昭和六三年一二月三〇日、消費税法(昭和六三年法律第一〇八号)が公布、施行され、平成元年四月一日から適用されることとなつた。これに伴い、中高層共同住宅(以下「マンション」という。)管理組合(管理組合法人を含む。以下同じ。)の管理業者に対する管理委託についても、消費税が課されることとなつた。消費税は、税制改革法(昭和六三年法律第一〇七号)第一〇条に規定されているように消費に広く薄く負担を求める税であり、同法第一一条において事業者は消費税を円滑かつ適正に転嫁することとされている。
したがつて、このような消費税の仕組みを正しく理解し、マンション管理組合等消費者の理解を得つつ、マンションの管理委託に係る消費税について、管理業者からマンション管理組合に対し円滑かつ適正に転嫁するとともに、これに便乗した価格の引き上げを防止することが必要である。
一 管理業者が課税事業者である場合、管理業者がマンション管理組合(以下「管理組合」という。)から受け取る管理費、管理委託費、定額管理費等(以下「管理費等」という。)については、管理委託につき課されるべき消費税額分について、管理費等の改定等転嫁の措置が必要となるものであること。
二 管理業者が免税事業者である場合も、管理業務又は修繕工事等のために必要な資材の購入や役務の提供等の仕入れについて消費税額相当分が上乗せされるため管理費等の改定が必要となることも考えられるので、この場合については、管理業者は、その改定理由について十分説明すること。
三 管理業者と管理組合との管理委託契約の締結に当たつては、当該管理委託につき課されるべき消費税額を明示すること。
なお、「中高層共同住宅標準管理委託契約書」については、昭和五七年五月二一日付け建設省計動発第六九号、建設省住民発第三一号により通知したところであるが、今後、課税事業者である管理業者が管理委託契約を締結する際には、同契約書第六条第二項中、定額管理費について、「月額○○円」とあるのは、「消費税抜き価格○○円、消費税額○○円、合計月額○○円」等消費税額を明示して、引き続きその活用を図ること。
四 前記一、二等消費税の転嫁に伴い、管理組合の支出の増加が予想され、その場合、管理組合が区分所有者から徴収する管理費、修繕積立金等についても原則として改定が必要となること。