宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和三四年法律第一一一号)及び同法関係改正法令の施行については、昭和三四年四月一四日建設省発住第一四号をもって建設事務次官から別途通達されるところであるが、なお、左記の事項に御留意の上これら改正法令の実施に遺憾のないよう御配慮願いたい。
第一 法律により定められた営業保証金の額と供託する有価証券の価額が一致しない場合について
供託すべき有価証券の価額は、改正施行規則第一四条の二の規定によって計算されるが、この場合において証券の都合上宅地建物取引業法第一二条の二第二項で定める額と計算された有価証券の価額とが一致しないときは、同条同項で定める額をこえて有価証券を供託させるか、又は有価証券と金銭の双方を供託させるよう指導されたいこと。
第二 一般社債券の適格性の証明について
改正施行規則第一四条の三第一七号の社債券が同号かっこ書の欠格事由に該当しないことを供託所が供託を受理する際に認定することは困難なので、都道府県知事はそれらの社債券を供託しようとする者に対し、その社債券が適格であることを証明する都道府県知事証明書を交付し、供託の際にはこの証明書を供託所に提出するよう指導されたいこと。
なお、現在発行されている社債券で同条同号に規定されているものについては、欠格事由に該当している例は一件もないが、将来欠格事由に該当する会社が生じたときは、その都度貴職あて通知する予定であること。
第三 営業保証金として好ましくない有価証券について
供託することができる有価証券は、国債証券、地方債証券のほか改正施行規則第一四条の三各号に掲げるとおりであるが、債権が時効によって消滅する時期の近い有価証券及び解散中の法人で特別清算中以外のものが発行した有価証券は、営業保証金の継続的な性格からみて好ましくないので、供託しないよう指導されたいこと。
なお、供託中に有価証券がこのような事由に該当するに至ったときは、業者に対し速かに差替をするよう指導されたいこと。
第四 すでに供託中の有価証券について欠格事由が生じた場合等について
供託中の有価証券について、改正施行規則第一四条の三第一七号かっこ書に該当する欠格事由が生じ、又はその債権が消滅することとなった場合においては、営業保証金を供託していない状態となるので、速かに営業保証金を新たに供託するよう指導されたいこと。
第五 営業保証金の差替について
供託中の金銭を有価証券に、供託中の有価証券を他の種類の有価証券又は金銭に差し替えることができるが、この差替は、先ず新たな供託をし、その後に新たな供託に係る供託書正本の写を添附して以前の供託に係る金銭又は有価証券の取りもどしをして、行うよう指導されたいこと。なお、この場合の取りもどしは、宅地建物取引業法第一二条の七第二項の規定による公告をしなくても行い得ること。追って、営業保証金の差替をした者は、新たな供託に係る供託書正本の写を添附して、差替をした旨を都道府県知事に届け出るよう指導されたいこと。
第六 記名式国債証券について
記名式国債証券である遺族国庫債券及び引揚者国庫債券は譲渡性がなく、その供託は営業保証金供託の趣旨と相容れないものであるから、このような国債証券は営業保証金に充てることのできる代用有価証券とはなり得ないものとして扱われたいこと。
第七 登録国債等の取扱について
登録国債の担保充用に関する法律(明治四二年法律第八〇号)又は社債等登録法(昭和一七年法律第一一号)による登録は、営業保証金制度の趣旨に鑑みて、宅地建物取引業法による営業保証金の供託とするのは適当でないので、なるべく避けるよう指導されたいこと。