建設省経労発第二四号
平成一一年三月一八日

別記公共工事発注機関あて

建設経済局長通知


建設業退職金共済制度の普及徹底について


建設業退職金共済制度(以下「建退共制度」という。)については、建設労働者の福祉の増進を図るとともに、建設労働者の雇用労働条件の改善を通じて建設業の健全な発展を図るため、従来よりその普及徹底を推進してきたところであり、貴職におかれてもご協力をいただいているところである。
しかしながら、現在の加入状況は建設業者数と比較して必ずしも満足すべきものではなく、また、建退共制度に加入しながら共済手帳の交付を行わず又は共済証紙の貼付を行わない建設業者が一部に見られるなど、その履行状況も必ずしも十分なものとは言い難い。
こうした状況を踏まえ、今般、労働省、建設省及び勤労者退職金共済機構において別添のとおり「建退共制度改善方策について」を取りまとめ、原則として、平成一一年度当初より改善措置を講じていくこととしたところである。
ついては、各発注機関におかれても建退共制度の趣旨を理解され、下記事項による措置を講じ、履行確保について一段と協力されるようお願いする。
なお、昭和四五年四月六日付け建設省経振発第五二号及び昭和四七年一一月二二日付け建設省経振発第一六三号は廃止する。
また、貴管下発注機関に対しても、この趣旨を周知されるようお願いする。

1 公共工事発注機関(以下「発注機関」という。)は、工事契約を締結した場合においては、建退共制度の発注者用掛金収納書(別紙1。以下「収納書」という。)を当該工事を発注した建設業者(以下「受注業者」という。)から提出させるものとする。
2 前項の収納書は、工事契約締結後一か月以内に提出させるものとする。ただし、工事契約締結当初は工場製作の段階であるため建退共制度の対象労働者を雇用しないこと等の理由により、期限内に当該工事に係る収納書を提出できない事情があると認められる場合において、あらかじめ発注機関に申し出たときは、この限りではない。
3 発注機関は、受注業者から前項ただし書の申し出があったときは、その理由及び共済証紙の購入予定時期を書面により申し出させるものとする。
4 発注機関は、受注業者から第二項ただし書の申し出があった場合、請負契約額の増額変更があった場合等において、受注業者が共済証紙を追加購入したときは、当該共済証紙に係る収納書を工事完成時までに提出させるものとする。なお、受注業者から第二項ただし書の申し出があった場合、請負契約額の増額変更があった場合において、受注業者が共済証紙を追加購入しなかったときは、その理由を書面により申し出させるものとする。
5 発注機関は、共済証紙の購入状況を把握するため必要があると認めるときは、受注業者又は勤労者退職金共済機構の建退共都道府県支部に対し、共済証紙の受払い簿その他関係資料の提出を求めるものとする。
6 発注機関は、共済証紙の購入について、受注業者が建設現場ごとの建退共制度の対象労働者数及びその就労予定日数を的確に把握し、必要な枚数を購入すれば十分であることに留意するものとする。なお、的確な把握が困難である場合において、勤労者退職金共済機構が定めた「共済証紙購入の考え方について(別紙二)」を受注業者が参考とする際には、「労働者延べ就労予定数」の七割が建退共制度の対象労働者であると想定して算出された値が示されていることを踏まえ、当該値に(対象工事における労働者の建退共制度加入率/70%)を乗じた値を参考とすべきであることに留意するとともに、受注業者に対し、「対象工事における労働者の建退共制度加入率」を把握するよう求めるものとする。
7 発注機関は、工事を発注するための現場説明において、受注業者が建退共制度に加入することを勧奨するとともに、第一項から第五項までに掲げる事項のほか、以下の事項を説明事項として取り扱うものとする。

(1) 受注業者は、自ら雇用する建退共制度の対象労働者に係る共済証紙を購入し、当該労働者の共済手帳に共済証紙を貼付すること。
(2) 受注業者が下請契約を締結する際は、下請業者に対して、建退共制度の趣旨を説明し、下請業者が雇用する建退共制度の対象労働者に係る共済証紙をあわせて購入して現物により交付すること、又は建退共制度の掛金相当額を下請代金中に算入することにより、下請業者の建退共制度への加入並びに共済証紙の購入及び貼付を促進すべきこと。
(3) 下請業者の規模が小さく、建退共制度に関する事務処理能力が十分でない場合には、元請業者に建退共制度への加入手続き、共済証紙の共済手帳への貼付等の事務の処理を委託する方法もあるので、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めること。


別紙 略


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