建設省経動発第八九号
昭和六三年一一月二一日

各都道府県宅地建物取引業法所管担当部長あて

建設省建設経済局不動産業課長通達


宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律、宅地建物取引業法施行令及び積立式宅地建物販売業法施行令の一部を改正する政令及び宅地建物取引業法施行規則及び積立式宅地建物販売業法施行規則の一部を改正する省令の施行について


標記については、「宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律の施行について」(昭和六三年一一月二一日付け建設省経動発第八七号建設省建設経済局長通達)をもつてその基本的事項について通達したところである。
ついては、貴職におかれては、左記事項に留意の上法の施行に遺憾のないようにされるとともに、改正法令の周知方取り計らわれ、法の運用に万全を期されたい。

第一 免許申請書及びその添付書類の変更について

一 免許申請書の様式の変更について

宅地建物取引業法(以下「法」という。)第三条を改正したことに伴い、免許申請書の第一面に、免許行政庁において免許の有効期間を記載する欄を新たに設けるとともに、「申請時の免許」の欄には、その免許年月日に代えて有効期間を記入させることとしたものであること。また、「申請者の住所」に記入すべき内容については、主たる事務所の所在地(その予定地を含む。)とすることとし、その旨備考欄に明記したものであること。
第三面については、事務所ごとに置くべき専任の取引主任者の数が業務に従事する者一〇名につき一人以上から業務に従事する者五人に一人以上と改正されたことに伴い、各事務所における専任の取引主任者の氏名及び住所を記入する欄を増加させたものであること。また、「専任の取引主任者」の「登録番号」の欄については、登録している都道府県名を併せて記載すべき旨を備考欄に明記したものであること。なお、北海道においては、都道府県名に代えて支庁名を記入すること。

二 添付書類の変更について

(一) 宅地建物取引業経歴書(添付書類(一))

免許申請者が所属している不動産業関係業界団体については、「宅地建物取引業の免許事務の取扱いについて」(昭和五三年四月一一日付け建設省計動発第二五号不動産業課長通達)により、免許申請書の第二面の下部欄外にその名称を記載させることとしていたが、今回、宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」という。)の改正を行い、宅地建物取引業経歴書に、当該宅地建物取引業者が所属している不動産業関係業界団体がある場合にはその名称を記入させることとしたものであること。ここに記載することとなる不動産業関係業界団体とは、(社)住宅産業開発協会、(社)全国住宅宅地協会連合会、(社)全国宅地建物取引業協会連合会、(社)全日本不動産協会、(社)都市開発協会、(社)日本高層住宅協会、(社)日本ハウスビルダー協会、(社)不動産協会の各協会等(連合会にあつてはその会員である各協会)をいうものであること。

(二) 専任の取引主任者設置証明書(添付書類(三))

本書類は、昭和五五年一二月一日付け建設省計動発第一〇九号により規定されていたものであるが、今回、規則第一条の二第二項により別記様式第二号において定めることとしたものであること。

(三) 宅地建物取引業に従事する者の名簿(添付書類(六))

本書類については、新たに、従業者証明書番号を記入する欄を設け、その記入を義務付けることとした。なお、新規免許の申請に当たつても、申請時に従業者となる予定の者については、あらかじめ従業者証明書の番号を定め、その番号を記入させること。

三 その他

免許申請書等の様式については、昭和六五年度から免許事務等のOAが実施されることに伴い、再度変更することとなるので、その旨留意されたい。

第二 免許の更新の手続について

一 通常の更新の手続について

今回の法改正により、免許の更新の申請がなされた場合において、有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の免許の有効期間の満了後も、申請に対する処分がある時までは、従前の免許は効力を有することとされた。しかしながら、本改正は慎重な審査等のためやむを得ず従前の免許の有効期間経過後に新たな免許が行われることとなる場合のために行われたものであるので、規則第三条に定める期限経過後になされた申請については厳正に対処することとし、提出の遅れたことがやむを得ないと認められ、かつ、期間内に事務処理が可能であるときなどを除き、受理しないようにすること。

二 免許換えの手続について

法第三条の改正に伴つて、免許換えの場合の規定が改正され、免許換えの申請があつた場合において、従前の免許は免許換えの申請に対する処分があるまでの間はなお効力を有することとなるが、法第七条第二項は、法第三条第五項を準用していないため、免許換えがなされたときの新規免許の有効期間は、その免許がされた時から新たに起算するものであること。
なお、宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律(昭和六三年法律第二七号。以下「改正法」という。)施行の際現に宅地建物取引業の免許を受けている者に対して設けられた経過措置(事務所における専任の取引主任者の増員等)の規定は、免許換えが行われ、免許権者が異なることとなつても適用されることに留意すること。

第三 免許の基準の強化に伴う経過措置について

今回の改正により、免許の基準を強化し、傷害罪、傷害助勢罪、暴行罪、兇器準備集合罪、脅迫罪、背任罪及び暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者についても、免許を拒否することとしたものであるが、これに伴い、改正法施行の際に免許を申請している者及び免許を受けている者に対する取り扱いは、次のとおりとする。
一 改正法の施行日より前に傷害罪等の罪を犯している(実行行為をしている)場合

(一) 改正法の施行日より前に刑が確定した場合

改正法施行の際、現に免許を受けている者については、改正法附則第六項の規定が適用されるので、直ちに免許の取消しの対象とはならないが、当該免許の更新については、改正後の基準により判断されるので、この時点で、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していないときは、免許の更新を拒否されることとなるものである。
また、改正法施行後に、新規に免許を受けようとする者については、改正後の基準により審査を行うこと。

(二) 改正法の施行日以後に刑が確定する場合

改正法施行の際現に免許を受けている者については、改正法附則第六項の規定が適用されるので直ちに免許取消しの対象とはならない。更新申請が刑の確定前になされた場合には、当該申請の時においては免許の欠格事由には該当しないので、免許をすることとなるが、この免許については刑が確定した時点において取り消さなければならない。なお、改正法施行後に刑が確定し、その後、新規免許又は更新の免許の申請をした者については、改正後の基準により審査を行うこと。
また、改正法施行後で刑の確定前に新規に免許を受けた者については、刑が確定した時点において、その免許を取り消さなければならない。

二 改正法の施行日以後に傷害罪等の罪を犯した(実行行為をした)場合

新規免許及び更新の免許の申請をした者については、改正後の基準により審査を行うこと。

なお、これらの経過措置の適用の有無については、すべて犯罪の行われた時点と免許の有無で判断するものであり、申請の時点によるものではないこと。また、一一月二〇日以前に十分な時間をとつてなされた申請に対する免許等の処分は、できる限り施行前に行うよう努めるとともに、直前の申請については一一月二一日以降とするよう申請をしようとする者に対して指導すること。

第四 免許に係る変更の届出について

一 変更の届出の手続について

従来、免許証の記載事項(商号又は名称、代表者氏名、主たる事務所の名称及び所在地等の宅地建物取引業者名簿の記載事項)に変更があつたときは、当該変更事項についての届出は二週間以内に、免許証の書き換え交付の申請は遅滞なく行うこととされていたものであるが、この届出と交付の申請は同時に行われているのが通例であり、また、事務処理の効率化にも資するものであるので、規則改正を行い、免許証の書き換え交付申請を変更届けと同時に提出させることとしたものであること。

二 変更の届出の様式(別記様式第三号の四)について

免許等行政事務手続きについては、臨時行政調査会第五次答申、総務庁の調査などにおいて、提出書類の簡素化等を図るべきであるとの意見があるので、添付書類について真に必要なものについてのみ提出させることとし、これらについては確認欄を利用して、添付書類の確認を行うこと。

第五 専任の取引主任者の設置について

一 事務所以外で専任の取引主任者を置くべき場所

今回の法改正により事務所以外の場所にも専任の取引主任者を設置すべきこととし(法第一五条第一項)、この場所については規則第六条の二で規定しているが、その運用に当たつては次の点に留意すること。
(一) 規則第六条の二の各号列記以外の部分

「宅地若しくは建物の売買若しくは交換(予約を含む。以下この項において同じ。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約」とは、宅地又は建物の1)売買の契約(予約を含む。以下同じ。)、2)交換の契約、3)売買の代理又は媒介の契約、4)交換の代理又は媒介の契約、5)貸借の代理又は媒介の契約をさすこと。
また、「これらの契約の申込み」とは、契約を締結する意思を表示することをいい、物件の購入のための抽選の申込み等金銭の授受を伴わないものも含むものであること。
なお、本条に規定する場所における契約とは、当該場所が所属する事務所の契約を締結する権限を有する者が行うものに限られるものであり、当該契約締結権者から代理権を与えられている者が置かれているような場所については、事務所として取り扱うよう指導すること。

(二) 各号関係

イ 第一号関係

本号に該当する場所としては、特定の物件の案内・申込み受付などを行う場所、特定のプロジェクトを実施するための現地の出張所等がある。

ロ 第四号関係

本号は、改正前の規則第一九条第一項第一号において、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの」として取り扱つていたもののうち、臨時的に利用する場所をこれと区別して規定したものであること。
本号に該当する場所としては、宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行う不動産フェアー、宅地建物の買い換え・住み換えなどの相談会、住宅金融公庫融資付物件などのように一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会、売買契約の事務処理等を行う場所等がある。

(三) 経過措置について

改正法附則第二項の規定により、改正法施行の際に現に宅地建物取引業者である者が、施行の際に設置している場所については、専任の取引主任者の設置義務及び届出義務に関し六月の経過措置が設けられているものであること。
本経過措置は、改正法施行の際に現に宅地建物取引業者である者が改正後に設置する場所については適用されないので、その旨留意すること。

(四) 監督処分について

事務所以外の場所に関する法第一五条第一項の規定に違反した宅地建物取引業者に対しては、免許行政庁のほか、当該宅地建物取引業者がその業務を行う区域を管轄する都道府県知事も、その業務停止を命ずることができることとされたので(法第六五条第四項第二号)、法第五〇条第一項の標識及び同条第二項の届出を活用して、法の厳正な運用を図ること。

(五) その他

イ 複数の業者が設置する案内所について

同一の物件について、売主である宅地建物取引業者及び媒介又は代理を行う宅地建物取引業者が同一の場所において業務を行う場合においては、いずれかの業者が専任の取引主任者を一人以上置けば法第一五条第一項の要件を満たすものであること。この場合、全ての業者が法第五〇条第一項の規定に基づき当該取引主任者の氏名を標識に記載するとともに、同条第二項の規定に基づき当該取引主任者の氏名及び住所を届出なければならないことに留意すること。
なお、不動産フェアー等複数の業者が異なる物件を取り扱う場合には、各宅地建物取引業者ごとに一人以上の専任の取引主任者を置かなければならないので留意すること。

ロ 臨時に開設する案内所について

週末に取引主任者や契約締結権者が出張して、申込み受付や契約締結を行う別荘の現地案内所など週末にのみ営業を行うような場所についても、専任の取引主任者を置かなければならないものであること。
この場合、当該案内所を閉鎖している間は、専任の取引主任者は、当該案内所に勤務することを要しないが、他の案内所の専任の取引主任者にはなれないことに留意すること。

二 設置すべき専任の取引主任者の数について

(一) 事務所

今回、規則の改正を伴い、事務所に設置しなければならない専任の取引主任者の数が、事務所において宅地建物取引業の業務に従事する者の数に対する専任の取引主任者の数の割合が五分の一以上となる数に引き上げられたが、この事務所において業務に従事する者の範囲については、昭和五五年一二月一日付け建設省計画局不動産業課長通達(以下「五五年通達」という。)記の第二において示したところによるものとすること。この場合において、他の業種とを兼業しているときには、宅地建物取引業及び他の業種を統括する一般管理部門に従事する職員については、通常は業務に従事する者に該当しないが、宅地建物取引業に関する事務を専門に行う者がいれば、これらの者を含めて業務に従事する者の範囲を決定するとともに、宅地建物取引業が主たる業務の場合には、一般管理部門に従事する者全員を含めて宅地建物取引業に従事する者の範囲を決定すること。
なお、法施行の際に現に宅地建物取引業者である者については、経過措置が設けられており(宅地建物取引業法施行規則及び積立式宅地建物販売業法施行規則の一部を改正する省令(以下「改正規則」という。)附則第二項)、改正法施行後六月の間は、改正法施行の際に現に設置している事務所及び改正法施行後に設置される事務所について設置すべき専任の取引主任者の数の引き上げが猶予されるものであること。

(二) 事務所以外の場所

規則第六条の二に規定する場所においては、その場所ごとに一人以上の専任の取引主任者を置かなければならないこととされているが、当分の間は、事務所の専任の取引主任者のうちの一名を除き、事務所の専任の取引主任者を当該事務所の案内所等の専任の取引主任者として派遣することは差し支えないものとすること。
契約の締結又は契約の申込みの業務を行う期間中は、必ず、専任の取引主任者を設置しなければならないものであること。

第六 宅地建物取引主任者の登録について

一 実務の経験について

法第一八条第一項に規定する「宅地若しくは建物の取引に関し建設省令で定める期間以上の実務の経験」とは、免許を受けた宅地建物取引業者としての経験又は宅地建物取引業者の下で勤務していた経験をいうものであり、次に掲げるとおり取り扱うものとする。
(一) 実務経験証明書の記入について

実務の経験を有することの証明は、別記様式第五号の二の証明書によつて行うこととなる。この証明は、登録をしようとする者が勤務していた宅地建物取引業者(法人である場合にはその代表者)が行うが、証明を受けようとする者が個人業者又は法人業者の役員である場合には、他の宅地建物取引業者(法人である場合にはその代表者)が行うものとすること。また、勤務していた宅地建物取引業者が廃業している等のやむを得ない事由がある場合においては、所属していた業界団体の長等が行うこと。実務経験先の従業者証明書番号の欄には、法第四八条第一項の規定により、携帯していた証明書の番号を記入すること。
なお、実務経験についての証明を依頼された宅地建物取引業者が、本証明書の発行を拒否することのないよう、本制度発足の趣旨を体して、宅地建物取引業者及び業界団体を指導すること。
実務の経験の期間の計算は、月単位で行うこととし、一月に満たない日数については、三〇日を一月として計算すること。なお、申請者に対しては、申請の前一〇年以内の経験を記入させることとするとともに、直近の二年以上の経験を記載させることとすること。また、この実務の経験については、宅地建物取引主任者資格試験の合格の前後を問わないものであること。
このほか、実務の経験の有無の確認のため、各都道府県の実情に応じて、適宜、添付書類として、略歴書、厚生年金保険の被保険者である旨又は被保険者であつた旨の証明書(いわゆる社会保険受給資格証明)等、勤務状況を客観的に把握できる資料を徴収すること。

(二) 実務経験として算入できる業務の内容

宅地又は建物の取引に関する実務の経験として認められるものは、顧客への説明、物件の調査等具体の取引に関するものでなければならない。秘書、専ら顧客との応待の事務を行う者、いわゆる総務、人事、経理、財務等の一般管理部門等の顧客と直接の接触がない部門に所属した期間及び単に補助的な事務に従事した期間については算入しないこと。

(三) 虚偽の申請等について

今回の法改正に伴い、宅地建物取引主任者資格登録簿等の様式を改正し、実務経験に関する事項、建設大臣の認定に関する事項が追加されることとなつたが、虚偽の証明書を添付する等不正の手段により法第一八条第一項の登録を受けた者に対しては、登録後当該事実が判明した時点において当該登録を消除すること。(法第六八条の二第一項第二号、第二項第二号)
この場合において、故意に虚偽の証明を行つている場合等、宅地建物取引業者が不正又は著しく不当な行為をしたときは、法第六五条第二項第五号若しくは第四項第五号又は第六六条第九号に該当するものとして、免許取消、業務停止等の措置をとること。

二 実務の経験に代わる建設大臣の認定等について

今回の法改正により、取引主任者の登録の要件として、二年以上の宅地又は建物の取引に関する実務の経験を有することのほか建設大臣がこの者と同等以上の能力を有すると認めたことも規定されているが、この認定の内容は、建設省告示において規定されるものであること。
(一) 認定告示について

建設大臣が実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認める者として、告示においては、次の三つの者を定めることとした(昭和六三年建設省告示第二二二四号)。
イ 建設大臣が指定する宅地又は建物の取引に関する実務についての講習を修了した者
ロ 国、地方公共団体又はこれらの出資を伴い設立された法人における宅地又は建物の取得、交換又は処分に関する業務に主として従事した期間が通算して二年以上である者
ハ 前各号に掲げる者のほか、建設大臣が宅地建物取引業法第一八条第一項に規定する宅地又は建物の取引に関し建設省令で定める期間以上の実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者
イについては、建設大臣が指定した講習の修了(修了証明書の交付)により建設大臣の認定があつたこととなる。
ロに該当する法人とは、法第七八条第一項及び他の法令の規定により、宅地建物取引業法の適用については国又は地方公共団体とみなされるため、宅地建物取引業の免許を受けることを要しないものに限られること。本号に該当するか否かの判断に当たつては、従前の取引主任者試験の受験申込みの際行つていた受験資格の認定と同様に行い、必要に応じて添付書類を徴収すること。

(二) 実務講習の指定について

昭和六三年建設省告示第二二二五号により、財団法人不動産流通近代化センター、社団法人住宅産業開発協会、社団法人全国住宅宅地協会連合会、社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、社団法人全日本不動産協会、社団法人都市開発協会、社団法人日本高層住宅協会、社団法人日本ハウスビルダー協会及び社団法人不動産協会が共同して行う講習を、昭和六三年建設省告示第二二二四号第一号に基づく実務講習として指定することとした。
実務経験のない者にとつては、指定講習以外に登録する手段を持たないものであるため、試験に合格した者で未だ登録をしていない者に対しては、その旨十分な周知を図ること。

三 登録の手続について

(一) 宅地建物取引主任者資格登録簿の様式の改正

法第一八条第一項が改正され、取引主任者の登録のためには実務経験等が必要となつたことに伴い、登録申請書及び宅地建物取引主任者資格登録簿に、実務経験等に関する事項を記載する欄を新たに設けることとし、様式を変更したものであること。
実務経験等に関する事項の登録簿への記入は、原則として登録申請書の記載内容を転記して行うこととするが、実務経験証明書を登録簿とともに保管することでこれに代えても差し支えないこと。この場合、登録の移転の際には、当該添付書類の写しを併せて送付すること。
実務経験に関し、「建設大臣の認定に関する事項」の記入は、次のとおりとすること。
昭和六三年建設省告示第二二二四号第一号に該当する者については、「第一号該当」と記入するとともに、申請者が受講した講習の実施年度及び修了証明書番号を付記すること。
同告示第二号に該当する者については、「第二号該当」と記入すること。この場合は、業務に従事した期間が二年以上であることの確認に用いた資料について付記すること。
同告示第三号に該当する者については、「第三号該当」と記入し、認定の理由を付記すること。

四 登録の基準の強化に伴う経過措置について

宅地建物取引業者の免許の基準の強化と同様に、取引主任者の登録の基準を強化したが、これに伴い、改正法施行の際に登録を受けようとする者及び既に登録を受けている者に対する登録等についての取り扱いは、次のとおりとすること。
(一) 改正法の施行日より前に傷害罪等の罪を犯している(実行行為をしている)場合

イ 改正法の施行日より前に刑が確定した場合

改正法施行の際現に登録を受けている者については、改正法附則第六項の規定が適用されるので、登録は消除されないこと。
また、改正法施行後に、新規に登録を受けようとする者については、改正後の基準により審査を行うこと(罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない場合は、登録を拒否すること)。

ロ 改正法の施行日以後に刑が確定する場合

改正法施行の際現に登録を受けている者については、改正法附則第六項の規定が適用されるので、登録は消除されないこと。
また、改正法施行後で刑の確定前に、新規に登録をした者については、刑が確定した時点において、その登録を消除すること。
なお、改正法施行後に刑が確定し、その後新規に登録を受けようとする者については、改正後の基準により審査を行う(罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない場合は、登録を拒否すること)。

(二) 改正法の施行日以後に傷害罪等の罪を犯した(実行行為をした)場合

新規に登録を受けようとする者については、改正後の基準により審査すること。

登録の申請についても免許の申請と同様、改正法施行前の申請に対する処分は、できる限り施行前に行うよう努めるとともに、直前の申請は施行後とするよう申請を行おうとする者に対し指導すること。

第七 取引主任者証の様式の改正について

取引主任者証の様式については、全体的に小さくしたものであること。なお、本改正の規定は、来年の四月一日から施行されるものであること(改正規則附則第一項)。
なお、経過措置の規定があるので(改正規則附則第三項)、既に交付されているものについては、更新の際に新様式とすることとし、三年間で順次新しい様式と交換することとなること。
また、裏面については備考欄を設け、取引主任者の管理上必要となる事項を記載できることとしたので、各都道府県の実情に応じて各都道府県の宅地建物取引業法施行細則において勤務先、住所等を記載するよう定めること。

第八 営業保証金制度及び弁済業務保証金分担金制度の改正について

一 営業保証金の差し替えをした場合の届出について

営業保証金を国債等有価証券をもつて供託した場合において、当該有価証券の償還期が到来したときなどに、従前の供託物に代わる新たな供託物を供託した後、従前の供託物の取りもどしをすることを一般に供託物の差し替えというが、規則第一五条の四の二の規定は、営業保証金としての供託物の変換をした場合の届出について規定したものであり、この「変換」とは、いわゆる「差し替え」のことをいうものであること。
なお、この差し替えをした場合にあつては、従前の供託物の取り戻しまでに、当該届出をするという指導を行うこと。

二 営業保証金及び弁済業務保証金分担金の額の改正について

今回の政令改正によつて、営業保証金及び弁済業務保証金分担金の額が引き上げられ、営業保証金の額は主たる事務所について一、〇〇〇万円、その他の事務所について事務所ごとに五〇〇万円の合計額と、弁済業務保証金分担金の額は主たる事務所について六〇万円、その他の事務所につき事務所ごとに三〇万円の合計額とされた。
これに伴う営業保証金の追加供託又は弁済業務保証金分担金の追加納付については、次によるものとすること。
(一) 営業保証金の追加供託について

イ 三月の猶予期間の認められない場合

営業保証金の額の改正規定は、昭和六三年一一月二一日から施行されるが、今回の改正によつて追加供託すべき額が比較的大きいことにかんがみ、施行日現在において免許を受け、かつ、営業保証金の供託を了している者の追加供託については三月の猶予期間が認められている(宅地建物取引業法施行令及び積立式宅地建物販売業法施行令の一部を改正する政令(以下「改正政令」という。)附則第二項)。この猶予期間が認められるのは、「施行日現在において供託している営業保証金の額が改正後の令第二条の四に規定する営業保証金の額に不足することとなる」者についてであるから、一一月二一日以降に免許を受ける者やその日以前に免許を受けても営業保証金の供託を全く行つていない者に対してはこの猶予措置は認められないことに留意すること。
したがつて、これら猶予措置の対象とはならない者については、次により対応すること。
1) 昭和六三年一一月二〇日以前に新規免許の申請を行つた者に対しては、できる限り、その日までに免許をするか否かを決定するよう努めるとともに、直前の申請については、一一月二一日以降の申請とするよう申請者を指導すること。
2) 昭和六三年一一月二〇日以前に免許を受けているが営業保証金の供託済届が未提出である者に対しては、免許をした日から三月を経過しても供託済届の提出がないときは、法第二五条第六項の規定による催告を行い、その到達の後一月以内になお届出をしないときは、同条第七項の規定により、公開の聴聞を行わないでも免許の取消処分を行いうること。また、この催告は書面により行うとともに、その内容としては、一月以内に供託を行わなければならない旨及びその間に供託をしなければ免許の取消処分を行う旨を記載すること。

ロ 三月の猶予期間の認められる場合

昭和六三年一一月二一日現在において、営業保証金を供託している者に対しては、改正政令附則第二項の規定により、追加供託について三月の猶予期間が認められているが、営業保証金制度の趣旨に鑑み、できる限り早期に不足額を供託し、また供託済届出書を提出するよう免許をした宅地建物取引業者を指導すること。
施行日から三月以内に追加供託済届出書の提出を行わない者に対しては、速やかに追加供託済の届出をすべき旨の催告をしたうえ、なお一月以内に届出をしなければ、届出をするまでの間業務停止処分をすることとなるが、当該処分をするに当たつては、通知書に、業務停止処分をした後一年以上を経過したときは、法第六六条第六号に該当し、免許の取消処分を行いうる旨を明記すること。なお、この業務停止処分に違反して宅地建物取引業を営んだ者に対しては、改正政令附則第六項の規定により公開の聴聞手続を経た上免許取消処分を行いうることとされていることに留意すること。

(二) 弁済業務保証金分担金の追加納付について

昭和六三年一一月二一日現在において宅地建物取引業保証協会(以下「保証協会」という。)の社員である者についても、営業保証金の場合と同様、三月の弁済業務保証金分担金の追加納付の猶予期間が認められているが、この点に関し、保証協会に対して、別途通知を行つたところである。
一一月二一日から三月以内に弁済業務保証金分担金の追加納付を行わない社員は、改正政令附則第一〇項の規定により保証協会の社員である地位を失うことになり、法第六四条の一五の規定により社員である地位を失つた日から一週間以内に営業保証金を供託しなければならない。これに違反して一週間以内に供託をしない場合には、公開の聴聞を経た上で業務停止処分を課することとなることに留意すること。

三 引上げ後の額の営業保証金が適用される債権について

今回の改正により、保証協会が実施する弁済業務において、引き上げられた後の営業保証金の額(一、〇〇〇万円)に相当する額の範囲内で弁済を受けることができる債権は、改正政令施行後に発生したものからであるので、この旨留意すること。

四 その他

営業保証金の追加供託及び弁済業務保証金分担金の追加納付に関し、催告又は通知を行う場合は、手交又は配達証明郵便によることが望ましいこと。

第九 重要事項の説明について

一 重要事項説明書について

今回の法改正で重要事項の説明については、法第三五条第一項第九号及び第一〇号が改正されるとともに、同項第五号の二の内容を変更した。この重要事項の説明は、書面を交付して取引主任者が行わなければならないこととされており、この書面(以下「重要事項説明書」という。)については、昭和四六年一二月一四日付け建設省計宅政発第一八三号建設省計画局長通達、昭和四七年一二月二三日付け建設省計宅業発第三五号建設省計画局不動産業室長通達及び昭和五五年一二月一日付け建設省計動発第一〇五号建設省計画局不動産業課長通達によりその標準的様式を示したところであるが、法改正に対応して新たに別記様式一(区分所有建物の場合は別記様式二)のとおり様式を作成したので、これを参考として指導すること。

二 区分所有建物に係る重要事項について

五五年通達において、規則第一六条の二第二号から第四号までに規定する内容については、代理又は媒介を行う宅地建物取引業者において通常行うべきであるとみられる調査を行つても、なお不明である場合においては、当分の間、調査義務の範囲からはずれるものとして処理することとされているが、中高層共同住宅標準管理規約の作成、建物の区分所有等に関する法律の改正等その後の状況の変化にかんがみ、「通常行われるべきであるとみられる調査」として売主、管理組合及び管理社会に対する調査を行うよう指導すること。また、特に、第四号の説明については、規約に定めがある場合には必ず調査を行うこととするとともに、管理会社等に対する調査を行い、当該建物に関し計画修繕積立金等についての滞納額があるときはその額を告げるよう指導すること。
第五号に規定する内容についても、第四号と同様、管理会社等に対する調査を行い、管理費用についての滞納があればその額を告げるように指導すること。
第六号においては、管理の委託を受けている者の氏名及び住所を説明すべき事項としているが、管理を受託している者が、「中高層分譲共同住宅管理業者登録規程(昭和六〇年建設省告示第一一一五号)」第二条の登録を受けている者である場合には、重要事項説明書に氏名と併せてその者の登録番号を記載し、その旨説明するよう指導すること。

三 手付金等の保全措置について

法第三五条第一項第九号の改正は、法第四一条の二に規定する工事完了後の物件の売買に関して受領する手付金等の保全に関する制度が創設されたことに伴い行われたものである。
この保全措置は、宅地建物の取引における消費者の保護の充実を図るため、売主である宅地建物取引業者に対して義務付けたものであり、宅地建物取引業者・購入者の双方が制度の内容について十分理解していることが重要であるので、十分な周知徹底を図ること。
手付金等の保全措置をとらなければならない場合には、売主である宅地建物取引業者及び媒介・代理を行う宅地建物取引業者が双方共に重要事項の説明をしなければならないが、第四一条の二に規定する手付金の保管措置をとる場合においては、手付金等寄託契約を締結した後に、売主と買主の間で質権設定契約を締結しなければならない旨を買主に対して十分説明するよう指導すること。
なお、1)質権設定契約は手付金等寄託契約の締結後であれば売買契約の締結前に行つても差し支えないこと、2)質権設定契約は、あくまで手付金等の保全のための措置であり、売買契約の申込み、予約等とは異なるものであること、3)手付金等寄託契約の締結後の金銭の支払は、買主から指定保管機関に対して直接行われるものであることに留意すること。

四 支払金又は預り金の保全措置について

法第三五条第一項第一〇号に規定する「建設省令で定める保全措置」については、今回の法改正により手付金等の保全措置の一つとして保管制度が創設されたため、省令改正を行い、支払金又は預り金の保全措置として、この保管の措置を加えることとしたものであること。

第一〇 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等について(法第三七条の二関係)

一 撤回等ができる期間の延長について

局長通達で示したとおり、事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等を行うことができる期間を従来の五日から八日に延長したものであるが、この制度は、別荘等の所有権を共有する形式のリゾートクラブ会員権の取引についても適用され、また、このような取引については、訪問販売等に関する法律ではなく、宅地建物取引業法が適用されるものであるので、免許行政庁等において十分な指導監督を行うこととすること。

二 適用除外となる場所について

今回の改正により、契約等の業務を行う案内所等については専任の取引主任者を設置しなければならないこととしたことに伴い、クーリング・オフ制度の適用のない場所を、原則として、これらの専任の取引主任者を置くべき場所に限定することとしたものであること。
また、クーリング・オフ制度の適用の有無については、原則として、その場所が専任の取引主任者を設置しなければならない場所であるか否かにより区別されるものであり、実際に専任の取引主任者がいるか否か、その旨の標識を掲げているか否か(法第五〇条第一項)、その旨の届出がなされているか否か(法第五〇条第二項)などによつて区別されるものではないこと。なお、クーリング・オフ制度の適用がある場所において、その旨の標識が掲げられていない場合等は、それぞれ該当する各条項の違反となることに留意されたい。

三 規則第一六条の五の条文移動について

新第一号イは旧第一号を、新第一号ロは旧第二号を、新第一号ハは旧第四号を、新第一号ニは旧第五号を、新第二号は旧第三号を、移動したものであること。
新第一号ホは、従前は、五五年通達の記の第一〇―二―(二)ホにおいて事務所に含めて取り扱つていたものであるが、今回、規則第六条の二等の改正に伴い、新たに独立して規定したものであること。すなわち、売買契約に関する説明を事務所又は第一号イからニまでに規定する場所において行つた後、その説明に係る物件について、土地に定着する建物内の催しを実施する場所においてした申込み又は契約については、クーリング・オフ制度の適用がないものとするものである。具体的には、住宅金融公庫融資付物件の販売等のように一時に多数の顧客が対象となるような場合において、申込み受付等を行う場所等のことをいうものである。なお、この場合において、売買契約についての説明を事務所又は第一号イからニまでに規定する場所以外の場所で行つたときは、説明を行つた場所に専任の取引主任者がいると否とに関わらず、クーリング・オフ制度が適用されることとなるので注意すること。

第一一 手付金等の保全に関する制度の改正について

一 工事完了前の物件の売買について

従前は、工事完了前の物件の売買の場合には、代金の額の一〇〇分の五を超える前金を受領するときは、その前金を保全することが必要であつたものであるが、今回の改正により、代金の額の一〇〇分の五又は一、〇〇〇万円(宅地建物取引業法施行令第三条の二)を超える手付金等を受領しようとする場合には、保全しなければならないこととされたものであること。

二 工事完了後の物件の売買について

従来より規定されていたいわゆる「青田売り」物件についての手付金等の保全義務に加えて、本改正により、工事完了後の物件の売買に関して授受される手付金等についても、保全措置を講ずることが義務付けられ、その保全のための措置として、従来の保証及び保険の措置に、新たに保管の措置が加えられたものであること。なお、この保管の措置は、工事完了後の物件の保全措置として設けられたものであり、工事完了前の物件の保全措置は、従来どおり、保証及び保険の二種類であるので、工事完了前の物件について保管の措置を講じても、保証又は保険の措置を講じなければ、法第四一条第一項に違反することとなるので留意されたい。

三 義務違反者に対する対応

法第四一条及び第四一条の二に規定する保全措置を売主である宅地建物取引業者が講じなかつた場合、当該宅地建物取引業者が監督処分を受けることとなるが、保全措置を講ずることが必要である売買において、代理業者又は媒介業者として関与した宅地建物取引業者についても、当該業者がその旨を告げなかつた場合は、法第四七条第一号等に該当することとなり、当該代理業者又は媒介業者も監督処分を受けることとなるものであること。

第一二 従業者証明書及び従業者名簿について

一 従業者証明書の携帯について

従前は、従業者であることを表示する方法として、証明書の携帯のほか、記章、ユニフォームの着用等の方法が認められていたが、今回の法改正により、証明書による方法に統一したものであること。
この従業者証明書を携帯させるべき者の範囲は、代表者(いわゆる社長)を含むものであること。また、五五年通達記の第二に定めるところに、非常勤の役員、単に一時的に事務の補助をする者を加えるものとすること。単に一時的に業務に従事するものに携帯させる証明書の有効期間については、他の者と異なり業務に従事する期間に限つて発行するなどその悪用防止に努めるよう指導すること。
また、従業者証明書を発行した者については、すべて従業者名簿に記載するとともに、従業者証明書を携帯していない者が業務に従事することのないよう、すべての者に対して携帯させるよう厳しく指導すること。

二 従業者証明書の様式について

今回、省令改正を行い、従来の様式を変更して、証明書番号を記載させることとするとともに、裏面に本人の住所及び業務に従事する事務所の変更に関する事項を記載させるための備考欄を設けることとしたものであること。また、添付する写真については、スピード写真は不可とするとともに、できる限り六月以内に撮影したカラー写真を用いるよう指導すること。
この従業者証明書の様式の変更については、改正規則施行の際現に交付されている従業者証明書を有している者が新様式の従業者証明書を携帯しなければならないことについては、改正規則の施行の日から六月の猶予期間を設けているが、従業者証明書の提示義務に関しては経過措置は設けていないので、改正法施行の日から従業者証明書を提示しなければならないことに留意すること。

三 従業者名簿の記載事項等について

「主たる職務内容」の欄には、代表者又は役員である場合には役職名を記入し、それ以外の者については、総務、人事、経理、財務、企画、設計、広報、営業等に区分して記入すること。なお、その者が所属する社内の組織名を付記することが望ましい。
本名簿は、取引主任者の登録の際の実務経験を証明するための資料ともなるものであるため、記載されている従業者が退職又は異動によりその事務所に勤務しなくなつた後も、その記録を廃棄してはならず、最終の記載をし、名簿を閉鎖した時点から一〇年間の保存義務が課せられているものであること。
なお、本様式の左側の半分は、免許申請の際の添付書類(六)(従事者名簿)と同じ形式としているため、これを複写して活用して差し支えないものであること。
また、名簿については、経過措置を設けていないので、施行の日から直ちに備えなければならないこととされているので留意すること。

四 その他

従業者証明書の携帯、従業者名簿の備付け等の義務の違反については、監督処分のほか罰則も適用されることとなつたので、この旨留意し、警察部局等関係行政機関との連携を強化し、違反者を発見した場合においては告発等必要な措置をとること。

第一三 標識の掲示等について

一 事務所等以外の建設省令で定める場所について

従来から、事務所及び事務所以外の場所で一定の業務を行うものについては、公衆の見やすい場所に一定の様式に従てた標識を掲げることとするとともに届出を行わせていたが、今回の法改正に伴い、法第一五条第一項において専任の取引主任者を置かなければならない場所を「事務所等」と規定したことから、法第五〇条第一項の事務所等以外の建設省令で定める場所を規則第一九条第一項において規定したものであり、第五号を除き従前と同様の内容であること。

二 標識の様式等について

事務所及び法第一五条第一項の建設省令で定める場所(事務所等)と事務所等以外の建設省令で定める場所とを区別して、標識の掲示を義務付けるとともに、今回、新たに、専任の取引主任者を設置すべき場所についてはその氏名を、クーリング・オフ制度の適用のある場所についてはその旨を記載させることとしたものであること。
なお、改正法附則第二項及び改正規則附則第二項において専任の取引主任者の設置に関し経過措置が設けられていることに伴い、案内所等に掲示すべき標識についても、六月の経過措置が設けられていることに留意されたい。
また、法第五〇条第一項の規定により、本標識については、公衆の見やすい場所に掲示しなければならないこととされているが、クーリング・オフ制度の適用がある場所における掲示については、原則として建物の外側に設置するよう指導すること。

三 業務を行う場所の届出について

届出をする際の様式の記載内容については従来通達によつて定めていたが、今回、省令の様式として規定することとしたものであること(別記様式第一二号)。
当該様式への記入については、次のとおりとする。
(一) 場所の名称及び所在地について

業務を行う場所の種別に従い、次のとおり記入させること。
第一の一に該当する場合にあつては、施設の名称及び所在地を「場所の名称」及び「場所の所在地」の欄に記入させ、分譲に係る宅地又は建物がある場合には、その所在地を第三の五に記入させること。
第一の二に該当する場合にあつては、宅地又は建物の名称及び所在地を「場所の名称」及び「場所の所在地」の欄に記入させること。
第一の三又は四に該当する場合にあつては、一団の宅地建物の分譲地及び案内所の両方の名称及び所在地を「場所の名称」及び「場所の所在地」の欄に記入させること。この場合において、自ら一団の宅地建物の分譲を行つている場合は、第一の二にも印をつけること。
第一の五に該当する場合にあつては、展示会等の催しを実施する場所の名称及び所在地を「場所の名称」及び「場所の所在地」の欄に記入させること。
なお、「場所の名称」の欄には、届出に係る場所の属する事務所の名称を付記すること。

(二) 業務の種別等について

イ 第一の一に該当する場合にあつては、一〜七及び九、一〇に掲げる事項を記入させること。この場合において、取り扱う物件が一団の宅地建物に該当しないときには、四、六の記入を省略することができるものであること。

なお、第一の一に該当する場所については、不特定の宅地又は建物を取り扱う場合には事務所と考えられるので、特定の宅地又は建物を取り扱う場所及び広告宣伝のみを行う場所に限つて届出を受理するものとすること。

ロ 第一の二〜四に該当する場合にあつては、一〜一〇に掲げる事項をすべて記入させること。なお、案内所等を設けない場合は、八は記入する必要がないものであること。
ハ 第一の五に該当する場合には、一、二に掲げる事項を記入させること。この場合において、住宅金融公庫融資物件の販売に係る抽選、申込みの受け付け等を行うときは、あわせて三〜七、九、一〇を記入させるものとすること。
ニ その他の事項には、当該場所の電話番号等を記入させるものとすること。

(三) 業務を行う期間について

期間によつて行う業務内容が異なるため、専任の取引主任者を置かなければならない期間が限定される場合には、業務を行う期間全体の届出と取引主任者を置かなければならない期間の届出を区分して届出させること。取引主任者を置かなければならない期間の届出についても当該業務を開始しようとする日の一〇日前までに行わせるものとすること。
また、業務を行う期間については、最長一年とすること。

(四) 専任の取引主任者に関する事項について

専任の取引主任者としては、実際に専任の取引主任者として勤務する者一人を届出させることを原則とするが、やむを得ない場合には、業務に従事することが予定されている複数の者を専任の取引主任者とした届出を受理することも当分の間は差し支えないものであること。この場合においては、届け出た宅地建物取引業者に対し、届出に記載している者の中の誰が実際に勤務したか、その勤務状況を記録させておくこと。
また、届出されている専任の取引主任者は、業者に継続的に雇用されているものでなければならないものであること。
「事務所の取引主任者の数」の欄には、届出に係る場所が属する事務所(以下「所属事務所」という。)の全取引主任者の数を、「うち事務所の専任の取引主任者である者の数」の欄には、当該事務所に置かれている専任の取引主任者の数を、「事務所以外の専任の取引主任者を置くべき場所の数」の欄には、所属事務所が管轄している場所で専任の取引主任者を必要とするものの数を、「事務所の専任の取引主任者でこれらの場所に派遣されている者の数」の欄には、所属事務所の専任の取引主任者であつて、所属事務所が管轄している専任の取引主任者を置かなければならない場所の取引主任者として届出されている者の数を記入すること。
これらの数は、届出に係る場所において業務を開始する日における数とすること。また、既に特定の案内所等の専任の取引主任者として届出されている者が、業務を行うものとして届出された期間内に、当該場所における業務の終了を理由に他の場所の専任の取引主任者となる場合には、氏名の欄に従前の届出場所の名称及び営業終了年月日を付記させること。
業務に従事することが予定されている複数の者を届け出ている場合には、「事務所の専任の取引主任者でこれらの場所に派遣されている者の数」の欄には、既に案内所等において専任の取引主任者として届け出られており、派遣される可能性のある者の数を全て加えた数を記入すること。

(五) その他

本年一一月二一日以後に業務を開始する場所に係る届出はできる限り改正後の様式により行うこととし、やむを得ない場合には、一一月二一日以後に、報告を徴取すること。

第一四 その他

一 従来の様式の活用について

今回の改正により各種書類等の様式の変更が行われたが、これを一時に新様式によるとすることは無理があると考えられるので、法施行後六月程度の間は従来の書類等に改正後の新様式で追加された事項を別記する等の方法により、従来の書類を活用する方向で処理することとして差し支えないこと。

二 添付書類の削減等について

免許等行政事務の手続については、臨時行政調査会第五次答申、総務庁の調査などにおいて、事務処理の迅速化、審査基準の明確化、提出書類の簡素化等を図るべきであると意見があるので、宅地建物取引業の免許、宅地建物取引業の廃業等の届出、宅地建物取引主任者の死亡等の届出等の添付書類については、真に必要なものについてのみ提出させることとするとともに、提出部数の削減についても検討を行うこと。


別記様式〔略〕


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport