建設省厚契発第四号
平成七年二月七日

土木研究所総務部長・各地方建設局総務部長あて

地方厚生課公共工事契約指導室長通達


建設業法の一部を改正する法律等の施行等について

標記について、別紙1のとおり建設省建設経済局長から建設大臣官房長あて通知があり、また、別紙2のとおり建設経済局建設業課長から大臣官房地方厚生課長あて通知があったので、その取扱いに遺憾なきを期せられたく通知する。



別紙1

建設業法の一部を改正する法律等の施行について(通知)

(平成六年一二月二八日)
(建設省経建発第三九三号の二)
(建設大臣官房長あて建設経済局長通知)
本年六月二九日に公布された建設業法の一部を改正する法律(平成六年法律第六三号)については、建設業法施行令の一部を改正する政令(平成六年政令三九一号)及び建設業法施行規則の一部を改正する省令(平成六年建設省令第三三号)とともに、その一部を除き、本年一二月二八日から施行されたところである。今回の建設業法(以下「法」という。)の一部改正の主な内容及び留意事項等については、建設事務次官及び当職から「建設業法の一部を改正する法律の施行について」(平成六年六月二九日付け建設省経建発第一五二号の二、第一五三号の三)をもって通知したところであるが、加えて、貴省におかれては、次の点についても十分留意のうえ、所管の建設工事の発注に当たって適切な事務処理に努められ、改正規定の適切な施行に特段の御協力をいただくようお願いする。
1 監理技術者資格者証について

(1) 今般の法改正により、国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事の現場に専任で置かれる監理技術者は、平成八年六月二九日以降においては、指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業の五業種に平成七年六月二九日をもって電気工事業及び造園工事業が追加される。)に係る建設工事であるか否かにかかわらず、監理技術者資格者証(以下「資格者証」という。)の交付を受けた者のうちから選任しなければならないものとされた。

指定建設業以外の建設業に係る資格者証の交付は、平成七年六月二九日以降に開始されるが、資格者証の交付(有効期間の更新を含む。)の申請に先立ち建設大臣指定の講習を受講しなければならないので、貴省が発注者となる工作物に関する建設工事を貴省から直接請け負おうとする建設業者に対し、平成八年六月二九日以降は、指定建設業以外の建設業に係る建設工事についても、現場に置かれる監理技術者が資格者証の交付を受けた者であるかどうかについて資格者証の提示を求めることにより確認を行うこと。

(2) 建設工事の現場に専任で置かれる監理技術者は、当該建設工事を請け負った建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であるので、このような雇用関係を確認できるよう、資格者証に所属建設業者名を明記することとしたほか、その業務に従事する建設業者を変更し、又は所属建設業者名に変更があった場合には、指定資格者証交付機関(財団法人建設業技術者センター)に変更届出書を提出しなければならないこととしたので、資格者証の提示を求めることにより、貴省が発注者である工作物に関する建設工事について置かれる監理技術者と建設工事を請け負った建設業者との雇用関係の確認を行うこと。
(3) なお、建設工事の現場におかれる監理技術者が携帯しなければならない資格者証は、(1)で述べた監理技術者資格者証のほか、既に交付されている指定建設業監理技術者資格者証であっても差し支えない。また、行政担当部局が建設業者への指導を行う際の指針として「監理技術者資格者証運用マニュアル」を作成し、別に通知するので参考にすること。

2 指定建設業の拡大について

(1) 電気工事業及び造園工事業の指定建設業への追加

指定建設業について特定建設業の許可を受ける際に営業所ごとに置く専任技術者及び指定建設業に係る建設工事について現場に置く監理技術者は、一級の技術検定の合格者等所定の国家資格を有した者等でなければならないこととされている。
今回の建設業法施行令の一部改正により、指定建設業の種類については、従来の上記五業種に加え、平成七年六月二九日から電気工事業及び造園工事業が指定建設業とされることとなった。

(2) 経過措置

平成七年六月二九日現在で現に特定建設業の許可を受けて電気工事業若しくは造園工事業(以下「二業種」という。)を営んでいる者又は平成七年六月二八日以前に既に二業種に係る特定建設業の許可を申請している者が二業種について営業所の専任技術者及び工事現場の監理技術者として置く者の資格は、平成八年六月二八日までの間は、(一)にかかわらず、従前の例によることとされている。
ただし、平成八年六月二九日以降におけるこれらの者の資格は、既に特定建設業の許可を受けている場合であっても、所定の国家資格等であることが必要であり、営業所に置かれる専任の技術者が国家資格者等でない場合には、法第一五条第二号の要件を満さないこととなるので、特定建設業の許可に代えて一般建設業の許可を受けるか、当該特定建設業を廃業しなければならないこととなる。
また、指定建設業に係る建設工事で国、地方公共団体等が発注者である工作物に関するものについて工事現場に専任で置かれる監理技術者は、資格者証の交付を受けた者から選任しなければならず、発注者から請求があったときは、当該資格者証を提示しなければならないが、二業種に係る建設工事については、平成八年六月二八日までの間は、これらの制度は適用されず、指定建設業を含む全二八の建設業に係る建設工事についてこの制度が適用される平成八年六月二九日から適用されることとなるので、同日までには資格者証の交付を受けるよう建設業者に適切な指導を行うこと。

3 見積りの適正化について

(1) 建設工事の適正な施工を確保するとともに、発注者の保護を図るため、建設業者は、「工事の種別ごと」に経費の内訳を明らかにして建設工事の見積りを行うよう努めなければならないものとされた。請け負う建設工事がどのような工事の種別に分けられるかは、請け負う工事の内容により異なるものであるが、例えば、切土、盛土、型枠工事、鉄筋工事のような工種の別ごと、本館、別館のような目的物の別ごと等に分けられるものと考えられる。なお、ここでいう「経費」には、労務費及び材料費のほか、共通仮設費、現場管理費、機械経費等が考えられる。
(2) また、建設業者は、請負契約を締結するまでに、発注者に要求に応じて、見積書を提示しなければならないものとされたので、貴省が発注者となる工作物に関する建設工事について、必要に応じ、請負契約の締結前に、当該建設工事を請け負うこととなる建設業者に対して見積書の提示を求めること。なお、ここでいう「見積書」は、経費の内訳を明らかにして行った見積りを書面化したものであること。

なお、同項の規定による見積書の提示の義務は、請負契約の締結後に工事費の内訳書を発注者に提出すること等請負契約の当事者による取決めによって生じる契約上の義務とは異なるものである。

4 監督の強化等について

(1) 都道府県知事による監督の対象となる建設業者の範囲の拡大等

都道府県知事は、建設大臣又は他の都道府県知事の許可を受けた建設業者の当該都道府県の区域内における営業に関し、指示処分又は営業停止処分を行うことができることとされた。
したがって、貴省が発注者である工作物に関する建設工事について、建設業法の規定(第一九条の三、第一九条の四及び第二四条の三から第二四条の五までを除く。)又は法第二八条第一項各号に該当する事実が認められる場合には、当該建設工事が施工されている区域を管轄する都道府県知事又は当該建設工事を施工する建設業者が許可を受けた都道府県知事のいずれかに連絡をすること。

(2) 監督処分結果の公告

建設大臣又は都道府県知事は、建設業者に対し営業停止又は許可の取消しを行ったときは、当該建設業者と新たに取引関係に入ろうとしている者にその処分に関する情報を提供するため、その旨を公告しなければならないこととされた。この公告の対象となる処分は、不正行為を原因とする処分だけでなく、廃業等の届出が行われた場合や建設業者の所在が確知できない場合に行われる許可の取消しについても行うこととしているので、発注者としてその情報を適切に活用すること。

(3) 建設業者監督処分簿

建設大臣又は都道府県知事は、その許可に係る建設業者が不正行為を原因として受けた指示処分又は営業停止処分の結果について、建設業者監督処分簿を備え、公衆の閲覧に供しなければならないこととされたので、発注者としてその情報を適切に活用すること。

5 許可の有効期間について

(1) 平成六年一二月二八日以降、許可の有効期間が三年から五年に延長されるが、有効期間を三年として既に受けている建設業の許可については、自動的にその有効期間が五年とされるわけではなく、有効期間を五年とするためには、改めて有効期間を五年とする許可を受ける必要があること。
(2) 許可の更新の申請があった場合において、従前の許可の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、特段の手続きを要することなく、従前の許可は、その処分がされるまでの間は、なおその効力を有することとされたが、この場合、許可の更新の申請に基づく審査の結果、不許可処分とされた場合であっても、当該処分がされるまでの間は、従前の許可はなお効力を有するものとされるので留意すること。



別紙2

監理技術者資格者証運用マニュアルについて

(平成六年一二月二八日)
(建設省経建発第三九五号の二)
(地方厚生課長あて建設経済局建設業課長通知)
建設業法においては、建設工事の適正な施工の確保を図るため、国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事を発注者から直接請け負った特定建設業者は、工事現場ごとに専任で設置する監理技術者を、監理技術者資格者証(以下「資格者証」という。)の交付を受けた者のうちから選任しなければならず、また、当該監理技術者は、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならないこととされている。
今般、資格者証に関する同法の規定の的確な運用に資するため、建設業者に対して指導を行う際の指針となる標記マニュアルを定め、当職から各都道府県建設業担当主管部局長あて通知した。
標記マニュアルは、建設業行政の担当部局が建設業者に対して指導を行う際の指針となると同時に、公共工事の発注者が、その発注に係る建設工事について現場に置かれる監理技術者に資格者証の提示を求めるなど、資格者証に関する制度の理解と的確な活用を通じて建設工事の適正な施工の確保に資するものであるので、参考とされたく、別添のとおり送付する。

別添

資格者証(監理技術者資格者証)運用マニュアル

目次

1 趣旨
2 技術者の工事現場における専任
3 監理技術者の設置

3―1 工事外注計画の立案等
3―2 監理技術者の設置の判断
3―3 資格者証の携帯

4 工事現場に掲げる標識
5 建設業法の遵守
1 趣旨

建設業法では、建設工事の適正な施工の確保を図るために、工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として主任技術者又は監理技術者の設置を求めている。また、国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事については、専任の者でなければならない監理技術者は、監理技術者資格者証(資格者証)の交付を受けた者から選任しなければならないこととされている*。
監理技術者及び資格者証に関する制度は、建設市場に不当に参入する不良不適格業者を排除し、「技術と経営に優れた企業」が成長できるような条件整備を行うことを目的としており、建設工事の適正な施工の確保及び建設産業の健全な発展のために、的確に運用される必要がある。
本マニュアルは、建設業法上重要な柱の一つである資格者証に関する制度(資格者証制度)を的確に運用するため、行政担当部局が指導を行う際の指針となるものであり、併せて建設業者の業務を遂行する際の参考となるものである。
 *これは、平成八年六月二九日から義務付けられるものであり、平成八年六月二八日までの間は、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業の五業種に係る建設工事に限って指定建設業監理技術者資格者証の交付を受けた者からの選任が必要である。
(1) 課題を抱える我が国の建設産業
・ 我が国の建設業は、国内総生産の二割近くに相当する建設投資を担い、また、全産業就業人口の一割近くを抱えており、基幹産業として国民経済上重要な位置を占めているが、一方、施工技術水準の高度化への対応、経営体質の改善等早急に解決しなければならない課題を抱えている。
(2) 建設業法における監理技術者

・ 建設業法においては、建設工事を施工するときには、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、「主任技術者」を置かなければならないが、発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は四、五〇〇万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要になるとともに、主任技術者に代えて「監理技術者」を置かなければならないこととされている(法第二六条第一項及び第二項、令第二条)。
・ 主任技術者や監理技術者となるためには、一定の国家資格や実務経験を有していることが必要であり、施工技術の総合性、普及状況等を考慮して定められた指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業及び造園工事業)*に係る建設工事の監理技術者は、一級施工管理技士等の国家資格者又は建設業法第一五条第二号ハの規定に基づき建設大臣が認定した者(建設大臣認定者)に限られることとされている(法第二六条第二項)。

*電気工事業及び造園工事業は、平成七年六月二九日に指定建設業に追加される。なお、平成七年六月二九日現在で現に特定建設業の許可を受けて電気工事業又は造園工事業を営んでいる者及び平成七年六月二八日以前に当該二業種に係る建設業の許可の申請をした者については、平成八年六月二八日までの間は、当該二業種に係る建設工事の監理技術者の資格は、従前どおり、一定の指導監督的な実務経験を有する者に関しても認められる。

(3) 資格者証に関する規定

・ 国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事については、専任の者でなければならない監理技術者を、資格者証の交付を受けている者のうちから選任しなければならない(法第二六条第四項)。
・ この選任された監理技術者は、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならない(法第二六条第五項)。
・ 資格者証の交付(有効期間の更新を含む。)を受けようとする者は、建設大臣が指定する講習*で交付の申請前一年以内に行われるものを受講しなければならない(法第二七条の一八第四項)**。

*指定基準を満たす講習として、財団法人全国建設研修センター、財団法人建設業振興基金及び社団法人日本建設機械化協会が共催で実施する「監理技術者講習」が指定されている。
**平成七年六月二八日までの間は、指定建設業監理技術者資格者証を交付することとしており、その交付申請に当たっては、当該講習を受講する必要はない。

・ なお、建設大臣は、指定資格者証交付機関に、資格者証の交付及びその有効期間の更新の実施に関する事務を行わせることができることとされており(第二七条の一九第一項)、この事務を行う機関として財団法人建設業技術者センターが指定されている。
・ 建設業法上、このような資格者証に関する規定が適用される発注者は、国、地方公共団体、法人税法別表第一に掲げる公共法人(表―1参照)、東京湾横断道路株式会社、帝都高速度交通営団及び関西国際空港株式会社である(法第二六条第四項、令第二七条の二、規則第一七条の二)。

(4) 本マニュアルの位置付け

・ 資格者証制度が円滑かつ的確に運用されるためには、行政担当部局は建設業者を適切に指導する必要がある。本マニュアルは、資格者証に関する規定を中心として、技術者の専任、監理技術者等に関する規定も含め、資格者証制度を運用する上で必要な事項について整理し、運用に当たっての基本的な考え方を示したものである。

なお、建設業者についても、本マニュアルを参考に、制度の概要とその運用方法について熟知し、建設業法に基づき適正に業務を行う必要がある。

2 技術者の工事現場における専任

主任技術者又は監理技術者は、公共性のある工作物に関する重要な工事については、工事現場ごとに専任でなければならない。
「専任」とは、「他の工事現場の主任技術者又は監理技術者との兼任を認めないこと。」を意味し、専任の主任技術者又は専任の監理技術者は、常時継続的に当該建設工事現場に置かれていなければならない。
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者については、施工における品質確保、安全確保等を図るため、施工計画の立案等準備期間における管理、指導が重要であることから、基本的に契約工期をもって技術者を専任で設置すべき期間とする。
なお、建設工事の適正な施工の確保のためには、専任の主任技術者及び専任の監理技術者については、当該企業と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、また、このような雇用関係を確認できるよう、資格者証には所属建設業者名が記載される。
(1) 主任技術者と監理技術者

・ 主任技術者及び監理技術者の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることである。すなわち、建設工事の施工に当たり、その施工計画を作成し、具体的な工事の工程管理や工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行い、また、工事の施工に伴う公衆災害、労働災害等の発生を防止するための安全管理等を行うとともに、当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督を行うことである(法第二六条の三第一項)。
・ 特に、監理技術者は、建設工事の施工に当たり外注する工事が多い場合に、当該建設工事の施工を担当するすべての専門工事業者等を適切に指導、監督するという総合的な機能を果たすものであり、工事の施工に関する総合的な企画、指導等の職務がとりわけ重視されるため、そのような工事の適正な施工の確保のために、より高度な技術力が必要である。
・ また、工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない(法第二六条の三第二項)。
・ さらに、主任技術者及び監理技術者は、公共性のある重要な工事については、より適正な施工の確保が求められるため、工事現場ごとに専任の者でなければならない。(法第二六条第三項)。
・ なお、「現場代理人」は、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の取締りのほか、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項を処理するものとして工事現場に置かれる請負者の代理人であり、主任技術者、監理技術者等とは役割等が異なるが、これらを兼ねることができる(公共工事標準請負契約約款第一一条参照)。

(2) 公共性のある重要な工事

・ 公共性のある重要な工事は、次の各号に該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が二、五〇〇万円(建築一式工事の場合は五、〇〇〇万円)以上のものをいう。(令第二七条)。

1) 国又は地方公共団体が注文者である工作物に関する工事
2) 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道
3) 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。)
4) 学校、児童福祉法第七条に規定する児童福祉施設、集会場、図書館、美術館、博物館、陳列館、教会、寺院、神社、工場、ドック、倉庫、病院、市場、百貨店、事務所、興行場、ダンスホール、旅館業法第二条に規定するホテル、旅館若しくは下宿、共同住宅、寄宿舎、公衆浴場、鉄塔、火葬場、と畜場、ごみ若しくは汚物の処理場、熱供給事業法第二条第四項に規定する熱供給施設、石油パイプライン事業法第五条第二項第二号に規定する事業用施設又は電気通信事業法第一二条第一項に規定する第一種電気通信事業者がその事業の用に供する施設に関する工事

(3) 工事現場における技術者の専任の基本的な考え方

・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者にあっては、基本的には契約工期をもって主任技術者又は監理技術者を専任で設置すべき期間とする。

なお、当該建設工事の完成検査も終了し事務手続のみが残っている場合、工事を一時中止している場合等については兼務を認める余地はあるが、その期間について手続上明確になっている必要がある。また、下請工事においては、施工が断続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、当該下請工事の施工期間とする。

・ 密接な関係のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる。(令第二七条第二項)が、専任の監理技術者については、この規定は適用されない。
・ 建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するために、専任の主任技術者又は専任の監理技術者については、当該企業と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者を設置する必要がある。また、このような技術者を設置して適正な施工を確保することが、当該企業が技術と経営に優れたものとして評価されることにつながる。

そこで、雇用関係を明らかにするために、資格者証には所属建設業者名が記載され、また、職務に従事する建設業者の変更や所属建設業者名の変更があった場合には、三〇日以内に指定資格者証交付機関(財団法人建設業技術者センター)に対して記載事項の変更を届け出なければならない(規則第一七条の一六第一項、第一七条の一七第一項)*。
*指定建設業監理技術者資格者証の表面には所属建設業者名が記載されていないので、その交付を受けている者は、当該指定建設業監理技術者資格者証の裏面に、所属建設業者名を的確に記載しておかなければならない。

3 監理技術者の設置
3―1 工事外注計画の立案等

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、監理技術者の設置の要否の判断等にも必要であるため、専門工事業者等への工事外注の計画(工事外注計画)を立案し、下請契約の請負代金の予定額(下請契約の予定額)を的確に把握しておく必要がある。
また、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請契約の代金の額の総額が一定額を上回る場合には、工事現場ごとに置く主任技術者に代えて監理技術者を設置すると同時に、建設工事の適正な施工の確保等を図るため、建設業法により義務付けられている施工体制台帳の整備及び施工体系図の作成を行うこと等により、建設工事の施工体制を的確に把握する必要がある。
(1) 総合工事業者の役割

・ 建設産業の生産活動においては、総合的管理監督機能(企画力、技術力等総合力を発揮して建設工事全般にわたり監理監督を行う機能)を主として担う総合工事業者と、直接施工機能(専門的技能を発揮して工事施工を担当する機能)を主として担う専門工事業者とが、それぞれ相互に役割を分担しつつ協力して行う方式が基本となっている。

このうち総合工事業者は、総合的管理監督機能を担うとともに、建設工事の発注者に対して契約に基づき、工事完成についてのすべての責任を持つという役割を有している。

(2) 工事外注計画と下請契約の予定額

・ 一般的に、工事現場においては、総合的な企画、指導の任務を遂行する監理技術者等を中心とし、専門工事業者等とにより施工体制が構成されることとなる。その際、建設工事を適正に施工するためには、工事のどの部分を専門工事業者等の施工として分担させるのか、また、その請負代金の額がどの程度となるのかなどについて、工事外注計画を立案しておく必要がある。工事外注計画としては、受注前に立案される概略のものから工事施工段階における詳細なものまで考えられる。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、監理技術者の設置の要否の判断のためには、工事受注前におおむねの計画を立て、工事受注後速やかに、工事外注の範囲とその請負代金の額に関する工事外注計画を立案し、下請契約の予定額を的確に把握しておく必要がある。なお、当該建設業者は、工事外注計画について、工事の進捗段階に応じて所要の見直しを行う必要がある。
・ 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、下請契約の予定額が三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は四、五〇〇万円)以上となるか否か的確に把握する必要がある。

なお、「建設工事の全体の請負代金の額」に対する「下請契約の請負代金の額」の割合は、工事ごとに異なり、さらに地域によりまた個々の企業によっても多様であるが、平均的には建築工事以外の土木工事等においてはおおむね五割、建築工事ではおおむね七割となっている。このため、平均的には、請負代金の額がおおむね六、〇〇〇万円の工事の場合、下請契約の額はおおむね三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は四、五〇〇万円)となる。

(3) 施工体制台帳等の整備

・ 総合工事業者は、的確かつ効率的な施工の確保を図るために、技術者の適正な配置を徹底し、配置された技術者により業種・工程間の総合的な施工管理及び専門工事業者の適切な指導監督が行われる必要がある。また、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その下請負人が建設業法等の関係法令に違反しないよう指導に努めなければならない(法第二四条の六)。このような下請負人に対する指導監督を行うためには、まず、総合工事業者とりわけその監理技術者が建設工事の施工体制を的確に把握しておく必要がある。
・ そこで、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者で当該建設工事を施工するために総額三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は四、五〇〇万円)以上の下請契約を締結したものは、下請負人からの再下請通知等に基づき、施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え付けなければならない(法第二四条の七第一項)*。

また、施工体制台帳を作成した特定建設業者は、発注者から請求があったときは、当該建設工事の発注者が必要に応じ施工体制を確認できるよう、施工体制台帳をその発注者の閲覧に供しなければならない(法第二四条の七第三項)*。

*施工体制台帳の整備等は、平成七年六月二九日以降に義務付けられる。

・ 監理技術者は、建設工事の全貌を常に把握する必要があること、下請業者も含めて当該建設工事の施工に対する責任があること、技術者の適正な配置を徹底する必要があること、下請業者も当該建設工事の全貌を把握し、工事現場における役割分担を確認する必要があること等から、施工体制台帳を作成する特定建設業者は、当該建設工事に係るすべての建設業者名、技術者名等を記載し工事現場における施工の分担関係を明示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない(法第二四条の七第四項)*。

*施工体系図の作成等は、平成七年六月二九日以降に義務付けられる。

(4) 下請契約について

・ 下請契約とは、建設業法において次のように定められている(法第二条第四項)。

「建設工事をその他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約」

「請負契約」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約」であり、単に使用者の指揮命令に従い労務に服することを目的とするだけで、仕事の完成に伴う危険を負担するものではない「雇用」とは区別される。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、このような点を踏まえ、工事外注の範囲を明らかにしておく必要がある。

3―2 監理技術者の設置の判断

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の予定額を的確に把握して監理技術者を置くべきか否かの判断を行い、適正に技術者を設置する必要がある。
(1) 監理技術者の設置における考え方

・ 建設工事の適正な施工を確保するためには、請け負った建設工事の内容を勘案し適切な技術者を適正に設置する必要がある。
・ 工事途中で施工管理をつかさどっている責任ある技術者を変更することは、適正な建設工事の施工の確保の観点からは好ましいものではない。このため、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、事前に監理技術者を設置する工事に該当すると判断される場合には、当初から監理技術者を設置しなければならないが、監理技術者を設置する工事に該当するかどうか流動的であるものについても、工事途中の技術者の変更が生じないように、監理技術者になり得る資格を有する技術者を設置しておくべきである。
・ また、適正な施工の確保の観点から、主任技術者・監理技術者の区分にかかわらず、工事の規模、難易度等によっては、下請契約の請負代金の額(下請契約の額)が小さくとも高度の技術力を持つ技術者が必要となるので、国家資格者等の活用を図ることが適切な場合がある。発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、これらの点も勘案しつつ、適切に技術者を設置する必要がある。

(2) 共同企業体における監理技術者の設置

・ 建設業法第二六条の規定により、共同企業体が公共工事を施工する場合、下請契約の額が三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は、四、五〇〇万円)以上となるときには、特定建設業者たる構成員一社以上が監理技術者を専任で設置しなければならない。このうち、分担施工方式の共同企業体にあって、分担工事に係る下請契約の額が三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は、四、五〇〇万円)以上となる場合には、当該分担工事を施工する特定建設業者たる構成員が監理技術者を専任で設置しなければならない。

なお、いずれの場合も、その他の構成員については、国家資格を有する主任技術者(経常建設共同企業体にあっては、原則として国家資格を有する主任技術者)をそれぞれ当該工事現場に専任で設置しておくべきである。

・ 共同企業体による公共工事の施工が円滑かつ効率的に実施されるためには、すべての構成員が、施工しようとする工事にふさわしい技術者を適正に設置し、共同施工の体制を確保しなければならない。したがって、各構成員から派遣される技術者等の数、資格、配置等は、信頼と協調に基づく共同施工の確保という観点から、工事の規模・性格等に応じ適正に決定される必要がある。このため、編成表の作成等現場職員の設置の決定に当たっては、次の事項に配慮するものとする。

1) 工事の規模、性格、出資比率等を勘案し、各構成員の適正な設置人数を確保すること。
2) 構成員間における対等の立場での協議を確保するため、派遣される職員は、ポストに応じ経験、年齢、資格等を勘案して決定すること。
3) 特定の構成員に権限が集中することのないように配慮すること。
4) 各構成員の有する技術力が最大限に発揮されるよう配慮すること。

(3) 主任技術者から監理技術者への変更

・ 当初は主任技術者の設置で十分であった工事で、大幅な工事内容の変更等により、工事途中で下請契約の請負代金の額が三、〇〇〇万円(建築一式工事の場合は、四、五〇〇万円)以上となるような場合には、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、主任技術者に代えて、所定の資格を有する監理技術者を設置しなければならない。
・ なお、(1)で述べたとおり、工事施工途中における技術者の変更は望ましいものではないため、このような場合には、工事施工の当初から、監理技術者になり得る資格を持つ技術者を置くべきである。

3―3 資格者証の携帯

国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事については、専任の者でなければならない監理技術者は、監理技術者資格者証(資格者証)の交付を受けている者のうちから、これを選任しなければならない*。また、当該監理技術者は、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければならず、当該建設工事に係る職務に従事しているときは、常時資格者証を携帯している必要がある*。
 *平成八年六月二八日までの間は、土木工事、建築工事、管工事、鋼構造物工事及び舗装工事に係る監理技術者に限り、指定建設業監理技術者資格者証の交付を受けた者からの選任及び当該資格者証の携帯が義務付けられている。

・ 資格者証*は、建設業法第二六条第四項及び第五項等に規定されているように、公共性のある工作物に関する重要な建設工事の中でも、より適正な施工の確保が求められる国、地方公共団体等が発注者である工作物に関する建設工事について、当該建設工事の監理技術者が所定の資格を有しているかどうか、監理技術者として定められた本人が専任で従事しているかどうか、当該建設工事を施工する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であるかどうか等を確認するために活用されているものである。

*平成八年六月二八日までの間は、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業だけを対象とした指定建設業監理技術者資格者証である。

・ 資格者証は、監理技術者になり得る者であれば、申請により交付を受けることができる。監理技術者になり得る者は、指定建設業七業種*については、一定の国家資格者又は建設大臣認定者に限られるが、指定建設業以外の二一業種については、一定の国家資格者、建設大臣認定者のほか、一定の指導監督的な実務経験を有する者も監理技術者になり得る。

*指定建設業は、平成七年六月二九日に電気工事業及び造園工事業が追加される前は、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業及び舗装工事業の五業種である。

・ この資格者証の交付等の事務は、指定資格者証交付機関である財団法人建設業技術者センターが行っている。資格者証の交付申請は、原則として、申請者本人が同財団の支部に直接出向いて行わなければならないが、資格者証に記載する監理技術者資格が国家資格又は大臣認定であるときは、資格者証の交付申請前に受講しなければならない講習の会場で講習の終了後に申請することができる。
・ 資格者証には、本人の顔写真の他に次の事項が記載され(法第二七条の一八第二項、規則第一七条の一六)、様式は図―1に示すものとなっている。

(1) 交付を受ける者の氏名、生年月日、本籍及び住所
(2) 交付の年月日
(3) 交付を受ける者が有する監理技術者資格
(4) 建設業の種類
(5) 資格者証交付番号
(6) 資格者証の有効期間の満了する日
(7) 所属建設業者名*
なお、資格者証に記載される監理技術者資格は建設大臣が定める略号をもって記載されている**。

* 平成七年六月二九日以降に交付される監理技術者資格者証に限られる。
**平成七年六月二八日までの間に交付される指定建設業監理技術者資格者証は、その有効期間が満了するまでの間は、監理技術者資格者証とみなされる。この場合において、当該指定建設業監理技術者資格者証に表―二の略号の欄に掲げる指定建設業監理技術者資格が記載されている場合は、当該指定建設業監理技術者資格者証を、同表の建設業の種類の欄に掲げる建設業について監理技術者資格を有する旨を記載した監理技術者資格者証として取り扱うこととする。

4 工事現場に掲げる標識

建設工事の責任の所在を明確にすること等のため、建設業者は、建設工事の現場ごとに、建設業許可に関する事項のほか、主任技術者・監理技術者の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号を記載した標識を、公衆の見やすい場所に掲げなければならない。
・ 建設業者は、建設業法第四〇条及び同法施行規則第二五条の規定により、建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないこととされている。
・ 建設工事現場に標識を掲げる意義は、次のとおりである。

(1) 建設工事の施工が建設業法による許可を受けた適法な業者によってなされていることを対外的に明らかにすること。
(2) 建設工事は、その工事現場が移動するとともに、多数の建設業者が同時に施工に携わるため、安全施工、災害防止等の責任が曖昧になりがちであることから、対外的にその責任主体を明確にすること。
・ 現場に掲げる標識の様式には、建設業許可に関する事項のほか、主任技術者・監理技術者の資格名、資格者証交付番号等を記載することとされており、監理技術者を設置する場合は図―2の様式となる。この様式の標識を掲示することにより、主任技術者又は監理技術者の資格を明確にするとともに、資格者証の交付を受けている者が設置されていることを明らかにすることができる。

5 建設業法の遵守

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものである。したがって、建設業者は、この法律を遵守すべきことは言うまでもないが、行政担当部局は、建設業法の遵守について、適切に指導を行う必要がある。
・ 建設業法第一条では、建設業法の目的を次のように規定している。

「この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」

したがって、建設業者は、この法律を遵守すべきことは言うまでもないが、行政担当部局は、建設業法の遵守について、適切に指導を行う必要がある。

・ 特に、建設業法第四一条では、建設大臣又は都道府県知事は、工事の適正な施工の確保等を図るために建設業者に対して必要な指導、助言等を行うことができることとされ、また、同法第二八条第一項本文及び第四項では、建設業者が建設業法の規定に違反した場合において、当該建設業者に対して、監督処分として必要な指示を行うことができ、同条第三項及び第五項では、この指示に違反した場合、営業の全部又は一部の停止を命ずることができることとなっている。

表―1及び表―2 略
図―1及び図―2 略


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