建設省経振発第三三号
平成四年三月二七日

建設業者団体の長あて

建設経済局長通達


共同企業体運営モデル規則について


共同企業体の運営については、「共同企業体運営指針について」(平成元年五月一六日付建設省経振発第五二号)により、共同企業体が構成員の信頼と協調の下に円滑に運営されるよう鋭意ご配慮いただいているところであるが、共同企業体運営指針の趣旨に沿った適正な規則等の整備を促進するため、今般、共同企業体適正運営推進協議会において別添のとおり「共同企業体運営モデル規則」が定められたところである。
ついては、貴団体におかれても、本モデル規則策定の趣旨をご理解の上、貴会さん下建設業者に対し、共同企業体の現場運営への積極的な普及、活用の推進方をお願いする。



別添
1 趣旨

共同企業体は、複数の構成員が技術・資金・人材等を結集し、工事の安定的施工に共同して当たることを約して自主的に結成されるものである。社風、経営方針、技術力、経験等の異なる複数の構成員による共同企業体の効果的な活用が図られるためには、共同企業体の運営が構成員相互の信頼と協調に基づき円滑に行われることが不可欠である。
平成元年五月一六日付建設省経振発第五二号「共同企業体運営指針について」において示された「共同企業体運営指針」(以下「運営指針」という。)は、共同企業体が構成員の信頼と協調のもとに円滑に運営されるよう、その施工体制、管理体制、責任体制その他基本的な運営の在り方を示したものであり、実際の工事の施工に当たっては共同企業体において運営指針の趣旨に沿った運営に関する規則等を整備することが必要であるとされている。
本モデル規則は、運営指針の趣旨をより具現化したものであり、共同企業体の規則等において定めるべき事項を具体的に示すものである。これにより、これまで規則等を整備していなかったり、又は、十分なものとはいえない規則等によって運営されていた共同企業体において、運営指針の趣旨に沿った適正な規則等の整備を促進し、もって共同企業体の運営の適正化が図られることを期待するものである。

2 性格

(1) 本モデル規則は、共同企業体が公共工事の施工に当たるため「特定建設工事共同企業体協定書(甲)」(昭和五三年一一月一日付建設省計振発第六九号)に基づき結成されていることを前提としているが、その他の場合においても、基本的には本モデル規則に準じた規則等を整備することにより、運営指針の趣旨に沿った適正な運営が確保されることが望まれるところである。
(2) 本モデル規則の作成に当たっては、その実用性に留意しつつ、運営指針に示された基本的な考え方に基づき全ての構成員が信頼と協調をもって共同施工に参画し得る体制を確保することを主眼において検討を行い、共同企業体の運営の在るべき姿を追求した。したがって、現在の業界の運営の実態とは必ずしも一致しない部分があるが、こうした部分についても将来的には実態が本モデル規則に示した姿へと向かうことが望ましいと考えるものである。
(3) 本モデル規則はあくまでも共同企業体の円滑な運営のためのルールの標準的なものを示すものであり、共同企業体の運営に当たって、各種規則等を作成する際の雛形として工事の規模・性格等その実状に合わせて適宜変更することを拘束するものではないが、その場合にあっても本モデル規則の趣旨に十分配慮することが必要である。また、規則等の作成に当たっては、構成員間で十分に協議の上、構成員の合意に基づきその内容を決定しなければならないことは当然である。

3 共同企業体運営モデル規則の構成

本モデル規則は、共同企業体において少なくとも整備すべき次に掲げる規則等について本則及び注解により構成する。
1) 運営委員会規則……共同企業体の最高意思決定機関としての位置付けとその機能の定め
2) 施工委員会規則……工事の施工に関する事項の協議決定機関としての位置付けとその機能の定め
3) 経理取扱規則………経理処理、費用負担、会計報告等に関する定め
4) 工事事務所規則……工事事務所における指揮命令系統及び責任体制に関する定め
5) 就業規則……………工事事務所における職員の就業条件等に関する定め
6) 人事取扱規則………管理者の要件、派遣職員の交代等に関する定め
7) 購買管理規則………取引業者及び契約内容の決定手続等に関する定め
8) 共同企業体解散後の瑕疵担保責任に関する覚書……解散後の瑕疵に係る構成員間の費用の分担、請求手続等に関する定め

4 共同企業体運営モデル規則

【運営委員会規則】

(総則)

第一条 共同企業体協定書第一九条に基づき運営委員会規則を定める。同協定書第九条に基づき設置される運営委員会(以下「委員会」という。)の運営は、この規則の定めるところによる。(注―1)

(目的)

第二条 この規則は、委員会の権限、構成、運営方法等について定めることにより、共同企業体の運営を円滑に行うことを目的とする。

(権限)

第三条 委員会は、共同企業体の最高意思決定機関であり、第六条に定める共同企業体の運営に関する基本的事項及び重要事項を協議決定する権限を有する。

(構成)

第四条 委員会は、各構成員を代表する委員各一名をもって組織する。(注―2、3)
2 委員に事故があるときは、あらかじめ各構成員が定めた委員代理が、その職務を代理する。(注―3)
3 委員会に、委員を補佐し、構成員間の連絡を円滑に図るため、各構成員より選任された幹事各一名を置く。(注―3)
4 委員会には、必要に応じ専門委員会の委員、その他の関係者を出席させることができる。
5 各構成員は、委員、委員代理又は幹事が人事異動その他の理由によりその職務を遂行できなくなったときは、他の構成員に文書で通知し、交代させることができる。

(委員長)

第五条 委員会に委員長を置き、代表者から選任された委員がこれに当たる。(注―3)
2 委員長は、委員会の会務を総理する。
3 委員長に事故があるときは、委員又は委員代理のうちから委員長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。

(付議事項)

第六条 委員会に付議すべき事項は、次のとおりとする。

一 工事の基本方針に関する事項
二 施工の基本計画に関する事項
三 安全衛生管理の基本方針に関する事項
四 工事実行予算案の承認に関する事項
五 決算案の承認に関する事項
六 協定原価(共同企業体の共通原価に算入すべき原価)算入基準案の承認に関する事項
七 実行予算外の支出のうち、重要なものの承認に関する事項
八 工事事務所の組織及び編成に関する事項
九 取引業者の決定及び契約の締結に関する事項(軽微な取引に係るものを除く)
一〇 発注者との変更契約の締結に関する事項
一一 規則の制定及び改廃に関する事項
一二 損害保険の付保に関する事項
一三 その他共同企業体の運営に関する基本的事項及び重要事項
(開催及び招集)

第七条 委員会は、工事の受注決定後、速やかに開催するほか、次に該当する場合に開催する。

一 委員長が必要と認めた場合
二 委員から委員会に付議すべき事項を示して、招集の請求があった場合

2 委員会は、委員長が招集する。
3 委員長は、委員会の招集に当たっては、その開催の日時、場所及び議題をあらかじめ委員に通知しなければならない。

(議決等)

第八条 委員会の会議の議長は、委員長がこれに当たる。
2 委員会の議決は、原則として全ての委員の一致による。
3 委員長は、やむを得ない事由により、委員会を開く猶予のない場合においては、事案の概要を記載した書面を委員に回付し賛否を問い、その結果をもって委員会の議決に代えることができる。
4 委員会の議事については議事録を作成し、出席委員の捺印を受けた上で、委員長がこれを保管するとともに、その写しを各構成員に配布する。

(専門委員会)

第九条 委員会は、工事の施工を円滑に行うため、運営委員会の下に施工委員会を設置するとともに、必要に応じ、次に掲げる専門委員会を設置する。

一 安全衛生委員会
二 購買委員会
三 技術委員会
四 その他の専門委員会

2 専門委員会は、共同企業体の各構成員から選任された委員をもって構成する。

(規則)

第一〇条 委員会は、共同企業体の運営を円滑に行うため、次に掲げる規則を定める。

一 施工委員会規則
二 経理取扱規則
三 工事事務所規則
四 就業規則
五 人事取扱規則
六 購買管理規則
七 その他の規則

2 委員会は、専門委員会(施工委員会を除く。)を設置する場合、それぞれの委員会規則を定める。
3 委員会で定められた規則は、各構成員が記名捺印し、各々一通を保有する。

(事務局)

第一一条 委員会には事務局を設置することとし、代表者の○○内に置く。

(運営委員会名簿)

第一二条 委員会は、別記様式により運営委員会名簿を作成、保管するとともに、その写しを各構成員に配布する。
○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))
○○建設株式会社
代表取締役 ○○○○ ((印))
○○建設株式会社
代表取締役 ○○○○ ((印))



(別記様式)
<別添資料>




【施工委員会規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき施工委員会規則を定める。同規則第九条に基づき設置される施工委員会(以下「委員会」という。)の運営は、この規則の定めるところによる。

(目的)

第二条 この規則は、委員会の権限、構成、運営方法等について定めることにより、共同企業体における工事の施工を円滑に行うことを目的とする。

(権限)

第三条 委員会は、運営委員会の下に組織され、運営委員会で決定された方針、計画等に沿って、第六条に定める工事の施工に関する具体的かつ専門的事項を協議決定する権限を有する。

(構成)

第四条 委員会は、各構成員から選任された委員〇名以内で組織する。
2 委員は、原則として各構成員が工事事務所に派遣している職員とする。
3 各構成員は、委員に事故があるときは、代理人を選任することができる。
4 委員会には、必要に応じて関係者を出席させることができる。
5 各構成員は、委員が人事異動その他の理由によりその職務を遂行できなくなったときは、他の構成員に文書で通知し、交代させることができる。

(委員長)

第五条 委員会に委員長を置き、委員長は原則として工事事務所長(以下「所長」という。)がこれに当たる。
2 委員長は、委員会の会務を総理する。
3 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

(付議事項)

第六条 委員会に付議すべき事項は、次のとおりとする。

一 施工計画及び実施管理に関する事項
二 安全衛生管理に関する具体的事項
三 工事実行予算案の作成及び予算管理に関する事項
四 決算案の作成に関する事項
五 協定原価(共同企業体の共通原価に算入すべき原価)算入基準案の作成に関する事項
六 工事事務所の人員配置及び業務分担に関する事項
七 取引業者の選定並びに軽微な取引に係る取引業者の決定及び契約の締結に関する事項
八 発注者との契約変更に関する事項(変更契約の締結を除く。)
九 その他工事の施工に関する事項
(開催及び招集)

第七条 委員会は、委員長の招集により、原則として月〇回定期的に開催するほか、委員長が必要と認めた場合及び他の委員から請求があった場合に開催する。

(議決等)

第八条 委員会の会議の議長は、委員長がこれに当たる。
2 委員会の議決は、原則として全ての委員の一致による。
3 委員会の議事については議事録を作成し、出席委員の捺印を受けた上で、委員長がこれを保管するとともに、その写しを各構成員に配布する。

(報告事項)

第九条 委員会において協議決定された事項は、速やかに運営委員会に報告する。(注―1)
2 委員会は、工事の進捗状況、工事実行予算の執行状況等を毎月、所長より報告させるとともに、適宜、運営委員会に報告する。
3 委員会は、施工過程における事故、技術上のトラブル、盗難、その他の異常な事態が発生した場合は、所長より速やかに報告させるとともに、運営委員会に報告しなければならない。

(施工委員会名簿)

第一〇条 委員会は、別記様式により委員会名簿を作成、保管するとともに、その写しを各構成員に配布する。

○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))



(別記様式)
<別添資料>




【経理取扱規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき経理取扱規則を定める。共同企業体における経理の取扱いについては、この規則の定めるところによる。

(目的)

第二条 この規則は、共同企業体の経理処理、費用負担、会計報告等について定めることにより、共同企業体の財政状態及び経営成績を明瞭に開示し、共同企業体の適正かつ円滑な運営と構成員間の公正を確保することを目的とする。

(会計期間)

第三条 会計期間は、共同企業体協定書(以下「協定書」という。)第四条に定める共同企業体成立の日から解散の日までとし、月次の経理事務は毎月一日に始まり当月末日をもって締め切る。(注―1)

(経理部署)

第四条 共同企業体の工事事務所内に経理事務を担当する部署(以下「経理部署」という。)を設置し、会計帳簿及び証憑書類等を備え付ける。(注―2)

(経理処理)

第五条 共同企業体は、独立した会計単位として経理する。(注―3、4)

(会計帳簿及び勘定科目)

第六条 会計帳簿は、仕訳帳、総勘定元帳及びこれらに付随する補助簿とする。(注―5)
2 勘定科目は、建設業法施行規則別記様式第一五号及び第一六号に準拠して定める。

(会計帳簿等の保管)

第七条 工事竣工後における会計帳簿及び証憑書類等の保管は、代表者が自己の保管規程に従い、概ね共同企業体の解散の日から会計帳簿及び証憑書類は一〇年間、その他の書類にあっては五年間を目途に行う。
2 前項の期間内において、代表者は各構成員の税務調査、法定監査等の必要に応じて会計帳簿及び証憑書類等を供覧する。

(経理責任者)

第八条 経理事務の最高責任者は工事事務所長(以下「所長」という。)とし、所長は事務長等を統括し、迅速、明瞭かつ一元的な事務処理を図るものとする。

(取引金融機関及び預金口座)

第九条 取引金融機関及び預金口座は、協定書第一一条に基づき次のとおりとし、各構成員からの出資金の入金、発注者からの請負代金の受入、取引業者に対する支払等の資金取引はこれにより行う。

取引金融機関 ○○銀行○○支店
預金口座種類 ○○預金(口座番号○○○○)
預金口座名義 ○○共同企業体 代表者 ○○○○

「前払金保証約款」に基づく前払金に関する受入、支払等の資金取引については、前項の規定にかかわらず、次の専用口座により行う。

取引金融機関 ○○銀行○○支店
預金口座種類 普通預金(口座番号○○○○)
預金口座名義 ○○共同企業体 代表者 ○○○○

(資金計画)

第一〇条 所長は、工事着工後速やかに資金収支の全体計画を立て、各構成員へ提出する。
2 所長は、毎月、資金収支管理のため、当月分及び翌月分の資金収支予定表を作成し、○○日までに各構成員へ提出する。

(資金の出資)

第一一条 共同企業体の事業に係る資金の調達は、各構成員の出資をもって行うものとし、その出資の割合は協定書第八条に定めるところによる。

(出資方法)

第一二条 代表者は、第一〇条第二項に定める資金収支予定表に基づき、毎月○○日までに各構成員に対して出資金請求書により出資金の請求を行う。ただし、天災及び事故等緊急の場合は所長の要請に基づき、臨時に出資金の請求を行うことができる。(注―6、7)
2 各構成員は、前項の請求書に基づき、次のとおり出資を行うものとする。

一 現金による出資については、取引業者への支払日の前日までに第九条第一項の銀行口座へ振り込むものとする。
二 手形による出資については、代表者以外の構成員は、自己を振出人、代表者を受取人とする約束手形を取引業者への支払日の前日までに代表者に持参し、代表者は、代表者以外の構成員の出資の額と自己の出資の額を合計した額の約束手形を取引業者に振り出すことにより行う。(注―8)

3 前項において、代表者以外の構成員が振り出す約束手形の期日は、代表者が振り出す約束手形の期日と同日とする。
4 代表者は、出資の受領の証として共同企業体名を冠した自己の名義の領収書を発行する。(注―9)

(立替金の精算)

第一三条 各構成員は、協定原価(共同企業体の共通原価に算入すべき原価をいう。以下同じ。)になるべき費用を立て替えた場合、毎月○○日をもって締め切り翌月○○日までに所定の請求書に証憑書類を添付して所長に提出し、翌月○○日に精算するものとする。

(請負代金の請求及び受領)

第一四条 請負代金の請求及び受領は、協定書第七条に基づき、代表者が共同企業体の名称を冠した自己の名義をもって行う。

(請負代金の取扱い)

第一五条 前払金として収納した請負代金は、公共工事標準請負契約約款第三二条の定めるところに従い、適正に使用しなければならない。
2 前払金、部分払金及び精算金として収納した請負代金は、協定書第八条に定める出資の割合に基づき、速やかに各構成員に分配する。(注―10)

(支払)

第一六条 支払は、事務長の認印のある証憑書類に基づき、伝票を起票のうえ、所長の認印を受けて行う。支払は、次の支払条件のとおりとする。ただし、臨時又は小口の支払についてはこの限りではない。
区分
所定の査定日
請求書締切日
内払の支払率
支払日
労務費
毎月○○日
毎月○○日
○○%
翌月○○日 現金
材料費
毎月○○日
毎月○○日
○○%
翌月○○日 手形
翌月○○日 現金
外注費
毎月○○日
毎月○○日
○○%
翌月○○日 手形
翌月○○日 現金
経費
毎月○○日
毎月○○日
○○%
翌月○○日 現金
*支払日が土曜日、日曜日、国民の祝日の場合は翌営業日
*12月分の支払は別に定める日
2 手形による支払は、代表者が自己の名義をもって取引業者に約束手形を振り出すことにより行う。(注―11)

(協定原価)

第一七条 協定原価算入基準案は、別記様式により施工委員会で作成し、運営委員会の承認を得なければならない。(注―12)
2 派遣職員の人件費のうち、給与、○○手当、○○手当、……について協定原価に算入する額は、別表に定める月額とする。ただし、臨時雇用者に係る人件費は、その支給実額を協定原価に算入する。

(月次会計報告)

第一八条 所長は、毎月末日現在の共同企業体に関する経理諸表を作成し、翌月○○日までに各構成員へ提出しなければならない。(注―13、14)

(工事実行予算)

第一九条 工事実行予算案は、工事計画に基づき施工委員会で作成し、運営委員会の承認を得なければならない。(注―15)
2 所長は、予算の執行に当たっては常に予算と実績を比較対照し、施工の適正化と予定利益の確保に努めるものとする。
3 予算と実績の間に重要な差異が生じた場合又はその発生が予想される場合は、所長はその理由を明らかにした資料を速やかに作成し、施工委員会を通して運営委員会の承認を得なければならない。

(工事損益の予想)

第二〇条 所長は、職員と常に緊密な連絡を保ち、工事損益の把握に努めなければならない。
2 所長は、工事損益の見通しを明確にするため、毎月、工事損益予想表を作成し、各構成員に提出しなければならない。(注―16)

(決算案の作成)

第二一条 所長は、工事竣工後速やかに精算事務に着手し、次に掲げる財務諸表を作成する。また、工事の一部を完成工事として計上する場合も同様とする。(注―17)

一 貸借対照表
二 損益計算書
三 工事原価報告書
四 資金収支表
五 前各号に掲げる書類に係る附属明細書

2 施工委員会は、前項で作成された財務諸表を精査し、決算案を作成する。

(監査)

第二二条 各構成員は、監査委員として当該構成員を代表し得る者(運営委員を除く。)○○名を選出する。
2 監査委員は、決算案及び全ての業務執行に関する事項について監査を実施する。
3 監査委員は、次に掲げる事項を記載した監査報告書を作成して運営委員会に提出する。(注―18)

一 監査報告書の提出先及び日付
二 監査方法の概要
三 監査委員の署名捺印
四 決算案等が法令等に準拠し作成されているかどうかについての意見
五 決算案等が協定書その他共同企業体の規則等に定める事項に従って作成されているかどうかについての意見
六 その他業務執行に関する意見
(決算案の承認)

第二三条 第二一条に定める決算案は、前条の監査報告を踏まえ、運営委員会の承認を得なければならない。

(決算後の収益又は費用の処理)

第二四条 決算後共同企業体に帰属すべき次の各号の収益又は費用が発生した場合は、各構成員は協定書第八条に定める出資の割合に基づき、当該収益の配分を受け又は費用を負担する。

一 工事用機械、仮設工具等の修繕費
二 労働者災害補償保険料の増減差額又はメリット制による還付金若しくは追徴金
三 その他決算後に確定した工事に関する収益又は費用
(消費税の取扱い)

第二五条 消費税は月次一括税抜き処理とし、月次会計報告で各構成員の消費税額計算上必要な事項を各構成員に報告する。

(課税交際費及び寄付金の取扱い)

第二六条 課税交際費及び寄付金は「交際費」及び「寄付金」の科目で処理し、月次会計報告でその額を各構成員に報告する。

(瑕疵担保責任等)

第二七条 工事目的物の瑕疵に係る修補若しくは損害の賠償、火災、天災等に起因する損害又は工事の施工に伴う第三者に対する損害の賠償に関し、共同企業体が負担する費用については、各構成員は協定書第八条に定める出資の割合に基づき負担するものとする。(注―19)
2 前項に基づき各構成員が負担を行った場合において、特定の構成員の責に帰すべき合理的な理由がある場合には、運営委員会において別途各構成員の負担額を協議決定し、これに基づき構成員間において速やかに負担額の精算を行うものとする。

(その他)

第二八条 この規則に定めのない事項については、運営委員会の決定による。

○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))
費目
算入・不算入
算入範囲等
(記載例)
 
 
材料費
 
 
労務費
 
 
外注費
 
 
仮設損料
 
 
仮設工具等修繕費
 
 
仮設損耗費
 
 
動力用水光熱費
 
 
運搬費(機械等運搬費を除く)
 
 
機械等損料
 
 
機械等修繕費
 
 
機械等運搬費
 
 
設計費
 
 
見積費用
 
 
作業服・安全帽子等購入費用
 
 
作業服クリーニング代
 
 
管理部門の安全・技術等の指導費用
 
 
衛生、安全、厚生に要する費用
 
 
労働者災害補償保険法による事業主負担補償費
 
 
事務所、倉庫、宿舎等の借地借家料
 
 
損害保険料
 
 
給与
 
 
時間外勤務手当
 
 
休日勤務手当
 
 
宿直手当
 
 
日直手当
 
 
賞与
 
 
退職給与引当金繰入額
 
 
公傷病による休務者に対する給与及び賞与
 
 
社会保険料
 
 
職員に対する慰安・娯楽費
 
 
健康診断料
 
 
慶弔見舞金
 
 
事務用品費(什器・備品類リース代を除く)
 
 
什器・備品類リース代
 
 
通信費
 
 
出張旅費
 
 
派遣職員以外の出張旅費
 
 
赴任・帰任旅費手当
 
 
引越運賃
 
 
通勤費
 
 
業務上の交通費
 
 
交際費
 
 
寄付金
 
 
補償費
 
 
運営委員会諸費用
 
 
専門委員会諸費用
 
 
各構成員の社内金利
 
 
工事検査立合費
 
 
工業所有権の使用料
 
 
構成員事務代行経費・電算処理費
 
 
事前経費(設計費、見積費用を除く)
 
 
残業食事代
 
 
各種資格受験費用
 
 
前払金保証料
 
 
その他の費用
 
運営委員会の協議による。

(注)

1 経理取扱規則第17条の別表に規定された人件費については、その旨明示すること。
2 事前費用、見積費用等金額が確定しているものについては、「算入範囲等」に具体的金額を記載すること。
3 他の規則において協定原価の算入範囲を別途定める費目については、その旨明示すること。



(別表)協定原価算入給与等一覧表(月額)

年齢 (歳)
金額 (円)
年齢 (歳)
金額 (円)
18
○○○○○○
 
19
 
 
20
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【工事事務所規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき工事事務所規則を定める。共同企業体の工事事務所は、この規則の定めるところにより工事の施工に当たる。

(目的)

第二条 この規則は、工事事務所における指揮命令系統及び責任体制について定めることにより、円滑かつ効率的な現場運営を確保することを目的とする。

(組織)

第三条 工事事務所に所長、副所長、事務長、工務長、事務主任、工務主任、事務係及び工務係を置く。(注―1)
2 人員配置は、各構成員の派遣職員の混成により、工事の規模、性格、出資比率等を勘案し、公平かつ適正に行うこととする。
3 工事事務所の組織、人員配置等については別記様式により、編成表を作成するものとする。

(所長)

第四条 所長は、原則として施工委員会の委員長を兼務し、運営委員会及び施工委員会の決定に従い、工事事務所員(日々雇い入れられる者を含む。以下「所員」という。)を指揮して工事の施工に当たる。
2 所長は所員を統轄して、工事事務所の円滑な運営を図る。
3 所長は施工委員会に対して、毎月、工事の進捗状況、工事実行予算の執行状況等の報告を行う。

(副所長)

第五条 副所長は所長を補佐して、工事の施工に当たる。
2 副所長は、必要に応じ所長を代理することができる。この場合、副所長は当該代理に係る業務を速やかに所長に報告する。

(事務長)

第六条 事務長は、庶務、経理、資材、渉外等の工事事務所の事務に関する業務を管理する。また、所長を補佐して、工事事務所と共同企業体構成員との連絡に当たる。(注―2)

(工務長)

第七条 工務長は、工程管理、品質管理、安全衛生管理、原価管理等の工事の施工に関する業務を管理する。

(主任)

第八条 主任は、それぞれの指揮命令系統に従い、係を指揮して担当業務の遂行に当たる。

(担当業務)

第九条 各係の担当業務は別表のとおりとする。
○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))
○○建設株式会社
代表取締役 ○○○○ ((印))
○○建設株式会社
代表取締役 ○○○○ ((印))



(別記様式)
<別添資料>



(別表)
担当業務
事務

<記載例>

(1) 会議の記録及び文書の保管に関する事項
(2) 文書、郵便物の交換配布及び電話に関する事項
(3) 工事事務所、食堂、宿直室及び什器・備品等の管理に関する事項
(4) 土地建物の貸借に関する事項
(5) 損害保険に関する事項
(6) 人事、給与、福利厚生に関する事項
(7) 作業員の労務管理に関する事項
(8) 労働基準法及び労働者災害補償保険法に関する事項
(9) 作業員宿舎の保安、管理に関する事項
(10) 安全、衛生に関する事項
(11) 防災、防犯に関する事項
(12) 保安、警備、公害防止に関する事項
(13) 官公庁その他との外部交渉に関する事項
(14) 金銭出納に関する事項
(15) 資金に関する事項
(16) 会計伝票、帳簿の記帳、整理及び証憑書類の保管に関する事項
(17) 会計報告書類の作成に関する事項
(18) 工事用機材の発注、検収保管、配分、回収及び処分に関する事項
(19) 機材納入業者の出来高査定に関する事項
(20) 倉庫管理に関する事項
(21) 輸送に関する事項
(22) その他事務に関する事項及び他の係に属さない事項
工務
<記載例>
(1) 実行予算案の作成及び実績調査に関する事項
(2) 予算と実績の対照に関する事項
(3) 発注者に対する出来高請求に関する事項
(4) 専門工事業者の入札等発注業務に関する事項
(5) 専門工事業者の出来高査定及び常傭の認定に関する事項
(6) 工事計画及び工程管理に関する事項
(7) 日報、工事写真その他の工事の記録に関する事項
(8) 工事の見積、積算及び設計変更に関する事項
(9) 支給材の受払、検収管理に関する事項
(10) その他工事の施工に関する事項

【就業規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき就業規則を定める。共同企業体の工事事務所における職員の就業については、この規則の定めるところによる。

(目的)

第二条 この規則は、職員の就業条件等について定めることにより、共同企業体における適正な就業条件の整備と統一化を図ることを目的とする。

(職員の範囲)

第三条 この規則にいう職員とは、工事の施工に当たるため各構成員から工事事務所に派遣される者(日々雇い入れられる者を除く。)をいう。

(優先順位)

第四条 この規則に定める事項が各構成員の規則等に定める事項と相違するときは、この規則を優先して適用する。
2 この規則に定めのない事項については、法令及び各構成員の規則等の定めるところによる。

(服務心得)

第五条 職員は、運営委員会の定める諸規則及び上長の指揮命令に従うとともに、相互に人格を尊重して誠実に勤務しなければならない。

(勤務時間)

第六条 一日の始業時刻、終業時刻及び休憩時間は次のとおりとする。

始業時刻 ○○時○○分
終業時刻 ○○時○○分
休憩時間 ○○時○○分〜○○時○○分

(休日)

第七条 休日は次のとおりとする。ただし、業務の都合により休日を振り替えることがある。

一 土曜日、日曜日
二 国民の祝日
三 年末年始(○○月○○日〜○○月○○日)
四 夏期休暇(○○月○○日〜○○月○○日)
五 その他工事事務所長(以下「所長」という。)が必要と認める臨時の休日
(勤務時間の厳守)

第八条 職員は、第六条に定める勤務時間を固く守り、その出退勤については所定の出勤表に自分で正確に記録しなければならない。

(時間外及び休日勤務)

第九条 所長は、業務上必要と認められる場合は、第六条及び第七条の規定にかかわらず、職員に対し勤務時間の延長又は休日の勤務を命じることができる。(注―1)
2 所長は、職員に対し休日に勤務を命じた場合は、原則として代休を与える。

(時間外及び休日勤務手当)

第一〇条 前条又は第一七条の規定によって時間外又は休日に勤務をさせた場合は、各構成員の規則等の定めるところにより、時間外勤務手当又は休日勤務手当を当該構成員から支給する。

(宿直及び日直)

第一一条 所長は、業務上必要と認められる場合には、第六条及び第七条の規定にかかわらず、職員(要健康保護者を除く。)に対し宿直又は日直を命じることができる。

(宿直及び日直手当)

第一二条 前条の規定によって宿直又は日直をさせた場合は、各構成員の規則等の定めるところにより、宿直手当又は日直手当を当該構成員から支給する。

(欠勤、遅刻、早退)

第一三条 職員は欠勤、遅刻又は早退をする場合は、事前に所長の許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない事由により事前に許可を受けることができない場合は、事後速やかに届け出なければならない。また、傷病により欠勤が○日以上に及ぶと予想される場合は、医師の診断書を添付しなければならない。

(年次有給休暇)

第一四条 所長は、職員に対し各構成員の規則等の定めるところにより、年次有給休暇を与えなければならない。ただし、業務に支障のある場合は休暇日を変更させることができる。

(出張)

第一五条 所長は、業務上必要と認められる場合は、職員に対し出張を命ずることができる。職員は出張より帰着後速やかに所長に復命しなければならない。

(出張旅費)

第一六条 前条の規定によって出張をさせる場合は、別に定める旅費規程により出張旅費を共同企業体から支給する。(注―2、3)

(非常事態時の勤務)

第一七条 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合は、所長は、行政官庁の許可を得て勤務時間を変更若しくは延長し、又は、休日に勤務させることができる。

(給与及び賞与)

第一八条 職員の給与及び賞与は、各構成員の規則等の定めるところにより、当該構成員から支給する。

(公傷病の取扱い)

第一九条 公傷病による休務者に対する給与及び賞与は、各構成員の規則等の定めるところにより、当該構成員から支給する。

(安全衛生)

第二〇条 職員は、労働基準法、労働安全衛生法その他の安全衛生に係る法令等を遵守し、常に災害及び傷病の発生防止に努めなければならない。

(健康診断)

第二一条 職員は、各構成員又は工事事務所が実施する健康診断を受けなければならない。

(傷病者の出勤停止)

第二二条 所長は、出勤することによって他人に迷惑を及ぼし、又は、病勢が悪化することが予想される傷病者については、出勤を停止することができる。

(監視又は断続的労働の取扱い)

第二三条 労働基準法の定める監視又は断続的労働に従事する者については、別に定める服務規程による。
○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役○○○○((印))
○○建設株式会社
代表取締役○○○○((印))
○○建設株式会社
代表取締役○○○○((印))

【人事取扱規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき人事取扱規則を定める。派遣職員の取扱いについては、この規則の定めるところによる。

(目的)

第二条 この規則は、管理者の要件、派遣職員の交代等について定めることにより、派遣職員の適正かつ公平な人事配置及び人事管理を確保することを目的とする。

(派遣職員の範囲)

第三条 この規則にいう派遣職員とは、工事の施工に当たるため各構成員から工事事務所に派遣される者(日々雇い入れられる者を除く。)をいう。

(管理者の要件)

第四条 工事事務所における所長等の管理者について必要とされる要件は次のとおりとする。

一 所長 技術職員として○○年以上の実務経験を有する者であって、工事現場で所長、副所長、工務長のいずれかの実務経験を有する者(注―1)
二 副所長 技術職員として○○年以上の実務経験を有する者であって、工事現場で副所長、工務長のいずれかの実務経験を有する者(注―2)
三 工務長 技術職員として○○年以上の実務経験を有する者であって、工事現場で工務長、工務主任、工務係のいずれかの実務経験を有する者
四 事務長 工事現場で事務長、事務主任、事務係のいずれかの実務経験を有する者
(派遣職員の交代)

第五条 所長は、次に該当する派遣職員の交代を所属構成員に求めることができる。

一 病気欠勤○○日以上又は事故欠勤○○日以上にわたる者
二 所属構成員の都合により、継続して○○日以上にわたり工事事務所勤務ができない者
三 無断欠勤の多い者
四 その他共同企業体の業務運営につき著しく不適当と認められる者
(所長の遵守事項)

第六条 所長は、次の事項を遵守しなければならない。

一 派遣職員を公平に取り扱うこと
二 良好な職場環境の形成に努め、派遣職員の健康管理に十分配慮すること
三 各構成員に対し、派遣職員の勤務状況等人事管理上の事項について公平な報告を行うこと
四 各構成員の諸規則、給与等の機密の保持に万全を期すること
五 各構成員からの問合せ、依頼等について速やかに対処すること
(各構成員の遵守事項)

第七条 各構成員は、次の事項を遵守しなければならない。

一 共同企業体からの要請に適した職員を派遣すること
二 派遣職員に対し、共同企業体の諸規則を周知徹底させること
三 派遣職員を共同企業体の組織に服務させること
四 共同企業体に対し、各構成員の就業規則その他の人事関係諸規則及び派遣職員に関する経歴書を提出すること
五 第五条に基づく所長の要請に適正に対処すること

○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役○○○○((印))
○○建設株式会社
代表取締役○○○○((印))
○○建設株式会社
代表取締役○○○○((印))

【購買管理規則】
(総則)

第一条 運営委員会規則第一〇条に基づき購買管理規則を定める。共同企業体の購買業務については、この規則の定めるところによる。

(目的)

第二条 この規則は、共同企業体の取引業者及び契約内容の決定手続等について定めることにより、購買業務に係る公正かつ明瞭な事務処理を確保することを目的とする。

(定義)

第三条 この規則にいう購買業務とは、施工に必要な物品若しくは役務の調達又は工事の発注に関する一切の業務をいう。

(契約の締結)

第四条 購買業務に関する事務は、工事事務所において行うものとし、契約の締結は共同企業体の名称を冠した代表者の名義による。

(業者の選定)

第五条 工事事務所長(以下「所長」という。)は、施工に必要な物品若しくは役務の調達(仮設材料、工事用機械等を構成員から借り入れる場合を除く。)又は工事の発注を行おうとするときは、当該取引が次の各号に該当する場合を除き、各構成員より施工委員会に対し業者を推薦させるものとする。

一 取引の性質又は目的が入札又は見積合せを許さない取引
二 緊急の必要により入札又は見積合せを行うことができない取引
三 入札又は見積合せを行うことが不利と認められる取引

2 施工委員会は、前項により推薦を受けた業者の中から、施工能力、経営管理能力、雇用管理及び労働安全管理の状況、労働福祉の状況、関係企業との取引の状況等を総合的に勘案し、原則として複数の業者を選定する。
3 施工委員会は、取引が第一項各号に該当すると認められる場合は、当該取引の性格を勘案し、取引を行うことが適当と認められる業者を選定する。

(入札、見積合せ等)

第六条 施工委員会は、前条第二項により業者を選定した場合は、当該業者による入札又は見積合せ(当該取引が工事原価に特に重大な影響を及ぼすと認められる場合は入札)を行うものとする。(注―1、2)
2 施工委員会は、前条第三項により業者を選定した場合は、原則として当該業者より見積書を徴収するものとする。

(工事条件の明示)

第七条 施工委員会は、工事の発注に当たって、前条に基づき入札若しくは見積合せを行い、又は、見積書を徴収する場合は、第五条に基づき選定した業者に対してあらかじめ工期、工事内容、仕様書、図面見本等を明示しなければならない。

(運営委員会に対する業者の推薦)

第八条 施工委員会は、第六条に基づき入札、見積合せ等を行つた場合は、その結果等を勘案し、運営委員会に対し、取引を行うことが適当と認められる業者を推薦するとともに、第五条に基づき選定した業者に関する資料及び応札金額又は見積金額に関する資料を提出するものとする。

(取引業者及び契約内容の決定)

第九条 運営委員会は、前条に基づく施工委員会からの業者の推薦を踏まえ、同条の資料等を総合的に判断し、取引業者及び契約内容を決定する。

(軽微な取引に係る取引業者及び契約内容の決定)

第一〇条 取引が、次の各号の一に該当するものである場合は、第八条及び前条の定めにかかわらず、施工委員会において、第五条及び第六条に準じて、取引業者及び契約内容を決定する。

一 予定価格が○○円を超えない物品を購入する取引
二 予定価格が○○円を超えないその他の取引
(仮設材料、工事用機械等の調達)

第一一条 工事に使用する仮設材料、工事用機械等の調達は、構成員から借り入れることを原則として、借入れの相手方、機種、材料、数量及び損料については、必要の都度、運営委員会(軽微なものにあっては施工委員会)で協議して決定する。(注―3)

(検収及び出来高査定)

第一二条 物品の検収に当たっては、所長は、注文書及び納品書を照合し、数量、品質等を厳密に検査しなければならない。
2 工事出来高査定に当たっては、所長は、進捗状況を判断し、厳正に査定しなければならない。

(注文書等の様式)

第一三条 購買業務において使用する注文書、請求書等の様式は、代表者の定めるところによる。(注―4)

(その他)

第一四条 この規則に定めのない事項については、運営委員会の決定による。
○○年○○月○○日

○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

【共同企業体解散後の瑕疵担保責任に関する覚書】

○○建設工事共同企業体の施工する○○工事に関し、工事目的物に瑕疵があったときは、共同企業体協定書(以下「協定書」という。)第一八条に基づき、共同企業体解散後においても各構成員が共同連帯してその責に任ずるものとし、当該瑕疵に係る構成員間の費用の分担、請求手続等については左記のとおりとする。(注―1)

第一条 共同企業体解散後、構成員が発注者から工事目的物の瑕疵の通知を受けた場合は、当該構成員は速やかに他の構成員に対し、その旨を通知するものとする。
第二条 各構成員は前条の通知後、速やかに協議し、発注者との折衝を担当する構成員等発注者への対応を決定するとともに、瑕疵の存否、状況、原因等に関し、工事目的物の調査等を実施するものとする。
第三条 各構成員は、前条の調査結果等に基づき、工事目的物に係る瑕疵の存否及び範囲の確認を行うとともに、発注者との折衝の経緯等を踏まえ、瑕疵の修補の要否、修補範囲、修補方法、修補費用予定額及び修補を担当する構成員(以下「修補担当構成員」という。)並びに損害賠償の要否、賠償範囲、賠償予定額及び発注者に対する支払事務を担当する構成員(以下「支払担当構成員」という。)を協議決定するものとする。
2 前項で決定した内容に、重要な変更が見込まれる場合は、修補担当構成員又は支払担当構成員は速やかにその理由を明らかにした文書を作成し、他の構成員に通知するとともに、各構成員は協議の上、所要の変更を行うものとする。
第四条 瑕疵の修補又は損害賠償に関する費用については、協定書第八条に定める出資の割合により、各構成員が負担するものとする。ただし、特定の構成員の責に帰すべき合理的な理由がある場合には、構成員間の協議に基づき、別途各構成員の負担額を決定することができる。
第五条 瑕疵担保責任の履行として瑕疵の修補を行う場合においては、修補担当構成員は、当該修補完了後他の構成員に対し、前条に基づく負担金の支払を請求するものとする。
2 前項の請求を受けた構成員は、速やかに負担金を支払わなければならない。
第六条 瑕疵担保責任の履行として損害賠償を行う場合においては、支払担当構成員は、発注者の履行請求に応じ、他の構成員に対し、第四条に基づく負担金の支払を請求するものとする。
2 前項の請求を受けた構成員は、速やかに負担金を支払わなければならない。
3 支払担当構成員は、前項の他の構成員の負担金と自己の負担金をとりまとめ、一括して発注者へ支払うものとする。
第七条 その他この覚書に定めのない事項については、各構成員間で協議の上決定する。

年  月  日
○○建設工事共同企業体

代表者 ○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))

○○建設株式会社

代表取締役 ○○○○ ((印))
五 共同企業体運営モデル規則注解

一 運営委員会規則

(注―1)

ここにいう共同企業体協定書は、「特定建設工事共同企業体協定書(甲)」(昭和五三年一一月一日付建設省計振発第六九号)をいう。

(注―2)

議決権を有する者は、各構成員を代表する運営委員各一名とし、委員会に出席するその他の者は議決権を有しない。

(注―3)

対象工事の規模、性格等を勘案して、必要と認められる場合にあっては、これと異なった取扱いをすることも差し支えない。

2 施工委員会規則

(注―1)

運営委員会が定期的に開催されない実態にかんがみ、運営委員に対し文書で報告することをもって、運営委員会への報告に代えることも差し支えない。

3 経理取扱規則

(注―1)

ここにいう共同企業体協定書は、「特定建設工事共同企業体協定書(甲)」(昭和五三年一一月一日付建設省計振発第六九号)をいう。

(注―2)

共同企業体の規模、性格等から第五条(注―三)により、代表者の電算システム等を活用する場合においても、工事事務所に会計帳簿及び証憑書類等を備え付けなければならない。

(注―3)

帳票の様式その他経理処理の手続については、実際上代表者の例によることが考えられる。

(注―4)

共同企業体の規模、性格等によって、効率性、正確性等の観点から代表者の電算システム等を適宜活用することも差し支えない。その場合は、代表者に委任する経理事務の範囲を経理取扱規則に明確に定めておかなければならない。

(注―5)

補助簿とは、小口現金出納帳、当座預金出納帳、工事原価記入帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、材料元帳、工事台帳、得意先元帳、工事未払金台帳、固定資産台帳等が考えられる。

(注―6)

所長が代表者から派遣されている場合は、実際の事務手続は、代表者の名義をもって当該所長が行うことも考えられる。

(注―7)

出資金請求書には、その根拠となる支払の内訳を明示するものとする。

(注―8)

手形による出資については、以下の方法も考えられる。
(1) 各構成員が、自己を振出人、取引業者を受取人とする約束手形を取引業者への支払日の前日までに経理部署に持参することにより行う。
(2) 代表者以外の構成員は、自己を振出人、代表者を受取人とする約束手形を取引業者への支払日の前日までに代表者に持参し、代表者は、自己の出資の額の約束手形を取引業者に振り出すとともに、代表者以外の構成員から受け取つた約束手形を取引業者に裏書譲渡することにより行う。

(注―9)

銀行振込による出資については、銀行が発行する振込金受取書をもって領収書に代えることも考えられる。

(注―10)

前払金の取扱いについては、第九条第二項に定める預金口座に留保する方式も考えられる。

(注―11)

手形による支払については、以下の方法も考えられる。
(1) 各構成員が、自己の名義をもつて取引業者に約束手形を振り出すことにより行う。
(2) 代表者が、自己の名義をもつて取引業者に約束手形を振り出すとともに、代表者以外の構成員より受け取つた約束手形を裏書譲渡することにより行う。

(注―12)

協定原価算入基準案の原案は、所長が作成することが実務的である。

(注―13)

ここにいう経理諸表には、月次試算表、予算・実績対照表、工事原価計算書等が考えられる。

(注―14)

本条の報告は、明瞭性の確保の観点から(注―一二)に掲げる経理諸表については毎月行われることが望ましいが、工事の規模、期間等を総合的に勘案し、妥当と判断される経理諸表については、隔月又は四半期毎の報告とすることも差し支えない。

(注―15)

工事実行予算案の原案は、所長が作成することが実務的である。

(注―16)

本条第二項の報告は、明瞭性の確保の観点から毎月行われることが望ましいが、工事の規模、期間等を総合的に勘案し、妥当と判断される場合は、隔月又は四半期毎の報告とすることも差し支えない。

(注―17)

ここにいう精算事務は、次に掲げる項目に沿って行うことに留意する。
(一) 未精算勘定の整理
(二) 税務計算上の必要資料の整理
(三) 残余資産の処分
(四) 未発生原価の見積

(注―18)

適正な原価を確保する観点から、共同企業体の監査は本条のとおり行われることが望ましいが、構成員間の合意に基づき簡易な監査が行われている現在の実態にかんがみ、当分の間、監査の目的を達し得る範囲内において、本条の手続きと異なった取扱いを定めることも差し支えない。

(注―19)

共同企業体解散後の瑕疵担保責任については、別途覚書を締結し、特に取扱いを明確にしておくことが適当と考えられる。

4 工事事務所規則

(注―1)

円滑かつ効率的な工事施工の観点から、工事の規模等に応じた適切なポストの設置を行うものとする。また、ポストの呼称については、各企業の慣習等によって、別称を用いても差し支えない。

(注―2)

庶務に係る業務には、派遣職員の人事管理、作業員の労務管理を含むものとする。

5 就業規則

(注―1)

時間外及び休日勤務に関しては、女子、年少者に係る労働基準法の規定を盛り込んだ条項を置くことも考えられる。

(注―2)

出張旅費は、交通費、宿泊費、出張手当等をいう。

(注―3)

出張旅費の支給額については、各構成員の規則等の定めるところにより、また、支給主体については、各構成員が支給することとすることも考えられる。

6 人事取扱規則

(注―1)

技術職員とは、少なくとも建設業法第二六条第一項の主任技術者となり得る者をいう。

(注―2)

副所長については、運営委員会の協議に基づき、事務職員がこれに当たることも考えられる。この場合は、副所長について必要とされる別の要件を定めるべきである。

7 購買管理規則

(注―1)

入札は、所定の書式により入札函に投函することにより、開札は原則として各構成員につき一名以上の施工委員会の委員の立会いの上行う。

(注―2)

見積合せは、施工委員会が、選定業者より見積書を徴収し、その内容を検討することにより行う。

(注―3)

仮設材料、工事用機械等を構成員から借り入れる場合の借入れの相手方、機種、材料、損料、保守・管理方法等については、別に規則を定めることも考えられる。

(注―4)

様式については、代表者以外の構成員の定めるところにより、又は、共同企業体独自で定めることも考えられる。

8 共同企業体解散後の瑕疵担保責任に関する覚書

(注―1)

ここにいう共同企業体協定書は、「特定建設工事共同企業体協定書(甲)」(昭和五三年一一月一日付建設省計振発第六九号)をいう。


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