計動発第一〇五号
昭和五五年一二月一日

各都道府県主管部長あて

計画局不動産業課長通達


宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律、宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体手数料令の一部を改正する政令及び宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令の施行について


標記については、「宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律の施行について」(昭和五五年一二月一日付け建設省計動発第一〇〇号建設省計画局長通達)をもつてその基本事項について通達された。また、幹線道路の沿道の整備に関する法律施行令(昭和五五年政令第二七三号。以下「沿道整備法施行令」という。)附則第九条で宅地建物取引業法施行令(以下「令」という。)が改正され、この一〇月二五日に施行された。
ついては、貴職におかれては、左記事項に留意のうえ法の施行に遺憾のないようにされるとともに、改正法令の周知方取り計らわれ、法の運用に万全を期されたい。

第一 免許申請書及びその添付書類の変更について

一 免許申請書の様式の変更について

免許申請書の第三面及び第四面については、従前の第三面を改正したものであるが、これは、事務所ごとに置くべき専任の取引主任者の数が「少なくとも一名」から「業務に従事する者一〇名につき一名以上」と改正されたことに伴い、専任の取引主任者の氏名及び住所の欄を増加させたものであること。なお、この第三面及び第四面に記載しきれない場合は、「これらの様式の例により作成した書面に記載して、その書面を第五面の次に添付しなければならない」とされていることに留意すること。

二 添付書類の変更について

(1) 取引主任者証の交付を受けた者であることを証する書面

従前は「事務所ごとに置かれる専任の取引主任者が法第一八条第一項の登録を受けた者であることを証する書面」を添付する必要があつたが、今回の法改正で取引主任者の定義が「取引主任者証の交付を受けた者」に変更されたことに伴い、この書面に代えて、「事務所ごとに置かれる専任の取引主任者が取引主任者証の交付を受けた者であることを証する書面」を添付することとしたものであること。
また、この書面は都道府県知事が発行するものであるが、免許の申請をする都道府県知事と宅地建物取引業法(以下「法」という。)第一八条第一項の登録をしている都道府県知事とが同一である場合においては、取引主任者証を交付しているか否かは資格登録簿で確認すれば十分であるので、この書面の発行を省略して差し支えないこと。なお、この書面は別記様式一によるものとする。

(2) 宅地建物取引業に従事する者の名簿

この書類は、従前も添付書類として徴していたものであるが、今回の改正で「宅地建物取引業者の業務に従事する者」が事務所に置くべき専任の取引主任者の数を定める基準とされたことから、その裏付け資料として特に重要な役割を持つこととなつたことに留意すること。また、「宅地建物取引業に従事する者」は、事務所ごとに把握する必要があるので、今回の宅地建物取引業法施行規則(以下「規則」という。)の改正でこの書面は事務所ごとに作成しなければならないとしたものであること(規則別記様式第二号添付書類(五))。
なお、「宅地建物取引業に従事する者」の範囲については、第二によること。

第二 宅地建物取引業者の業務に従事する者について

一 原則

今回の改正で「宅地建物取引業者の業務に従事する者」の把握は、事務所が法第一五条第一項の要件を充足するか否かの判定をするに当たり極めて重要な意味を持つことになつた。この点については、従前から免許申請書の添付書類として宅地建物取引業に従事する者の名簿を徴し、その把握を行つてきたところであり、範囲としてはその考え方がおおむね当てはまるものである。
ここに「宅地建物取引業者の業務に従事する者」とは、営業に従事する者のみならず宅地建物取引業に係る一般管理部門に所属する者や補助的な事務に従事する者も含まれるものであること。

二 宅地建物取引業のみを業としている場合について

(1) 常勤の役員は全て該当するが、非常勤の役員については該当しないものであること。
(2) 秘書、専ら顧客との応待の事務を行う者、運転手、守衛等の宅地建物の取引に直接的な関係が少ない事務に服する者も該当するものであること。
(3) 該当性の認定に当たつては雇用契約の有無を問わないが、単に一時的に事務の補助をする者は、該当しないものであること。

三 他の業種と兼業している場合について

(1) 他の業種と兼業している場合における他の業種に従事する者並びに両者を統轄する一般管理部門に従事する職員については、該当しないものであること。ただし、他の業種が副次的な業務であり、主として宅地建物取引業が行われている場合においては、全体を統轄する一般管理部門に所属する職員についても、該当するものであること。
(2) 役員については、宅地建物取引業担当役員が該当するのはいうまでもないが、他の業種をも担当している場合であつても宅地建物取引業に係る比重が大きい場合には該当するものであること。なお、会社等の代表者については、常に該当するものとして取り扱うこと。

四 事務所の要件の判定について

事務所に置くべき専任の取引主任者の数が充足されているか否かの判定は、当事者の申請をまつて行うことになるので、要件を充足しているかどうか疑わしいと思料される場合においては、適宜立入り調査等によつて監督の充実を図ること。なお、免許申請等の際にその者の組織図についてもあわせて提出するよう指導すること。

第三 登録の移転について

一 登録の移転の手続について

(1) 移転の申請手続

イ 登録の移転の申請は、登録移転申請書(規則別記様式第六号の二)を従前の登録をしている都道府県知事に提出して行うこととなるが、これは郵送によるものとして差し支えないこと。なお、あて名は移転をしようとする先の都道府県知事であること、また、申請書に貼付する証紙は移転をしようとする先の都道府県の発行するものでなければならないことに留意すること。
ロ 登録の移転を行いうるのは、「登録をしている都道府県知事の管轄する都道府県以外の都道府県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとする場合」であるが、これは主として転勤の場合、勤務先の変更の場合等を指すものであること。したがつて、登録移転申請書の「理由」の欄にはこれらの事由を記載することとなるが、この場合、必要に応じて使用者の証明書等を徴するものとすること。

(2) 移転の手続

イ 登録移転申請書の提出を受けた都道府県知事が登録の移転を行つて差し支えないと認めた場合においては、別記様式二による「登録移転申請書の送付について」に登録移転申請書及び資格登録簿の写しを添えて、移転を申請する都道府県知事に送付すること。
ロ 登録移転申請書の送付を受けた都道府県知事は、速やかに登録手続を行うものとし、登録を了した場合には従前の登録をしていた都道府県知事に対し別記様式三による通知書を、申請者に対し別記様式四による通知書をそれぞれ送付するものとすること。

二 資格登録簿への登載

登録の移転による登録は、都道府県知事が資格登録簿に必要な事項を登載してするものとするが、この場合においては、移転申請時における必要事項を登載すれば足りるものであること。なお、登録の移転が行われた場合に試験を行つた都道府県知事及び移転前の都道府県知事を掌握するため、資格登録簿にはこれらに関する記載欄を設けていることに留意すること。

三 登録の移転申請と取引主任者証の交付申請が同時に行われる場合の手続について

第五の六によること。

第四 取引主任者に対する講習の実施について

一 趣旨

宅地建物の取引に関する法制度等は比較的改廃が多いので、今回の法改正で、取引主任者に対して取引主任者証の交付及びその有効期間の更新の際に都道府県知事の指定する講習を受講することを義務付け、その資質の維持・向上を図ることとした。

二 講習の実施団体について

法第二二条の二第二項では、講習は建設省令の定めるところにより都道府県知事が指定することとし、規則第一四条の一七では一定の指定基準に該当する講習及び都道府県知事の実施する講習としている。このうち、指定基準の運用については、次によるものとすること。
(1) 第一号関係

講習実施団体は、「宅地建物取引業の適正な運営を確保するとともに宅地建物取引業の健全な発達を図ることを目的として民法第三四条の規定に基づいて設立された公益法人」でなければならないが、これは既存の宅地建物取引業者の業界団体等を指すものであること。
「必要かつ適切な組織及び能力」の判断は、都道府県知事が行うこととされているが、その際には会員である宅地建物取引業者の数及びそのもとで働く従業者の数、過去の活動実績、講習を実施するための体制等を総合的にみて判断すること。また、指定をするか否かは当該団体の会員である宅地建物取引業者の業務に従事している法第一八条第一項の登録を受けている者の数を登録に係る都道府県知事ごとに算定して判断することとするが、その数(複数の業界団体等で協賛して実施しようとする場合にあつては、その合算した数)は、おおむね一五〇名以上とすること。

(2) 第二号関係

本号は、法第二二条の二第二項に規定する講習が取引主任者証の交付の前提であり、取引主任者として業務に従事しようとする者は全て受講を義務付けられていることにかんがみ、取引主任者に広く受講機会を与えるために設けたものであること。したがつて、第一号の公益法人の実施する講習は、当該公益法人の会員である宅地建物取引業者の業務に従事する取引主任者に対して、受講機会、受講料、受講内容等の点で平等でなければならないのみならず、当該公益法人の会員でない宅地建物取引業者の業務に従事する取引主任者に対してもこれらの点で平等でなければならないものであること。
「正当な理由」とは、提出書類や写真等が不備であつたり、講習の円滑な実施をかく乱したり、取引主任者としての事務禁止処分期間中であつたりする等の理由であること。

三 指定の取消しについて

講習の指定は、公益法人の申請をまつて都道府県知事が行う単独行為であり、指定基準に該当しなくなつた講習については、指定の取消しをもつて対応すること。

四 指定の公示について

指定及び指定の取消しは、指定に係る講習を実施する公益法人に個別に通知するほか、当該都道府県の公報に掲載すること。

五 講習の期日、場所等の周知徹底について

取引主任者証の交付を受けようとする者に対して講習の実施について広く周知させるため、指定に係る公益法人の実施する講習の期日、場所、内容等の周知徹底を行うよう講習を実施する公益法人を指導するとともに、自らも周知徹底を図ること。

六 講習の実施の指導・監督

講習が適正に実施されるよう、必要な指導・監督を行うこと。このため、指定に係る講習実施団体に年度開始前にその実施計画を提出させ、内容の指導に当たること。また、講習が実施された場合には講習実施団体から速やかに受講者数、実施状況等を報告させること。

七 取引主任者証の交付の手続との関係について

講習の受講は、取引主任者証の交付の前提条件であることにかんがみ、講習を受講した者が取引主任者証の交付申請を行つた場合には、できるだけ速やかに交付すること。また、講習が実施された場合には、一時に大量の交付申請が行われるとみられるので、交付事務手続を円滑・合理的に行うため、交付申請は講習実施団体が取りまとめて行うよう指導すること。更に、取引主任者証の交付についても講習実施団体に一括して手渡し、その団体から受講者に交付することとして差し支えないこと。

九 法施行後三年間の経過措置に伴う講習の実施について

昭和五六年四月一日現在法第一八条第一項の登録を受けている者は、宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律(昭和五五年法律第五六号。以下「改正法」という。)附則第三項の規定により都道府県知事が定める期間内にのみ取引主任者証の交付申請をすることができるとされているので、交付申請の前提となる講習についても、受講後交付申請までに有効な期間が六月であることにかんがみ、受講対象者を都道府県知事の定める期間に応じて区分するよう指導すること。また、経過措置の適用のある者については、三年間の取引主任者証交付の割り振りに応じた受講の割り振りについてもできるだけ早期に各種情報手段によつて周知させるよう指導すること。

第五 取引主任者証について

一 取引主任者証の交付申請手続について

取引主任者証の交付申請をするためには、登録をしている都道府県知事の指定する講習で申請前六月以内に行われるものを受講しなければならないが、この講習の受講は、交付申請書の必要欄に講習を受講した旨の証明をさせることにより確認するのを原則とすること。ただし、特に例外的に都道府県知事が認めた場合には、個別に受講証明書を添付させるものとして差し支えないこと。
交付申請書には写真を添付することとされているが、これは、取引主任者証に貼付するための写真であり、講習実施団体から交付申請書の提出を受ける際に取引主任者証用紙にこの写真を貼付したものを添付させることが望ましいこと。なお、この写真は取引主任者が業務に従事する場合に相手方等が本人と相違ないか否かを識別するという重要な役割を持つものであるから、スピード写真等は不可とするとともにできる限りカラー写真を用いるよう指導すること。

二 取引主任者証の交付手続について

(1) 改ざんの防止

取引主任者証の改ざんを防止し、耐久性を確保するため、取引主任者証にはラミネート加工を施すこと。

(2) 同一性の確認

取引主任者証を間違いなく本人に交付するため、新規の交付に当たつては登録申請書の写真と交付申請書の写真を照合して同一性の確認を行うこと。また、第二回目以降の交付についてもこの方式に準じ新たな交付申請書の写真と前回の交付申請書の写真とを照合するものとすること。

(3) 資格登録簿への記載

取引主任者証の交付をする場合には、資格登録簿の「宅地建物取引主任者証に関する事項」の欄に「交付年月日」、「有効期間の満了する日」及び「発行番号」を記載すること。

(4) 交付年月日

イ 新規の交付の場合

取引主任者証を新規に交付する場合にあつては、交付年月日は実際に申請者に手渡される日ではなく交付が可能となつた日とすること。なお、講習実施団体の方から取りまとめて交付申請がなされた場合にあつては、交付年月日は一括して同一の期日とするのが望ましい。

ロ 有効期間の更新の際の交付の場合

取引主任者証の有効期間を更新する場合には、新たな取引主任者証を交付するものとしている(規則第一四条の一六)が、この場合においても交付年月日は有効期間の経過する日の翌日ではなく、新たに発行する取引主任者証の交付が可能となつた日を記載すること。

ハ その他

資格登録簿の「交付年月日」の欄には、イ又はロの交付年月日を記載すること。

(5) 発行番号

取引主任者証の交付をした取引主任者の番号については別途登録番号の制度があるので省略することとした。したがつて、ここで「発行番号」とあるのは交付をした取引主任者証の番号の意味であり、各都道府県知事ごとに年度を基準として定めるものとすること。

(6) 一括交付

取引主任者証の交付が講習実施団体により取りまとめて行われる場合には、講習実施団体に実際に手渡す者と取引主任者証の写真との照合を行わせること。

三 事務の委託について

講習の実施の監督及び取引主任者証の交付手続により、都道府県の事務が相当増加するものと見込まれるので、可能なものは講習実施団体と協議のうえできる限り当該団体に委託すること。特に資格登録簿による確認は、事前に講習実施団体の方で行うことが望ましいので、事前審査として講習実施団体の協力を得る場合には、資格登録簿の写しを当該団体に備えるようにすること。また、事務を委託する場合にあつては、必要な措置を講ずるとともに、指導・監督を十分に行うこと。なお、登録されている者の利益を尊重するため資格登録簿の写しに記載されている内容は取引主任者証の交付及びその前提となる講習の受講のための審査以外の目的に使用しないよう十分指導し、必要な監督を行うこと。

四 取引主任者証の提示義務について

取引主任者は重要事項の説明をするときは必ず相手方等に対し取引主任者証を提示する義務があり(法第三五条第三項)、これに違反して提示しなかつた者は五万円以下の過料に処せられる。また、取引主任者は取引の関係者から請求があつたときは、取引主任者証を提示する義務がある(法第二二条の四)。いずれの違反行為があつた場合にも「取引主任者として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき」に該当するとして、法第六八条第一項第三号の規定により事務禁止処分を行うこと。
なお、提示の方法としては、取引主任者証を胸に着用する等により、相手方又は関係者に明確に示されるよう指導を行うこと。

五 有効期間の更新について

取引主任者証の有効期間の更新は、更新を受けようとする者が現に有する取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証を交付して行うものとしているが、取引主任者証を講習実施団体に一括して交付する場合にあつては、引換え行為は講習実施団体が行うので、同団体に回収した旧取引主任者証を提出させるものとすること。
また、有効期間の更新に係る新たな取引主任者証の交付申請を行うべき期日については、特に規定が置かれていないが、取引主任者証をおおむね三年ごとに円滑に交付するため、その前提となる講習の実施の段階で受講対象者を有効期間の経過する日を基準として区分する等により適切な対応をすること。

六 登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付申請が行われる場合について

登録の移転とともに取引主任者証の交付申請が行われた場合においては、登録移転申請書と取引主任者証交付申請書を同時に提出することとなるが、その際、それぞれの申請書に証紙を貼付しなければならないことに留意すること。この場合には、取引主任者証交付申請書には移転後の登録番号及び登録年月日を記載することが不可能であるため、それを除いた事項を記載すれば足りるものであること(規則第一四条の一〇第三項)。なお、この場合の交付については、講習の受講は前提とならないこと(法第二二条の二第二項ただし書)及び移転前の取引主任者証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする取引主任者証を交付しなければならないとしている(法第二二条の二第五項)ことに留意すること。更に、従前の取引主任者証は効力を失う(法第二二条の二第四項)が、失効後の取引主任者証の悪用を防止する観点から、従前の取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証を交付するものとしている(規則第一四条の一四)ことに留意すること。

七 書換え交付及び再交付について

(1) 書換え交付

取引主任者はその氏名を変更したときは取引主任者証の書換え交付を申請しなければならないが、この場合には、同時に、登録を受けている事項の変更として変更登録の申請をしなければならないものであること(規則第一四条の一三、法第二〇条)。したがつて、資格登録簿には氏名の変更を記載するとともに「取引主任者証に関する事項」の「交付年月日」の欄に交付年月日とともに括弧書で書換え交付した旨の記載をすること。

(2) 再交付

取引主任者は、取引主任者証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損した場合、取引主任者証の再交付を申請することができるとされている(規則第一四条の一五)が、この制度の濫用を防止するため、再交付申請書の理由の欄には、具体的な理由を詳細に記載させるものとすること。また、汚損又は破損の場合には従前の取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証を交付するものとしているが、亡失又は滅失の場合には、申請書に記載された内容を基礎として判断する以外にないので、この場合には必要に応じて遺失物証明書等を添付させる等により制度の濫用の防止を図ること。

(3) 発行番号

いずれの場合にも、新たに発行する取引主任者証の発行番号は、新たな番号を用いることとし、資格登録簿の従前の取引主任者証の「発行番号」の欄に、従前の取引主任者証を回収した場合にあつては「回収」と、回収しなかつた場合にあつては「失効」と記載するものとすること。

八 取引主任者証の返納及び提出について

(1) 返納

取引主任者は登録が消除されたとき、及び取引主任者証が失効したときは、速やかに取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならないこととされている(法第二二条の二第六項)が、有効期間の更新の場合を含め取引主任者証が失効したとして返納されたときは、資格登録簿の「発行番号」の欄に「回収」と記載すること。
なお、登録の移転とともに取引主任者証を新たに発行した場合にあつては移転後の都道府県知事が従前の取引主任者証を回収することとなるが、回収した取引主任者証は移転後の都道府県知事において廃棄し、従前の登録をしていた都道府県知事あての登録の移転を完了した旨の通知書中に従前の取引主任者証は回収し、廃棄した旨記載することとして取り扱つて差し支えないこと。

(2) 提出

取引主任者は事務の禁止処分を受けたときは取引主任者証を提出しなければならないこととされている(法第二二条の二第七項)が、この提出があつたときは、資格登録簿の「事務禁止の処分」の欄にその旨を記載するとともに、提出された取引主任者証を安全かつ確実に保管・領置するものとすること。

九 不正行為に対する措置について

(1) 登録の消除処分

不正の手段により取引主任者証の交付を受けた取引主任者は登録の消除処分に該当し(法第六八条の二第一項第三号)、また、取引主任者証の交付を受けていないまま登録者が重要事項の説明等の取引主任者としてすべき事務を行い、情状が特に重いときは、登録の消除処分に該当する(法第六八条の二第二項第三号)ものであること。

(2) 罰則の適用

取引主任者証を偽造したときは公文書偽造罪(刑法第一五五条)に、虚偽の申立てにより取引主任者証に不実の記載をさせたときは、公正証書等不実記載罪(刑法第一五七条)に該当するので、これらの事実を摘発したときは、積極的に告発手続をとること。

一〇 経過措置について

(1) 経過措置の適用対象者

取引主任者証の交付の規定は昭和五六年四月一日に施行されるが、施行後取引主任者証を円滑かつ合理的に交付し終えるため、昭和五六年四月一日現在において法第一八条第一項の登録を受けている者について経過措置が設けられている。この経過措置の適用対象者には法第一九条の二の規定による登録の移転を行つた者も含まれるものであること。

(2) 経過措置の内容

経過措置の適用対象者は、昭和五六年四月一日から三年間は登録をしている都道府県知事が定める期間内に限つて取引主任者証の交付の申請を行いうることとされている(改正法附則第三項)が、この期間は一年ごとに区切るとともに、三年間の割り振りは登録番号順とすること。なお、この割り振りに応じて交付の前提となる講習を受講することとなるが、これについては第四の八によること。更に、この割り振りについては都道府県の公報その他諸般の手段を用いて周知を図ること。

(3) 経過措置の適用対象者が取引主任者証の交付を受けるまでの間における措置

経過措置の適用対象者に対しては昭和五六年四月一日以降三年間で取引主任者証を交付することとなるが、取引主任者の定義が取引主任者証の交付を受けている者と改められたことに伴い、経過措置の適用対象者が取引主任者証の交付を受けるまでの間においては、改正前の法第四八条第二項の使用者が発行する「取引主任者であることの証明書」を取引主任者証とみなして改正後の法の規定を適用することとされている(改正法附則第四項)。しかしながら、昭和五六年四月一日に従前の法第四八条第二項の規定は削除され、その日以降勤務先を変更した経過措置の適用対象者に対しては不都合な結果をもたらすこととなるので、四月一日以降においても使用者である宅地建物取引業者は経過措置の適用対象者に対し改正前の法第四八条第二項の例により「取引主任者であることの証明書」を交付することができることとしている(改正法附則第五項)。
この場合、使用者自身が事務所に置かれる専任の取引主任者であるときは、自らが「取引主任者であることの証明書」を発行することとなること。

(4) 施行日以後に登録をする者の取扱い

経過措置の適用対象者は施行日(昭和五六年四月一日)において法第一八条第一項の登録を受けている者であるから、施行日以後に登録を受ける者は取引主任証の交付を受けるまでの間は登録を完了していても取引主任者としての業務に従事できないこととなる。したがつて、このような者が講習を受講して取引主任者証の交付申請をすれば、直ちに取引主任者証の交付をしなければならないことに留意すること。この場合においては、事前に講習の受講対象者を適切に割り振る等により円滑な取引主任者証の交付を行いうるよう新規登録者及び講習実施団体を指導すること。

第六 営業保証金制度及び弁済業務保証金分担金制度の改正について

一 営業保証金及び弁済業務保証金分担金の額の改正について

宅地建物取引業者の納付すべき営業保証金又は弁済業務保証金分担金の額については、今回の法改正で政令で定めることとされ、政令では、営業保証金の額が主たる事務所につき三〇〇万円、その他の事務所につき事務所ごとに一五〇万円の合計額と、弁済業務保証金分担金の額が主たる事務所につき二〇万円、その他の事務所につき事務所ごとに一〇万円の合計額とされた(令第二条の三、第七条)。
これに伴う営業保証金の追加供託又は弁済業務保証金分担金の追加納付については、次によるものとすること。
(1) 営業保証金の追加供託について

イ 三月の猶予期間の認められない場合

営業保証金の額の改正規定は、昭和五五年一二月一日に施行されるが、今回の改正によつて追加供託すべき額は比較的大きいことにかんがみ、施行日現在において免許を受け、かつ、営業保証金の供託を了している者の追加供託については三月の猶予期間が認められているところである(宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体手数料令の一部を改正する政令(以下「改正政令」という。)附則第二項)。この猶予期間が認められるのは、「施行日現在において供託している営業保証金の額が改正後の令第二条の三に規定する営業保証金の額に不足することとなる」者についてであるから、一二月一日以降に免許を受ける者やその日以前に免許を受けても営業保証金の供託を全く行つていない者に対してはこの猶予措置は認められないことに留意すること。
したがつて、これらの者については、次により対応すること。
1) 昭和五五年一一月三〇日以前に新規免許の申請を行つた者に対しては、できる限り、その日までに免許をするか否かを決定するよう努めるとともに、直前の申請については、一二月一日以降の申請とするよう申請者を指導すること。
2) 昭和五五年一一月三〇日以前に免許を受けているが営業保証金の供託済届が未提出である者に対しては、一二月一日から三月を経過しても供託済届の提出がないときに、法第二五条第六項の規定による催告を行い、その到達の後一月以内になお届出をしないときは、同条第七項の規定により、公開の聴聞を行わないでも免許の取消処分を行いうること。また、この催告は書面により行うとともに、その内容としては、一月以内に供託を行わなければならない旨及びその間に供託をしなければ免許の取消処分を行う旨を記載すること。なお、この場合、配達証明郵便によることが望ましい。

ロ 三月の猶予期間の認められる場合

昭和五五年一二月一日現在において、法定の営業保証金を供託している者に対しては、改正政令附則第二項の規定により、追加供託について三月の猶予期間が認められているが、営業保証金制度の趣旨にかんがみ、できる限り早期に不足額を供託し、また供託済届出書を提出するよう免許をした宅地建物取引業者を指導すること。
施行日から三月以内に追加供託済届出書の提出を行わない者に対しては、速やかに追加供託済の届出をすべき旨の催告をしたうえ、なお一月以内に届出をしなければ、届出をするまでの間業務停止処分をすることとなるが、その業務停止期間中に免許の有効期間が経過する場合があるので、当該処分をするに当たつては、通知書に、免許の有効期間が経過する日においてなお届出がなされていない場合には、免許の更新申請が出されていても免許は失効し、以後は新規免許の申請によらなければ免許を取得することができない旨を明記すること。
なお、この業務停止処分に違反して宅地建物取引業を営んだ者に対しては、改正政令附則第六項の規定により公開の聴聞手続を経たうえ免許取消処分を行いうることとされているが、この場合罰則の適用はないことに留意すること。

(2) 弁済業務保証金分担金の追加納付について

昭和五五年一二月一日現在において宅地建物取引業保証協会(以下「保証協会」という。)の社員である者についても、営業保証金の場合と同様、三月の弁済業務保証金分担金の追加納付の猶予期間が認められている(改正政令附則第七項)が、この点に関し、保証協会に対して、別添通知のとおりの指導を行つたところである。
一二月一日から三月以内に弁済業務保証金分担金の追加納付を行わない社員は、改正政令附則第一〇項の規定により保証協会の社員である地位を失うこととなり、法第六四条の一五の規定により社員である地位を失つた日から一週間以内に営業保証金を供託しなければならない。これに違反して一週間以内に供託をしない場合には、公開の聴聞を経た上で業務停止処分を課することとなることに留意すること(法第六五条第二項第二号)。

二 営業保証金の供託をしない宅地建物取引業者に対する免許の取消処分について

営業保証金は免許を受けた後速やかに供託することが望ましいので、今回の法改正で、免許をした日から三月以内に営業保証金の供託済届を行わない者に対しては、一月の催告期間を置いた上免許の取消処分を行いうることとした(法第二五条第六項、第七項)が、この取消処分をするに際しては、公開の聴聞は必要とされないことに留意すること。また、営業保証金制度は消費者保護の見地から設けられていることにかんがみ、この取消処分を行つてもなお営業を続けているとみられる者については、積極的に告発手続をとること。

第七 広告の開始時期及び契約締結等の時期の制度に係る改正について

法第三三条及び第三六条においては、いわゆる青田売りの場合に「政令で定める許可等の処分」を経た後でなければ広告の開始及び契約の締結等を行つてはならないこととしているが、この点について、昭和五五年一〇月二五日に施行された沿道整備法施行令附則第九条で宅地建物取引業法施行令の一部改正が行われ、政令で定める許可等の処分として次のものが加えられたことに留意すること。
(1) 建築基準法第六八条の二第一項の規定に基づく条例の規定による処分

建築基準法第六八条の二第一項では、「市町村は、地区計画又は沿道整備計画の区域内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画又は沿道整備計画の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる」とされており、この条例で定める制限として行政庁の処分を規定することがありうるので、その場合にはその処分を経ることを要することとしたものであること。

(2) 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第五条第二項ただし書の規定による許可

特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第五条第二項ただし書の規定によれば、航空機騒音障害防止特別地区内においては、都道府県知事が公益上やむを得ないとき等と認めて許可した場合についてのみ学校、病院、住宅等の建築ができるとされているので、この場合についても都道府県知事の許可を経ることを要することとしたものであること。

第八 自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限について

法第三三条の二ただし書の規定の運用は次により行うものとすること。
一 第一号関係(宅地建物を取得しうることが明らかな場合の適用除外)

第一号では、宅地建物を取得できることが明らかな場合を売買契約締結の禁止の適用除外としているが、その運用に当たつては、次の点に留意すること。
(1) 宅地建物を取得する契約を締結しているとき

イ 売買契約の締結は、民法上は口頭でも可能であるが、宅地建物を取得する契約の存在は宅地建物取引業者が立証しなければならないものであるので、この点からは書面による契約が適当であること。
ロ 「契約の効力の発生が条件に係るもの」は適用除外とはしないこととしているが、ここに「条件」とは、いわゆる停止条件及び法定条件をいうものであること。なお、農地法第五条の都道府県知事の許可を条件とする売買契約も「効力の発生が条件に係る契約」に該当するものであること。

(2) 建設省令で定めるとき

(1)のほか建設省令で定めるときが適用除外とされているが、この建設省令では都市計画法第四〇条の適用が確実と認められるとき等を定めている。
イ 都市計画法関係

都市計画法第四〇条第一項では、従前の公共施設の用に供する土地は開発許可に係る工事完了公告の日の翌日において一律に開発許可を受けた者に帰属することとしているが、工事の進捗状況からみて工事完了公告がなされることが確実とみられる場合にも、従前の公共施設用地についてのみ自己の所有に属しない土地であるとして売買契約を禁止することは妥当でないので、この場合を適用除外としたものであること。
なお、法第四三条の所有権留保等の禁止の規定では、「宅地建物取引業者が売却した土地の代金の支払いについて債務保証をしたときは、買主に物件を引き渡すまでに登記の移転等の売主の義務を履行しなければならない」等とされているが、このうち、従前の公共施設用地についての登記の移転については、工事完了公告がなければなし得ないので、この場合においては、登記の移転は売主の義務からは除外されるものとして運用して差し支えないこと。

ロ 新住宅市街地開発法関係

イに準ずるものとすること。

ハ 土地区画整理法及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法関係

土地区画整理事業又は住宅街区整備事業が施行される場合、施行者は一般に保留地を売却して事業費に充当するが、この保留地の予定地について施行者は管理権に基づき宅地建物取引業者その他の者に売却するのが通例である。この場合、宅地建物取引業者はその時点で所有権を取得することはできないが、換地処分の公告の日の翌日以降それを取得することが確実とみられるので、そのような場合について定型的に売買契約締結の禁止の適用除外としたものであること。

二 第二号関係

いわゆる青田売りの場合、完成物件の所有権は売買の時点では存在していないため、自己の所有に属しない物件の売買に該当し、売買契約の締結の禁止の対象になるので、この場合においては、法第四一条の前金の保全措置がある場合について適用除外としたものであること。

第九 重要事項の説明について

一 重要事項説明書について

従前は書面を交付して取引主任者が説明しなければならない事項は法第三五条第一項第一号から第五号までに掲げる事項とされ、第六号から第一一号までは通達で書面に記載して説明するよう指導するものとされていたが、今回の法改正で第一号から第一一号までのすべての事項について取引主任者が書面を交付して説明することを義務付けられた。この書面(以下「重要事項説明書」という。)については昭和四六年一二月一四日付け建設省計宅政発第一八三号建設省計画局長通達及び昭和四七年一二月二三日付け建設省計宅業発第三五号建設省計画局不動産業室長通達によりその標準的な様式を示したところであるが、法の改正に対応して新たに別記様式五(区分所有建物の場合は別記様式六)のとおり様式を作成したのでこれを参考として指導をすること。なお、法第三五条第一項第五号に掲げる事項について図面を交付したときは、その図面に記載されている事項はあらためて重要事項説明書に記載することを要しないものであること。

二 沿道整備法施行令附則第九条による重要事項の追加について

昭和五五年一〇月二五日施行の沿道整備法施行令の附則第九条で宅地建物取引業法施行令の一部改正が行われ、重要事項として説明すべき事項の第二号の「法令に基づく制限」に次の事項が追加されたことに留意すること。
(1) 建築基準法第六八条の二第一項

建築基準法第六八条の二第一項では、「市町村は、地区計画又は沿道整備計画の区域内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画又は沿道整備計画の内容として定められたものを、条例でこれらに関する制限として定めることができる」とされており、この条例で定める制限を重要事項として説明すべき対象に加えたものであること。

(2) 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第五条第一項及び第二項

特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法第五条第一項では、「航空機騒音障害防止地区内において学校、病院、住宅等の建築をしようとする場合においては、これらの建築物は防音上有効な構造としなければならない」とされるとともに、同条第二項では、「航空機騒音障害防止特別地区内においては原則としてこれらの建築物の建築をしてはならない」とされている。また、同条第五項では「建築物の用途を変更してこれらの建築物のいずれかとしようとする場合も同様である」とされている。このような制限について重要事項として説明をすべき対象としたものであること。

(3) 幹線道路の沿道の整備に関する法律第一〇条第一項及び第二項

幹線道路の沿道の整備に関する法律第一〇条第一項では、「沿道整備計画の区域内において土地の区画形質の変更、建築物の新築、改築等の行為を行おうとする者は、一定の事項を市町村長に届け出なければならない」とされ、同条第二項では「届出に係る事項のうち特定の事項を変更しようとするときも市町村長に届け出なければならない」とされている。このような届出義務についても重要事項として説明すべき対象としたものであること。

三 区分所有建物に係る重要事項の追加について

「建物又はその敷地及びこれらの管理又は使用に関する事項」として説明をしなければならないものは、規則第一六条の二に列挙されているが、その運用に当たつては、次の点に留意すること。
(1) 各号関係

イ 第一号関係

1) 「敷地」に関しては、総面積として実測面積、登記簿上の面積、建築確認の対象とされた面積を記載すること。なお、やむを得ない理由により、これらのうちいずれかが判明しない場合にあつては、その旨を記載すれば足りること。また、中古物件の代理、媒介の場合にあつては、実測面積、建築確認の対象とされた面積が特に判明している場合のほかは、登記簿面積を記載することをもつて足りることとすること。
2) 「権利の種類」としては、所有権、地上権、賃借権等に区別して記載すること。
3) 「権利の内容」としては、所有権の場合は対象面積を記載することをもつて足りるものとするが、地上権、賃借権等の場合は対象面積及びその存続期間もあわせて記載すること。なお、地代、賃借料等についても記載することを要するものとするが、これについては区分所有者の負担する額を記載すること。

ロ 第二号関係

1) 「共用部分に関する規約の定め」には、いわゆる規約共用部分に関する規約の定めのほか、いわゆる法定共用部分であつても規約で確認的に共用部分とする旨の定めがあるときにはその定めを含むものであること。
2) 括弧書で「その案を含む」としたのは、新規分譲等の場合には、買主に提示されるものが規約の案であることを考慮したものであること。
3) 共用部分に関する規約が長文にわたる場合においては、その要点を記載すれば足りるものであること。

ハ 第三号関係

1) 本号は、いわゆる専用使用権の設定がなされているものに関するものであること。
2) 専用使用権は、通常、駐車場、専用庭、バルコニー等に設定されるものであるが、このうち駐車場については特に紛争が多発していることにかんがみ、その「内容」としては、専用使用をなしうる者の範囲、専用使用料の有無、専用使用料を徴収している場合にあつてはその帰属先等を記載すること。専用庭等については、その項目を記載するとともに専用使用料を徴収している場合にあつてはその旨及びその帰属先を記載すること。

ニ 第四号関係

1) 本号は、いわゆる大規模修繕積立金、計画修繕積立金等の定めに関するものであり、一般の管理費でまかなわれる通常の維持修繕はその対象とはされないこと。
2) 「計画的な維持修繕」とは、相当な期間をおいて行う維持修繕をいうが、通常はおおむね二年ないし三年程度であること。
3) 「内容」としては、制度の大要を記載すれば足りるものであること。
4) 「すでに積み立てられている額」があるのは、中古物件の売買等の代理又は媒介を行う場合に限られると考えられるが、計画修繕積立金については、現在、制度の定着が十分でないので、この「積立て額」は、会計を明確に区分して管理会社等が管理している場合に説明すれば足りるものであること。なお、この積立て額は時間の経過とともに変動するので、できる限り直近の数値(直前の決算期における額等)を時点を明示して記載すること。

ホ 第五号関係

1) 「通常の管理費用」とは、共用部分に係る共益費等に充当するため区分所有者が月々負担する経常的経費をいい、前号の大規模修繕積立金、計画修繕積立金等に充当される経費は含まれないものであること。
2) この「管理費用の額」も人件費、諸物価等の変動に伴い変動するものと考えられるので、できる限り直近の数値を時点を明示して記載すること。

ヘ 第六号関係

本号はマンシヨン等の区分所有建物において、その経済価値を適正に維持し、円滑な居住関係を確保していくためには、日常の管理行為をいかなる者が遂行していくかが重要となるため特に規定を置いたものであること。
したがつて、管理の委託先のほか、管理委託契約の主たる内容もあわせて説明するのが望ましい。

(2) 区分所有建物の重要事項説明書

マンシヨン等の区分所有建物の重要事項説明書の標準的様式は別記様式六のとおりであるので、これを参考として指導すること。

(3) 中古物件の売買等の代理又は媒介の際の調査義務について

第一号から第六号までに記載する内容についてはこれを逐一調査し説明を行う義務があるものであるが、特に中古マンシヨン等の売買等の代理又は媒介を行う場合にあつては規約等の存否を調査することが困難である場合がある。したがつて、このような場合にも重要事項としてこれらの事項を調査義務の範囲とすることは妥当ではないと考えられるので、第二号から第四号までについては代理又は媒介を行う宅地建物取引業者において通常行うべきであるとみられる調査を行つてもなお不明である場合においては、当分の間調査義務の範囲からはずれるものとして処理すること。

(4) 規約等の内容の記載並びにその説明について

マンシヨン等の規約その他の定めは、相当な量に達するのが通例であるため重要事項としては共用部分に関する規約の定め、専用使用権に関する規約等の定め及び計画修繕積立金等に関する規約等の定めに限つて説明義務を課すこととし、重要事項説明書にはその要点を記載すれば足りることとしているが、この場合、規約等の記載にかえて規約等を別添することとしても差し支えないものであること。なお、規約等を別添する場合には、第二号から第四号までに該当する規約等の定めの該当箇所を明示する等により相手方に理解がなされるよう配慮するものとすること。

(5) 数むねの建物の共有に属する土地について

一むねの建物が一団地内に所在し、その団地内の土地又はこれに関する権利が当該一むねの建物を含む数むねの建物の所有者の共有に属する場合にあつては、その共有に属する土地等についても区分所有者が共有持分を有するものであるので、必要に応じ共有の対象とされている土地の範囲及び当該建物の区分所有者が有する共有持分の割合若しくはその共有土地の使途等についても重要事項説明書に記載し、適宜、その内容を説明するものとすること。

(6) 貸借の代理又は媒介の場合の運用について

重要事項の説明は宅地建物取引業者が貸借の代理又は媒介を行う場合にも義務付けられているものであるが、マンシヨン等の区分所有建物の貸借の代理又は媒介の場合にあつては特に必要がある場合を除き第一号から第四号までについては書面の記載及び説明を省略するものとして取り扱つて差し支えないこと。なお、通常の管理費用の額は賃料等に転嫁されるのが通例であり、また、管理を行う者については賃借人等も重要な利害関係を有する者であるため、第五号及び第六号については書面に記載したうえ必ず説明させるよう指導すること。

第一〇 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等について

一 申込みの撤回等ができる場合について

法第三七条の二は、いわゆるクーリング・オフ制度といわれるものであるが、この制度の適用があるのは、「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約」であり、宅地建物取引業者が売買の代理又は媒介をする場合については、利益動機等からみてこの制度の対象とはされていないことに留意すること。また、この制度は一般購入者の保護を目的としたものであるので、宅地建物取引業者相互間の取引については適用がないことに留意すること(法第七八条第二項)。

二 適用除外となる事務所等について

(1) 事務所

宅地建物取引業者の事務所には契約締結権限を有する者及び専任の取引主任者が置かれ、またその施設も継続的に業務を行うことができるものとされているため、そこにおける取引は定型的に状況が安定的であるとみることができ、この制度の適用の対象から除外されているものであること。

(2) 建設省令で定める場所

事務所のほか、建設省令で定める場所についてもこの制度の適用の対象から除外されているが、これは、この制度が不安定な契約意思での取引について白紙還元の余地を認めたものであることから、購入者の購入意思が安定していると定型的に判断できる場合には適用を除外し、取引の安定を確保することとしたものであること。「建設省令」としては規則第一六条の五を置いているが、その運用に当たつては次の点に留意すること。
イ 第一号関係

「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの」とは、事務所としての物的施設を有してはいるが、契約締結権限を有する者が置かれていないものをいうものであること。なお、ここに「継続的に」とあるのは、一定期間に限つて宅地建物の分譲を行うような場合とは異なり、宅地建物取引業者の通常の業務を将来にわたつて永続的に行うことを予定しているような場合を指すものであること。

ロ 第二号関係

「案内所」とは、いわゆる駅前案内所、申込受付場所等をも含むものであり、継続的に業務を行うことを予定しているものではないが、一定期間にわたつて宅地建物の取引に係る業務を行うことが予定されているような施設を指すものであること。なお、本号及び第五号はクーリング・オフ制度の適用が除外される案内所を「土地に定着する建物内に設けられるもの」に限定しているが、これは、別荘地等の販売において、テント張り、仮設小屋等の一時的かつ移動容易な施設を設けて好ましくない販売行為が行われていることにかんがみ、特に設けた限定であること。しかしながら、マンシヨン分譲の場合のモデルルームあるいは、戸建分譲の場合のモデルハウス等における販売活動は、通常適正に行われる業活動であると考えられるので、ここにいう案内所として解して差し支えないこと。

ハ 第三号関係

宅地建物の取引に当たり、顧客が自ら希望して自己の居宅又は勤務先を契約締結等の場所として申し出た場合においては、その顧客の購入意思は安定的であるとみられるので、この場合は制度の適用から除外することとしたものであること。なお、現実に紛争が発生した場合においては、相手方が申し出たか否かについて立証が困難な場合もあると予想されるので、この制度の適用除外とするためには、契約書あるいは申込書等に顧客が自宅又は勤務先を契約締結等の場所として特に希望した旨を記載させることとして運用するのが望ましい。

ニ 第四号及び第五号関係

宅地建物取引業者が自己の物件を販売する場合において、他の宅地建物取引業者にその代理又は媒介を依頼するようなときにおいては、他の宅地建物取引業者の事務所あるいはそれに準ずる場所における顧客の契約意思も安定的であると認められるので、このような場所における取引行為も制度の適用除外としたものであること。

ホ その他

住宅金融公庫融資付物件の販売等のように一時に多数の顧客が対象となるような場合において特定の場所で申込みの受付け等の業務を行うことが予定されているようなときは、その特定の場所については、法第三七条の二の運用に限り事務所に含めて取り扱つて差し支えないこと。

三 申込みの撤回等ができなくなる場合について

申込みの撤回等ができなくなる場合として、五日間の期間を経過したとき及び契約の履行関係が終了したときを定めているが、その運用に当たつては次の点に留意すること。
(1) 五日間の起算点について

申込みの撤回等を行うことができる旨を告げられた場合においてその告げられた日から五日を経過したときは自由な撤回等ができなくなるとされているが、この五日間の計算に当たつてはその告げられた日を算入するものであること。

(2) 撤回等の制限の意味

告げられた日から五日間を経過したときにはこの制度の適用がないこととされているが、これは五日間を経過した場合にはもはや申込みの撤回や締結された契約の解除ができなくなるという意味ではなく、その場合には、民法の原則に基づく申込みの撤回又は契約の解除によることとなるものであること。

四 申込みの撤回等の方式

申込みをした者又は買主は撤回等の意思表示を書面をもつてしなければならないこととされているが、これは、後日の紛争を避け、撤回等の意思表示がなされたことを明確に証拠付けるためであること。したがつて、この書面に証拠力を持たせるためには配達証明付内容証明郵便が適当であるので、その旨周知させるよう努めること。また、この書面による意思表示については、購入者等の保護の観点から発信主義がとられていることに留意すること。

第一一 標識の掲示等について

一 建設省令で定める業務を行う場所について

今回の規則の改正で法第五〇条の標識の掲示並びに行政庁への届出の対象となる場所として「一〇区画以上の宅地又は一〇戸以上の建物の分譲」の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合におけるその案内所についても新たに追加することとした。これは、販売代理等のように分譲業者から一括して物件の販売を引き受ける場合があるので、この場合における代理又は媒介をする宅地建物取引業者の現地の案内所等も標識の掲示又は届出の対象としたものであること。

二 事務所に掲げるべき標識の様式の変更について

今回の法改正で宅地建物取引業者の事務所に掲げるべき標識にその事務所に置かれている専任の取引主任者の氏名を明記しなければならないこととしたが、これは、取引主任者の名義貸しを防止するためのものであること。

三 届出の対象である業務内容について

従来届出書に記載すべき「業務内容」は、各都道府県において区々であつたため混乱が生ずる例があつた。この点にかんがみ、届出書の「業務内容」の欄の様式を別記様式七のようにするのが妥当と思われるので、これを基本にして届出を行う者を指導すること。

第一二 その他

一 聴聞の公示後相当の理由なく廃業等の届出又は登録の消除の申請を行つた者に対する五年間の免許取得又は登録の禁止の規定の運用について

今回の改正では、情状の特に重い不正不当行為等に該当するとして免許の取消処分の聴聞の公示がなされた日以降処分の決定までの間に相当の理由なく廃業等の届出をした者については、五年間免許を取得することができないとしている。また、登録についても類似の規定が置かれている。これらに関する運用は次により行うものとすること。
(1) 免許関係

法第六六条第八号又は第九号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所の公示がされた日から処分をするかしないかを決定する日までの間に、相当の理由なく、合併、解散、廃業の届出が行われた場合には、直ちに、次の事項を記載した書面を建設省あて送付すること。
イ その事実に該当する者の商号又は名称並びに免許証番号
ロ 代表者の氏名、住所、本籍及び性別並びにその者が法第一八条第一項の登録を受けている場合にあつては、登録番号
ハ 聴聞の期日及び場所の公示がされた日
ニ 届出のあつた日及び届出の内容
ホ 法人にあつては、聴聞の公示の日前六〇日以内に役員であつた者の氏名、住所、本籍及び性別並びにその役員であつた者が法第一八条第一項の登録を受けている場合にあつては、登録番号
ヘ 事案の概要

(2) 登録関係

法第六八条の二第一項第二号から第四号まで又は同条第二項第二号若しくは第三号のいずれかに該当するとして登録の消除の処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかしないかを決定する日までの間に、相当の理由なく、登録の消除の申請がなされた場合には、直ちに、その旨及び消除のなされた日をその消除がなされた者に係る試験合格者名簿に記載すること。また、消除がなされた者が登録の移転をした者である場合にあつては、直ちに、次の事項を記載した書面を試験を行つた都道府県知事あて送付すること。
イ 消除をした者の氏名、住所、本籍及び性別並びに登録番号
ロ 聴聞の期日及び場所の公示がされた日
ハ 消除がなされた日
ニ 事案の概要

(3) 相当の理由の有無の立証

(1)又は(2)のいずれの場合も、「相当の理由」の立証は廃業等の届出を行つた者又は登録の消除の申請をした者がしなければならないものであること。

二 従来の書式等の活用について

今回の改正により各種書類等の様式の変更が行われたが、これを一時に新様式によるとすることは、無理があると考えられるので法施行後約六月程度の間は、従来の書類等に改正後の新様式で追加された事項を別記する等により、従来の書式を活用する方向で処理することとして差し支えないこと。特に、事務所に掲げるべき標識については、専任の取引主任者の氏名を別掲することとして差し支えないこと。


様式〔略〕


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport