等と十分密着するようにし、すき間を生じたときはパッキング材等で土留からの荷重を均等に受けられるようにするとともに、受け金物、吊り下げワイヤー等によって支持し、振動その他により落下することのないようにしなければならない。
2 重要な仮設工事にあっては、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 腹おこしは、H―三〇〇を最小部材とし、継手間隔は六メートル以上とする。
二 腹おこしの垂直間隔は、三メートル程度とし、土留杭又は鋼矢板等の頂部から一メートル程度以内のところに、第一段の腹おこしを施すものとする。
ただし、覆工を要する部分にあって受桁がある場合においては、第一段の腹おこしは、土留杭又は鋼矢板等の頂部から一メートルを超えるところに施すことを妨げない。
(切りばり)
第五一 施工者は、切りばりを施工するに当たっては、切りばりを腹おこしの間に接続し、ジャッキ等をもって堅固に締めつけるとともに、ゆるみ等を生じても落下することのないよう中間杭、ボルト等によって支持しなければならない。
2 施工者は、切りばりに、腹おこしからくる土圧以外の荷重が加わるおそれがある場合、又は荷重をかける必要のある場合においては、それらの荷重に対して必要な補強措置を講じなければならない。
3 施工者は、切りばりには、座屈のおそれがないよう十分な断面と剛性を有するものを使用しなければならない。
4 施工者は、切りばりには、原則として継手を設けてはならない。ただし、掘削幅が大きい等やむを得ない場合においては、次の各号に掲げるところにより継手を設けることができるものとする。
一 切りばりの継手は、十分安全な強度をもつ突合せ継手とし、座屈に対しては、水平継材、垂直継材又は中間杭で切りばり相互を緊結固定すること。
二 中間杭を設ける場合は、中間杭相互にも水平連結材を取り付け、これに切りばりを緊結固定すること。
三 一方向切りばりに対して中間杭を設ける場合においては、中間杭の両側に腹おこしに準ずる水平連結材を緊結し、この連結材と腹おこしの間に切りばりを接続すること。
四 二方向切りばりに対して中間杭を設ける場合には、切りばりの交点に中間杭を設置して、両方の切りばりを中間杭に緊結すること。
5 重要な仮設工事に当たっては、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 切りばりは、H―三〇〇を最小部材とする。
二 切りばりは、水平間隔五メートル以下、垂直間隔三メートル程度にし、掘削に従って速やかに取り付けなければならない。
ただし、切りばりの設置間隔については、大規模な地下掘削工事等において、計算等によりその安全性が確認された場合はこの限りではない。
(杭、鋼矢板等の変形等)
第五二 施工者は、打設した杭、鋼矢板等が不測の障害物等のために変形し又は貫入しなかった場合においては、所期の目的にかなうよう適宜補強しなければならない。
(鋼矢板等の欠損部)
第五三 起業者及び施工者は、鋼矢板等連続性の土留壁が埋設物等のために欠損部を生じた場合においては、その土留壁と同等以上の安全性を有する補強工法を採用し、施工者は、欠損部が弱点となることのないよう慎重に施工しなければならない。
(土留工の管理)
第五四 施工者は、土留工を施してある間は常時点検を行い、土留用部材の変形、その緊結部のゆるみなどの早期発見に努力し、事故防止に努めなければならない。
また、必要に応じて施工者は、測定計器を使用し、土留工に作用する荷重、変位等を測定し、安全を確認しながら施工しなければならない。
2 施工者は、土留工を施してある間、必要がある場合は、定期的に地下水位、地盤沈下又は移動を観測してこれを記録し、地盤の隆起、沈下等異常が発生したときは埋設物の管理者等に連絡し、保全上の措置を講じるとともに、その旨を起業者その他関係者に通知しなければならない。
第七章 覆工
(設計荷重及び許容応力)
第五五 起業者及び施工者は、土木工事の施工区域又はこれに隣接した区域における路面覆工の設計に当たっては、当該設置場所の管理者が必要と認める設計荷重及び主要材料の許容応力度等を用いなければならない。
(覆工板)
第五六 施工者は、覆工には、原則として、ずれ止めのついた鋼製又はコンクリート製覆工板等を使用するものとする。
この場合、覆工した部分の換気に留意しなければならない。
(覆工部の表面)
第五七 施工者は、段差を生じないように覆工板を取り付けなければならない。やむを得ず段差が生じるときは、適切にすりつけを行わなければならない。
2 施工者は、各覆工板の間にすき間を生じないように覆工板を取り付けなければならない。
(取付け部)
第五八 施工者は、覆工部と道路部とが接する部分については、アスファルト・コンクリート等でそのすき間を充填するとともに、表面の取付けについては第二二(車両交通のための路面維持)の規定に準じて行わなければならない。
また、覆工部の端部は、路面の維持を十分行わなければならない。
(小部分の短期間工事)
第五九 施工者は、布掘り、つぼ掘り等で極めて小部分を一昼夜程度の短期間で掘削する場合においては、原則として埋戻しを行い、交通量に応じた仮復旧を行わなければならない。
なお、橋面等の小規模工事で、やむを得ず鉄板により覆工を行う場合は、滑止めのついた鉄板を用いることとし、鉄板のすりつけに留意するとともに、鉄板の移動が生じないようにしなければならない。
(滑止め)
第六〇 施工者は、覆工板に鋼製のものを使用する場合においては、滑止めのついたものでなければならない。
(覆工板の取付け)
第六一 施工者は、覆工板の取付けに当たっては、通行車両によるはね上がりや車両の制動に伴う水平方向等の移動を生じないようにしなければならない。
(覆工板の支承部)
第六二 受桁の覆工板支承部は、覆工板が破損しないよう十分支持面をとらなければならない。
(覆工板の受桁)
第六三 施工者は、覆工板の受桁は、原則として、鋼製のものを使用し、埋設物の吊桁を兼ねてはならない。
2 前項の受桁は、所要の強度を有するとともに、活荷重による中央部のたわみは、原則として最大スパンの四〇〇分の一以下で、かつ、二・五センチメートル以下としなければならない。
3 施工者は、路面勾配がある場合は、荷重が正確に受桁に伝わる構造とし、また、受桁の転倒防止のための補強を行わなければならない。
(覆工板の受桁の支承部)
第六四 施工者は、覆工板の受桁を、その両端及び必要ある場合は、中間点において沈下及び移動のないよう堅固に固定しなければならない。
2 前項の場合において、固定する部分の荷重を土留杭、鋼矢板、中間杭等で支持させようとするときは、その土留杭等の列の頂部に溝型鋼、山型鋼等を緊結し、その溝型鋼等に受桁を固定するものとする。土留杭が木又はコンクリート製のものである場合においては、桁の両端を地山の中に埋め込む等適切な方法を講じなければならない。
3 前項の溝型鋼等は、土留杭、鋼矢板、中間杭等に緊結し、受桁からくる荷重をなるべく多数の土留杭等に分布するよう処置しなければならない。
(覆工部の出入口)
第六五 施工者は、覆工部の出入口を道路敷地内に設ける場合においては、原則として作業場内に設けることとし、やむを得ず作業場外に設ける場合には、歩行者等に迷惑を及ぼさない場所に設けなければならない。
2 施工者は、地下への出入口の周囲には、高さ一・二メートル程度の堅固な囲いをし、確認し得るよう彩色、照明を施さなければならない。
この場合における彩色は、第一二(さくの彩色)の規定に準ずるものとする。
3 施工者は、前項の囲いの出入口の扉は、出入時以外は常に閉鎖しておかなければならない。
(資器材等の搬入)
第六六 施工者は、資器材等の搬入等に当たり、覆工板の一部をはずす場合においては、必ずその周囲に移動さく等を設けるとともに、専任の誘導員を配置して関係者以外の立入りを防止し、夜間にあっては照明を施さなければならない。
2 施工者は、資器材等の搬入等の作業が終了したときは、速やかに覆工板を復元しなければならない。
(維持管理)
第六七 施工者は、覆工部については、保安要員を配置し、常時点検してその機能維持に万全を期するとともに、特に次の各号に注意しなければならない。
一 覆工板の摩耗、支承部における変形等による強度の低下に注意し、所要の強度を保つよう維持点検すること。
二 滑止め加工のはく離、滑止め突起の摩滅等による機能低下のないよう維持点検すること。
三 覆工板のはね上がりやゆるみによる騒音の発生、冬期の凍結及び振動による移動についても維持点検すること。
四 覆工板の損傷等による交換に備え、常に予備覆工板を資材置場等に用意しておくこと。
第八章 補助工法
(補助工法の採用)
第六八 起業者又は施工者は、事前調査の結果、掘削に際して地盤が不安定で施工が困難であり、又は掘削が周辺地盤及び構造物に影響を及ぼすおそれのある場合は、薬液注入工法、地下水位低下工法、地盤改良工法等の適切な補助工法を用い、地盤の安定を図らなければならない。
(事前調査及び補助工法の選定)
第六九 起業者又は施工者は、補助工法を用いる場合は、あらかじめ周辺地域の地盤構成、埋設物、地下水位、公共用水域、井戸、隣接地下構造物等についての事前調査を行わなければならない。
2 起業者又は施工者は、補助工法の選定に当たっては、前項の事前調査の結果に基づき、施工条件、環境条件、安全性、工程等に留意し、適切な補助工法を選定しなければならない。
(薬液注入工法)
第七〇 起業者及び施工者は、薬液注入工法を用いる場合においては、使用する薬液、薬液の保管、注入作業管理、排出水等の処理、掘削土及び残材の処分方法、周辺の地下水、公共用水域等の水質の監視等について、「薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針(昭和四九年建設省官技発第一六〇号)」及び「薬液注入工事に係わる施工管理等について(平成二年技調発第一八八号)」の定めるところに従わなければならない。
2 施工者は、注入圧力及び注入量を常時監視するとともに、周辺地域の地表面及び構造物の変状、地下水位及び水質の変化等を定期的に測定し、これらの異常の有無を監視しなければならない。
この場合において、異常が認められ、周辺に危害を及ぼすおそれが生じたときは、施工者は、直ちに注入を中止し、起業者と協議の上、その原因を調査し、保全上の措置を講じなければならない。
(地下水位低下工法)
第七一 起業者又は施工者は、地下水位低下工法を用いる場合は、地下水位、可能水位低下深度、水位低下による周辺の井戸及び公共用水域等への影響並びに周辺地盤、構造物等の沈下に与える影響を十分検討、把握しなければならない。
2 施工者は、地下水位低下工法の施工期間を通して、計画の地下水位を保つために揚水量の監視、揚水設備の保守管理及び工事の安全な実施に必要な施工管理を十分行わなければならない。特に必要以上の揚水をしてはならない。
3 施工者は、揚水した地下水の処理については、周辺地域への迷惑とならないように注意しなければならない。
なお、排水の方法等については、第七四(排水の処理)の規定によらなければならない。
4 施工者は、施工期間を通して、工事現場及び周辺地域の地下水位並びに地表面、構造物等の変状を定期的に測定することにより、異常の有無を監視しなければならない。周辺に危害を及ぼすおそれが認められたときは、施工者は、起業者と協議し、直ちに原因の調査及び保全上の措置を講じた後に、より安全な工法の検討を行わなければならない。
(地盤改良工法)
第七二 施工者は、地盤改良工法を用いる場合において、土質改良添加剤の運搬・保管及び地盤への投入・混合に際しては、周辺への飛散、流出等により周辺環境を損なうことのないよう留意しなければならない。
2 施工者は、危険物に指定される土質改良添加剤を用いる場合においては、消防法等の定めるところに従ってこれを取扱い、公衆へ迷惑を及ぼすことのないよう留意しなければならない。
3 施工者は、施工中においては、近隣地盤の隆起や側方変位を測定しなければならない。周辺に危害を及ぼすような地盤の変状が認められた場合は作業を中止し、施工者は、起業者と協議の上、原因の調査及び保全上の措置を講じなければならない。
第九章 湧水等の処理
(湧水及び漏水)
第七三 起業者及び施行者は、掘削箇所内に多量の湧水又は漏水、土砂の流出、地盤のゆるみ等により、周辺への影響が生じるおそれのある場合には、その箇所に第八章に規定する薬液注入工法等を採用し、安全の確保に努めなければならない。
(排水の処理)
第七四 施工者は、掘削工事を行うに当たっては、必要に応じて掘削箇所内に排水溝を設けなければならない。特に河川あるいは下水道等に排水する際には、水質の調査を行った後、排水するものとし、事前に、河川法、下水道法等の規定に基づき、当該管理者に届出を提出し、あるいは許可を受けなければならない。
なお、土粒子を含む水のくみ上げに当たっては、少なくとも、沈砂・ろ過施設等を経て排水しなければならない。
第一〇章 建設副産物の処理
(建設副産物の処理)
第七五 建設副産物の処理に当たっては、「建設副産物適正処理推進要綱(平成五年建設省経建発第三号)」を遵守して行わなければならない。
第一一章 埋戻し
(杭、鋼矢板等の措置)
第七六 施工者は、埋戻しに際して、杭、鋼矢板等については撤去することを原則とし、これらを撤去することが不適切又は不可能な場合においては、当該杭、鋼矢板等の上端は、打設場所の当該管理者により指示され又は協議により決定された位置で切断撤去を行わなければならない。また、埋戻しに先立って路面覆工の受け杭などを切断処理する場合には、その処理方法を関係管理者と協議の上施工しなければならない。
なお、残置物については、その記録を整備し、関係管理者に提出しなければならない。
(切りばり、腹おこしの措置)
第七七 施工者は、切りばり、腹おこし、グランドアンカー等の土留め用の支保工の撤去に当たっては、周辺の地盤をゆるめ、地盤沈下の原因とならないよう十分検討しなければならない。
また、支保工の解体は原則として、解体しようとする支保工部材の下端まで埋戻しが完了した後行わなければならない。
なお、残置物については、あらかじめ関係管理者と協議し、その記録を整備し関係管理者に提出しなければならない。
(掘削箇所内の点検)
第七八 施工者は、埋戻しに先立ち、必要に応じて埋設物管理者の立会を求め、掘削箇所内を十分点検し、不良埋設物の修理、埋設物支持の確認、水みちの制止等を十分に行わなければならない。特に、地下水位が高く、感潮する箇所にあっては、その影響を十分考慮し、起業者と協議の上、措置しなければならない。
(一般部の埋戻し方法)
第七九 施工者は、道路敷における埋戻しに当たっては、道路管理者の承諾を受け、又はその指示に従い、指定された土砂を用いて、原則として、厚さ三〇センチメートル、路床部にあっては厚さ二〇センチメートルを超えない層ごとに十分締め固め、将来、陥没、沈下等を起こさないようにし、道路敷以外における埋戻しに当たっては、当該土地の管理者の承諾を得て、良質の土砂を用い、原則として、厚さ三〇センチメートル以下の層ごとに十分締固めを行わなければならない。
ただし、施工上やむを得ない場合は、道路管理者又は当該土地の管理者の承諾をうけ、他の締固め方法を用いることができる。
(杭、鋼矢板引抜き箇所の埋戻し方法)
第八〇 施工者は、杭、鋼矢板等の引抜き箇所の埋戻しに当たっては、地盤沈下を引き起こさないよう、水締め等の方法により、十分注意して施工しなければならない。なお、民地家屋近接部、埋設物近接部など地盤沈下による影響が大きいと判断される場合には、起業者及び関係管理者と協議を行い、貧配合モルタル注入等の地盤沈下防止措置を講じなければならない。
(埋設物周りの埋戻し方法)
第八一 施工者は、埋設物周りの埋戻しに当たっては、関係管理者の承諾を受け、又はその指示に従い、良質な砂等を用いて、十分締め固めなければならない。また、埋設物に偏圧や損傷等を与えないように施工しなければならない。
また、埋設物が輻輳する等により、締固めが十分できない場合には、施工者は、起業者及び関係管理者と協議を行い、エアモルタル充填等の措置を講じなければならない。
(構造物等の周囲の埋戻し方法)
第八二 施工者は、構造物等の周囲の埋戻しに当たり、締固め機械の使用が困難なときは、関係管理者の承諾を受け、又はその指示に従い、良質の砂等を用いて水締め等の方法により埋め戻さなければならない。
また、民地近接部、埋設物近接部など土留壁の変形による地盤沈下の影響が予想される場所については、起業者及び関係管理者と協議の上、貧配合モルタル注入、貧配合コンクリート打設等の措置を講じなければならない。
第一二章 機械・電気
(機械)
第八三 起業者又は施工者は、建設機械の選定に当たっては、騒音、振動等について地域・環境対策に十分配慮しなければならない。
また、機械の能力は、特に公衆災害の防止の見地に立って、安全に作業ができるよう、工事の規模、機械の設置位置等に見合ったものとしなければならない。
2 施工者は、建設機械を、原則として主たる用途以外の用途に使用してはならない。
(掘削土搬出用施設)
第八四 施工者は、道路上又は道路に近接して掘削土搬出用の施設を設ける場合においては、その垂直投影面は、原則として、作業場内になければならない。
2 施工者は、掘削土搬出用施設にステージがある場合においては当該ステージを、厚さが三センチメートル以上の板又はこれと同等以上の強度を有する材料ですき間のないように張り、また作業場の周囲から水平距離一・五メートル以内にあるステージについては、その周辺をステージの床から高さ一・二メートル以上のところまで囲わなければならない。
3 施工者は、掘削土搬出用施設が家屋に近接している場合においては、その家屋に面する部分を、塵埃及び騒音の防止等のため、遮へいしなければならない。
(杭打機等の選定)
第八五 起業者又は施工者は、支柱等のある杭打機、クレーン等の機械類を選定するに際しては、自立できるもので、安全な作業ができる能力の機種を選定しなければならない。
また、この場合において施工者は、作業に際し、あらかじめ公衆災害防止に係わる安全な作業手順を定め、工事関係者に周知させなければならない。
(組立て及び解体)
第八六 施工者は、第八五(杭打機等の選定)に規定する機械類の組立及び解体に当たっては、機械の使用法に精通した者の直接の指揮により、定められた手順を厳守して行わなければならない。
(機械類の使用及び移動)
第八七 施工者は、機械類を使用し、又は移動させる場合においては、それらの機械類に関する法令等の定めを厳守し、架線その他の構造物に接触し、若しくは法令等に定められた範囲以上に近接し、又は道路等に損傷を与えることのないようにしなければならない。
2 施工者は、機械類を使用する場合においては、その作動する範囲は原則として作業場の外に出てはならない。
3 施工者は、架線、構造物等若しくは作業場の境界に近接して、又はやむを得ず作業場の外に出て機械類を操作する場合においては、歯止めの設置、ブームの回転に対するストッパーの使用、近接電線に対する絶縁材の装着、見張員の配置等必要な措置を講じなければならない。
(軟弱な地盤上の安定)
第八八 施工者は、軟弱な地盤の上で機械類を使用する場合においては、それらの機械類が倒れないように敷材を敷く等適切な措置を講じるとともに、移動に当たっては細心の注意を払わなければならない。
特に、高い支柱等のある機械類は、地盤の傾斜角に応じて転倒の危険性が高まるので、常に水平に近い状態で使用するよう必要に応じて適切な支持地盤養生を行わなければならない。
(休止)
第八九 施工者は、可動式の機械類を休止させておく場合においては、傾斜のない堅固な地盤の上に置くとともに、運転者が当然行うべき措置を講じさせるほか、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 ブームを有する機械類については、そのブームを最も安定した位置に固定するとともに、そのブームに自重以外の荷重がかからないようにすること。
二 ウインチ等のワイヤー、フック等の吊り下げ部分については、それらの吊り下げ部分を固定し、ワイヤーに適度の張りをもたせておくこと。
三 ブルドーザー等の排土板等については、地面又は堅固な台上に定着させておくこと。
四 車輪又は履帯を有する機械類については、歯止め等を適切な箇所に施し、逸走防止に努めなければならない。
2 施工者は、傾斜のない地盤が得られない場所で車輪又は履帯を有する機械類を休止させる場合においては、機械が左右方向に傾斜しないようにするとともに、動き出すおそれのある方向と逆の方向へ駆動する最低速度段の変速ギヤーを入れ、クラッチをつなぎ、歯止め等を適切な箇所に施し、逸走防止に努めなければならない。
3 施工者は、機械類を操作している者が一時所定の位置を離れる場合においては、原動機を止め、又は電源を切り、制動をかける等事故の防止に必要な措置を講じ、かつ、起動用の鍵を取りはずして保管しておかなければならない。
(機械の能力)
第九〇 施工者は、機械類を使用する場合においては、それらの機械類の能力を十分に把握・理解し、その能力を超えて使用してはならない。
2 施工者は、使用する方向又は角度によって能力の変化する機械類を使用する場合においては、それらの機械類の能力の変化について十分配慮し、その能力の変化表を運転席の見やすい箇所に表示しておかなければならない。
3 施工者は、過度に高い杭打機等又は過度に長いクレーン等のブームを使用しないように努めなければならない。
(安全装置)
第九一 施工者は、機械類の安全装置が、その機能を十分発揮できるように常に整備しておかなければならない。
(仮設電気設備)
第九二 起業者及び施工者は、仮設電気設備を設けるときは、「電気設備技術基準(昭和四〇年通商産業省令第六一号)」等の規定を遵守しなければならない。
2 施工者は、仮設電気設備の維持管理に当たっては、保安責任者を定め、巡視点検を行わなければならない。
(鍵及び開閉器等の管理)
第九三 施工者は、機械類の起動に必要な鍵を、常にそれらの機械類の管理責任者に保管させなければならない。
2 施工者は、機械類の動力として電力を使用する場合においては、その開閉器等を施錠できる箱の中に収め、また、これらを路上又は電柱等に取り付ける場合においては、人の通行の妨げ又は通行者に危険を及ぼすことのない位置に設置しなければならない。鍵は、前項と同様、それらの機械類の管理責任者に保管させなければならない。
(機械類の点検)
第九四 施工者は、機械類の維持管理に当たっては、各部分の異常の有無について定期的に自主検査を行い、その結果を記録しておかなければならない。
2 施工者は、機械類の運転等が、法に定められた資格を有する者で指名を受けたものにより、定められた手順に従って行われているかどうかについて、作業場等の巡視を行わなければならない。
第一三章 地下掘進工事
(施工環境と地盤条件の調査)
第九五 起業者は地下掘進工事の計画に当たっては、土質並びに地上及び地下において隣接する施設並びに埋設物の諸施設を調査し、周辺の環境保全及び自然条件を考慮した設計としなければならない。
2 施工者は、地下掘進工事の施工に際し、計画線形に基づき、その施工場所の土質構成及び地上・地下における隣接構造物や埋設物の位置、規模等、工事にかかわる諸条件を正確に把握し、これらの施設や埋設物に損傷を与えることのないよう現場に最も適応した施工計画をたて、工事中の周辺環境及び自然条件を把握し、安全に施工するよう努めなければならない。
(作業基地)
第九六 起業者は、作業基地の選定に当たっては、近接の居住地域の環境、周辺道路の交通状況等を勘案の上、計画しなければならない。
2 施工者は、作業基地の使用に当たり、掘進に必要となる仮設備を有効かつ効率よく配置し、公害防止に配慮した安全な作業基地となるよう計画しなければならない。
(掘進)
第九七 施工者は、掘進作業に当たり、隣接施設や埋設物に支障を与えないようにするとともに、地表面には、不陸を生じさせないよう注意して施工しなければならない。
(掘進中の観測)
第九八 施工者は、掘進に当たり、周辺の地表面、隣接施設等に変状をきたすことのないよう一定期間、定期的に観測を行い、必要に応じ適切な対策を講じなければならない。
第一四章 高所作業
(仮囲い)
第九九 施工者は、地上四メートル以上の高さを有する構造物を建設する場合においては、工事期間中作業場の周囲にその地盤面(その他盤面が作業場の周辺の地盤面より低い場合においては、作業場周辺の地盤面)から高さが一・八メートル以上の仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の囲いがある場合又は作業場の周辺の状況若しくは工事状況により危害防止上支障がない場合においてはこの限りでない。
2 前項の場合において、仮囲いを設けることにより交通に支障をきたす等のおそれがあるときは、金網等透視し得るものを用いた仮囲いにしなければならない。
3 施工者は、高架橋、橋梁上部工、特殊壁構造等の工事で仮囲いを設置することが不可能な場合は、第一〇一(落下物に対する防護)の規定により落下物が公衆に危害を及ぼさないように安全な防護施設を設けなければならない。
(材料の集積等)
第一〇〇 施工者は、高所作業において必要な材料等については、原則として、地面上に集積しなければならない。ただし、やむを得ず既設の構造物等の上に集積する場合においては、置場を設置するとともに、次の各号の定めるところによるものとする。
一 既設構造物の端から原則として2メートル以内のところには集積しないこと。
二 既設構造物が許容する荷重を超えた材料等を集積しないこと。
また、床面からの積み高さは二メートル未満とすること。
三 材料等は安定した状態で置き、長ものの立て掛け等は行わないこと。
四 風等で動かされる可能性のある型枠板等は、既設構造物の堅固な部分に縛りつける等の措置を講ずること。
五 転がるおそれのあるものは、まとめて縛る等の措置を講ずること。
六 ボルト、ナット等細かい材料は、必ず袋等に入れて集積すること。
(落下物に対する防護)
第一〇一 施工者は、地上四メートル以上の場所で作業する場合において、作業する場所からふ角七五度以上のところに一般の交通その他の用に供せられている場所があるときは、作業する場所の周囲その他危害防止上必要な部分を板材等をもって覆う等落下物による危害を防止するための必要な施設を設けなければならない。
なお、地上四メートル以下の場所で作業する場合においても危害を生じるおそれがあるときは、必要な施設を設けなければならない。
(道路の上方空間の安全確保)
第一〇二 施工者は、第一〇一(落下物に対する防護)の規定による施設を道路の上空に設ける場合においては、地上から「道路構造令(昭和四五年政令第三二〇号)」第一二条に定める高さを確保しなければならない。
2 前項の規定によりがたい場合には、道路管理者及び所轄警察署長の許可を受け、その指示によって必要な標識等を掲げなければならない。
また、当該標識等を夜間も引き続いて設置しておく場合は、通行車両から視認できるよう適切な照明等を施さなければならない。
3 施工者は、歩道及び自転車道上に設ける工作物については、路面からの高さ二・五メートル以上を確保し、雨水や工事用の油類、塵埃等の落下を防ぐ構造としなければならない。
(道路の上空における橋梁架設等の作業)
第一〇三 施工者は、供用中の道路上空において橋梁架設等の作業を行う場合には、その交通対策について、第3章各項目に従って実施しなければならない。特に、橋桁の降下作業等を行う場合の交通対策については、道路管理者及び所轄警察署長の指示を受け、又は協議により必要な措置を講じなければならない。
また、作業に当たっては、当該工法に最も適した使用機材の選定、作業中における橋桁等の安定性の確認等について綿密な作業の計画を立てた上で工事を実施しなければならない。
第一五章 型枠支保工、足場等
(荷重)
第一〇四 施工者は、本工事に必要な型枠支保工、足場等の仮設構造物の計画及び設計に当たっては、工事施工中それらのものに作用する荷重により生ずる応力を詳細に検討し、工事の各段階において生ずる種々の荷重に耐え得るものとしなければならない。
2 施工者は、理論上は鉛直荷重のみが予想される場合にあっても、鉛直荷重の五パーセントの水平力に対して十分耐え得る仮設構造物としなければならない。
3 施工者は、養生シート等を張る足場にあっては、特に風圧に対して十分検討を加え、安全な構造にして取り付けなければならない。
(図面)
第一〇五 施工者は、仮設構造物の組立てに当たっては、あらかじめ組立図(姿図含む)を作成し、各部材の寸法、継手の構造等を明らかにしておかなければならない。
(接続部)
第一〇六 施工者は、仮設構造物の部材の接続部においては、一般の断面に比べて弱点にならないよう入念に施工し、特に圧縮応力を受ける部材については、全断面が有効に作用して偏心荷重を生じないよう注意しなければならない。
(交差部等)
第一〇七 施工者は、組立て部材の交差部、支承部等においては、部材の変形、たわみ等によってはずれることのないように緊結しておかなければならない。
(支承部の接触面)
第一〇八 施工者は、綱材の梁を使用し、その端を他の鋼材の上で支える場合、その接触面の長さは、その梁の支間長の一〇〇分の一以上の長さとし、五センチメートル以下であってはならない。ただし、支間が二〇メートルを超える場合においては、二〇センチメートルに止めることができる。
2 前項の場合において、受材の幅がせまいため、同項の接触面を取り得ないときは、その受材の全幅で支持させなければならない。
3 前二項の場合において、支承面に座屈を生じるおそれのないよう十分に注意しなければならない。
4 施工者は、仮設物の支承部については、移動等の変化を発見しやすくするため目印を付し、巡回時には点検をしなければならない。
第一六章 火災及び酸素欠乏症の防止
(消火栓等)
第一〇九 施工者は、作業場及びその周辺に消火栓、火災報知器、公衆電話等がある場合においては、それらの施設の管理者の指示に従い、一般の使用に支障がないよう措置しておかなければならない。
(防火)
第一一〇 施工者は、工事のため火気を使用する必要がある場合においては、あらかじめ所轄消防署に連絡し、必要に応じて、消防法による届出又は許可申請等の手続をしなければならない。
2 施工者は、火気を使用する場合には、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 火気の使用は、工事の目的に直接必要な最小限度に止め、工事以外の目的のために使用しようとする場合には、あらかじめ火災のおそれのない箇所を指定し、その場所以外では使用しないこと。
二 火気を使用する場所には、防火対象物の消火に見合った消火器及び簡易消火用具を準備しておくこと。
三 火のつきやすいものの近くで使用しないこと。
四 溶接、切断等で火花がとび散るおそれのある場合においては、必要に応じて監視人を配置するとともに、火花のとび散る範囲を限定するための措置を講ずること。
(酸素欠乏症の防止)
第一一一 起業者又は施工者は、地下掘削工事において、上層に不透水層を含む砂層若しくは含水、湧水が少ない砂れき層又は第一鉄塩類、第一マンガン塩類等還元作用のある物質を含んでいる地層に接して潜函工法、圧気シールド工法等の圧気工法を用いる場合においては、次の各号に掲げる措置等を講じて、酸素欠乏症の防止に努めなければならない。また、起業者は、次の各号について施工者に周知徹底し、施工者においては、関係法令とともに、これを遵守しなければならない。
一 圧気に際しては、できるだけ低い気圧を用いること。
二 工事に近接する地域において、空気の漏出するおそれのある建物の井戸、地下室等について、空気の漏出の有無、その程度及び空気中の酸素の濃度を定期的に測定すること。
三 調査の結果、酸素欠乏の空気が他の場所に流出していると認められたときは、関係行政機関及び影響を及ぼすおそれのある建物の管理者に報告し、関係者にその旨を周知させるとともに、事故防止のための必要な措置を講ずること。
四 前2号の調査及び作業に当たっては、作業員及び関係者の酸素欠乏症の防止について十分配慮すること。
第一七章 その他
(整理整頓)
第一一二 施工者は、作業場の内外は常に整理整頓し、塵埃等により周辺に迷惑の及ぶことのないよう注意しなければならない。特に、民地等に隣接した作業場においては、機械、材料等の仮置には十分配慮し、緊急時に支障とならない状態にしておかなければならない。
(環境保全)
第一一三 起業者及び施工者は、公衆災害を防止するため、作業場の周辺環境に配慮するとともに、作業場周辺における住民の生活環境の保全に努めなければならない。
(巡視)
第一一四 施工者は、工事作業場内及びその周辺の安全巡視を励行し、事故防止施設の整備及びその維持管理に努めなければならない。
2 施工者は、安全巡視に当たっては、十分な経験を有する技術者、関係法規に精通している者等安全巡視に十分な知識のある者を選任しなければならない。
建設工事公衆災害防止対策要綱
建築工事編
第一章 総則
(目的)
第一 この要綱は、建築工事の施工に当たって、当該工事の関係者以外の第三者(以下「公衆」という。)の生命、身体及び財産に関する危害並びに迷惑(以下「公衆災害」という。)を防止するために必要な計画、設計及び施工の基準を示し、もって建築工事の安全な施工の確保に寄与することを目的とする。
(適用)
第二 この要綱は、建築物の建築、修繕、模様替又は除却のために必要な工事(以下「建築工事」という。)に適用する。
2 発注者(発注者の委託を受けて業務を行う設計者及び工事監理者を含む。以下同じ。)及び施工者は、建築工事に当たって、公衆災害を防止するために、この要綱の各項目を遵守しなければならない。ただし、この要綱において発注者が行うこととされている内容について、契約の定めるところにより、施工者が行うことを妨げない。
(工法の選定)
第三 発注者又は施工者は、建築工事の計画、設計及び施工に当たって、公衆災害の防止のために必要な調査を実施し、関係諸法令を遵守して、安全性等を十分検討した有効な工法を選定しなければならない。
(工期)
第四 発注者は、建築工事の工期を決めるに当たっては、この要綱に規定されている事項が十分に守られるように配慮しなければならない。
(公衆災害防止対策経費)
第五 発注者は、建築工事を実施する地域の状況を把握した上、この要綱に基づいて必要となる経費を、工事金額の中に計上しなければならない。
2 施工者は、工事の見積金額を算出するに当たっては、この要綱に基づいて必要となる経費を計上しなければならない。
(現場組織体制)
第六 施工者は、建築工事に先立ち、当該工事に係る立地条件等を十分掌握した上で、工事の内容に応じた適切な人材を配置し、指揮命令系統の明確な現場組織体制を組むとともに、工事関係者に工事の内容や使用機器材の特徴等について周知させるものとする。
2 施工者は、複数の請負関係の下で工事を施工する場合には、特に全体を統轄する組織により、安全施工の実現に努めなければならない。
(隣接工事との調整)
第七 発注者は、異なる施工者に建築工事を隣接輻輳して施工させる場合には、公衆災害の防止のため、施工者間で適切に連絡調整が行われるような措置を講じなければならない。
2 施工者は、施工者が異なる建設工事に隣接輻輳して建築工事を施工する場合には、施工者間で連絡調整を行い、公衆災害の防止に努めなければならない。
(付近居住者等への連絡)
第八 発注者及び施工者は、建築工事の施工に当たっては、必要に応じて、あらかじめ当該建築工事の概要を付近の居住者等に周知させ、その協力を求めなければならない。
2 施工者は、建築工事の施工に当たっては、発注者と連絡を密にし、付近の居住者等の公衆災害防止に対する意向を十分考慮しなければならない。
(事故発生時の措置)
第九 施工者は、建築工事の施工により事故が発生し、公衆に危害を及ぼした場合には、直ちに応急処置及び関係機関への連絡を行うとともに、類似の事故が再発しないよう措置を講じなければならない。
第二章 一般事項
(整理・整頓)
第一〇 施工者は、常に工事現場内を整理整頓し、塵埃等により周辺に迷惑の及ぶことのないよう注意しなければならない。
2 施工者は、工事用材料の集積に当たっては、倒壊、崩落、落下等が起こらないよう、安全にこれを行わなければならない。
(飛来落下による危険防止)
第一一 施工者は、工事現場の境界の近くで、かつ、高い場所から、くず、ごみその他飛散するおそれのある物を投下する場合には、建築基準法の定めるところによりダストシュートを設置する等、当該くず、ごみ等が工事現場の周辺に飛散することを防止するための措置を講じなければならない。
2 施工者は、工事をする部分が、工事現場の境界線の近くで、かつ、高い場所にあるとき、又は、はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によって工事現場の周辺に危害を及ぼすおそれがあるときは、建築基準法の定めるところにより、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分をネット類又はシート類で覆う等の防護措置を講じなければならない。
(粉塵対策)
第一二 施工者は、建築工事に伴い粉塵発生のおそれがある場合には、発生源を湿潤な状態に保つ、発生源を覆う等、粉塵の発散を防止するための措置を講じなければならない。
(適正な照明)
第一三 施工者は、建築工事に伴い既存の照明施設を一時撤去又は移動すること等により、十分な明るさを確保することが困難となった場所において、公衆の通行等に支障をきたすおそれがある場合には、適切な照明設備を設けなければならない。
(火災防止)
第一四 施工者は、建築工事のために火気を使用する場合には、必要に応じて、あらかじめ所轄消防署に連絡し、必要な手続きを行わなければならない。
2 施工者は、火気を使用する場合には、建築基準法等関係諸法令を遵守し、その場所に不燃材料の囲いを設ける等引火、延焼を防止する措置を講ずるほか、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 火気の使用は、建築工事の目的に直接必要な限度にとどめ、工事以外の目的に使用する場合には、あらかじめ火災のおそれのない箇所を指定し、その場所以外では使用しないこと。
二 防火対象物の消火に見合った消火器及び簡易消火用具を準備しておくこと。
三 火のつき易いものの近くで使用しないこと。
(騒音、振動及び電波障害対策)
第一五 発注者又は施工者は、建築工事の施工に当たっては、騒音、振動及び電波障害に配慮した工法等を選定しなければならない。
また、やむを得ず工事中に発生させる騒音、振動及び電波障害に対しては、必要に応じて、それを軽減する措置を講じなければならない。
(周辺構造物への対策)
第一六 施工者は、工事中においては、周囲の地盤のゆるみ又は沈下、構造物の破損、汚損等に十分注意するとともに、必要に応じて構造物の補強又は養生等について、その構造物の管理者とあらかじめ協議し、構造物に対する危害を防止するための措置を講じなければならない。
2 施工者は、構造物に近接して工事を行うに当たって、埋設物が予想される場合には、工事に先立ち、既存資料等により、その埋設物の位置等を確認しなければならない。
(公共設備等への対策)
第一七 発注者は、工事により影響があると思われる範囲内の公共の埋設物、架空線等の処理、防護等について、十分考慮して設計しなければならない。
2 施工者は、公共の埋設物、架空線等に近接して工事を施工する場合には、あらかじめその埋設物、架空線等の管理者及び関係機関と協議し、施工の各段階における保安上必要な措置、埋設物、架空線等の防護方法、立会の有無、緊急時の連絡先及び連絡方法等を決定しておかなければならない。
3 施工者は、工事現場及びその周辺に公衆電話、消火栓、火災報知器等がある場合には、それらの施設の管理者の指示に従い、一般の使用に支障がないような措置を講じておかなければならない。
(道路上での作業)
第一八 施工者は、やむを得ず工事現場外の道路上(上空を含む。)において、作業し、建設機械等を置き又は作動させる場合は、通行者等が安全に通行できるよう措置し、作業範囲内への立入りを制限する等公衆災害を防止するための措置を講じなければならない。
(巡視)
第一九 施工者は、安全巡視員等により工事現場内及びその周辺の安全巡視を励行し、事故防止設備の完備及びその維持管理に努めなければならない。
第三章 交通対策
(現場への車両の出入り)
第二〇 施工者は、工事現場への車両の出入りに当たっては、必要に応じて、専従の交通誘導員を配置し、公衆の通行に支障を与えないようにしなければならない。また、近接して他の建設工事が行われる場合には、施工者間で交通の誘導について十分な調整を行い、交通の安全を図らなければならない。
2 施工者は、工事現場へ車両等を出入りさせる場合には、道路構造物及び交通安全施設等に損傷を与えることのないよう注意しなければならない。
なお、損傷させた場合には、直ちに当該管理者の指示により復旧しなければならない。
(車両交通対策)
第二一 施工者は、建築工事の車両が交通に支障を起こすおそれがある場合には、関係機関と協議を行い、必要な措置を講じなければならない。
2 施工者は、公衆の通行を迂回させる必要がある場合には、関係機関と協議を行い、まわり道の入口及び要所に案内用標示板等を設置し、公衆が容易にまわり道を通過し得るようにしなければならない。
3 施工者は、公衆の通行の用に供する部分の通行を制限する必要のある場合には、関係機関と協議を行い、必要な措置を講じなければならない。
なお、関係機関から特に指示のない場合は、次の各号に掲げるところを標準とする。
一 制限した後の道路の車線が一車線となる場合にあっては、その車道幅員は三メートル以上とし、二車線となる場合にあっては、その車道幅員は五・五メートル以上とすること。
二 制限した後の道路の車線が一車線となる場合で、それを往復の交互交通の用に供する場合においては、その制限区間をできるだけ短くし、その前後で交通が渋滞することのないように措置するとともに、必要に応じて交通誘導員等を配置すること。
(歩行者対策)
第二二 施工者は、本章第二一(車両交通対策)第三項に該当する場合には、歩行者が安全に通行し得るために、車道とは別に幅〇・七五メートル以上、特に歩行者の多い箇所においては幅一・五メートル以上の歩行者用通路を確保し、必要に応じて交通誘導員を配置する等の措置を講じ、適切に歩行者を誘導しなければならない。この場合において、歩行者用通路と車両の交通の用に供する部分との境は、必要により、移動さくを間隔をあけないように設置し、又は移動さくの間に安全ロープ等をはってすき間ができないよう設置する等明確に区分けするとともに、歩行に危険のないよう路面の凹凸をなくし、必要に応じてスロープ等を設けなければならない。
第四章 仮設構造物
(仮囲い、出入口)
第二三 施工者は、工事期間中、原則として工事現場の周辺にその地盤面からの高さが一・八メートル(特に必要がある場合は三メートル)以上の板べいその他これに類する仮囲いを次の各号に掲げるところに従い設け、適切に維持管理しなければならない。
一 強風等により倒壊することがないよう十分に安全な構造とすること。
二 工事期間に見合った耐久性のあるものとすること。
2 施工者は、仮囲いに出入口を設けるに当たっては、次の各号に掲げるところに従い適切に設置し、維持管理しなければならない。
一 できる限り交通の支障が生じない箇所に設置すること。
二 開放した時は、工事に必要な車両が入退場できるだけの有効な高さと幅を有すること。
三 工事に必要がない限りこれを閉鎖しておくとともに、公衆の出入りを禁ずる旨の掲示を行うこと。
四 車両の出入りが頻繁で、出入口を開放しておく場合は、見張員を配置し、公衆の出入りを防止するとともに、出入りする車両の誘導にあたらせること。
五 扉の構造は、引戸又は内開きとすること。
(歩行者用仮設通路)
第二四 施工者は、工事の状況によって工事現場内に公衆を通行させざるを得ない場合には、次の各号に掲げるところに従い、公衆が安全に通行でき、かつ、誤って作業場内に立入ることのないような歩行者用仮設通路を設けなければならない。
一 仮設通路と作業場との境界には、さく、パネル等を設けること。
二 仮設通路は、原則として幅一・五メートル以上とすること。ただし、前記幅員の確保が困難な場合で、かつ、公衆の通行に支障が生じない場合には、〇・七五メートル以上とすることができること。
三 仮設通路の有効高さは、二・一メートル以上を確保すること。
四 工事用の油類、粉塵等の落下を防ぐ措置を講ずるとともに、落下物が予測される範囲の上部には、防護棚等を設けること。
五 路面は、つまずき、すべり、踏抜き等の危険のない状態を保持すること。
六 必要な標識等を掲げ、夜間には、適切な照明等を設けること。
(乗入れ構台)
第二五 施工者は、乗入れ構台を設ける場合には、用途に応じた形状及び規模のものとし、想定される積載荷重及び外力に十分耐える構造としなければならない。
(荷受け構台)
第二六 施工者は、荷受け構台を設ける場合には、揚重材料に応じた形状及び規模のものを適切な位置に設けるものとし、想定される荷重及び外力に十分耐える構造のものとしなければならない。
2 施工者は、荷受け構台が工事現場の境界に近接している場合には、構台の周辺に手すりや幅木を設ける等落下物による危害を防止するための設備を設けなければならない。
3 施工者は、荷受け構台を設けて材料等の揚重を行うに当たっては、原則として、速やかに揚重材料を荷受け構台上から移送するものとし、やむを得ず揚重材料を荷受け構台上に滞留させる場合には、荷崩れ、風等により飛来落下するおそれのあるものは、堅固な部分に固定する等の措置を講じなければならない。
(外部足場)
第二七 施工者は、外部足場の倒壊及び崩壊を防止するため、外部足場の計画に当たっては、想定される荷重及び外力の状況、使用期間等を考慮して、種類及び構造を決定するとともに、良好な状態に維持管理しなければならない。
特に、外部足場と建築物の構造体との壁つなぎは、工事現場の状況に応じて水平方向及び垂直方向に必要な数を堅固に行うとともに、足場の脚部は滑動防止の措置を講じなければならない。
2 施工者は、外部足場の組立て及び解体に当たっては、事前に作業計画を立て、関係者に時期、範囲、順序等を周知させ、安全に作業を実施しなければならない。
3 施工者は、外部足場から、ふ角七五度を超える範囲又は水平距離五メートル以内の範囲に隣家、一般の交通その他に供せられている場所がある場合には、落下物による危害を防止するため、足場の必要な部分を鉄網若しくは帆布で覆い又はこれと同等以上の効力を有する防護措置を講じなければならない。この場合において、鉄網、帆布等は、足場骨組に緊結し、落下物による衝撃に十分耐えられる強度を有するものとし、鉄網、帆布等を支持する足場の骨組も、当該衝撃に対し、安全なものとしておかなければならない。
(防護棚)
第二八 施工者は、建築工事を行う部分から、ふ角七五度を超える範囲又は水平距離五メートル以内の範囲に隣家、一般の交通その他の用に供せられている場所がある場合には、本章第二七(外部足場)の規定に基づくほか、落下物による危害を防止するため、次の各号に定めるところにより防護棚を設けなければならない。ただし、特殊な施工方法による場合においては、想定される落下物の状況に応じた適切な措置を講ずることによりこれに代えることができる。
一 建築工事を行う部分が、地盤面からの高さが一〇メートル以上の場合にあっては一段以上、二〇メートル以上の場合にあっては二段以上設けること。
二 最下段の防護棚は、建築工事を行う部分の下一〇メートル以内の位置に設けること。
なお、外部足場の外側より水平距離で二メートル以上の出のある歩道防護構台を設けた場合は、最下段の防護棚は省略することができること。
三 防護棚は、すき間がないもので、十分な耐力を有する適正な厚さであること。
四 骨組の外側から水平距離で二メートル以上突出させ、水平面となす角度を二〇度以上とし、風圧、振動、衝撃、雪荷重等で脱落しないよう骨組に堅固に取り付けること。
2 施工者は、防護棚を道路上空に設ける場合には、道路管理者及び所轄警察署長の許可を受けなければならない。
(危険物貯蔵)
第二九 施工者は、工事現場内に危険物を貯蔵する場合には、関係諸法令に従い、適正に保管しなければならない。
特に、可燃性塗料、油類その他引火性材料の危険物又はボンベ類の危険物は、関係諸法令の定めるところにより、直射日光を避け、通気・換気のよいところに危険物貯蔵所を設置して保管するとともに、「危険物」、「火気厳禁」等の表示を行い、取扱者を選任して、保安の監督をさせなければならない。
2 施工者は、一定量以上の指定可燃物を貯蔵し又は取扱う場合には、必要に応じ、関係機関へ届出を行い、又は関係機関の許可を受けなければならない。
第五章 機械、電気、その他の設備
(機械)
第三〇 施工者は、建設機械の選定に当たっては、地域の安全及び環境対策上、転倒、倒壊、騒音、振動等について、十分注意して行わなければならない。また、工事規模、施工方法等に見合った、安全な作業ができる能力をもった機械類を選定しなければならない。
2 施工者は、建設機械を使用するに当たっては、原則として主たる用途以外に使用してはならない。また、建設機械の能力を十分に把握・検討し、その能力を超えて使用してはならない。
(組立て及び解体)
第三一 施工者は、建設機械の組立て及び解体に当たっては、機械に精通した者の直接の指揮により、定められた手順を厳守しなければならない。
(使用及び移動)
第三二 施工者は、建設機械を使用し、又は移動させる場合には、機械類に関する関係諸法令を遵守し、架線その他の構造物に接触し、若しくは定められた範囲以上に近接し、又は道路等に損傷を与えることがないようにしなければならない。
2 施工者は、建設機械を作動させる範囲を、原則として工事現場内としなければならない。やむを得ず工事現場外で使用させる場合には、作業範囲内の立入りを制限する等の措置を講じなければならない。
3 施工者は、架線、構造物等又は工事現場の境界に近接して建設機械を使用する場合には、輪止めの設置、ブームの回転に対するストッパーの使用、近接電線に対する絶縁材の装着、見張員の配置等の措置を講じなければならない。
4 施工者は、建設機械を使用する場合には、機械類が転倒しないように、その地盤の水平度、支持耐力を調整するなどの措置を講じなければならない。特に移動に当たっては、細心の注意を払わなければならない。
(休止)
第三三 施工者は、可動式の機械類を休止させておく場合には、傾斜のない堅固な地盤の上に置くとともに、運転者の当然行うべき措置を講ずるほか、移動を防止するために必要な措置を講じなければならない。
(維持管理)
第三四 施工者は、建設機械の維持管理に当たっては、各部分の異常の有無について定期的に自主検査を行い、その結果を記録しておかなければならない。また、建設機械の運転等が、法で定められた資格を有し、かつ、指名を受けたものにより、定められた手順に従って行われているかについて確認しなければならない。
2 施工者は、建設機械の安全装置が十分に機能を発揮できるように、常に整備しておくとともに、安全装置を切って、建設機械を使用してはならない。
3 施工者は、建設機械の起動に必要な鍵の保管に当たっては、常にそれらの機械類の管理責任者が行うようにしなければならない。
(基礎工事用機械)
第三五 施工者は、基礎工事用機械の選定に当たっては、自立できるもので、工事現場の周辺環境、施工条件、工期、安全等を考慮して適正な機種を選定しなければならない。
2 施工者は、基礎工事用機械を使用し、又は移動させる場合には、転倒等による工事現場周辺への危害を防止するための措置を講じなければならない。
(移動式クレーン)
第三六 施工者は、移動式クレーンの選定に当たっては、自立できるもので、施工条件、近隣環境等と施工計画との関連を検討して、安全な作業ができる能力をもった機種を選定しなければならない。
2 施工者は、移動式クレーンを使用する場合には、クレーンの倒壊、転倒、転落、逸走、吊荷の落下等による危害を防止するために必要な措置を講じなければならない。
3 施工者は、移動式クレーンを使用する場合には、作業範囲、作業条件を考慮して、安定度、接地圧、アウトリガー反力等の検討及び確認を行い、適切な作業地盤の上で使用しなければならない。
4 施工者は、移動式クレーンを使用する場合には、高所及び敷地周辺からの吊荷・吊具等の落下、飛散等に十分注意するとともに、これらによる危害を防止するための措置を講じなければならない。
(クレーン、ゴンドラ及び建設用リフト)
第三七 施工者は、クレーン(定置式クレーン)を使用する場合には、倒壊及び吊荷等の落下等による危害を防止するための措置を講じなければならない。
2 施工者は、ゴンドラを使用する場合には、ゴンドラの逸走、転落、落下等を防止するため、関係諸法令を遵守し、安全作業に努めなければならない。
3 施工者は、建設用リフトを使用する場合には、関係諸法令を遵守し、揚重物の落下・飛散等の防止措置を講じなければならない。
(仮設電気設備)
第三八 施工者は、仮設電気設備を設けるに当たっては、「電気設備技術基準(昭和四〇年通商産業省令第六一号)」等の規定を遵守して施工しなければならない。
2 施工者は、架空電線や埋設ケーブル等に近接して人が作業、建設機械等が作動し、又は足場等が設置される場合には、断線又は接触による感電、停電、破損事故等を防止するために必要な措置を講じなければならない。
3 施工者は、作業所内に拡声装置等を設置する場合には、近隣に迷惑を及ぼさないように配慮しなければならない。
第六章 解体工事
(一般事項)
第三九 発注者及び施工者は、解体工事を行うに当たっては、構造物の状況や工事現場周辺の環境条件等を検討した上で、騒音規制法、振動規制法等の関係諸法令を遵守し、必要な措置を講じなければならない。
(粉塵、飛散防止)
第四〇 施工者は、解体時におけるコンクリート及び解体材等の破片や粉塵の飛散を防止するため、シート類や十分な強度を有する防網による養生、仮囲いの設置、散水等の措置を講じなければならない。
(アスベスト対策)
第四一 発注者は、解体工事に当たって、アスベスト(石綿)の撤去方法を指定する場合には、適切な処理方法を選定しなければならない。
2 施工者は、解体工事に当たって、アスベストがある場合は、関連諸法令等を遵守し、解体に先立って撤去しなければならない。また、処理工事により発生したアスベストを含有する廃棄物については、関連諸法令等を遵守して処理しなければならない。
(騒音、振動対策)
第四二 施工者は、解体工事に当たっては、騒音規制法及び振動規制法に従い、事前に届出等の手続きを行い、定められた基準値及び時間帯の範囲内で工事を行わなければならない。
(危険物解体)
第四三 施工者は、解体工事時にガスバーナー等を用いてボイラーのオイルタンクやアスファルト防水層の近くを切断する等、爆発や火災発生の危険性がある場合には、事前に所轄の消防署へ連絡し、適切な措置を講じなければならない。
2 施工者は、火薬類を使用して解体する場合には、火薬類取締法等に従い、都道府県の担当部署と打合わせを行い、あらかじめ近隣住民に連絡するととともに、コンクリート片等の飛散防止のために、適切な養生を施さなければならない。
(解体材対策)
第四四 施工者は、解体材(建設木くずを含む。)の処理に当たっては、「建設副産物適正処理推進要綱(平成五年建設省経建発第三号)」を遵守して行わなければならない。
第七章 土工事及び山留め工事
(掘削)
第四五 発注者は、必要に応じて、建物の形状、規模、地盤性状、敷地及び周辺地域の環境条件等を総合的に勘案した上で、山留めの形式及び掘削方法を選定しなければならない。
2 施工者は、地盤の掘削においては、建物の形状、規模、地盤性状、敷地及び周辺地域の環境条件等を総合的に勘案した上で、建築基準法等関係諸法令の定めるところにより、山留めの必要性の有無並びにその形式及び掘削方法を決定し、安全かつ確実に工事が施工できるようにしなければならない。この場合において、切取り面にその箇所の土質に見合った勾配を保って掘削できる場合を除き、掘削の深さが一・五メートルを超える場合には、山留めを行うものとする。また、掘削に伴う地盤沈下等により、周辺地域への影響が大きいことが予想される場合においては、適切な山留めを行わなければならない。
3 施工者は、地盤が不安定で掘削に際して施工が困難であり、又は掘削が周辺地盤及び構造物に影響を及ぼすおそれのある場合には、発注者と協議の上、薬液注入工法、地下水位低下工法、地盤改良工法等の適切な補助工法を用い、地盤の安定を図らなければならない。
(地下水対策)
第四六 施工者は、掘削箇所内に多量の湧水又は漏水があり、土砂の流出、地盤のゆるみ等が生ずるおそれのある場合には、発注者と協議の上、地下水位低下工法、止水工法等を採用し、安全の確保に努めなければならない。
2 施工者は、地下水位低下工法を用いる場合には、水位低下による周辺の井戸及び公共用水域等への影響並びに周辺地盤、構造物、地下埋設物等の沈下に与える影響を十分検討、把握した上で行わなければならない。
揚水中は、揚水設備の保守管理を十分に行うとともに、揚水量、地下水位、地盤沈下量等を測定し、異常が生じた場合には、直ちに必要な措置を講じなければならない。
3 施工者は、排水に当たっては、排水方法及び排水経路の確認を行い、当該下水道及び河川の管理者等に届出を行い、かつ、土粒子を含む水は、沈砂、ろ過施設等を経て放流しなければならない。
(山留め計画)
第四七 施工者は、山留め工事を計画するに当たっては、地盤性状、地下水位、周辺地域の状況、地下埋設物の有無等を事前に十分調査し、建築物の形状、規模を勘案して、安全かつ適切な工法を採用しなければならない。
2 施工者は、山留めの構造を決定するに当たっては、建築基準法等関係諸法令その他の規準に従い、施工期間中の降雨等による条件の悪化を考慮した安定条件、荷重条件等に十分耐えられるものとしなければならない。
(親杭、横矢板)
第四八 施工者は、親杭の種類、寸法、間隔及び矢板の厚みを定めるに当たっては、建築基準法の定めるところにより、当該土留めに作用する土圧に応じて決定しなければならない。
また、矢板は、その両端が、当該矢板の厚み以上親杭のフランジにかかる長さを有するものでなければならない。
2 施工者は、矢板を施工するに当たっては、掘削後速やかに掘削土壁との間に、すき間のないようにはめ込まなければならない。
また、土壁との間にすき間が生じたときは裏込め、くさび等ですき間のないように固定しなければならない。
3 施工者は、親杭の根入れ長を定めるに当たっては、安定計算及び支持力の計算に基づき決定しなければならない。
(鋼矢板(シートパイル))
第四九 施工者は、鋼矢板の種類及び寸法を定めるに当たっては、建築基準法の定めるところにより、土圧及び掘削深さ等を勘案して決定しなければならない。
2 施工者は、鋼矢板の打込みに当たって、鋼矢板の噛み合わせ部分にはずれが生じた場合には、溶接等必要な補修を行わなければならない。また、引抜き時には、背面地盤の沈下を防ぐために、十分な埋戻しを行わなければならない。
3 施工者は、鋼矢板の根入れ長を定めるに当たっては、安定計算、支持力の計算、ボイリングの計算及びヒービングの計算に基づき決定しなければならない。
(ソイルセメント柱列山留め壁(SMW))
第五〇 施工者は、オーガー径及び芯材の種類、寸法及び間隔を定めるに当たっては、土圧により決定するものとする。
なお、軟弱粘土層、腐食土層等ソイルセメント強度の確保が難しいと予想される地盤の場合には、室内試験等を行い、硬化材の選定及び配合の決定を行わなければならない。
また、専用機及び付帯設備が大型であるので、十分な運転管理及び接地地盤の補強を行うものとする。
(その他の山留め壁)
第五一 施工者は、法付けオープンカット工法を用いる場合には、安定計算に基づき、すべりを起こさない十分な法勾配を取らなければならない。また、切土法面を長期間存置する場合には、法面に適切な養生を施さなければならない。
2 施工者は、逆打工法を用いるに当たって、躯体荷重を山留め壁にも負担させる場合には、十分な強度を有するものとしなければならない。
3 施工者は、その他の山留め壁を採用する場合には、建築学会の規準その他技術的に認められた方法に従い、十分な安全性を確保して施工しなければならない。
(腹おこし)
第五二 施工者は、腹おこしを設けるに当たっては、山留め壁に密着するように設置し、さらに、受金物等によって支持させておかなければならない。
また、腹おこしと山留め壁の間にすき間が生じた場合には、パッキング材等を挿入して、均等に応力が伝達するようにしなければならない。
2 第一段の腹おこしは、山留め壁頂部のたわみにより、周辺地盤が甚大なる影響を受けることがない位置に設けなければならない。
(切りばり)
第五三 施工者は、切りばりを設けるに当たっては、座屈のおそれがないよう十分な断面と剛性を有するものとし、支柱、水平継材、垂直継材で切りばり相互を緊結固定させなければならない。また、切りばりをジャッキ等を用いて、与圧することにより腹おこしに密着させるとともに、ゆるみを生じても落下することのないように、支柱等によって支持させておかなければならない。
2 施工者は、切りばりに、腹おこしからくる土圧以外の荷重が加わるおそれがある場合、又は荷重をかける必要のある場合には、それらの荷重に対して必要な補強措置を講じなければならない。
3 施工者は、切りばりに継手を設けるに当たっては、偏心継手にならないようにし、切りばりが有する諸剛性と強度を十分に伝達できるものとしなければならない。
(支柱)
第五四 施工者は、切りばり支柱を設けるに当たっては、切りばり等の構造物及び作業荷重に対し、十分に安全な構造としなければならない。
2 施工者は、一方向切りばりに対して、支柱を設置する場合は、切りばりと直角方向に水平継材を設けなければならない。
3 施工者は、二方向切りばりに対して支柱を設ける場合には、切りばりの交点に支柱を設置して、両方の切りばりを支柱に緊結しなければならない。
(グランドアンカー)
第五五 発注者及び施工者は、グランドアンカーを計画する場合には、原則として、洪積世以前の砂層、砂れき層、土丹等を定着対象地盤としなければならない。
2 発注者及び施工者は、グランドアンカーの先端が敷地境界の外に出る場合には、敷地所有者又は管理者の許可を得なければならない。また、山留め壁の支持力の検討に際しては、グランドアンカーによる追加軸力を考慮しなければならない。さらに、本工法は高度の技術を要するので、施工中の応力及び変形の管理を十分しなければならない。
(山留め管理)
第五六 施工者は、山留めを施している間は、監視員を配置して常時点検を行い、山留め部材の変形、その緊結部のゆるみなどの早期発見に努力し、事故防止に努めなければならない。また、必要に応じて測定計器を使用し、山留めに作用する土圧、山留め壁の変位等を測定するものとする。
2 施工者は、山留めを施している間は、必要に応じて、定期的に地下水位、地盤の沈下又は移動を観測・記録し、地盤の隆起、沈下等異常が認められたときは、作業を中止し、埋設物の管理者等に連絡し、原因の調査及び保全上の措置を講ずるとともに、その旨を工事監理者等に通知しなければならない。
(埋め戻し)
第五七 施工者は、親杭、鋼矢板等の引抜き箇所の埋戻しを行うに当たっては、地盤沈下を生じさせないよう、十分注意して埋め戻さなければならない。
2 施工者は、埋戻しを行うに当たっては、良質の砂等を用い、水締め、貧配合モルタル注入等の方法により、適切に行わなければならない。
第八章 地業工事及び地下工事
(杭地業)
第五八 発注者は、事前に地質調査等を行い、施工者に対し、工事現場又はその付近の地質性状を示さなければならない。
2 施工者は、前項の地質調査等に基づき、必要に応じ、地下水汚染防止等に必要な措置を講じなければならない。
(地盤改良工事)
第五九 施工者は、地盤改良工法を用いる場合には、土質改良添加剤の保管時及び地盤への投入・混合時における周辺への飛散・流出等により、周辺環境を損なうことのないよう留意しなければならない。
2 施工者は、危険物に指定される土質改良添加剤を用いる場合には、消防法等の定めるところにより取扱い、公衆へ迷惑を及ぼすことのないよう留意しなければならない。
3 施工者は、地盤改良工事に当たっては、近接地盤の隆起や側方変位を測定し、周辺に危害を及ぼすような地盤の異常が認められた場合は、作業を中止し、原因の調査及び保全上の措置を講じなければならない。
(地下工事)
第六〇 施工者は、地下工事工法の選定に当たっては、周辺地盤の沈下に係わる影響及び周辺地域の地下水に係わる影響について検討しなければならない。また、工事中は、その影響を観測し、異常が認められた場合は、適切な措置を講じなければならない。
(逆打工事)
第六一 施工者は、逆打工法の採用に当たっては、次の各号の荷重に係わる安全性を検討し、施工計画を立案しなければならない。
一 構真柱が受ける上部躯体荷重
二 山留め杭に作用する荷重
第九章 改修工事
(改修工事)
第六二 発注者は、改修工事(建築物の増築、改築、修繕及び模様替のために必要な工事をいう。以下同じ。)を発注するに当たっては、必要に応じて、仮設、養生、作業範囲、作業時間帯、工法等を決定しなければならない。
また、必要に応じて、あらかじめ、工事の概要を付近の居住者等に周知するものとする。
2 施工者は、改修工事を行うに当たって、工事現場内又は工事中の建築物内に公衆を通行させざるを得ない場合には、次の事項に留意しなければならない。
一 公衆の安全確保、公衆の通行への影響、周辺居住者等の生活環境への影響等を総合的に勘案し、適切な作業時間帯、工法等を選定すること。
二 仮設構造物の倒壊・崩壊、工事用材料の落下、仕上げ材や火花等の飛散等を防止する措置を講ずること。
三 必要に応じて交通誘導員を配置し、公衆の通行と工事車両の通行を適切に区分し誘導すること。
四 作業場内に公衆を歩行させる場合には、第四章第二四(歩行者用仮設通路)に基づき適切に歩行者用通路を設けること。
五 必要に応じて工事の概要を広報すること。
第一〇章 各種工事
(荷取り)
第六三 施工者は、鉄筋工事を行うに当たっては、鉄筋の荷取り場所、荷取りの方法等につき、計画を立て、それを遵守しなければならない。
(型枠及びコンクリート工事)
第六四 施工者は、型枠工事を行うに当たっては、関係諸法令の定めるところにより型枠支保工、型枠セパレーター等の間隔等について計画書を作成し、それを遵守しなければならない。
2 施工者は、型枠支保工の計画に当たっては、工事の施工中に作用する荷重により生ずる応力を詳細に検討し、工事の各段階において想定される荷重に十分に耐え得る構造としなければならない。
3 施工者は、コンクリート打設用機械を工事現場外に設置してコンクリートを打設する場合には、公衆に危害を及ぼさないよう、あらかじめ必要な措置を講じなければならない。
4 施工者は、歩道面及び歩道上部を横断してコンクリート打設用機械の一部を設置する場合には、歩行者の通行に支障が生じないよう、必要な安全措置を講じなければならない。
(鉄骨工事)
第六五 発注者は、鉄骨の設計に当たっては、組立て順序、建方中の構造体の安全性について十分配慮しなければならない。
2 施工者は、鉄骨建方を行うに当たっては、次の各号に掲げる安全対策を含む鉄骨建方計画書を作成し、施工に当たっては、それを遵守しなければならない。
一 組立て順序、建方中の構造体の補強等
二 仮筋かい等本接合完了までの強風、自重、特殊荷重等に対する補強
三 仮ボルトの締付け方法及び締付け本数
四 鉄骨に材料、機械等の重量物を積載する場合の補強等
五 鉄骨建方時の機械能力及びその設置方法
六 鉄骨の荷捌き時の場所及び荷揚げ方法
七 部材の落下、ボルト類の落下及び溶接火花の飛散防止対策
八 騒音防止対策
九 錆の飛散防止対策
(外装仕上げ工事)
第六六 施工者は、外装仕上げ工事に吹付け工法等飛散のおそれのある工法を用いる場合には、吹付け材等の飛散及び臭気の滞留等による公衆災害を未然に防止するよう適切な措置を講じなければならない。
2 施工者は、外装仕上げ工事にカーテンウォール等を用いる場合には、材料の落下及び火花の飛散等による公衆災害を未然に防止するよう適切な措置を講じなければならない。
(建設資材等の運搬)
第六七 施工者は、運搬経路の設定に当たっては、事前に経路付近の状況を調査し、必要に応じて関係機関等と打合せを行い、騒音、振動、塵埃等の防止に努めなければならない。
2 施工者は、運搬経路の交通状況、道路事情、障害の有無等について、常に実態を把握し、安全な運行が行われるよう必要な措置を講じなければならない。
(建設工事副産物)
第六八 施工者は、建設副産物の処理に当たっては、「建設副産物適正処理推進要綱」を遵守して行わなければならない。
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