最近の地価動向を見ると、大阪圏、名古屋圏で依然として顕著な地価上昇が続いているほか、地方圏でも顕著な地価上昇を示す都市が相当数に上るなど地方にも地価上昇が波及する傾向にあり、投資的な資金が流入したことが地価上昇の大きな原因と指摘されているところである。
地価の高騰を招く投機的土地取引については、従来より、通達等によりその抑制を指導してきたところであるが、近年の地価の急騰が国民の住宅取得を著しく困難とするなど土地問題が深刻化する中で、その徹底が強く求められている。
また、先般成立した土地基本法においては、土地が投機的取引の対象とされてはならないこと、事業者は、適正な土地の利用を行う等土地についての基本理念に従う義務があることが規定されており、さらに、同法の成立に際し、投機的土地取引を抑制するための指導・監督を一層徹底する旨の国会決議が行われている。
このような状況に鑑み、建設省においては、平成二年四月二五日付け建設省経動発第四〇号をもって、不動産業界団体に対し、『投機的土地取引の抑制について』通達したところであるが、貴職におかれても左記事項に留意の上、投機的土地取引の抑制について格段の御配慮をお願いする。
第一 宅地建物取引業者が行う投機的土地取引の抑制に関する措置
一 投機的土地取引に関する調査
投機的土地取引や分譲マンションの投機的転売を抑制するため、宅地建物取引業法所管部局と国土利用計画法所管部局との緊密な連携の下に、監視区域詳細調査等の資料を活用して宅地建物取引業者が行う土地取引、分譲マンションの転売の実態の把握に努め、必要と認められる場合には、個々の宅地建物取引業者に対する事情聴取を行うなど必要な調査を行うこと。
二 宅地建物取引業者に対する指導等
一の調査の結果、投機的土地取引に関連して国土利用計画法第二三条に違反するなどの違法行為があった場合には、宅地建物取引業法第六五条に基づき監督処分を行うなど厳正に対処すること。
また、投機的土地取引を行ったと認められる場合には、宅地建物取引業の健全な発達を図るため、当該宅地建物取引業者に対して必要な指導等を行うこと。
第二 関係行政機関との連携の強化等
投機的土地取引を抑制すため、宅地建物取引業法所管部局と国土利用計画法所管部局との連携を強化し、投機的土地取引、国土利用計画法違反等に関する情報の収集・交換等必要な措置を採ること。
なお、国土利用計画法第五章の事務は、指定都市においては、当該指定都市の長が行うこととされているので、各指定都市の国土利用計画法所管部局と十分な連絡、協力を行うこととされたい。