建設省経動発第四三号
平成四年四月二八日

各都道府県知事あて

建設省建設経済局長通達


「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」の施行に伴う不動産業からの暴力団排除の徹底について

不動産業からの暴力団の排除については、既に「宅地建物取引業法の厳正な運用について」(昭和六二年一二月一七日付け建設省経動発第一〇二号)等により通達しているところであるが、平成四年三月一日付けで「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成三年五月法律第七七号)(以下「暴力団対策法」という。別紙一参照。)が施行され、従来にもまして強力な暴力団対策が講じられることとなった。平成四年二月二七日の事務次官等会議においては、暴力団対策法の施行に当たっての各省庁の対応について、別紙二のとおり申し合わせを行ったところであり、建設省においては、警察庁と連携の上、今後とも宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)の厳正な運用に意を用いていく所存であるが、貴職におかれても、左記事項に留意の上、宅建業法の厳正な運用について、さらに格段のご配慮を願いたい。

一 暴力団対策法の施行により、都道府県公安委員会が一定の要件を充足する暴力団を指定暴力団として指定することとなるが、宅地建物取引業免許における暴力団の構成員の排除については、指定暴力団か否かに関わらず、従来どおり厳正に対処されたいこと。
二 前記昭和六二年通達記の第一の一では、法人の役員に「業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む」としているが、「同等以上の支配力」の認定においては、名刺、案内状等に会長、相談役等の役職名を使用しているか否かが一つの基準となりうること。
三 暴力団対策法においては、その第九条において、指定暴力団の暴力団員がその者の所属する暴力団の威力を示して行う不当な行為(正当な権原に基づいて建物又はその敷地を利用している者に対し、その意思に反して明渡しを要求する行為(いわゆる不当な地上げ)、建設請負工事に関して、その者の意思に反して受注を要求する行為等。以下「暴力的要求行為」という。)が禁止されているだけでなく、第一〇条において、何人も指定暴力団の暴力団員に対してこうした暴力的要求行為を依頼する等の行為を行ってはならないとされている。第一〇条違反行為については、都道府県公安委員会が再発防止を命ずることができるとされ(第一二条)、さらにその命令に違反した場合には罰則が科せられることとなっている(第三五条)。

これに対応し、宅地建物取引業者が、宅地建物取引業に関し、暴力団対策法第一二条の再発防止命令を受けた場合には、業務に関する他法令違反として、情状に応じ、宅建業法第六五条第一項第三号の指示処分、第六五条第二項第一号の業務停止処分、第六六条第九号の免許取消し処分のいずれかを行うことにより、厳正に対応すること。第一二条の再発防止命令を受けていなくても、宅地建物取引業に関し、暴力団対策法第一〇条違反行為を行ったことが明らかである場合においては、情状に応じ、宅建業法第六五条第一項第二号の指示処分、第六五条第二項第五号の業務停止処分、第六六条第九号の免許取消し処分のいずれかを行うことにより、厳正に対応すること。

四 暴力団対策法の施行に当たり、市民社会からの暴力団の排除を徹底するため、前述の事務次官等会議では各省庁が緊密に連携することを申し合わせたところである。建設省においても、不動産業からの暴力団の排除を徹底するため、警察庁等関係行政機関との連携をさらに強化することとしたので、都道府県においても、その趣旨を踏まえ、関係部局間での連携を一層緊密なものとされたいこと。その際、連絡協議会等の設置及びその積極的活用により、定期的な情報交換の場を確保することが望ましいこと。
五 暴力団員の不当な行為の予防に関する知識の普及、暴力団員の不当な行為に関する相談等の事業を行う「暴力追放運動推進センター」(暴力団対策法第二〇条及び第二一条)との密接な情報交換を図ること。

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