国土利用計画法(以下「法」という。)の施行については、国土事務次官通達(昭和四九年一二月二四日付け49国土利第六〇号)及び土地局長通達(昭和四九年一二月二四日付け49国土利第六一号)をもってその基本的な留意事項を通知したところであるが、貴職におかれては、左記事項に留意のうえ、法の施行に遺憾のないようにされるとともに、速やかに関係事項を関係市町村に周知方取り計らわれ法の運用に万全を期されたい。
第一 許可又は届出を要する範囲等について
法第一四条第一項、第二三条第一項又は第二七条の四第一項(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の規定による許可又は届出については、下記により処理するものとすること。
一 土地売買等の契約の範囲について
(1) 法第一四条第一項、第二三条第一項又は第二七条の四第一項(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の規定により許可又は届出を必要とする土地売買等の契約は、次の(イ)から(ハ)までのすべての要件を満たすものであること。
(イ) 土地に関する所有権、地上権若しくは賃借権又はこれらの権利の取得を目的とする権利の移転又は設定であること。この場合において「これらの権利の取得を目的とする権利」とは、土地に関する所有権、地上権又は賃借権の移転又は設定を要求しうべき民法上の予約完結権、買戻権等を意味するものであること。
(ロ) 上記(イ)の権利の移転又は設定が対価の授受を伴うものであること。この場合における対価は、必ずしも金銭に限らず、一般的に金銭に換算しうる経済的価値を広く包括するものであること。
(ハ) 上記(イ)の権利の移転又は設定が契約により行われるものであること。
(2) 土地売買等の契約に該当しないもののうち、その主たるものは、おおむね、次のとおりである。
(イ) 地役権、永小作権、使用貸借権、抵当権、不動産質権等上記(1)の(イ)の土地に関する権利に含まれない権利の移転又は設定
(ロ) 贈与(負担付贈与を含む。)、財産分与、信託の引受及びその終了、遺産の分割等対価の授受を伴わないもの
(ハ) 相続、法人の合併等の包括承継である場合、土地収用、時効等の原始取得である場合、土地区画整理法の換地処分、都市再開発法の権利変換、土地改良法の換地処分及び交換分合である場合、予約完結権、買戻権、解除権の行使等いわゆる形成権の行使である場合等
なお、権利の移転の態様等に応じて土地売買等の契約に該当するか否かを例示すると、おおむね、別紙一のとおりである。
(3) 土地売買等の契約の範囲の判断については、上記(1)によるほか、その具体的な判断に当たっては、下記の事項に留意すること。
(イ) いわゆる区分地上権(民法第二六九条の二)として地下又は空中の使用のみを目的とする地上権又はこれと同種の賃借権及び電気事業者が送電線を設置する場合等地下及び空中の使用を目的として設定される土地の使用権等の債権は、土地に関する権利に含まれないものであること。
(ロ) 森林法第五〇条の規定により設定される使用権は、公法上の使用権であり、土地に関する権利に含まれないものであること。
(ハ) 工場財団等の財団の移転は、財団そのものが移転されるものであり、土地に関する権利の移転に該当しないものであること。
(ニ) いわゆる営業譲渡については、その譲渡の対象となるのは個々の財産権であり、土地が含まれている限りは、その土地に係る譲渡は土地売買等の契約に該当するものであること。
(ホ) いわゆる霊園又は公園墓地の分譲については、その分譲に係る権利の性格等は必ずしも明確ではないが、その使用が永代にわたるものであること等墓地の性格等からみて通常の賃借権ではなく、社会通念上いわゆる永代使用権として、一種の慣習的な権利と考えられており、当事者における契約の形式等の如何を問わず、土地に関する権利に含まれないものとして処理して差し支えないものであること。なお、いわゆる寺院墓地等旧来の墓地使用権についても、同様と解すべきものであること。
(ヘ) 農地法第五条及び第七三条の許可を停止条件とする農地等の所有権移転請求権の譲渡は、上記(1)の(イ)の「権利の取得を目的とする権利」の移転として土地売買等の契約に該当するものであること。
(ト) 土地に関する地上権又は賃借権の移転又は設定における上記(1)の(ロ)の「対価」とは、その移転又は設定に際して支払われる権利金その他の一時金相当をいうものであり、年々又は月々の地代、賃料等はこれに該当しないものであること。したがって、地上権等に係る契約のうち、新たな権利の設定等を伴わない契約の更新又はその延長はもとより、権利金その他の一時金相当額の支払を伴わないもの、又は単に地代又は賃料等の一括払いがなされるに過ぎないものにあっては、「対価」の授受を伴わないものとして、土地売買等の契約に該当しないものであること。
(チ) 上記(ト)により、分収林特別措置法にいう分収造林契約又はこれに相当する植林等のための地上権設定契約等については、対価の授受を伴わないものとして土地売買等の契約に該当しないものであること。また、工事、砂利採取等に供するために行われる使用権等の設定は、通常、土地売買等の契約に該当しない場合が多いと考えられるが、その実態に即して適宜判断するものとすること。
(リ) いわゆる契約の合意解除については、一般的には、解除の際における金銭等の授受は対価性がないものと解すべきであり、土地売買等の契約に該当しないものであること。なお、予約の締結後に本契約が締結されるまでの間にその予約が解除される場合においても同様であること。
(ヌ) 森林組合法第九条第三項の出資組合又は同法第九三条第一項の生産森林組合に現物出資をする場合等協同組合に対する現物出資は、対価性が認められないものと解されること。
(ル) 農地法第七五条の八第一項の裁定により土地に関する権利を買い取る場合及び入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律第三条の入会林野整備計画又は同法第一九条の旧慣使用林野整備計画を定める場合は、契約の締結行為の存在が認められないものであること。
(ヲ) 都市計画法第五二条の三第三項(第五七条の四により準用する場合を含む。)、第五二条の四第一項(第五七条の五により準用する場合を含む。)、第五七条第三項、第六七条第二項及び第六八条第一項の規定による土地に関する権利の移転は、形成権の行使によるものであり、土地売買等の契約に該当しないものであること。
(ワ) 土地改良法第九四条の二の規定により付替工事によって生じた道路又は水路を構成する土地と付替工事によって用途を廃止した道路又は水路を構成する土地とを交換する場合、道路法第九二条第四項の規定により不用物件を交換する場合、土地改良法第九四条の四の二第二項の規定により同項に規定する者に対し、基幹的な土地改良施設を構成する土地の共有持分を与える場合等は、土地売買等の契約に該当しないものと解して差し支えないものであること。
(カ) いわゆる覆面買いについては、依頼主と土地所有者等の間において直接売買契約が締結され、依頼を受けた者は単にあっせん等を行うに過ぎない形態によるものである場合には、依頼主と土地所有者等を直接の当事者とする土地売買等の契約であることは当然であり、また、依頼主とその依頼を受けた者との間において、特定の土地を依頼を受けた者の名においてまず取得し、それを一定の条件のもとに依頼主に引き渡すことを約定する形態によるものである場合には、それぞれ依頼主とその依頼を受けた者及び依頼を受けた者と土地所有者等との間における契約の双方について許可又は届出を要するものであること。
この後段の場合において、法第一四条、第二三条及び第二七条の四(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用をうける土地とは、審査可能な程度に特定した土地をいうものであるので、依頼を受けた者がその名において取得することとなる土地があらためて契約を締結することなく民事法上当然に依頼主に移転することを契約するときには、その土地が特定された際に依頼を受けた者の当該土地の取得に関する契約と依頼主に当該土地を譲渡する契約とについて、許可又は届出を要するものであること。
(ヨ) 積立式宅地建物販売業者等とその相手方との間の積立式宅地建物販売契約等については、当該契約に係る積立金等によって購入されることとなる宅地等が特定されていない場合においては、許可又は届出を要しないものであること。
ただし、当該業者がその相手方に分譲等を行うとき等土地が特定した段階において行われる当該分譲契約等は当然許可又は届出を要するものであること。
(4) 許可又は届出に係る土地について測量誤差等により微少な面積の変更を生じた場合においては、土地売買等の契約の同一性が損われないと認められる限り、再度の許可申請又は届出を要せず、事後報告で足りるものであること。
二 予約の解釈等について
(1) 土地売買等の契約の締結について許可の申請又は届出を行うべき時点は、当事者間において予約を含む契約が締結される以前の段階とされており、法の適用に当たっては、下記によるものとすること。
(イ) 法にいわゆる予約とは、当事者を法的に拘束する債権・債務関係がすでに生じている状態をいい、行為の実態に即して判断すべきものであること。
(ロ) 許可の申請又は届出を行うに先立ち、許可又は勧告がなされないことを停止条件とし、若しくは不許可又は中止勧告がなされることを解除条件とする契約(予約を含む。)を締結することは、法第一四条第一項又は第二七条の四第一項(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)に違反するものと解すべきものであること。
(ハ) いわゆる手附金については、その性格は多様であるが、少なくとも契約が成立したことを前提として交付されるものであるため、手附金又は実質的にこれと同様の性格を有する金銭等の授受が行われた場合には、当事者間における形式的な文書の有無等の如何を問わず、すでに契約がなされたものとして処理すべきものであること。
(ニ) いわゆる売渡承諾書等については、必ずしも一律にその性格等を断定すべきものではないが、一般的には当事者を法的に拘束するものではなくいわば念書的性格を有するに過ぎないものと解されるため、手附金の授受等を伴うものでない限り、契約(又は予約)に該当しないものとして取り扱って差し支えないものであること。
(ホ) 宅地分譲等に際して通常行われているいわゆる申込証拠金については、その実態は様々であるが、契約の締結に至らなかった場合にはその全額を返済することが受領書に明記されている等の方法により明らかにされているものについては、契約(又は予約)に該当しないものとして取り扱って差し支えないものであること。
三 許可制及び届出制の適用除外について
許可制及び届出制の適用除外については、許可制にあっては、法第一四条第二項及び令第六条において、事後届出制にあっては、法第二三条第二項第三号及び令第一七条において、注視区域における事前届出制にあっては、法第二七条の四第二項第二号及び令第一七条の二において、監視区域における事前届出制にあっては、第二七条の七第一項において準用する第二七条の四第二項第二号及び令第一八条の二において定められているが、その運用に当たっては、下記の点に留意すること。なお、令第一七条の二第三号から第五号までの運用については、記第四によるものとすること。
(1) 令第六条第一一号の非常災害に際し必要な応急措置には、緊急急傾斜地崩壊対策事業、緊急砂防事業、災害復旧事業で特に緊急を要するもの、宅地造成等規制法第一六条の規定に基づき命じられた行為で特に緊急を要するもの、その他これらに類する災害防止のため必要な応急工事が含まれるものであること。
(2) 令第一七条第三号中、都市計画法その他の法律の規定により事業認定の告示とみなされるものには、都市計画法第六二条第一項及び公共用地の取得に関する特別措置法第一〇条の告示、鉱業法第一〇六条第五項及び採石法第三六条第五項の公告の場合が含まれるものであること。
第二 届出に係る事務処理について
法第二三条第一項又は第二七条の四第一項(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出については、下記により処理するものとすること。
一 届出書の記載事項、記載要領及び提出部数等について
(1) 届出書の記載については、許可申請書の記載事項と同じく規則第四条(第一九条の二において準用する場合を含む。)に掲げる事項(事後届出の場合においては、予定対価とあるのは「対価」と読み替えるものとする。)を記載すべきものであり、その記載要領は、規則別記様式第三又は別記様式第三の二の備考欄に記載されているところによるほか、別紙二「土地売買等届出書記載要領」によるものとすること。
(2) 届出書は、規則第二〇条第一項又は第二〇条の三第一項の規定により、正本、副本を提出するものとされているが、副本の提出部数については、事前届出制にあっては原則として三部とすることが適当であること。なお、事務処理上の観点から副本について追加部数の提出を求める場合にあっては、複写式の申請用紙を準備する等届出者に過重の負担を課することとならないよう、とくに配慮すること。
(3) 第二三条第一項第五号に規定する「土地の利用目的」は、当該契約に係る土地の利用について、用途、規模等をもって判断するものであるが、この場合の用途は建築基準法に規定する用途別表に記載されている程度の詳細性を求めるものではないこと。
二 添附図書について
規則第二〇条又は第二〇条の三に定める添附図書については、届出書の正本及び副本一部につきそれぞれ一部添附すべきものであるが、その取り扱いについては、下記によるものとすること。
(1) 規則第二〇条第二項又は第二〇条の三第二項の規定により添附すべき規則第五条第二項第二号から第五号までに掲げる図書については、それぞれ、下記によるものとして処理すること。
(イ) 第二号の「土地の位置を明らかにした縮尺五〇、〇〇〇分の一以上の地形図」とは、原則として国土地理院発行の縮尺五〇、〇〇〇分の一の地形図に届出に係る土地及びそれと併せて同一の利用目的に供される土地の全体の位置を示したものであること。
(ロ) 第三号の「土地及びその付近の状況を明らかにした縮尺五、〇〇〇分の一以上の図面」とは、国土地理院発行の縮尺二、五〇〇分の一の国土基本図又は国土基本図が存しない場合にはこれに代りうる適宜の図面に、届出に係る土地及びそれと併せて同一の利用目的に供される全体の土地とその付近の土地利用等の状況を示したものであること。
(ハ) 第四号の「土地の形状を明らかにした図面」とは、届出に係る土地が三角地であるか不整形地であるか等の土地の形状を明らかにする見取図を適宜の方法により作成したもので足りること。
(ニ) 第五号の「土地の面積の実測の方法を示した図書」とは、届出に係る土地について実測が行われている場合において、実測求積図等その実測の根拠を適宜の方法により明らかにした書面で足りること。
(2) 規則第二〇条第二項の規定により添付すべき「当該事後届出に係る土地売買等の契約の契約書の写し又はこれに代わるその他の書類」は、予約契約の場合であっても必要であること。
(3) 監視区域に所在する土地についての土地に関する権利の移転の届出の場合に添付すべき「当該届出に係る事項が法第二七条の八第一項第二号に該当するかどうかを明らかにすることができる書類」については下記によるものとして処理すること。
(イ) 届出に係る事項が同号イからヘまでのいずれかに該当しない場合には同号に該当しないこととされていることから、同号イからヘまでのいずれかに該当しないことを明らかにすることができる書類(例えば同号ロに該当しないことを明らかにすることができる土地登記簿の謄本)は、同号に該当しないことを明らかにすることができる書類として取り扱うこと。
(ロ) 届出に係る事項が同号イからヘまでのいずれかに該当しないことを明らかにすることができる書類を例示すると、おおむね別紙一の二のとおりである。
なお、これらの書類のみによってはなお届出に係る事項が同号に該当しないことを明らかにすることができない場合にあっては、さらに必要となる書類の提出を求めることは差し支えないが、届出者に過重な負担を課することとならないよう、とくに配慮すること。
(ハ) 当事者に対しては、適宜添付すべき書類について指導を行うことが適当であること。その際、当事者にとって証明のより容易な要件(例えば同号ロに係る書類)を添付するよう指導すること。
(4) 規則第二〇条第二項又は規則第二〇条の三第二項に定めるもののほか、必要に応じ、所要の図書等の提出を求めることは差し支えないが、届出者に過重な負担を課することとならないよう、とくに配慮すること。
(5) 規則第二〇条第二項又は規則第二〇条の三第二項に定めるところにより添附すべき図書の取り扱いについては、事前指導を了したもの又は一団の土地に関して届出がなされているもの等でその内容等をすでに了知している場合、令第一四条の法人に準ずる公共的な法人の行う事業に係るものである場合又は農地保有合理化法人の行う事業等土地の利用目的に関し特段の問題を有しないと認められる場合等については、必ずしも、個々の届出のすべてについて規則所定の添附図書の提出を求める必要がない場合も考えられるので、個々の事案に応じて、適宜弾力的な運用を図ること。
三 届出書が提出されたときは、おおむね下記の要領により処理するものとし、さらに、その処理方法等を明確にすること。
(1) 市町村長は、届出書が提出されたときは、受付簿に所要の事項を記載するとともに、遅滞なく、別紙二の記載要領に従いその記載事項等について審査し、これを受理すべきものと認めたときは、直ちに、その副本及び添附図書を都道府県知事に送付するものとすること。なお、この場合における審査は記載事項等についての形式的な審査にとどめ、市町村の受付窓口で補正可能な軽微な事項等についてはその場で補正を求める等の措置を講ずるものとすること。
(2) 受理すべき届出書とは、法令に定められた様式に従い必要な事項がすべて記載されており、法令上添附すべき図書がすべて添附されているものをいうものであり、受理すべき適法な届出書が提出された場合には、受理日は市町村長が当該届出書を受付けた日であること、したがって、当該届出書を受付けた日と市町村長が受理のための審査を了し当該届出書を受理すべきものと認めた日又は受理書を発行した日とが異なる場合においても受理日は当該受付け日であること。
(3) 事後届出の場合においては、届出期限が契約締結後二週間以内と限定されていることから、届出書に重大な支障がない限り受理するものとし、受理後適宜補正を求めることにより対応すること。
(4) 市町村長は、届出書の正本及び添附図書により、事後届出にあっては、その届出に係る土地の利用目的、注視区域に係る届出にあっては、その届出に係る価額、土地の利用目的及び監視区域に所在する土地についての土地に関する権利の移転の届出にあっては、その届出に係る事項が法第二七条の四第一項第二号に該当するかどうかについて検討し、届出の受理後二週間以内(事後届出にあっては、一〇日以内)に所要の意見を届出書の正本に添えて都道府県知事に送付するものとすること。なお、この場合における意見書の記載方法等については、別紙三を参考のうえ、できる限り市町村長の意見が反映されるものとなるよう適宜その取り扱い要領等を明確にすること。
市町村長は、事前届出に係る届出書を受理したときは、その事案が公有地の拡大の推進に関する法律第四条第三項の規定により同条第一項の規定による届出とみなされる場合に該当するか否かを審査し、同法による手続等と所要の調整を図るものとすること。
(5) 市町村長は、届出書(事後届出に係るものを含む。)を受理したときは、その事案が農地法第五条第一項又は第七三条第一項の許可を要する土地を含むものである場合には、届出書の写を農業委員会に送付するとともに、農業委員会の求めに応じ、添附図書を閲覧させる等の措置を講ずること。なお、この場合において、届出に係る事案が上記の許可を要するものであるか否かについて疑義があるときには、農業委員会に照会する等の措置を講ずるものとすること。
四 都道府県知事は、上記三の(1)により市町村長から届出書の送付を受けたときは、それぞれの事案に応じ、適宜、関連部局へ届出書の写を添えて、その旨を連絡する等の措置を講ずるものとすること。なお、この場合においては、とくに下記の点に留意すること。
(1) 事前届出に係る事案が、公有地の拡大の推進に関する法律第四条第三項の規定により同条第一項の規定による届出とみなされる場合に該当するものであるときは、直ちに、届出書の副本一部を添えて、その旨を同法所管部局に連絡するものとすること。
(2) 法第二七条の五第一項又は第二七条の八第一項の規定による勧告を行う場合においては、あらかじめ、公有地の拡大の推進に関する法律の所管部局(以下「公拡法所管部局」という。)にその旨を連絡し、公拡法所管部局から土地開発公社等の当該届出に係る土地の買取りの協議が整った等の通知を受けた場合を除き、勧告するものとすること。
なお、勧告する場合において、公拡法所管部局から、土地開発公社等が当該届出に係る土地の買取りを希望するか否かが明らかでない等の通知を受けたときは、当該届出に係る土地については公有地の拡大の推進に関する法律第八条の規定の適用がある旨の公拡法所管部局の作成に係る文書を添付して行うものとする。
また、法第二七条の五第三項の規定による勧告を行わない旨の通知(以下「不勧告通知」という。)を行う場合(第二七条の八第二項において準用する場合を含む。)は、あらかじめ、公拡法所管部局に連絡し、公有地の拡大の推進に関する法律による土地の買取り協議が行われないことを確認して行うものとすること。
(3) 農地法相当部局から届出に係る事案について、同法第五条第一項又は第七三条第一項の許可の見通し等に関する意見が提出された場合には、とくに両制度がいずれも取引規制に係るものであることにかんがみ、土地の利用目的の適否についての判断が相互にくい違うこととならないようその調整を図るものとすること。
五 届出等に係る上記の利用目的について事前指導を了しているものである場合又は令第一四条の法人に準ずべき公共的な法人の事業に係るものであるときで、事前に所要の調整等を了している場合等にあっては、その届出について所要の手続を迅速に進めるものとすること。
第三 「一団の土地」について
法第二三条第二項かっこ書又は第二七条の四第二項かっこ書(第二七条の七において準用する場合を含む。)の規定により届出を要することとなる一団の土地の認定等については、下記により処理するものとすること。
この場合において、法第二三条第二項かっこ書の規定により事後届出を要することとなる一団の土地の認定等については、事後届出の対象となるのが、権利取得者が土地に関する権利の移転又は設定を受けることとなる場合(いわゆる「買いの一団」)に限られるものであることに留意すること。
一 届出を要することとなる一団の土地とは、土地利用上現に一体の土地を構成しており、又は一体としての利用に供することが可能なひとまとまりの土地で、かつ、当事者の一方又は双方(事後届出の場合は、権利取得者)が、一連の計画の下に、土地に関する権利の移転又は設定を受け、又は行うその土地が法所定の面積以上であるものをいうと解されるが、その運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) 一団の土地として一団性を認定し得るのは、原則として、当事者の一方又は双方(事後届出の場合は、権利取得者)が同一主体である場合において、その者が土地に関する権利の移転又は設定を受け、又は行うこととなる下記の(2)及び(3)の要件に該当する土地をいうものであること。
(2) 一団の土地の認定は、土地に関する権利の移転又は設定を受け、又は行うこととなる土地が、相互に連接するひとまとまりの土地として物理的な一体性を有する場合について行うこと。なお、この場合において、相当規模の開発用地の取得の場合等において、その取得予定に係る土地の現状が、通常の工事方法等により土地利用上一体としての利用に供することが可能と認められるものである限り、道路、小河川等により分断されている場合であっても物理的な一体性を認定し得るものであるのでとくに留意すること。
(3) 一団の土地の認定は、二以上の土地売買等の契約が一連の計画のもとに、その時期、目的等について相互に密接な関連をもって締結される場合について行うこと。
この場合において、二以上の土地売買等の契約が計画的な一貫性をもって行われているか否かは、用地取得等に係る交渉の相手方の範囲及びその土地の規模等から、社会通念に従い、適宜判断するものとすること。
(4) なお、一団の土地として届出を要するのは、法所定の面積(監視区域が指定された場合には、都道府県又は指定都市の規則に規定された面積。以下二の(2)及び(8)並びに記第四の一の(7)のホにおいて同じ。)以上の土地について、土地に関する権利の移転又は設定が土地売買等の契約により行われるものである場合であること。
二 届出を要することとなる一団の土地の認定は、上記一に従い行うこととするが、一団の土地に係る法の適用について問題となり得る事例を例示すれば、おおむね下記のとおりと考えられるので、個別の事案に係る状況等を十分考慮しつつ、下記により処理するものとすること。
(1) 一団の土地が法第二三条第二項第一号イ及びロの区域、ロ及びハの区域又はイ及びハの区域にまたがつている場合には、それぞれ、その面積が二、〇〇〇平方メートル、五、〇〇〇平方メートル、又は二、〇〇〇平方メートル以上のものである限り、すべて届出を要するものであること。
また、一団の土地が監視区域とイ、ロ又はハの区域にまたがつている場合には、その面積が当該都道府県若しくは指定都市の規則で定められた面積以上のものである限り、監視区域に所在する土地について、すべて事前届出を要するものであること。
(2) 造成宅地の分譲等の場合において、現に分譲等を行おうとする土地が法所定の面積未満のものであっても、それに連接する土地について造成工事が行われていること等さらに継続して分譲等を行うことが予定されている土地であることが明らかであるものについては、これを合算した土地を一団の土地として処理すること。
(3) 造成宅地の分譲等の場合において、その造成宅地内に、公共空地、公益的施設用地等が存する場合については、それらの面積を含めて、法第二七条の四第二項第一号(法第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の適用関係の認定を行うこと。ただし、この場合における上記一の(4)の運用については、道路、公園等で市町村等へ無償で移管されたもの、土地売買等の契約に基づかないで土地に関する権利の移転又は設定が行われたもの等は、その面積を控除した面積により処理するものとすること。事前届出又は事前確認があった後、公共空地、公益的施設用地等が市町村等へ無償で移管された場合にも同様とする。
(4) 造成宅地の分譲等の場合において、当該宅地を造成した者から建売業者等が分譲を受け、さらにその土地を他に分譲する等の場合には、建売業者等の行う分譲については、前記一の(1)の趣旨にかんがみ、その建売業者等の分譲に係る土地について前記一の(2)及び(3)に従い法の適用関係の認定を行うこと。なお、このような取扱いが脱法的に利用されるおそれなしとしないので、その態様に応じ、適宜、事前確認の対象となった一団の土地について、建売業者等が土地を取得し建物の建築を行ってそれらを一般需要者に販売する場合等においては、関係部局との連けいを密にして当該建売業者等に対し販売予定価格について指導するものとすること。
(5) 上・下水道の敷設、ガス導管の埋設若しくは送電用又は配電用の施設又は装置の設置等はもとより、狭小な幅員の土地を利用する事業が長距離又は長区間にわたり行われる場合にあっては、一団の土地に該当しないものとして処理すること。なお、この場合においては、個人住宅の面積等をも考慮し、その幅員等が一〇メートル未満であることを基準として扱うものとすること。
(6) 土地区画整理事業における保留地処分について保留地が数ケ所に分散している場合においては、前記一の(1)の趣旨にかんがみ、それぞれの保留地ごとに前記一の(2)及び(3)に従い法の適用関係の認定を行うこと。ただし、土地区画整理法第二五条の二の規定による参加組合員(国土利用計画法施行令第一四条に掲げる法人を除く。)が、換地処分によって取得した土地が数個所に分散している場合において当該土地を売却しようとするときは、個々の土地ごとに法の適用関係の認定を行うのではなく、個々の参加組合員ごとに当該参加組合員が換地処分によって取得した土地を一団の土地として法の適用関係の認定を行うものとすること。なお、保留地の処分に関して通例行われている入札については、落札後に届出を要するものであるので、入札前に所要の指導を行う等その取り扱いについてとくに留意すること。
(7) 土地区画整理事業における仮換地の指定後換地処分までの間に、仮換地又は保留地予定地に係る土地売買等の契約については、当該仮換地又は保留地予定地の面積等を基準として処理すること。
(8) すでに取得済の土地の隣接地について買収等を行う結果、それを合算すれば法所定の面積以上となる場合には、既取得地についての取得状況、その後の利用状況等からみて、前記一の(3)の趣旨に従い、一連の計画に基づく買い進みの一環として行われるものであるか否かを基準として処理すること。
(9) 複数の主体が共通の計画の下に用地取得を行う場合においても、前記一の(1)の趣旨にかんがみ、それぞれの主体ごとに法の適用関係を認定すべきものであること。ただし、とくに、用地取得後における開発計画で主要な公共施設等の共用を予定しているとともに、いずれの者かの用地取得状況の如何によっては他方の用地取得も変更を余儀なくされる程度にそれらの者の用地取得が相互に密接な関連を持つ場合には、実質的に同一主体であると認定しそれらの者を一体のものとして処理するものとすること。
この場合においては、それらの者の資本系列、過去の業務提携の実績等をも勘案するものとすること。
なお、数人の土地所有者が相互に土地を提供して造成した宅地の分譲を行う場合等にあっても、公共施設等の共用、造成費用の負担方法等からみて実質的に同一主体と認定される場合には同様に処理するものとすること。また、上記(4)の場合においても、業者間分譲等が実質的に同一主体と認定すべき者の間で行われている場合には、再分譲について、同様に処理するものとすること。
(10) 法施行の前後にかけて継続して土地を取得し、又は分譲等を行っている場合における法第二三条第二項第一号又は第二七条の四第二項第一号(第二七条の七において準用する場合を含む。)の適用については、法施行後に取得し、又は分譲等が予定されている土地面積の合計が法所定の面積以上のものである場合について、届出を要するものとして処理すること。なお、分譲マンション等についての土地に関する権利が共有に係るものである場合にあっては、法施行後に分譲することとなる共有持分の合計を敷地全体の面積に乗じて得た面積が法所定の面積に満たない場合には、届出を要しないものとして扱って差し支えない。
(11) 監視区域施行の前後にかけて継続して土地を取得し、又は分譲等を行っている場合における法第二七条の七第一項において準用する法第二七条の四第二項第一号の適用については、国土利用計画法の一部を改正する法律(昭和六二年法律第四七号)附則第四項に規定する場合を除き、(10)と同様の扱いとすること。ただし、監視区域の指定前に注視区域が指定されている場合において、注視区域施行の後に取得し、又は分譲等が予定されている土地面積の合計が注視区域における法所定の面積以上のものである場合には、上記にかかわらず、監視区域における届出を要するものとして処理すること。
(12) 注視区域施行の前後にかけて継続して土地を取得し、又は分譲等を行つている場合における法第二七条の四第二項第一号の適用については、(10)と同様の扱いとする。ただし、注視区域の指定前に監視区域が指定されている場合において、監視区域施行の後に取得し、又は分譲等が予定されている土地面積の合計が注視区域における法所定の面積以上のものである場合には、上記にかかわらず、注視区域における届出を要するものとして処理すること。
第四 事前確認について
令第一七条の二第三号から第五号まで及び規則第二一条第一項の規定によるいわゆる事前確認については、下記により処理するものとすること。
一 確認申請に係る事案が、その立地状況、工事の進渉状況等からみて、令第一七条の二第三号から第五号までに該当する住宅地等と認められない場合には、確認を行わないこととし、改めて届出によるべきこと等の指導を行うものとするが、その運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) その土地の利用又は開発について、法律又は条例等による審査等を未だ経ていない場合には、令第一七条の二第三号から第五号までに該当しないものであり、届出によるべきものとして処理して差し支えないものであること。
(2) 上記(1)の場合について、その利用又は開発等に着工した段階において法律又は条例等による審査等を要しないものであった場合については、適宜確認を行うものとして処理すること。
(3) 別荘地等の分譲について、特段の造成工事等を行わず森林等の現状のままその分譲を行う場合にあっては、令第一七条の二第三号中「造成された宅地である土地」に該当しないものであり、確認の対象とすべきものでないこと。
(4) 要綱等に基づき自然環境の保全等の観点から別荘等の開発の規制を行っている場合において、その要綱等による審査等を未だ経ていない事案については、一般的には令第一七条の二第三号から第五号までに該当する住宅地等と認定し得ない場合が多いと考えられるので、個別の状況等を考慮のうえ、適宜、届出によるべきものとして処理して差し支えないものであること。
(5) 令第一七条の二第三号又は第四号に関しては、住宅地等で申請人により区画形質の変更等の事業が行われていない事案については、第二七条の八第一項第二号に該当するかどうかの審査を行う必要がある場合もあると考えられるので、適宜届出によるべきものとして処理して差し支えないものであること。また、令第一七条の二第五号に関しては、当該土地に関する権利の移転又は設定が当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障がある場合として規則第二一条の三で定める場合に該当する事案は、事前確認の対象となるものではなく、届出を要するものであること。
(6) 事前確認制度においては、区画に係る土地ごとに土地に関する権利の移転又は設定を行うものである限り、結果的に同一人に複数区画、又は共有持分が譲渡されることとなる場合が必ずしも否定されるわけではない。したがって、令第一七条の二第三号又は第四号に該当する住宅地等に関する確認については、各区画ごとの対価として予定されている価額が適正である限り、いわゆる業者間分譲を行うこととなる事案に係るものであっても確認の対象となり得るものであること。
(7) 令第一七条の二第五号及び規則第二一条第一項の規定による事業契約に係る土地に関する権利の共有持分の事前販売に係る事前確認については、上記(1)から(6)によるほか、下記の点に留意すること。なお、審査に当たっては、関係部局との連絡協力体制の一層の整備に努められたい。
イ 令第一七条の二第五号の規定は、土地に関する権利の共有持分の事前販売を事前確認の対象とする旨を定めているが、事前販売後に行われる民法上の任意組合(不動産特定共同事業法第二条第三項第一号)又は商法上の匿名組合(同項第二号)に対する当該共有持分の現物出資については、対価性が認められず土地売買等の契約に該当しないため、届出を要しないものであること。
ロ 不動産特定共同事業法第二条第三項第二号に規定する不動産特定共同事業契約(いわゆる匿名組合型)に係る土地に関する権利の共有持分の事前販売についても、対象となる土地に関する権利は事前販売時に事業者又は事業参加者の共有となるものであるので、確認の対象となり得るものであること。
ハ 更地に関する権利の共有持分の販売後当該土地について建物の建築等を行い、当該土地及び建物を事業契約に基づく賃貸借等の目的とする場合(いわゆる開発型)についても、確認の対象となり得るものであること。
ニ いわゆる中古物件についても、確認の対象となり得るものであること。
ホ 申請に係る土地に係る事業契約に基づく賃貸借等の目的となる土地が申請に係る土地以外に存する場合においては、申請に係る土地以外の当該事業契約に係る土地が法所定の面積未満であっても規則第二一条第二項第三号の規定に従い所要の記載をさせる必要があること。なお、当該土地が他の都道府県等に所在する場合には、審査に当たり、当該都道府県等との連絡調整を図るべきこと。
二 監視区域においては、届出対象面積が引き下げられており、従来は届出を要しなかった小規模な宅地分譲等についても届出の必要が生じているが、これらについては、以下の基準に従い、適宜事前確認を認めて差し支えないこと。
(1) 分譲区画、分譲戸数は、二区画又は二戸以上であること。
(2) 中古物件については事前確認制度の適用は認められないこと。
三 確認の有効期間は、当該期間満了前に当該事前確認を受けた者から有効期間の延長の申請があり、かつ、周辺の地価の動向等から相当と認められる場合には延長することができるものであるが、その運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) 有効期間の延長は、有効期間の満了日における契約末了物件について、当該期間満了後も確認に係る価額を超えない価額で、かつ、確認に係る区画の形状の変更又は確認に係る建物の改築等をせずに土地に関する権利の移転又は設定を行う場合に申請することができるものであること。
なお、地価が下落していると認められる場合又は下落することが相当程度確実であると認められる場合には、再度の確認申請又は届出によるべきものとして処理することが適当であること。
(2) 有効期間の延長の申請は、有効期間満了日から起算して四週間以上前に行わなければならないものであり、この期限を徒過して行われた申請については、個別の状況等を考慮のうえ、適宜再度の確認申請又は届出によるべきものとして処理して差し支えないものであること。
(3) 有効期間を延長する場合には、個別の事案に応じて適宜所要の期間延長することができるものであるが、当面一二カ月を目安として延長するものとすること。
ただし、監視区域が指定されている地域における有効期間の延長については、六カ月を目安として、適宜定めるものとすること。
四 確認に係る事務の処理等については、下記の点に留意すること。
(1) 確認申請書の記載は別紙二―二確認申請書記載要領によるものとすること。
(2) 規則第二一条第四項かっこ書の規定により審査期間が延長される場合においては、申請者に対する延長の通知は別紙四の様式による通知書により行うものとすること。
(3) 受理すべき適法な確認申請書が提出された場合には、受理日は当該確認申請書を受け付けた日であること。したがって、当該確認申請書を受け付けた日と受理のための審査を了し当該確認申請書を受理すべきものと認めた日又は受理書を発行した日とが異なる場合においても、受理日は当該受付け日であること。
(4) 確認については、その確認に係る価額を超えない価額で土地に関する権利の移転又は設定を行うものである限り届出の適用除外とされるものであるため、別紙五の様式による確認書により申請者に通知するものとすること。その際に、当該確認書には当該確認に係る確認申請書の写しを添付し、それらが複数紙面となる場合には割印を押印する等の措置を講ずること。
(5) 確認申請に係る価額についてこれを確認すべきでないと認められる場合においても、直ちにこれを不確認とすることなく、権利の相当な価額に照らし、著しく適正を欠くこととならない価額に修正するよう指導するとともに確認申請の撤回又は差し替え等を行わせることにより措置することが適当であること。
(6) 上記(5)に掲げる指導を行ったにもかかわらずその確認申請に係る価額について所要の修正が行われない場合にあっては、当該申請に係る事案について確認をしないこととした旨を別紙六の様式による不確認書により通知するものとすること。
(7) 審査の結果確認をしないこととするときは、土地利用審査会の意見を聴くものとされているが、この場合においては、審査の内容が土地に関する権利の移転又は設定の対価として予定されている価額に限られていることにかんがみ、土地利用審査会の包括的な委任を受けて、不動産鑑定その他地価に関する経験と知識を有する若干名の委員の意見を聴くことをもって土地利用審査会の意見を聴くこととして差し支えないこと。
(8) 事前確認制度は、確認があった場合に限り届出を適用除外とするものであるにとどまり、確認申請によるか届出によるかは申請者の選択に委ねられており、また、確認されない場合においても届出を行うことは可能なものである。したがって、申請に係る事案について確認されない者又は上記(6)により確認しない旨の通知を受けた者については不服申立ての利益がないと解され、確認しないこと又は確認しない状態については不服審査の対象となり得ないものであること。
(9) 事前確認について有効期間が定められたときは、有効期間の延長又は再度の確認を受けないで当該期間の満了後土地売買等の契約を締結した場合には無届取引となるものであるので、確認文書中にその旨及び有効期間の満了日を明記するものとすること。また、事前確認に空白期間が生じないよう配慮するものとし、申請者に対しては、有効期間満了日前の相当な期日において契約末了物件について有効期間の延長申請又は再度の確認申請を行うべき旨を指導すること。
この場合において、有効期間満了日前の相当な期日は、四週間を目安とすることが適当であること。
なお、監視区域が指定されている地域で、周辺の地価動向に照らして有効期間の延長が認められないこととなる可能性が高い場合には、再度の確認申請を行うべき旨を指導することが適当であること。
(10) 土地に関する権利の相当な価額の算定に当たり必要と認められる物件説明書、見積書等の資料を求める場合においては、申請者に過重な負担を課することとならないよう必要最小限のものに限定すること。特に、有効期間満了後の再度の確認申請においては、規則第二一条第三項第一号に定める地形図(令第一七条の二第四号に係る事案にあっては、当該地形図及び規則第二一条第三項第二号に定める図面)についても、当初の確認申請書に添付されたものをもって代えることができるほか、当初の確認申請書に添付された資料と同一のものについて再度の徴取は省略するものとすること。
(11) 規則第二〇条第三項に規定する「前項の申請書に係る事項が第二一条の三各号のいずれかに該当することを明らかにすることができる書類」については、上記第二の(2)に準じ処理すること。なお、当該書類を例示するとおおむね別紙一の三のとおりであるが、必要な書類の提出を求めるに当たっては、申請者に過重な負担を課することとならないよう、とくに配慮すること。
(12) 事前確認に従い土地に関する権利の移転又は設定が行われているか否かを調査する場合には、一般的には販売状況報告書の徴取によって行うものとし、必要に応じて契約書の写しを徴する場合においても抽出調査により行うこと等により申請者に過重な負担を課することとならないよう配慮すること。
五 確認の有効期間の延長に係る事務の処理等については、下記の点に留意すること。
(1) 有効期間の延長申請は、別紙七の様式による申請書に確認通知書の写し(有効期間の再延長に係る事案にあっては、前回の有効期間延長通知書の写し)及び販売状況報告書を添付して行うものとすること。
(2) 有効期間を延長する場合にあっては、申請者に対し別紙八の様式による有効期間延長通知書により通知するものとし、延長後の有効期間の満了日を明記するものとすること。
(3) 確認に係る価額の変更等があり、有効期間の延長申請によるべきものでない場合又は周辺の地価の動向に照らして有効期間を延長しないこととする場合には、速やかに確認申請を行うべき旨を指導するとともに、申請者に対し、別紙九の様式による通知書により通知すること。
(4) 有効期間の延長を行うかどうかの決定は、有効期間の延長申請書の受理の日から起算して四週間を経過する日までに速やかに行うものとすること。
(5) 有効期間の延長が申請され、その延長が認められなかった事案についても、遅滞なく事前確認の申請が行われた場合には、事前確認に空白期間が生じないよう迅速な処理に努めること。
第五 大規模取引等に係る事前指導について
大規模取引等に係る事前指導については、下記により処理するものとすること。
一 大規模取引等についての事前指導制を採用する場合にあっては、下記の事項に留意のうえ、その取扱要領を明確にするため、所要の要綱を定めるとともに、その指導体制の整備を図ること。
(1) 条例又は要綱等によりこれまで行ってきた取引規制又は開発規制のための協議制等との関連を検討し、可能な限り、事前指導要綱に一元化する方向で所要の調整を図ることとし、いたずらに手続等が重複しないように措置すること。
(2) 事前指導の対象とすべき取引をその面積により定める場合にあっては、法第二三条第二項第一号イからハまでに規定する区域等の区分に応じ、所要の面積を定めるものとすること。なお、この場合においては、従前の条例又は要綱等による面積のほか、農地転用に係るものについては二ヘクタール以上を一応の基準とする等他の諸法律による基準等との関連についても十分考慮すること。
(3) 令第七条第二項及び規則第九条に定める一団の土地に係る事案については、円滑な法の運用を図るため、事前指導の対象とすべきものであること。なお、宅地分譲等における事前確認の対象とされていない宅地についても、同様に措置することが適当であること。
(4) 令第一四条の法人に準ずべき公共的な法人が行う事業については、その円滑な実施に支障をきたさないよう、上記(3)に準じて、届出等に先立ち、所要の指導・調整を図るものとすること。
二 事前指導に当たっては、都市計画法、農地法、森林法等の諸法律に基づく規制等とできる限り相互に調整することが望ましいものであるため、関連部局との連絡・調整を緊密に行い、事前指導の趣旨が十分に生かされるよう配慮すること。
三 上記一の(2)により所要の面積を定めた場合にあっても、その面積未満の取引に係る当事者の一方又は双方から事前の指導等を求められた場合においては、要綱に基づく場合に準じ所要の教示等を行うものとすることが適当であること。
四 事後届出制の下では、事前指導における指導基準については、土地の利用目的に係る勧告又は助言の基準の枠内で行うべきものであり、法による指導として価格に係る指導を行うことはできないものであること。
第六 土地の利用目的等の審査について
一 法第一六条第一項第三号(第二四条第一項及び第二七条の五第一項第二号(第二七条の八第一項第一号))の運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) これらの規定中「その他の土地利用に関する計画」とは、法令の根拠に基づき特定の区域を限って、その区域内の土地について一定の利用を促進し、又は禁止等をしている計画を総称するものであるが、必ずしも計画その他の名称の如何を問うものではなく、その実質により判断するものであること。
(2) 上記(1)に該当する土地利用に関する計画としては、都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法、自然環境保全法等による諸計画はもとより、法律に基づく手続を経て定められた道路、鉄軌道その他の公共施設等の整備に係る土地の区域であること。自然保全、災害防止等のため法令に基づき指定等が行われた土地の区域であること、農地法による農地転用許可について第一種農地、第二種農地その他同一基準に基づきその処理が行われるものとされている土地であること、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による風俗関連営業の禁止区域であること、条例に基づく土地利用規制が行われている土地の区域であること、等広範に及ぶものと解すべきであること。
(3) 上記(1)及び(2)による土地利用に関する計画に適合するか否かの認定は、上記諸法律による許可基準等を踏まえて、個々の事案に係る土地の利用目的が土地利用計画に及ぼす影響等を総合的に勘案して行うべきものであるが、その具体的な運用に当たっては、とくに次の点に留意するものとすること。
(イ) 土地利用に関する計画は、法令(条例を含む。)によりその根拠が明らかにされているものであり、かつ、実体的に規制基準としての機能を果しうる程度に具体的に内容が明確にされていることが必要である。したがって、都道府県等の定めるいわゆる開発構想等については、一般的には本号の適用はないものであること。
(ロ) 都市計画施設の区域、市街地開発事業の施行区域、市街地開発事業等予定区域、市街地再開発促進区域、土地区画整理促進区域又は住宅街区整備促進区域内における個々の事案に係る土地の利用目的が、それぞれ都市計画法第五二条の二若しくは第五三条、都市再開発法第七条の四第一項若しくは大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第七条第一項若しくは第二六条第一項の許可を要しない場合又は都市計画法第五四条、都市再開発法第七条の四第二項若しくは大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第七条第二項若しくは第二六条第二項の許可基準を充足する場合においても、当該都市計画施設の整備事業又は市街地開発事業の事業化の見通し、周辺の土地利用の動向等に照らし不適当であり、当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、開発部局の意見等を総合的に判断して本号を適用することができるものであること。
特に、監視区域として指定された区域においては、地価高騰を抑制する観点から、上記の区域における事業を促進する必要性が高いことから、本号の活用に留意すること。
なお、上記のように個別法の法令、通達等に明示されている規制基準を超えて届出に係る土地の利用目的の適否について国土利用計画法上の判断を下す場合には、個別法の運用との間において整合性を失することのないよう関係部局と十分協議することはもとより、判断の一貫性を欠くことがないよう慎重に配慮すること。
(ハ) 土地利用基本計画において土地利用上配慮されるべきものであるとされた公的機関の開発保全整備計画に係る事業の予定地域内の土地については、当該計画に適合しない利用目的に対して本号を適用できるのは勿論であるが、積極的な利用目的を有しない者が土地取得等を行うことにより当該計画の実施が実質的に著しく阻害される場合においても本号を適用して差し支えないものであること。
(ニ) 資産保全を目的とする等特定の利用目的をもたない土地取引等は、一般的には土地局長通達記第四の四の(2)にいう「中立的に機能」しているものと考えられるが、農業振興地域の整備に関する法律による農用地区域内の農用地等土地利用計画上特定の利用に供すべきことが予定され、遊休化を防止する観点から所要の措置を講ずることとされている場合には、一般に「積極的に阻害」するものと認定することができるものであること。
また、いわゆる現状有姿分譲についても、例えば、当該土地取引による森林の細分化により、森林法による地域森林計画の達成が困難となる場合には、林務担当部局と協議のうえ、当該計画を積極的に阻害するものと認定することができる場合もあること。
なお、こうした特定の利用目的をもたない土地取引等については、土地局長通達記第四の七の(3)に記したとおり、価格審査及び監視区域に所在する土地にあっては法第二七条の八第一項第二号の審査をとくに厳格に行うとともに、当事者から必要に応じ届出後における利用目的の変更を報告させる等の措置を講ずることが適当であること。
(4) 第二四条第一項の運用に当たっては、権利取得者の予見可能性の確保の観点から、上記(1)(2)のうち、その他土地利用に関する計画が規則第二〇条の二に規定する方法により、公表されているものに限定されることに特に留意するとともに、本項の適用に当たっては、上記によるほか次の事項に留意すること。
(イ) 土地利用に関する計画は、法令に定められている場合、法令に基づき公告・縦覧されている場合、法令に基づき計画を定めた旨を告示している場合等があるが、これらはいずれも公表された土地利用計画に該当するものであること。
(ロ) 規則第二〇条の二中「公にして行う」とは、土地利用に関する計画を秘密にしないとの趣旨であり、事務所における備え付けのほか、求めに応じ提示すること等を含むものであること。
二 法第一六条第一項第四号(第二七条の五第一項第三号(第二七条の八第一項第一号))の運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) これらの規定中、公共施設又は公益的施設の整備の予定からみて明らかに不適当であるとは、許可の申請又は届出に係る土地についてその届出等に係る用途、計画面積、計画人口等に従いその土地の利用又は開発等が行われた場合には、公共施設又は公益的施設の整備計画等の著しい変更を余儀なくされ、又は既存の公共施設又は公益的施設の整備水準等に著しい支障を及ぼすこととなり、適正かつ効果的な公共施設等の整備が阻害されると認められる場合をいうものであること。
(2) 上記(1)の趣旨に従い、公共施設又は公益的施設の整備の予定の有無等の判断に当たっては、届出等の時点において未だその整備等に係る予算措置が講じられていないこと或いはその整備計画が確定していないこと等の事由のみをもって両号に該当するものとして画一的な処理を行うべきものでなく、その届出等に係る利用目的に実際に供されることとなる時期、その届出等に係る土地を含む地域についての市街化の見通し、又は都道府県又は市町村の長期計画等によるその地域についての将来の開発の動向等を総合的に考慮して行うものとすること。
(3) 上記(1)及び(2)に従い本号の運用を行うに当たっては、できる限り公共施設又は公益的施設の整備の状況及び将来の計画又はその整備見通し等についての資料又は情報等の収集に努めるとともに、届出等に係る事案の審査に当たっては、その届出等に係る利用目的に伴い新たな整備が必要となることが予想され、又は既存の整備水準若しくはその供給能力等からみて支障を生ずると認められる公共施設又は公益的施設の整備等を担当する部局の意見を聴する等の方法によりその運用に十全を期すること。
(4) 大規模な開発事業等にあっては、その開発者において所要の公共施設等の整備を行う場合が多いと考えられるので、その場合には、別途、その整備予定等の見通しについて事情等を聴取し、所要の調整等を了したうえで、両号の適用を行うこと。
(5) 自然環境の保全上明らかに不適当であるか否かの認定は、届出等に係る土地の用途あるいは人口面率の増加等によりその土地又はその土地を含む一帯の地域における良好な自然環境が損なわれる場合はもとより、届出等に係る用途、計画面積、計画人口又は人口面率等から推定されるその土地の利用又は開発に伴う周辺地域における自然環境への影響等を十分に考慮して行うこと。なお、人口面率が高いことに伴う土砂流出等による下流部への影響等の場合の如く必ずしも直接その土地に隣接する土地等に限らず広範囲にわたりその影響等を検討すべき場合があるので、とくに留意すること。
三 上記一及び二により土地の利用目的を審査するに当たっては、とくに、下記の点を考慮すること。
(1) 届出等に係る土地の利用目的についての審査は、個別の届出に係る土地のほか、すでに取得している土地又は今後取得する予定の土地を含めた全体の土地に係る利用目的について行うべきものであること。
(2) 届出等に係る土地の利用目的が、令第一四条の法人に準ずべき公共的な法人の事業に係るものである場合にあっては、その事業の公共性についても配慮するものとすること。
(3) 届出等に係る土地の利用目的の審査は、それが取引段階におけるものであることにかんがみ、別記様式中の記載要領に係る事項等の範囲において行うものであり、施設の配置又はその設計等技術的内容等にわたるべきものでないこと。
(4) 法第二三条第一項に基づく届出があった場合は、届出に係る土地の利用目的が公表されている土地利用に関する計画に適合するか否かの審査のほか、法第二七条の二の規定による助言制度の趣旨にかんがみ、助言を行う見地から、土地利用に関する計画(公表されているものを除く。)に適合するか又は道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定若しくは周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当でないか併せて審査するべきものであること。
四 許可の申請又は届出に係る土地の利用目的の審査に当たっては、上記によるほか、当該土地の利用目的に係る開発等の規制に係る諸法律の運用との間にできる限りその調整を図っておくことが適当であり、下記の事項を考慮の上、関連部局との連絡・調整体制の確立を図ること。
(1) 法による許可又は勧告基準の適用については、本法所管部局の責任において行うべきものであること。
(2) 届出等に係る土地の利用目的に関し、関連諸法律による許可基準の適用関係等についての関連部局の意見が提出された場合には、これを十分考慮して所要の勧告等の措置を講ずること。なお、審査資料及びその期間等の制約から明確な意見が得られなかった場合には、上記(1)の趣旨にかんがみ、本法所管部局の判断に基づき、許可又は勧告等の措置を講じ、併せて、必要に応じ、所要の指導等を行うものとすること。
五 法第二七条の八第一項第二号の運用に当たっては、下記の点に留意すること。
(1) 対象となる届出は、監視区域に所在する土地についての土地に関する権利の移転をする契約の締結につきされたものであり、その届出に係る土地が監視区域に所在するものでないもの又は地上権設定契約等土地に関する権利の設定をする契約の締結につきされたものはこれに該当しないものであること。この場合、届出に係る土地が監視区域の内外にまたがっているときも監視区域に所在するものとして取り扱うこと。
(2) 届出に係る事項が同号イに該当するためには、譲渡人が届出に係る土地に関する権利を土地売買等の契約により取得したものでなければならないが、その具体的な判断に当たっては下記によるものとすること。
(イ) その土地売買等の契約は、前記第一の一の(1)の(イ)から(ハ)までのすべての要件を満たすものでなければならないこと。
(ロ) その土地売買等の契約の締結に当たり届出が行われたものであることは必要なく、例えば、その届出が、監視区域の指定前に取得された届出対象面積未満の土地等に係るものである場合においても同号イに該当するものとして取り扱うこと。
(3) 同号ロの期間は、譲渡人により届出に係る土地に関する権利を取得された後届出がされるまでの期間であって、実際に契約が締結されるまでの期間ではないこと。
なお、届出に係る土地に関する権利が取得時期の異なる一団の土地に係るものである場合には、届出前直近の取得時期により判断すること。
(4) 同号ハ並びにヘ(1)及び(3)については、脱法行為の防止の観点から、令第一八条の四の規定により、次に掲げる場合に該当するときには、届出に係る土地取引が投機的取引であるおそれが強いことにより、自ら利用するための用途に供した、又は供しようとするものとして取り扱わないこととされていること。
(イ) 建築物その他の工作物(以下単に「工作物」という。)で仮設のもの(以下「仮設工作物」という。)による利用の場合、仮設工作物以外の工作物による利用の場合又は土地に工作物の存しない場合であって、その利用の期間が社会通念に照らし著しく短いとき。
(ロ) その土地又は土地に存する建築物等に係る整備の水準、使用の頻度又は管理の状態その他の利用の程度が、周辺地域における同一又は類似の用途に係る土地の利用の程度からみて社会通念に照らし著しく劣っていると認められる場合(その認定に当たっては後記第一〇の一の(6)を参考にすること。)。
(ハ) 届出に係る土地に係る工作物の延べ床面積のごく一部のみを利用する場合等その土地に係る工作物について合理的に期待される利用の程度に比し実際の利用の程度が社会通念に照らし著しく劣っていると認められる場合。
(5) 届出に係る土地に関する権利を移転しようとする者が債権の担保又は代物弁済として当該権利を取得した者である場合又は届出に係る土地に関する権利の移転が債権の担保又は代物弁済として行われるものである場合には、それぞれニ、ホに該当しないこととされているが、これらの場合において、債権の担保又は代物弁済は通常の経済活動として行われるものであることが前提とされており、その具体的な判断に当たっては下記によるものとすること。
(イ) 債権の担保又は代物弁済としては、具体的には譲渡担保契約及び代物弁済契約(その予約及び停止条件付きのものを含む。)が想定されるが、これらの契約が通常の経済活動に該当するかどうかは、当該契約のみならず当該契約に係る金銭債務等の原因たる契約も併せて判断されるべきものであること。
したがって、当該契約に係る金銭債務等の原因となった契約の締結から当該金銭債務等の履行期限までの期間が、特段の合理的理由もなく社会通念に照らし著しく短い場合等当該契約自体が合理性を欠くものと認められる場合には、通常の経済活動には該当しないものとして取り扱うこと。
(ロ) ニ(2)において、債権の担保又は代物弁済に係る金銭債務等の弁済期到来前(当該契約が仮登記担保契約に関する法律第一条に規定する仮登記担保契約に該当する場合には、同法第二条第二項に規定する清算期間の経過前)に届出がなされた場合には、当該届出に係る土地に関する権利を移転しようとする者は、当該権利を取得した者には該当しないものとして取り扱うこと。
(6) ホ(3)については、災害、都市計画の変更等真に譲渡人の責めに帰すことのできないやむを得ない理由により、届出に係る土地についての区画形質の変更等の事業の実施が著しく困難又は不適当と認められる場合のみが該当し、単に諸事情の変化により需要の減退が予想されること等を理由に事業計画を変更し、又は事業の実施を断念したような場合等はこれに該当しないものとして取り扱うこと。
(7) ヘにおいて、譲受人等が届出に係る土地を自ら利用するための用途に供しようとする者又は届出に係る土地について区画形質の変更等を事業として行おうとする者に該当するや否やの判断に当たっては、事業計画の概要、事業の開始及び完成の時期等を具体的に記載した事業計画書、資金計画書(借入金にあっては借入先を明らかにしたもの)等の添付を求めることや、必要に応じ当事者等から事情を聴取するなどの方法により、譲受人等が当該土地を自ら利用するための用途に供すると認められるか否か及び譲受人等による事業の実施の確実性等を十分審査すること。
また、届出の事後措置において必要に応じ現地調査を行うなどにより、譲受人等が当該土地を自ら利用するための用途に供したか否か及び事業計画に従い事業を実施したか否かについて把握に努めること。
なお、ホ(2)において譲受人が区画形質の変更等の事業を行う者であるか否かを審査する場合にも、上記趣旨は十分生かされるべきである。
(8) ヘ(3)及び(4)については、届出に係る土地を自ら利用するための用途に供しようとする者に対し当該土地に関する権利を譲渡することを約し、かつ、当該土地の上に住宅を請負の方法により新築するものであることが確実であると認められる者又は届出に係る土地について区画形質の変更等を事業として行おうとする者の委託を受けて当該事業のための用地取得を行う者等、届出に係る土地を自ら利用するための用途に供しようとする者又は届出に係る土地について区画形質の変更等を事業として行おうとする者へ届出に係る土地に関する権利を移転することが確実であると認められる者に限りこれに該当するものとして取り扱うこと。
(9) 同号の運用に当たっては、現地調査等を活用し、厳格な審査に努めること。この場合、必要に応じ、法第四一条の規定により、届出に係る土地又は当事者の営業所等への立入検査及び関係者への質問を行い、審査に遺漏なきを期すること。
第七 勧告等の措置について
法第二四条第一項、第二七条の五第一項及び第二七条の八第一項の規定による勧告等については、下記により行うものとすること。
一 法第二四条第一項の規定の運用に当たっては、下記の事項を考慮のうえ、届出に係る土地の利用目的について必要な変更をすべき旨の勧告を別紙一〇の様式による勧告書により行うものとすること。
(1) 届出に係る土地の利用目的が、法第二四条第一項に該当すると認められる場合には、所要の講ずべき措置を示して勧告を行うことが適当であること。
(2) 届出に係る土地の利用目的に従った土地利用の実現のための行為が、都市計画法、建築基準法等に基づく申請、届出等を要する場合については、都市計画への適合性、都市計画法上の開発許可要件の該当性を理由として勧告を行わないこと。
なお、このことは、他の法令、条例等の根拠に基づく勧告が行われることを妨げるものではないこと。
二 法第二七条の五第一項及び第二七条の八第一項の規定の運用に当たっては、下記の事項を考慮のうえ、届出に係る事案に応じその届出に係る土地売買等の契約の締結を中止すべき旨の勧告(以下「中止勧告」という。)又は届出に係る事項について所要の変更等の措置を講ずべき旨の勧告(以下「変更勧告」という。)を別紙一〇の様式による勧告書により行うものとすること。
(1) 届出に係る予定対価の額が、法第二七条の五第一項第一号に該当すると認められる場合には、当事者間において勧告に従いその額を減額して契約を締結することが可能な場合が多いと考えられるため、一般的には、予定対価の額について減額すべき割合又は準拠すべき価額の水準を示して変更勧告を行うことが適当であり、中止勧告は、届出に係る予定対価の額が同号の基準からの乖離の程度が極めて大きい場合等について行うものとすること。
(2) 届出に係る土地の利用目的が、法第二七条の五第一項第二号又は第三号に該当すると認められる場合には、届出に係る用途そのものが不適当なものであるときにあっては中止勧告を、その他の事由によるものであるときには、一般的には、所要の講ずべき措置を示して変更勧告を行うことが適当であること。
(3) 届出に係る事項が法第二七条の八第一項第二号に該当すると認められる場合には、一般的には、中止勧告を行うことが適当であること。
(4) 勧告を行うに当たっては、両当事者に対して行うこととすること。
(5) 変更勧告を行う場合には、届出後六週間を経過する日までの間であっても、勧告の内容に従って契約を締結して差し支えない旨を勧告書に附記しておくことが適当であること。
三 上記一及び二により、勧告等を行うに当たっては、とくに、下記の点を考慮すること。
(1) 届出に係る土地が法第二三条第二項第一号又は法第二七条の四第二項第一号かっこ書(法第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の一団の土地に係るものであるときには、その最初に行われる届出に際して当該一団の土地に係る利用目的の審査を行い、それぞれ上記一(1)、二(2)に準じて措置するものとすること。なお、この場合において、届出に係る用途そのものはおおむね妥当と認められるときであって、当該一団の土地の一部にその利用目的に供することが不適当と認められる土地が存する場合等においては、その最初に行われた届出の際に所要の指導等を行い、併せて、その不適当と認められる土地についてなお届出がされたときには、改めて所要の勧告を行うこと。
(2) 届出に係る事項について勧告を行う場合には、その勧告に従わないときにはその旨を公表することができるものとされている法第二六条の趣旨にかんがみ、当事者において勧告に従い講ずべき措置を明確に了知し得るよう、できる限り具体的に措置内容等を明らかにして行うものとすること。
(3) 勧告の実効を確保するため当事者(事後届出にあっては、権利取得者)に対し勧告に従うよう十分な指導を行うとともに、地元市町村及び当事者の住所が他の都道府県等に所在する場合にあっては、当該団体に対して勧告の内容を通知しておくことが適当であること。
(4) 勧告を行うに当たっては、上記によるほか、当該土地の利用目的に係る諸法律の運用との間にできる限りその調整を図っておくことが適当であることから、関連部局との連絡・調整体制の確立を図ること。
四 法第二七条の五第三項(法第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)の規定による不勧告通知については、下記の事項を参考のうえ、別紙一一の様式による不勧告通知書により行うものとすること。
(1) 不勧告通知を行うに当たっては、両当事者に対して行うこととすること。
(2) 不勧告通知を行う場合には、届出後六週間を経過する日までの間であっても、契約を締結して差し支えない旨及び届出に係る土地の利用に当たっては、他の法令等に係る許可の申請等をしなければならない場合がある旨を不勧告通知書に附記しておくことが適当であること。
(3) 不勧告通知書には、当該不勧告通知に係る届出書の写しを添付し、それらが複数紙面となる場合には、割印を押印する等の措置を講ずること。
五 事後届出に係る事項が法第二四条第一項に該当しないことが明らかになった場合に、申請者の便宜に供するため、同条第一項の規定による勧告をしない旨の通知を行うことは差し支えないこと。
六 届出に係る事項について勧告を行った場合には、下記の事項を参考のうえ、勧告の内容に応じて、法第二五条(法第二七条の五第四項又は第二七条の八第二項において準用する場合を含む。以下(1)において同じ。)の規定に基づき報告を求めること等により、勧告後の措置等の把握に十全を期すること。
(1) 中止勧告をする場合には、併せてその後の措置について法第二五条の規定による報告をすべき旨を附記しておくことが適当であること。
(2) 届出に係る予定対価の額について上記二の(1)により変更勧告を行った場合には、必要に応じ、契約書の写しの提出を求める等の措置を講ずること。
(3) 届出に係る土地の利用目的について変更勧告を行った場合には、その勧告の内容等に応ずる所要の変更事項についてその内容等の報告を求めること。
(4) 上記(1)から(3)までの報告により勧告に従わないことが判明した場合においても、当事者から事情を聴取する等の措置を講じ、できる限り勧告に従うよう指導することが適当であること。
七 法第二六条(法第二七条の五第四項及び第二七条の八第二項において準用する場合を含む。)の規定による公表は、社会一般の批判を通じて勧告制度の実効を確保しようとするものであることにかんがみ、下記の点を考慮のうえ、都道府県等の公報に登載するほか、別紙一二公表事例報告の様式により事前に当該土地の所在する市町村、当事者の所在する都道府県は、国土庁等の関係行政機関にその内容を通知するとともに、新聞、ラジオ、テレビ等の広報手段を通じ又は市町村窓口に提示する等の方法により勧告内容等を積極的に住民に周知させる措置を講ずることが適当であること。
(1) 法第二七条の五第四項又は法第二七条の八第二項において準用する第二六条の規定による公表を行うに当たっては、一般的には両当事者について公表することが適当であること。
(2) 公表を行うに当たっては、とくに事前に当事者(事後届出にあっては、権利取得者。以下(3)において同じ。)の事情を十分に聴取し、勧告に従うよう所要の指導を行うことが適当であること。
(3) 公表を行うに当たっては、当事者の事情等を考慮し、公表措置が他の類似の事例との均衡のとれたものであるよう留意するとともに、土地利用審査会の事前の了承をえておくことが適当であること。
第八 助言について
法第二七条の二の規定の運用に当たっては、下記の事項を考慮のうえ、届出に係る土地の利用目的について必要な助言を行うものとすること。
(1) 法第二三条第一項に基づく届出に係る土地の利用目的が、土地利用に関する計画に適合しない場合又は道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、若しくは周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものである場合には、必要な助言を積極的に行うことが適当であること。ただし、勧告を行う場合はこの限りでない。
(2) 助言を行うに当たっては、上記によるほか、当該土地の利用目的に係る諸法律の運用との間にできる限りその調整を図っておくことが適当であることから、関連部局との連絡・調整体制の確立を図ること。
(3) 都市計画に適合している利用目的について、都市計画の観点から法第二七条の二に規定する助言を行うものではないこと。なお、このことは、他の法令、条例等の根拠に基づく助言が行われることを妨げるものではないこと。
(4) 同法に基づく助言を行うに当たっては、各都道府県市における行政手続条例の範囲内で行われるべきものであること。
(5) この規定は、地方公共団体が独自に行う行政指導を妨げるものではないこと。
第九 監視区域について
一 監視区域の指定等については、下記の点に留意されたい。
(1) 地価の動向に関する指定要件の判断に当たっての具体的指標としては、1)用途地域別又は地価公示地点若しくは地価調査地点別の地価動向の推移、全国の類似地域における地価動向の推移、2)地域別の土地取引件数の推移、法人取引が占める割合の推移、法人取引に占める域外法人取引の割合の推移、短期間に転売を行う取引の件数の推移、3)金融機関の貸出金利の動向、不動産取引関連融資の実績の推移、4)開発プロジェクト等の構想若しくは計画の有無又は実施状況等が考えられるので、これらのうちから適切な指標を選択して判断の用に供されたいこと。
(2) 指定都市については、規制区域と異なり、当該指定都市の区域について指定都市の長が監視区域を指定することとなるが、その場合は監視区域の範囲等について事前に道府県の担当部局と調整することが望ましいこと。特に、監視区域から規制区域への移行に関しては、法上当然に監視区域の指定が解除され、又は監視区域が減少されるので、齟齬をきたさないようにすること。
(3) 監視区域は五年以内の指定期間を定めて指定することとしているが、これは監視区域の指定事由が消失した後もいたずらに指定を継続することを避ける趣旨であるので、必要かつ十分な範囲で期間を定めることはもちろん、指定期間内であっても三の(2)の地価の動向等に関する調査の結果を反映し、的確に指定の解除又は区域の減少を行うこと。
なお、指定期間満了時において指定事由が消失していない場合に引き続き当該区域について監視区域制度を施行するときは、新たに監視区域を指定することとなるので留意すること。
(4) 監視区域指定後その周辺の地域において指定要件を充足することとなった場合には、その地域について新たに監視区域を指定することとなること。
(5) 監視区域の指定の公告については別紙一二の二を参考とされたいこと。
(6) 監視区域の指定は、規制区域の指定の場合と同様迅速に行うことが適当であることから、指定に係る周知措置については指定後に行うことで足りることとしているが、事前に周知措置をとる必要がある場合には、効率的な執行に留意し、行って差し支えないこと。
(7) 監視区域を解除した際、届出又は事前確認申請のうち審査中であるものについては、法第二三条第二項第一号イ、ロ又はハに規定する面積以上の土地取引となるもの(一団の土地の扱いを受けるものを含む。)を除き、速やかに不勧告通知等を行うこと。
監視区域を減少した際に当該減少した区域内の土地に関する届出又は事前確認申請のうち審査中であるものについても、同様の取扱いとすること。
二 届出対象面積の引下げについては、下記の点に留意されたい。
(1) 届出対象面積の変更を行う場合においても、あらかじめ土地利用審査会及び関係市町村長の意見を聴取することが必要であること。
(2) 引き下げた届出対象面積を指定する都道府県又は指定都市の規則については、別紙一二の三を参考とされたいこと。
(3) 引き下げた届出対象面積を引き上げた場合における当該引き上げた部分の面積に相当する面積の土地に係る土地取引で審査中のものの取扱いは、上記一の(7)と同様であること。
三 監視区域に係る調査及び報告徴収について
(1) 監視区域指定前の調査は、監視区域の指定要件充足の蓋然性が高い地域について、別途通達する土地取引規制基礎調査の調査要領により、地価の動向等を常時監視していくこと。
(2) 監視区域指定後の調査及び報告徴収については、下記の点に留意されたい。
(イ) 法第二七条の六第三項において準用する第一二条第一〇項の規定による調査(以下「監視区域詳細調査」という。)の対象地域は、監視区域として指定した区域及びそれに隣接する都市計画法第八条の規定による用途地域等の個別規制法に基づく地域区分に係る区域又は市町村の区域を単位として、従来の地価高騰時期における地価上昇の状況等を勘案して設定すること。
(ロ) 監視区域詳細調査及び報告制については、別途通達するところにより的確に調査すること。
(ハ) 調査の手法及び様式については、都道府県知事及び指定都市の長が、監視区域詳細調査の目的及び内容を踏まえ、正確かつ迅速な調査が行えるよう決定すること。
(3) 宅地建物取引業法第四五条の規定により、宅地建物取引業者は正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないとされているが、法第二七条の九の規定により、宅地建物取引業者が当事者となった土地売買等の契約等について報告することは、正当な理由に該当するものであるので、その旨留意されて報告制を活用されたい。また、宅地建物取引業者から報告を受けた具体的内容については、みだりに他に漏らしてはならないことに留意されたい。
(4) 報告徴収は地価の動向や土地の利用目的等の把握とともに、適正な土地取引が行われるよう監視区域詳細調査において問題であると判断された事例についての精査にも活用されたい。
第一〇 遊休土地に関する措置について
法第六章の規定による遊休土地に関する措置については、別途通知するほか下記の事項に留意のうえ、遊休土地の有効かつ適切な利用の促進に努めること。この場合において、この措置は、許可又は届出に際して行われる土地利用目的の審査を事後的に補完する意味をかねていることにかんがみ、届出等に際し、資産保全を目的とする等特定の利用目的をもたないこととされていた土地又は利用目的は特定されていたが現在の利用目的がこれと異なっている土地については、その事情を十分考慮すること。
一 法第二八条第一項の規定による遊休土地である旨の通知は、別途通知するほか下記により行うものとすること。
(1) 同項の規定による通知は、許可又は届出に係る土地について行うものであり、許可又は届出によらないで取得された土地は対象とはならないものであること。また、都市計画法第五八条の六第一項の規定による通知に係る土地は、法第二八条第一項の規定による通知の対象から除外されているとともに、法第二八条第一項の規定による通知を行った土地は、都市計画法第五八条の六第一項の規定による通知の対象から除外されているものであること。なお、通知を行う場合の要件とされている同項各号の該当の有無は、通知を行う時点においてそれぞれ認定すべきものであること。
(2) 地上権者又は賃借権者については、その土地の所有者が通知の相手方となる限りは、当該地上権等の設定の時期、その面積等の如何を問わず、すべて通知し得るものとされていることに留意すること。なお、所有者に通知した結果、地上権等が設定されていることが判明した場合には、その時点で別途その地上権者等に通知することも差し支えないものであること。
(3) 遊休土地である旨の通知を受けた者は六週間以内に利用又は処分に関する計画を届け出なければならないこととされ、この期間内に届出を行わない場合には法第四七条に基づき罰則が適用されるものであることから、当該期間の起算日に疑義を生じないよう遊休土地である旨の通知は配達証明によって行うものとすること。
(4) 法第二八条第一項第一号の一団の土地の認定については、下記の点に留意すること。
(イ) 同号における一団の土地は、法第二三条第二項第一号又は第二七条の四第二項第一号(第二七条の七第一項において準用する場合を含む。)かっこ書の一団の土地に準じ、社会通念に従い、相互に連接するひとまとまりの土地として物理的な一体性を有する土地を意味するものであること。
(ロ) 土地の取得が継続して行われている場合にあっても、すでに取得された一部の土地について通知を行うことも可能ではあるが、とくに大規模な事業等については、未だ土地の取得が完了していないこと等も考えられるため、その取得の状況、今後の見通し等を十分勘案すべきものであること。
(ハ) 一団の土地として認定し得べき土地の一部を限り、これを一団の土地として認定することは可能であるが、いたずらに土地利用の細分化をもたらし、又は所有者等の利用の可能性を著しく損なうこととならないよう配慮すべきものであること。
(5) 法第二八条第一項第二号の要件の認定については、下記の点に留意すること。
(イ) 同号中「取得」とは、実質的に所有権の移転等が完了したことをいい、必ずしも登記名義の移転等を要しないものであること。
(ロ) 農地等については、所有権移転等の仮登記のみが行われ未だ農地法第五条及び第七三条の許可を受けていない場合にあっては取得したと解すべきでないので、とくに留意すること。
(ハ) 土地区画整理事業等に基づく換地については、その従前地の取得時をもって当該換地の取得時とみなすものとすること。
ただし、仮換地指定が行われたにとどまる場合には、仮換地と従前地との地番及び面積の対応関係、仮換地を使用する権利の内容等が確定的でないこと、及び事業が継続中であることから通知を差し控えることが適当であること。
(6) 法第二八条第一項第三号の要件の認定に当たっては、その土地を含む近傍の土地における類似用途等について一般的又は標準的と認められる土地利用の形態又はその利用水準等を十分に比較衡量するとともに、下記の点に留意して行うものとすること。
(イ) 建築物等が存する土地について、その敷地が広大であることをもって同号の認定を行う場合にあっては、建ぺい率、容積率又は生産施設面積率(生産施設に係る土地の面積のその敷地面積に対する割合)等に関する建築基準法、工場立地法による基準等のおおむね一〇分の一前後を一応の目安とし、その地域の周辺の利用現況等を勘案して行うものとすること。また、その土地について火薬類取締法、高圧ガス取締法、電気事業法、ガス事業法又は石油パイプライン事業法等により土地の利用の程度等が制限されている場合にあっては、それらの基準と齟齬をきたさないよう、とくに配慮すること。
なお、建築基準法による基準等が存しない場合又はその建築物等が特殊な用途に係るものであり、これらの基準等をそのまま採用することが不適当な場合等にあっては、周辺地域の同一又は類似の用途に係る土地の利用状況からみて建築物等の敷地面積に対する割合が著しく狭小なものについて認定するものとすること。
(ロ) 土地の利用の程度を判断するに当たって考慮すべき事由としての整備水準、使用頻度及び管理状態等について、その具体的内容を例示すればおおむね次のとおりである。
(i) 整備水準とは、駐車場における舗装、屋根等の有無又は運動場における整備の程度等をいうものであること。
(ii) 使用頻度とは、駐車場における経常的な駐車台数、資材置場における経常的な保管資材の量等をいうものであること。
(iii) 管理状態とは、管理人の有無、運動場における芝生の手入れ状況等をいうものであること。
(iv) 山林等が森林経営の用として利用されているか否かについては、その樹種等の林況、その土地を取得した後における手入れの状態等を、その土地の所有者等の本来業務の性格等を踏まえつつ、総合的に考慮して判断すること。
(7) 法第二八条第一項第四号の適用に当たっては、とくに下記の点に留意すること。
(イ) 同号中「土地利用に関する計画に照らし」とは、法律又は条例等に基づき作成された計画を総合的に勘案した結果、その土地についての利用の在り方が明確になっておれば足りるものであり、必ずしも具体的な利用方法等が確定している必要はないものであること。
(ロ) 市街化区域又は用途地域等土地利用計画上積極的に都市的土地利用を図るべきものとされている地域内の土地で、緑地その他オープンスペースの保全の要請等による制約のないものについては、可能な限り遊休土地である旨の通知を行うことにより所有者等による利用の促進を図るものとすること。
この場合において、次の(i)から(iii)のすべてに該当する未利用地は、原則として同号に該当するものとして取り扱うこと。
(i) 道路(住居系地域にあっては幅員六メートル以上、商業系又は工業系地域にあっては幅員八メートル以上のものをいう。)が住居系又は商業系地域にあってはおおむね一五〇メートル以内、工業系地域にあってはおおむね二〇〇メートル以内毎に配されているおおむね五〇〜一〇〇ヘクタールの地域内に存し、かつ、当該未利用地から道路への接近が容易であること。
(ii) 五〇ヘクタール以下のおおむね整形の土地の区域ごとに算定した建築物の敷地その他これに類するものの面積(公共・公益的施設敷地を含む。)の合計が、当該区域の面積のおおむね三分の一以上である区域又は土地区画整理事業等が施行された区域若しくは開発許可を受けて造成された一団の宅地その他これに類する区域内に存するものであること。
(iii) 当該未利用地の利用に伴って当面新たに上下水道、義務教育施設等生活関連の公共・公益的施設整備のための公的投資が必要となるおそれのない地域内に存するものであること。
(ハ) 土地利用基本計画において土地利用上配慮されるべきこととされた公的機関の開発保全整備計画の対象となっている土地又は次の各号のいずれかに該当する土地で、土地利用に関する各種規制法規の趣旨に照らし実質的にみても問題のないものについては、遊休土地である旨の通知を行うことができるものであること。
(i) 住宅の建設、宅地の造成、公園・広場その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備等の公的使用計画に基づき地方公共団体、土地開発公社等による取得又は賃貸借、使用貸借等の希望のある土地
(ii) 市街化区域又は用途地域等に存するおおむね五〇〜一〇〇ヘクタールの区域において近い将来相当な人口の増加及び市街化の進行が見込まれるため、相当量の公共・公益的施設の用地需要の発生が確実であり、かつ、周辺の土地利用状況の変化に伴う地価の上昇、権利関係の複雑化等により当該土地を公共・公益的施設の用に供する時点において取得することが著しく不利又は困難となるおそれがあると認められるため、地方公共団体、土地開発公社等により先行的に取得し又は賃貸借、使用貸借する等の希望のある土地。
(ニ) 自然環境を保全し、又は森林、農用地等としての利用を促進する必要がある場合についても本号の適用を排除するものではないが、とくに、自然公園、鳥獣保護区又はこれらに準ずる地域等に存する土地については、一般的には本号の適用になじまないものと解されること。
(ホ) 一団の土地の一部について、すでに工事に着手している場合にあっては、不当に工事を遅延させている等の特殊な要因を認め得ない限り、遊休土地として認定しないものとすること。また、都市計画法による開発許可が申請中である場合等にあっても同様に扱うこと。
(ヘ) 鉄道、発電所等その事業の性格上土地の取得から利用までに通常長期間を要すると認められる事業に係る土地にあっては、その事業化の見込が明らかである限り、遊休土地として認定しないものとすること。なお、工場用地等将来の増設等を含めた最終的なレイアウトを想定して取得される土地の場合で、その一部が現に事業の用に供されており、かつ、今後の増設等の見込が明らかであるときにも同様に扱うこと。
二 法第二八条第二項の規定の運用に当たっては、同項の趣旨にかんがみ、その申出に応じて所要の措置を講ずることに努めるとともに、市町村長と常に密接な連絡調整を行うこと等により、その協力が得られるよう努めること。
三 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域に所在する土地について法第二八条第一項の規定による通知を行った場合には、別紙第一二の四の様式により、遅滞なく、その通知に係る土地が所在する市町村の長に通知すること。
なお、市町村長が都市計画法第五八条の六第一項の規定による通知を行った場合には、同条第二項の規定に基づき、遅滞なく、その旨を都道府県知事に通知することとされていること。
四 法第二九条第一項の規定による計画の届出については、下記の点に留意すること。
(1) 計画は通知のあった時点においてほぼ確定しているものであれば足り、必ずしも詳細な設計等を要求するものではないこと。
(2) 届出は所定の書式等を具備している限り、その補正を命じ、又は不受理とすべきものではなく、必要に応じ、別途その詳細な計画内容等を聴取すること等によるものとすること。
(3) 遊休土地の利用又は処分に関する計画の届出については、比較的短期の届出期間が設けられていることから、郵送で届け出られた場合には、郵送に要した日数は、算入しないものとすること。
(4) 法第二九条第一項により届け出られた遊休土地の利用又は処分に関する計画の内容が、土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に照らして当該土地の有効かつ適切な利用を促進するうえで支障がないと認められる場合には、その旨を別紙一三の様式により届出を行った者に対して通知することが適当であること。
なお、利用又は処分に関する計画に従って利用又は処分を行うべき期限については、おおむね六か月から一年程度を目安とし、個別の事業に応じて適宜定めるものとすること。
五 法第三一条第一項の規定による勧告については、下記の点に留意すること。
(1) 同項の適用は、届出に係る計画が各種の土地利用計画に消極的に抵触するか否かという判断にとどまらず、土地利用基本計画その他の土地利用計画を総合的に勘案するとともに、周辺の土地利用の動向、各種施設整備の状況等を踏まえて、その土地について社会的に要請される利用の在り方を基準として行うべきものであること。
(2) 勧告に従わないことが法第三二条を適用するための要件となっていることにかんがみ、勧告は相当程度まで具体的かつ明確なものであることを要し、個別の事案に応じて、届出に係る計画の変更、工事等に着手すべきおおむねの時期等を届出者のその土地についての利用の可能性を極度に制約しない限りにおいて、できる限り明示して行うことが適当であること。
六 法第三二条の規定による買取りの協議については、おおむね公有地の拡大の推進に関する法律の例により行って差し支えないが、とくに下記の点に留意すること。
(1) 買取りの協議を行う者を定めるに当たっては、必ずしも法第三二条第一項又は令第二一条の法人のすべてに買取り希望の有無等を照会する必要はないものであること。なお、令第二一条の法人に買取りを希望する者がない場合において、国又は令第二一条の法人に準ずべき公共的な法人がその土地の買取りを希望する場合にあっては、令第二一条の法人のうちからこれらの者にかわってその土地を取得する者を選び、又はこれらの者に対し本条に準じて所要のあっ旋等の措置を講ずることが適当であること。
(2) 買取りを希望する者の買取りの目的の適否については、法第三一条の規定による勧告の基準として想定されたその土地の「有効かつ適切な利用」との均衡を考慮するとともに、その目的に係る開発等については可及的速やかに着手し得るもの等であることが要請されるものであること。
七 遊休土地の利用又は処分に関する計画の届出がされ、これについて勧告又は勧告しない旨の通知を行った土地については、下記の点に留意のうえ、その後の利用又は処分の状況の把握に努めること。
(1) 遊休土地の利用又は処分の状況については、常時その把握に努めるべきものであるが、既に利用又は処分が行われた旨の報告を受けているものを除き、少なくとも年一回一二月において別紙一四の様式により、当該遊休土地の所有者等から報告を聴取するものとすること。
(2) 遊休土地の利用又は処分の状況について、所有者等から報告を徴した場合において、必要があると認めたときは、市町村の協力を得て、現地調査又は事情聴取を行うこと。
(3) 遊休土地の一部が利用又は処分されたことにより法第二八条第一項第一号の要件を欠くこととなった場合であっても、遊休土地の通知は、なお利用又は処分がされていない部分について有効であるので、当該なお利用又は処分がされていない部分について(1)及び(2)に基づき報告の聴取等を行うこと。
第一一 土地利用審査会の運営等について
土地利用審査会の組織及び運営については、四九国土利第二号「国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会について」によるほか、下記の事項に留意すること。
一 土地利用審査会における議事については、議長は議案の採決において他の委員と同時に第一回目の採決からこれに加わることができるものであること。
二 委員に欠員を生じた場合には、可及的速やかに補充すべきことは当然であるが、欠員が生じている状態であっても土地利用審査会としての機能には特段の支障を及ぼさないものであること。ただし、規制区域の指定若しくは指定の解除又はその区域の減少に係る確認及び監視区域若しくは注視区域の指定若しくは指定の解除又はその区域の減少に係る意見の議案においては、欠員を補充のうえ採決を行うものとすることが適当であること。
三 土地利用審査会の議事については、法第二〇条第三項の規定に基づく場合を除き、個人の財産権に重大な関係を有するものであること等にかんがみ、原則として、非公開により行うべきものであること。
四 法第三九条第八項の「事件」とは、審査請求の裁決又は勧告に係る議案等を意味するものであり、規制区域の指定に係る確認等はこれに該当しないものであること。
第一二 立入検査及び土地調査員について
法第四一条の規定による立入検査及び質問並びに法第四二条の規定による土地調査員については、下記の事項に留意のうえ、法の厳正かつ的確な運用に遺憾なきを期すること。
一 法第四一条の規定により立入検査及び質問を行う場合には、下記により行うものとすること。
(1) 立入検査又は質問は、法第一四条第一項の許可の申請又は第二三条第一項、第二四条の四第一項(第二四条の七第一項において準用する場合を含む。)若しくは第二九条第一項の規定による届出が行われた場合において行い得るものであり、許可の申請又は届出をすべきであるにもかかわらずその許可の申請等を行っていないと認められる場合については、別途、所要の指導等を行うことは格別、本条の適用はないものであること。
また、規制区域の指定、その解除等又は遊休土地である旨の通知等についても、本条の適用はないものであること。
(2) 本条の規定により立ち入ることができるのは、許可の申請等に係る「当事者の営業所、事務所その他の場所」であり、通常は、その許可の申請等に係る取引等に関する帳簿等が存する場所に限られるものであること。なお、当事者が個人である場合等においては、その居住の用に供されている住宅が法にいう営業所、事務所等と解される場合が多く、その限りにおいてその住宅に立ち入ることも可能であるが、この場合には、とくに慎重に行うべきものであること。
(3) 許可の申請等に係る取引について融資、信用保証等を行った金融機関、又はその媒介を行った宅地建物取引業者の事務所等に立ち入ることはできないものと解すべきであること。
(4) 当事者が法人である場合において、その営業所又は支店等で用地取得に係る事務等が行われた場合については、その法人の本社又は本店等について立入検査を行うことは可能であるが、その場合においても、「この法律の施行に必要な限度」に限られるものであることに留意すること。
二 法第四二条の規定による土地調査員については、とくに、下記の事項に留意すること。
(1) 本条の規定による土地調査員は、法第四一条の規定による立入検査及び質問に関する職務を行う者として特別に任命されるものであり、その土地調査員としての資格又は身分に基づき、個々の事案についての都道府県知事の命令を待たず、当然に第四一条の規定による立入検査又は質問の権限を行使し得るものであること。
(2) 土地調査員の行う立入検査及び質問は、法第四一条の規定に従い行うべきものであり、その場合には、上記一によるものとすること。
(3) 土地調査員に関する法第四二条の規定は、個別の事案について、その都度、土地調査員でない職員が法第四一条の規定に基づき立入検査又は質問を行うことを否定するものではないこと。
三 規則別記様式第七中「職名」の項には、法第四一条の規定により、特定の事案について個別の知事の命を受けて立入検査等を行う者については、その者の通常業務における職名を、土地調査員である者については、土地調査員である旨を記載すること。