商法等の一部を改正する法律(平成二年法律第六四号。以下「法」という。)は、平成二年六月二九日に公布され、既に平成三年四月一日から施行されているところである。このうち株式会社又は有限会社の資本の額の制限に関する改正規定は、法の施行の際現に存する株式会社若しくは有限会社又は法の施行前に定款の認証を受け、法の施行後に成立する株式会社若しくは有限会社(以下「既存の会社」という。)については、法附則第五条第一項又は第一八条第一項の規定により、平成八年三月三一日までの間は適用しないことを基本とされているが、当該経過措置の適用期限の到来を一年余後に控え、既存の会社においては改正規定対応のため、増資、組織変更等を行うケースが今後増大することが予想されるところである。
このため、今般、宅地建物取引業法上の取扱いについて左記のとおり定めたので、貴職におかれては、これらの事項に留意の上、引き続き、宅地建物取引業者が関係法令を遵守しつつ適正に業務を行うよう、的確な指導に努められたい。
1 最低資本金(株式会社にあっては千万円以上、有限会社にあっては三百万円以上の資本金をいう。以下同じ。)の要件を満たしていない株式会社又は有限会社については、法附則第五条第三項又は第一八条第三項の規定により、平成八年四月一日以降、職権により解散したものとみなす旨の公告が行われることとされているが、当該公告の日から二月を経過する日までの期間(以下「催告期間」という。)の経過以前に、法附則第五条第二項、第一八条第二項の規定等により、宅地建物取引業の免許を有する株式会社が合名会社、合資会社若しくは有限会社に、又は宅地建物取引業の免許を有する有限会社が合名会社若しくは合資会社に組織変更する場合においては、宅地建物取引業法(以下「業法」という。)上、組織変更前の会社と組織変更後の会社は同一法人格を有するものとして取り扱うことができるものであること。
この場合において、当該宅地建物取引業の免許を有する会社は、少なくとも商号に変更を生ずることとなるので、業法第九条に規定する変更の届出を行うとともに、免許証の書換交付の申請を行う必要があること。
平成八年三月三一日以前においても以上の取扱いと同様とするものであること。
2 催告期間の経過以前に、組織変更又は増資が行われず、会社を解散したとみなされた宅地建物取引業者は、業法第一一条第一項第四号に該当するものとして廃業の届出を行わなければならないものであるほか、当該届出が行われない場合には、業法第六六条第七号の規定に該当するものとして免許を取り消されるものであること。
3 平成七年一月一七日において大阪府及び兵庫県の区域内に登記された本店が所在していた株式会社又は有限会社については、阪神・淡路大震災に伴う法人の破産宣告及び会社の最低資本金の制限の特例に関する法律(平成七年法律第四二号)第二条の規定により、法の経過措置の特例が設けられたため、1において「平成八年四月一日」とあるのは「平成九年四月一日」として本通達の適用をするものであること。
4 以上の趣旨が徹底されるよう、宅地建物取引業者に周知するとともに、とりわけ催告期間において最低資本金の要件を満たしていない株式会社又は有限会社である宅地建物取引業者の把握に努めること。