建設省厚契発第二二号
平成一一年三月三一日

各地方建設局長あて

官房長通達


建設業退職金共済制度の普及徹底に関する措置について

建設業退職金共済制度(以下「建退共制度」という。)は、建設業者に転々雇用される建設労働者の労働福祉対策として昭和三九年六月に発足したものであり、発注者としての立場からこの制度の普及に協力するため、直轄工事の予定価格について、建設業者が勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)に掛金を納付するための財源措置を講じる等の措置により、その普及徹底を図ってきたところである。
しかしながら、共済証紙の購入、貼付が未だ不十分であるとの指摘もなされてきたところであり、今般、実態調査の結果等も踏まえ、労働省、建設省及び機構において取りまとめた「建退共制度改善方策について」に沿って、建退共制度の更なる改善措置を講じていくこととしたものである。建退共制度の普及により建設労働者の雇用労働条件が改善され、これによる勤労意欲の向上が工事の質の確保、向上等に及ぼす影響を考慮するとき、さらにその普及徹底を図ることが望ましいので、次の措置によりこれを推進することとさされたく、通知する。
なお、昭和四五年五月一日付け建設省厚発第二四四号は廃止する。

1 直轄工事の予定価格において、建設業者が機構に納付する掛金のうち公共工事の負担分について財源措置を講じているので、建退共制度の趣旨を建設業者に対してあらゆる機会を通じて掲示、文書その他の適当な方法により徹底させ、建退共制度への加入並びに共済証紙の購入及び共済手帳への貼付を勧奨するものとすること。
2 請負契約の現場説明に際し、建設業者が建退共制度に加入することを勧奨するとともに、次の事項を十分説明するものとすること。

(1) 建設業者は、自ら雇用する建退共制度の対象労働者に係る共済証紙を購入し、当該労働者の共済手帳に共済証紙を貼付すること。
(2) 建設業者が下請契約を締結する際は、下請業者に対して、建退共制度の趣旨を説明し、下請業者が雇用する建退共制度の対象労働者に係る共済証紙をあわせて購入して現物により交付すること、又は建退共制度の掛金相当額を下請代金中に算入することにより、下請業者の建退共制度への加入並びに共済証紙の購入及び貼付を促進すべきこと。
(3) 建設業者は、建退共制度の発注者用掛金収納書(以下「収納書」という。)を工事契約締結後一か月以内に事務所長又は地方建設局の出張所長(以下「事務所長等」という。)に提出すること。

なお、工事契約締結当初は工場製作の段階であるため建退共制度の対象労働者を雇用しないこと等の理由により、期限内に当該工事に係る収納書を提出できない事情がある場合においては、あらかじめその理由及び共済証紙の購入予定時期を書面により申し出ること。

(4) 建設業者は、(3)の申し出を行った場合、請負代金額の増額変更があった場合等において、共済証紙を追加購入したときは、当該共済証紙に係る収納書を工事完成時までに提出すること。なお、(3)の申し出を行った場合又は請負代金額の増額変更があった場合において、共済証紙を追加購入しなかったときは、その理由を書面により申し出ること。
(5) 共済証紙の購入状況を把握するため必要があると認めるときは、共済証紙の受払簿その他関係資料の提出を求めることがあること。
(6) 建退共制度に加入せず、又は共済証紙の購入若しくは貼付が不十分な建設業者については、指名等において考慮することがあること。
(7) 下請業者の規模が小さく、建退共制度に関する事務処理能力が十分でない場合には、元請業者に建退共制度への加入手続き、共済証紙の共済手帳への貼付等の事務の処理を委託する方法もあるので、元請業者においてできる限り下請業者の事務の受託に努めること。

3 収納書は、地方建設局の事務所にあっては経理課(経理課の置かれていない事務所にあっては総務課、総務課の置かれていない事務所にあっては総務係)又は地方建設局の出張所にあっては出張所長において、工事契約ごとに整理するものとすること。
4 事務所長等は、少なくとも半期ごとに建退共証紙購入状況を地方建設局総務部契約課長に報告するものとすること。
5 前項の事務所長等からの報告は、地方建設局総務部契約課において業者別に整理するものとすること。

なお、整理の結果に基づき、必要があると認められる場合は、建設業者に対して証紙の購入等を勧奨するものとすること。


附 則

本通達は、平成一一年四月一日より適用する。


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