公共工事における入札制度の合理化対策等については、中央建設業審議会より累次の建議が行われるとともに、従来から各発注機関において改善措置が講じられてきたところであり、また、最近においても新たな取組みがなされているところである。
このような入札制度に係る合理化対策等の推進は、公共工事の円滑な推進と建設業の健全な発展のために、極めて重要な課題であり、建設業を取り巻く諸情勢にも鑑み、特に左記事項に留意の上、さらにその一層の推進に努められるようお願いする。
1 的確な予定価格の設定について
予定価格については、実勢に即した設計単価の設定に努めるとともに工事の施工条件等を十分に考慮して、適正に決定すること。また、いわゆる歩切りについては、厳にこれを慎むこと。
なお、工事の施工条件については、設計図書の中に明示するとともに、明示された条件に変更が生じた場合は設計変更等適切な対応をとること。
2 入札辞退の自由について
指名を受けた建設業者が、入札の参加を希望しない場合には、入札手続きのあらゆる段階における入札辞退の自由を確保することはもとより、これを理由として以後の指名に不利益な取扱いをすることのないよう十分留意すること。
3 発注標準について
指名競争入札における適正な競争や受注機会の公平等を確保するため、最近における建設工事費の動向等を踏まえ、適正な発注標準の設定に努めること。
4 共同企業体制度の運用について
共同企業体の活用は、技術力の結集等により効果的施工が確保できると認められる適正な範囲にとどめ、公共工事の発注は単体発注を基本的前提とするなど「共同企業体の在り方について」(昭和六二年八月一七日付け建設省中建審発第一二号)の趣旨に沿って、適正に行うとともに、同建議に示された共同企業体運用準則に沿った適正な運用を行うこと。
5 工事完成保証人の選定について
落札者が工事完成保証人を選定するに当たっては、発注者がいわゆる相指名業者に限定することなく、当該建設工事について適正な施工能力を有する建設業者から、的確に選定できるよう配慮すること。