行政手続法(平成五年法律第八八号)が平成五年一一月一二日公布され、平成六年一〇月一日から施行される予定であるが、これに伴い宅地建物取引業法(昭和二七年法律第一七六号。以下「宅建業法」という。)及び積立式宅地建物販売業法(昭和四六年法律第一一一号。以下「積立業法」という。)の運用に当たっても、特に左記の事項に留意の上、行政手続法の目的である行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るよう、両法の運用に遺漏のないように取り計らわれたい。
1 本通達の位置付けについて
本通達は、建設大臣が処分庁となる場合における行政手続法の施行に伴い当面必要となる審査基準等を定めたものであるが、当該審査基準等は、併せて都道府県知事が処分庁として審査基準等を策定するための準則となるべきものであること。
したがって、処分庁である都道府県知事は、本通達を踏まえ、審査基準等の策定等を行う必要があるが、その際、法令及び本通達の趣旨を逸脱しない範囲において、それぞれの地域の事情等に応じた審査基準等を別途作成することは可能であること。
なお、処分庁である都道府県知事において既に同趣旨の審査基準等が策定されている場合にあっても、本通達の趣旨を踏まえ、必要に応じて見直しを行うべきものであること。
2 申請に対する処分に係る審査基準について
宅建業法又は積立業法に基づく申請に対する審査基準については、当該審査に係る法令の定め、通達及び解説書の記述をもって基準とすることとし、これを行政手続法第五条第三項の規定に基づき、申請の提出先である都道府県知事の事務所に備え付けることにより公にしなければならないものであること。
3 申請に対する処分に係る標準処理期間について
(1) 宅建業法
宅建業法第三条第一項及び第三項に基づく申請に対する処分に係る標準処理期間については、原則として、申請の提出先とされている都道府県知事から建設大臣に到達するまでの期間を一〇日とし、建設大臣に当該申請が到達した日の翌日から起算して当該申請に対する処分の日までの期間を九〇日とすること。
(2) 積立業法
積立業法第三条第一項に基づく申請に対する処分に係る標準処理期間については、原則として、申請の提出先とされている都道府県知事から建設大臣に到達するまでの期間を一〇日とし、建設大臣に当該申請が到達した日の翌日から起算して当該申請に対する処分の日までの期間を三〇日とすること。
(3) 標準処理期間の算定
標準処理期間を算定するに当たっては、
1) 適法な申請を前提に定めるものであるから、形式上の不備の是正等を求める補正に要する期間はこれに含まれないものであること。
2) 適正な申請に対する処理についても、審査のため、相手方に必要な資料の提供等を求める場合にあっては、相手方がその求めに応ずるまでの期間はこれに含まれないものであること。
(4) 以上のことは、行政手続法第六条の規定に基づき、申請の提出先である都道府県知事の事務所に備え付けることにより公にしなければならないものであること。
(5) なお、申請が都道府県知事の事務所(窓口)に到達した際の当該申請の受付け又は受理については、行政手続法第七条の趣旨にかんがみて、遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、法令に定められた申請の形式的要件に適合しない申請については、速やかに、補正を求める旨を貴職職員に対して周知徹底すること。