建設省経動発第八七号
昭和六三年一一月二一日

各都道府県知事あて

建設省建設経済局長通達


宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律の施行について


宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律(昭和六三年法律第二七号)宅地建物取引業法施行令及び積立式宅地建物販売業法施行令の一部を改正する政令(昭和六三年政令第二三六号)及び宅地建物取引業法施行規則及び積立式宅地建物販売業法施行規則の一部を改正する省令(昭和六三年建設省令第二三号)は、それぞれ本年五月六日、七月二九日及び一一月一八日に公布され、宅地建物取引業法第三四条の二の改正規定以外のほとんどの規定は本年一一月二一日から施行されることとなつた。
今回の宅地建物取引業法の改正は、最近における宅地及び建物の取引の実情にかんがみ、免許の基準の強化、宅地建物取引主任者制度の改善、専任媒介契約制度の充実、事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等を行うことができる期間の延長、手付金等の保全制度の拡充等を行い、もつて宅地及び建物の取引の公正を確保し、購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化を図ることを目的としたものである。
このため、これら改正法令の趣旨及び内容については、宅地建物取引業者はもちろん一般国民に対してもあらゆる機会をとらえて濃密に周知徹底を図るほか、その施行に当たつては、左記の事項に留意の上、遺憾のないように取り計らわれたい。

記

一 免許の基準の強化について

傷害罪等の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者について免許を受けることができないこととし、宅地建物取引業者の資質の向上を図ることとしたので、既に昭和六二年一二月一七日付けで通達した「宅地建物取引業法の厳正な運用について」をも踏まえて、十分な審査を行い、法の厳正な運用を図ること。

二 宅地建物取引主任者制度の改正について

事務所ごとに置かなければならない専任の取引主任者の数を当該事務所において業務に従事する者一〇人に一人以上から五人に一人以上に引き上げるとともに、建設省令で定める事務所以外の一定の場所についてもそれぞれ一人以上の専任の取引主任者の設置を義務付け、宅地建物取引業者の資質の向上と業務の適正化を図ることとしたので、宅地建物取引業者の業務の内容等の適確な把握に努め、適切な運用を行うこと。
また、取引主任者の登録についても、宅地建物取引業者の免許の基準の強化と同様に、その基準を強化するとともに、宅地又は建物の取引に関し二年以上の実務の経験を有する者等でなければ登録を受けることができないこととし、取引主任者の資質の向上を図ることとしたので、登録に当たつては、厳正な審査を行うこと。

三 営業保証金及び弁済業務保証金分担金の額の引上げについて

営業保証金の額を主たる事務所につき一〇〇〇万円、その他の事務所につき事務所ごとに五〇〇万円の合計額と、弁済業務保証金分担金の額を主たる事務所につき六〇万円、その他の事務所につき事務所ごとに三〇万円の合計額とした。本改正は、取引における保証の充実を図る上で重要なものであるので、一般国民に対し、制度の趣旨の周知を図るとともに、宅地建物取引業法(以下「法」という。)第三五条の二に規定する供託所等に関する説明を励行するよう、宅地建物取引業者を指導すること。
また、営業保証金の追加供託及び弁済業務保証金分担金の追加納付についても、宅地建物取引業法施行令及び積立式宅地建物販売業法施行令の一部を改正する政令の附則第二項から第一〇項までの規定に基づき的確に実施されるよう、宅地建物取引業者を指導すること。

四 業務に関する規制の強化について

(一) 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等を行うことができる期間の延長

購入者等の保護を充実するため、事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等を行うことができる期間を従来の五日から八日に延長したものである。
また、本制度は別荘地の分譲、山林の現状有姿分譲等と目されるもののほか、別荘等の所有権を共有する形式のリゾートクラブの会員権の取引についても適用されるものであるので、この旨、一般国民への周知を図ること。

(二) 手付金等の保全に関する制度の改正について

宅地の造成又は建築に関する工事の完了後の売買に関して受領する手付金等についても保全を義務付けることとするとともに、工事完了前の物件の売買についても一〇〇〇万円を超える金銭を受領しようとするときは、保全措置を講じなければならないこととした。宅地の造成又は建築に関する工事が完了しているか否かについては、売買契約時において判断すべきであり、また、工事の完了とは、単に外観上の工事のみならず内装等の工事が完了しており、引渡しが可能であるものであるので留意すること。
本制度は、宅地建物の取引における保証の充実を図る上で極めて有効なものであり、その実を挙げるためには、宅地建物取引業者及び購入者の双方が制度の内容について十分理解することが重要であるので、この旨周知を図ること。

(三) 従業者証明書制度の改正

無免許業者を排除するとともに、宅地建物取引業者の業務の適正な運営を図るため、従業者に従業者証明書を携帯させなければ業務に従事させてはならないこととするとともに、請求があつたときは、当該証明書を提示しなければならないこととしたものである。また、事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないこととし、請求があつたときは、当該従業者名簿を閲覧に供さなければならないこととした。これらの規定に違反した場合には、業務停止処分の事由に該当するとともに(法第六五条第二項第二号及び第四項第二号)、法第四八条第一項の規定に違反した者、法第四八条第三項の従業者名簿を備えない者等については一〇万円以下の罰金に処せられることとなる(法第八三条第一項)ので、警察部局との連絡を密にし、違反事実については情報の提供、告発等必要な措置をとること。

五 専任媒介契約の充実について

宅地及び建物の流通の円滑化を図るため、昭和五五年の法改正により媒介契約について契約の書面化を義務付けるとともに、必要な規制を行つているが、今回の法改正により、専任媒介契約の一類型として専属専任媒介契約に関する規定を設けるとともに必要な規制を行うこととした。この専属専任媒介契約の制度は、依頼者、宅地建物取引業者双方に対する十分な周知徹底と優良な流通機構の整備を前提として施行しなければならないものであるので、その施行までに二年の猶予期間を置いている。

六 苦情処理体制の整備について

宅地建物の取引に係る苦情・紛争は依然として跡を絶たない状況にあるので、法改正の際の両院建設委員会の附帯決議にもあるとおり、その未然防止及び迅速かつ適切な解決を図るための処理体制の充実強化に努めること。

七 業界団体への加入の際の入会金等の額の適正化について

宅地建物取引業の業界団体は、業務の適正な運営と健全な発達を図り、宅地建物取引業者の資質の向上を図ることを目的として設立され、所期の目的に寄与してきたものと考えられる。業界団体には今後とも加入希望者があるものと見込まれるが、ついては、新たな加入に際し加入業者が負担しなければならない入会金等は、団体設立の目的及びその活動状況に照らし、適切かつ合理的な額であることが望ましいので、貴職の許可に係る業界団体についてこの額が妥当でないと考えられる場合には、必要な指導を行うこと。

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