計宅政発第二七四号
昭和四二年九月二三日

各都道府県知事あて

建設省計画局長通達


宅地建物取引業法の一部を改正する法律及び同法施行令の一部を改正する政令の施行について

宅地建物取引業法の一部を改正する法律(昭和四二年八月一日法律第一一五号)及び同法施行令の一部を改正する政令(昭和四二年八月一日政令第二二七号)は、いずれも昭和四二年一〇月一日から施行されることとなっているが、改正法律(以下「法」という。)は宅地建物取引業者の業務に関し、誇大広告等不当な行為を禁止し、取引に関する紛争の原因となるおそれがある重要事項の説明等所要の義務を課すことにより宅地及び建物の取引の公正を確保することを目的としたものであり、改正政令は、宅地建物取引業者が法第一四条の三の規定により説明しなければならない法令上の制限を規定したものである。これら改正法令の施行に当たっては、とくに左記の事項に留意して、その運用に遺憾のないよう御配慮願いたい。
なお、改正法令について業者への周知徹底を図ることはもちろん、一般市民に対しても、この趣旨内容の普及に努められる一方、業者に対する指導及び監督の徹底を期するため、職員の確保、必要な予算の計上等法施行体制を強化するとともに、関係行政機関との連絡を密にして取締りの徹底に努められたい。

記

一 誇大広告等の禁止について(法第一四条)

(一) 誇大広告等の取締りについて

宅地建物取引業者の行なう虚偽又は誇大広告については、昭和四一年二月一五日付け建計政発第二〇号をもって不正又は著しく不当な行為に該当するものとして指導、監督の強化を通達したところであるが、このたび法第一四条に明文の禁止規定が設けられたので、本条に違反する広告については、適当な処分、告発等の措置をとり一層強力な取締りを行なうこと。

(二) 不当景品類及び不当表示防止法との関係

宅地建物の取引の公正を確保する立場にたって誇大広告等を規制する法第一四条は、商品一般についての広告を公正競争の確保という観点から規制する不当景品類及び不当表示防止法とは原則として保護法益を異にするものであるが、不当景品類及び不当表示防止法に基づく排除命令の対象となるような広告は、法第一四条で禁止される広告に該当する場合が多いと思われるので、宅地建物取引業者の行なう広告について適正な規制を図るため、公正取引委員会から排除命令を受けた宅地建物取引業者に対しては、原則として、法に基づく処分を行なう等必要な措置を講ずることにより、監督の適正を図ること。また、都道府県知事が不当広告に関し宅地建物取引業者を処分した場合は、すみやかに、公正取引委員会に連絡するものとすること。
なお、不当景品類及び不当表示防止法第一〇条の規定に基づく公正競争規約の制度を積極的に推進し、業者の自主規制の強化を図るよう指導すること。

(三) 宅地建物取引業に関する適正広告基準について

宅地建物取引業者の行なう広告の適正化を図るため、適正広告基準を別途関係機関と協議のうえ作成する予定であるが、当分の間、業者に対し別紙「宅地建物の広告の表示について」の各号に従い広告を適正に行なうよう指導すること。
なお、これらの表示事項は、宅地又は建物の取引の公正を期するため一般人に誤認等を与えるおそれのないよう業者の遵守すべき事項を示したものであって、取締りに際しての重要な参考事項となることは言うまでもないが、これらが直ちに行政処分の基準となるものではないことに留意されたい。

二 取引態様の明示について(法第一四条の二)

法第一四条の二の規定による取引態様の明示の方法は、口頭又は文書のいずれでもよいこととされているが、後日の紛争を防止するため、業者に対し、委任契約書の作成、申込書、請書の交換等により業者と注文者との法律関係を明確にするよう指導すること。

三 重要事項の説明について(法第一四条の三)

法第一四条の三各号に掲げる事項は、宅地建物取引業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち最少限の事項を規定したものでありこれらの事項以外にも場合によっては説明を要する重要事項があり得ること。また、本条に違反する行為は、特別の事情がない限り法第一八条第一号に規定する依頼者等に対し重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為に該当するものと解されること。
なお、本条第一号から第四号までに掲げる事項についての説明に用いる書面については、別紙のとおり標準的な様式を作成したので、この様式を参考として指導すること。

四 書面の交付について(法第一四条の四)

法第一四条の四の規定に基づき、交付すべき書面は、これらの事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができ、かつ契約書にこれらの事項が明確に記載された方が望ましいので業者団体等を通じて、適正な契約書の作成を指導すること。

五 手附貸与の禁止について(法第一八条第三号)

法第一八条第三号中「信用の供与」とは、契約締結の際、手附について金銭等有価物の現実の交付を後日に期する場合、すなわち、手附金の貸与又は手附としての約束手形の受領等の行為をいうものであること、また、手附の分割受領も本条にいう信用の供与に該当するものと解されること。

六 その他

法第二〇条及び第二〇条の二の規定の整備に伴い他の免許権者の免許を受けた業者に対し、行政処分を行なったときは、遅滞なく、その旨を免許権者に報告又は通知しなければならないことになっているが、この場合、単なる報告又は通知書の送付のみに止まらず関係書類を添付する等相互の連絡を密にすること。


(別紙)

宅地建物の広告の表示について

宅地建物取引業者が宅地又は建物の取引に関し広告を行なう場合は次の各号に定めるところに従って表示を行なうよう指導するものとする。
一 所在地については、取引しようとする宅地又は建物の所在地(一団の宅地又は建物にあっては、その主たる部分の所在地)ごとに都道府県、郡、市、区、町村、字及び番地で示すこと。
二 面積については、平方メートル(m2)を単位とし、かつ、その単位を明らかにして示すこと。
三 建築面積については、建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。)の外壁又はこれに代る柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積で示すこと。
四 床面積については、建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で示すこと。
五 畳数については、約三平方メートルを二畳として算出した数値で示すこと。
六 地目については、表示する時に現に登記されている区分で示すこと。
七 私道に関する負担がある場合においては、その旨を明示すること。
八 宅地の造成工事、建物の建築工事、又は給水、排水、ガス、電気等の施設に係る工事の「完了」を意味する文言については、当該宅地、建物及び附帯施設が、それぞれ直ちに利用できるという意味で用いること。これらの工事が完了していない場合は、その工事の完了予定時期を明らかにして示すこと。また、これらの工事について負担金を要する場合は、その旨を示すこと。
九 飲用水及びガスの供給施設については、その施設の種類を明示すること。
一〇 他人の所有する物件の取引である場合においては、その旨を意味する文言で明示すること。
一一 法令に基づく利用の制限については、指定されている地域、地区、街区等の種類を明らかにするとともに、建ぺい率、容積率を明示すること。
一二 農地法の規定による制限を受ける土地については、その旨を明示すること。
一三 私法上の権利関係による利用の制限については、その権利の種類を明示すること。
一四 学校、病院、官公署、その他公共・公益施設及び商店街等の利用の便宜については、表示するときに現に利用できるもので表示し、かつ、公共・公益施設については、その固有の名称を明示すること。
一五 利用交通機関については、表示するときに現に利用できるもので表示し、一定の時期にのみ利用できるもので表示するときは、その利用できる時期を明らかにして示すこと。ただし、表示するとき現に利用できるものとあわせて示す場合に限り、工事中である等近い将来に利用できることが確実であるもので示すことができる。
一六 所要時間の起点又は着点は電車バス等の駅名で明示すること。
一七 徒歩による所要時間については、八〇メートルにつき約一分間を要するものとして算出した数値で示すこと。
一八 自動車による所要時間については、道路交通法に基づく制限速度内で走行に要する時間を示すこと。
一九 宅地の価格については、一平方メートルあたりの価格を明らかにし、最低価格及び最高価格を表示するとともに、最低価格で取引しようとする区画数を表示すること。
二〇 建物の価格については、総価格(建物用地又はその借地権の価格を含む。)で表示し、価格の異なる建物がある場合は、最低価格及び最高価格を明示すること。この場合、最低価格で取引しようとする戸数を明らかにすること。
二一 割賦又は融資に関する表示は、これらを自ら行ない、又は特定の金融機関との協定に基づく場合においてのみ行なうこととし、割賦の頭金、賦払回数、融資主体の名称、融資額又は融資割合、期間並びに利率を併せて明示すること。
二二 宅地建物取引業法による免許番号を明示すること。


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