標記については、既に、「宅地建物にかかる取引条件の明確化、工事施工の適正化、建築物の設計及び工事監理の適正化等について」(昭和五一年一二月一一日付け建設省計動発第六〇号・建設省住指発第七一〇号計画局長・住宅局長通知。以下「局長通知」という。)等の通知をしてきたところであり、貴団体におかれても、これを受けて実施要領の策定等により対応されてきたところであるが、行政管理庁の行政監察結果によると、民間分譲中高層共同住宅(分譲マンシヨン)についていまだ適正を欠く取引等があるので、貴団体加盟の業者又は建築士に対し、局長通知等の趣旨を更に徹底されるとともに、特に、左記事項について周知徹底及び指導を行われたい。
第一 宅地建物取引業者等において講ずべき措置
I 宅地建物取引業者において講ずべき措置
一 販売物件の事前検査について
工事施工の適正化のための販売物件の事前検査については、なお十分でないものも相当数あるので、施工業者及び建築士から工事竣工図、工事監理報告書等を徴取し、これの徹底を図ること。
二 取引の公正の確保について
(一) 宣伝広告の適正化について
宣伝広告については、宅地建物取引業法第三二条で誇大広告等が禁止され、また、同法第四七条第一号で重要事項の不告知等が禁止されているにもかかわらず、不当な広告が跡を絶たない。したがつて、宣伝広告の内容が実際と異なることのないよう、その適正化に努めるとともに、不動産の表示に関する公正競争規約を遵守すること。
(二) 共有敷地等における使用収益関係等の明確化
共有敷地及び建物の共用部分の権利関係、使用収益関係をめぐつて紛争が生ずる事例が多いことにかんがみ、取引段階においてこれらの点を明確にすること。特に、分譲業者が共有敷地等に専用使用権を設定してその使用料を得る等の例は、現在少なくなつてはいるが、取引の形態としては好ましくないので、原則として、このような方法は避けること。また、専用使用権の設定に当たつては、存続期間、使用料等について公正かつ妥当なものとし、これらを管理規約等において明定するとともに、これから生ずる収益等については、修繕積立金への繰入れによる区分所用者の共有財産に帰属させる等公正な処理を行うこと。
(三) 苦情受付窓口の契約書等への明記
売買契約締結後発生した苦情を迅速かつ的確に処理するため、苦情受付窓口について契約書等に明記することについては、なお不徹底であるので、契約時には必ずこれを契約書等に明記するようにすること。
三 管理組合設立の勧奨について
取引後における居住者等の円滑な共同生活を確保するため、取引段階において管理組合の設立を勧奨することについては、現に相当とり行われているところであるが、なお、行われていない事例も見受けられるので、管理組合設立の際の販売業者の役割の重要性にかんがみ、設立の勧奨を励行し、管理の適正化を図ること。
II 事業者団体において講ずべき措置
一 取引の公正の確保について
取引主任者による重要事項の説明、物件説明書の交付、瑕疵担保責任の特約の制限等の宅地建物取引業法の規定を遵守しない業者が見られることは誠に遺憾であるので、業界団体による自主的な点検活動の強化等により宅地建物取引業法の遵守の徹底を図ること。
二 苦情処理体制の整備等について
宅地建物の購入者からの苦情に対処するため、苦情処理体制を一層整備し、苦情の適正かつ早期の解決を図ることとすること。
また、これとあわせて、宅地建物の購入希望者からの取引に関する事前の相談にも応ずることができるようにすること。
第二 建設業者及び建築士において講ずべき措置
I 建設業者において講ずべき措置
建設工事の適正施工を確保するため、施工管理の適正化と建築士との連絡調整等に関し、局長通知の趣旨を更に徹底すること。
また、工事竣工図、工事報告書が提出されていない事例も見受けられるので、その提出を励行し、宅地建物取引業者による販売物件の事前検査が十分に行えるようにすること。
II 建築士において講ずべき措置
建設工事の適正施工の確保及び工事監理者としての責任の明確化のため、工事監理等に関し局長通知の趣旨を更に徹底すること。特に、前記行政監察結果によれば、局長通知以後においても工事監理が不徹底とされている事例が見受けられるので、工事監理の厳正な執行及び建築主への工事監理報告書の提出遵守を更に徹底すること。