建設省機発第四四号
昭和四九年三月一五日



請負工事機械経費積算要領

(目的)
第1 この要領は、土木請負工事工事費積算要領(昭和四二年七月二〇日付け建設省官技第三四号)第2の請負工事費を構成する純工事費のうち、建設機械(以下「機械」という。)の使用に必要な経費(以下「機械経費」という。)の積算について、必要な事項を定めることにより、請負工事の予定価格の算定を適正にすることを目的とする。
(用語の意義)
第2 この要領において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 償却費 機械の使用又は経年による価値の減価額をいう。
二 償却費率 耐用期間中の償却費総額の基礎価格に対する割合をいう。
三 維持修理費 機械の効用を持続するために必要な整備及び修理の費用で、運転経費以外のものをいう。
四 維持修理費率 機械の耐用期間中に必要となる維持修理費総額の基礎価格に対する割合をいう。
五 管理費 機械の保有に伴い必要となる公租公課、保険料、格納保管等の経費をいう。
六 年間管理費率 年間に必要な管理費の基礎価格に対する割合をいう。
七 消耗部品費 作業の目的物と直接接触して損耗する部品のうち、損耗度と操業度との相関が極めて高く、かつ、取替修理に特別な技能を要しない部品の費用をいう。
八 基礎価格 検収後現金一括払いを条件とする標準仕様による機械の標準時価をいい、輸入機械にあっては、当該標準時価を基礎とした到着港価格(税金及び通関手続費を含む。)をいう。
九 運転時間 機械が目的の作業を行う時間、作業のための自走による移動時間、作業待ち等によるエンジンの空転時間、その他作業に関連する時間をいう。
一〇 運転日数 運転時間の多少にかかわらず、機械が運転される日を通算した日数をいう。
一一 供用日数 機械が工事現場に供用される日数(機械を工事現場に搬入し、又は工事現場から搬出するために必要な日数を含む。)をいう。
一二 年間標準運転時間(又は年間標準運転日数) 機械ごとに実績又は推定により定められる年間の標準的な運転時間数(又は運転日数)をいう。
一三 年間標準供用日数 機械ごとに実績又は推定により定められる年間の標準的な供用日数をいう。
一四 予備用機械 故障又は事故の発生に備え、法令の規定又は契約の定めにより工事現場に存置する予備の機械をいう。
一五 現場修理費 作業、災害等による機械の破損又は故障のうち、工事現場で行う比較的小規模の修理に要する費用、その他機械の運転機能を維持するための整備に要する費用で、運転経費以外のものをいう。
一六 低騒音型建設機械 官房長が別に定める低騒音型・低振動型建設機械指定要領(以下「指定要領」という。)に基づき低騒音型建設機械として指定された建設機械をいう。
一七 低振動型建設機械 指定要領に基づき低振動型建設機械として指定された建設機械をいう。

(機械経費の構成)
第3 機械経費の構成は、次のとおりとする。
(機械損料の積算)
第4 機械損料は、償却費、維持修理費及び管理費について、次の(イ)の算式により求めた運転一時間当たり損料(運転時間の測定が困難な機械又は機械損料の計算を運転日単位で行うことが適当な機械(以下「運転日単位の機械」という。)については、運転一日当たり損料。以下同じ。)に運転時間数(運転日単位の機械については、運転日数。以下同じ。)を乗じて得た額と、次の(ロ)の算式により求めた供用一日当たり損料に供用日数を乗じて得た額とを合計して算定するものとする。ただし、予備用機械については、(ロ)の算式により求めた供用一日当たり損料に供用日数を乗じて得た額とする。

(イ) 運転1時間当たり損料=基礎価格×((1/2×償却費率+維持修理費率)/耐用年数)×(1/年間標準運転時間(又は年間標準運転日数)
(ロ) 供用1日当たり損料=基礎価格×〔((1/2×償却費率)/耐用年数)+年間管理費率〕×(1/年間標準供用日数)

2 前項の規定にかかわらず、運転日数の測定が困難な機械又は機械損料の計算を供用日単位で行うことが適当な機械(以下「供用日単位の機械」という。)の機械損料は、次の算式により求めた供用一日当たり損料に供用日数を乗じて得た額とする。

供用1日当たり損料=基礎価格×〔((償却費率+維持修理費率)/耐用年数)+年間管理費率〕×(1/年間標準供用日数)

3 前二項の規定にかかわらず、国が工事の請負人に無償で貸与する機械の機械損料は、過去の実績又は推定により求めた運転一時間当たり(運転日単位の機械又は供用日単位の機械については、運転一日当たり又は供用一日当たり。以下同じ。)の現場修理費(無償で貸与する機械に係るすべての整備及び修理を工事の請負人の負担において実施する場合は、維持修理費)に運転時間数(供用日単位の機械については、供用日数。以下同じ。)を乗じて得た額と、次の算式により求めた供用一日当たり管理費に供用日数を乗じて得た額との合計額とする。

供用1日当たり管理費=基礎価格×(年間管理費率/360)

4 前三項に掲げる算式中の償却費率は〇・九とし、基礎価格、耐用年数、年間標準運転時間、年間標準運転日数、年間標準供用日数、維持修理費率及び年間管理費率(以下「損料諸数値」という。)は、別表第一「建設機械等損料算定表」(以下「算定表」という。)に掲げるところによる。ただし、低騒音型建設機械及び低振動型建設機械に係る基礎価格は算定表に掲げる基礎価格に別表第二に掲げる数値を乗じて得た額とし、国が無償で貸与する機械に係る年間管理費率は別表第三に掲げるところによる。
(機械損料の補正)
第5 第4の規定にかかわらず、次の各号に掲げる機械の運転一時間当たり損料又は供用一日当たり損料は、第4第1項又は第2項に掲げる算式により求めた運転一時間当たり損料又は供用一日当たり損料に当該各号に定める割合を乗じて得た額を超えない範囲内で補正することができる。ただし、第一号に該当する場合で、機械の輸送費の算定の基礎となる機械の所在場所が、豪雪地帯対策特別措置法(昭和三七年法律第七三号)第二条第一項の規定により指定された地域(以下「豪雪地域」という。)以外の地域である機械の供用一日当たり損料又は第五号若しくは第六号に該当する場合で、二交替制又は三交替制による作業(これらに準ずる作業を含む。以下「交替制作業」という。)に使用することが通常の状態である機械の運転一日当たり損料又は供用一日当たり損料については、この限りでない。

一 豪雪地域において使用する機械(作業船を除く。)の供用一日当たり損料

一〇〇分の一一〇(北海道地域については、一〇〇分の一一五)

二 北海道、本州日本海側、伊豆七島の各沿岸及びこれらの海域に準ずる海域で使用する作業船の供用一日当たり損料

一〇〇分の一一〇

三 岩石作業に使用するブルドーザ(リッパ装置付ブルドーザを除く。)、タイヤドーザ、ショベル系掘削機、トラクタショベル及びダンプトラック(建設専用ダンプトラックを除く。)の運転一時間当たり損料  一〇〇分の一二五
四 機械の寿命又は維持修理費が通常予想される場合と著しく異なると推定される現場条件の下で使用される機械の運転一時間当たり損料

一〇〇分の八〇以上一〇〇分の一二〇以下(供用日単位の機械については、一〇〇分の九〇以上一〇〇分の一一〇以下)

五 運転日単位の機械で、交替制作業に使用するものの運転一日当たり損料

一〇〇分の一五〇(交替制の作業については一〇〇分の二〇〇)

六 供用日単位の機械で、交替制作業に使用するものの供用一日当たり損料

一〇〇分の一二五(三交替制の作業については一〇〇分の一五〇)

2 特殊な仕様又は現場条件に応じて設計製作された機械のうち、他の工事に転用することが困難であり又は転用にあたって過分な費用がかかると認められる機械については、償却費に相当する部分につき、実情に応じて適正に補正することができる。
(算定表に掲げる機械以外の機械の損料諸数値)
第6 算定表に掲げる機械以外の機械の損料諸数値(年間管理費率を除く。)は、同表に掲げる同種、同形式又は類似の機械の損料諸数値を参しやくし、適正に定めるものとする。
(運転経費の積算)
第7 運転経費に係る各費目の積算は、土木請負工事工事費積算基準(昭和四二年七月二〇日付け建設省官技第三五号)によるほか、次の各号に定めるところによるものとする。

一 燃料は、次の算式により求めた額とする。

燃料費=燃料単価×運転1時間当たり・1馬力(PS)当たり燃料消費量×定格(又は最高)出力×運転時間数
〔この式において、運転一時間当たり・一馬力(PS)当たり燃料消費量は、実績又は推定により求めるものとし、定格(又は最高)出力は、算定表に掲げるところによる。

二 油脂費は、次の算式により求めた額とする。

油脂費=燃料費×油脂消費率
〔この式において、油脂消費率は、油脂費の燃料費に対する割合で、実績又は推定により求めるものとする。〕

三 電力料は、電気事業者が定める電力供給規程をもとに、次の算式により求めた額とする。

電力料=従量電力料単価×使用電力量
〔この式において使用電力量は、次式により求めるものとする。この場合、負荷率は、定格(又は最高)出力に対する平均出力の割合とし、作業時間率については、運転時間数に対する実作業時間の割合とし、いずれも実績又は推定により求めるものとする。〕
使用電力量=負荷設備容量×負荷率×作業時間率×運転時間数

四 運転労務費は、運転手、運転助手及び世話役ごとに、次の算式により求めた額とする。

運転労務費=労務単価×運転1時間当たり労務歩掛×運転時間数×就業率
〔この式において就業率は、運転手を一とし、運転助手又は世話役については、運転手に対する仕事量の割合を実績又は推定により一以下の値で定めるものとする。〕

五 消耗部品費は、次の算式による求めた額とする。

消耗部品費=運転1時間当たりの損耗費×運転時間数
〔この式において運転一時間当たりの損耗費は、実績又は推定により求めるものとする。〕

(組立解体費の積算)
第8 組立解体費は、機械の使用に伴う組立て及び工事の完了に伴う解体に必要な費用で、組立て及び解体に使用する機械器具の損料及び運転経費並びに組立て及び解体作業に従事する労務者の賃金及び雑材料費を積算するものとする。
(輸送費の積算)
第9 輸送費は、機械を工事現場に搬入し、又は工事現場から搬出するために要する費用で、機械が所在すると推定される場所から工事現場までの最も経済的な通常の経路及び方法による場合の運賃(自走する機械については、当該機械の機械損料及び運転経費)及び積卸しの費用を積算するものとする。
2 前項の場合において、機械が所在する場所の推定が困難なものは、あらかじめ指定された場所を機械が所在する場所として取り扱うものとする。
(修理施設費の積算)
第10 大規模工事又は山間へき地における工事等で機械化施工の効率化を図るため、工事現場に修理施設を設ける必要があると認められるときは、機械の修理施設費として、修理施設(工作機械を含む。)の工事現場搬入搬出及び仮設撤去の費用を積算するものとする。
(ダム施工機械等の損料)
第11 ダム本体工事に使用する仮設備機械及び揚排水ポンプ類の機械損料の算定について必要な事項は、建設経済局長が別に定める。
(適用除外)
第12 機械経費の全部又は一部について、機械の賃貸料を基礎として積算する必要があるときは、この要領の全部又は一部の規定は適用しない。
2 特殊な理由により、この要領を適用することが著しく適正を欠くと認められるときは、事務次官の承認を得て、この要領によらないことができる。



附 則
この要領は、平成二年四月一日から適用する。



附 則
この改正による改正後の請負工事機械経費積算要領は、平成四年四月一日以後の請負工事に係る機械経費の積算について適用する。



別表第一・別表第二・別表第三 略


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