国土利用計画法(以下「法」という。)第一二条の規定による規制区域の指定及び許可申請の処理に係る基本的事項等については、すでに、国土事務次官通達(昭和四九年一二月二四日付け四九国土利第六〇号「国土利用計画法の施行について」)、計画・調整局長、土地局長通達(昭和四九年一二月二四日付け四九国計総第六六号・四九国土利第六一号「国土利用計画法の施行について」)、地価調査課長通達(昭和五〇年一月二〇日付け五〇国土地第四号「国土利用計画法の施行に伴う土地価格の評価等について」)及び土地利用調整課長通達(昭和五〇年一月二四日付け五〇国土利第一一号「国土利用計画法及び同法附属法令の運用について」)をもつて所要の通達を行つたところであるが、さらに左記の事項に留意のうえ規制区域制度の十全な運用を図り、法の施行に遺憾のないようにされるとともに、速やかに関係事項を関係市町村に周知方取り計らわれ、法の運用に万全を期されたい。
また、国土利用計画法の施行に伴う登記事務の取扱いについては、法務省民事局長及び同省民事局第三課長より法務局長・地方法務局長あてそれぞれ昭和五〇年五月二七日付け法務省民三第二七六〇号及び昭和五〇年五月二七日付け法務省民三第二七六一号をもつて通達等がされているので念のため申し添える。
第一 規制区域の指定等に係る登記所への通知について
法第一二条の規定により規制区域の指定、解除又は区域の減少等の公告を行つた場合には、国土利用計画法施行令(以下「令」という。)第四条の規定に基づき、遅滞なく、当該公告に係る事項(区域、期間及び事由)を管轄登記所に通知するものとされている。この場合における通知については、左記により行うものとすること。
一 規制区域の指定を市、区、町、村、字等の不動産登記法施行令第一条に規定する地番区域を単位として行つた場合には、当該規制区域に含まれる市町村名及び字名等を記載して行うものとすること。
二 一にかかわらず、規制区域の指定を地番区域を分断して行つた場合には、規制区域に含まれる当該土地の公簿上の地番を列記した地番総括簿及び当該土地についてそれぞれの地番を明らかに図示した縮尺一、〇〇〇分の一以上の地番総括図を正・副それぞれ一通添付して行うものとすること。
三 規制区域の指定は、法第一二条第三項の規定による公告により、直ちにその効力が生ずるものとされているので、管轄登記所において、所要の準備態勢等がとられるよう、公告に先立つて、必ず管轄登記所に対して、公告を予定している事項をあらかじめ通告しておくものとすること。
四 法第一二条第一二項の規定による規制区域の指定の解除又は同条第一五項の規定による規制区域に係る区域の減少についても、前記一から三までに準ずるものとすること。
第二 許可申請に係る事務処理について
法第一四条第一項の規定による許可申請については、五〇国土利第一一号記第二中必要な読み替えを行つたうえ、これに準ずるものとするほか、左記により処理するものとすること。
一 許可申請書の記載事項及び提出部数について
(一) 許可申請書には、「用途等」の欄に法第一六条第一項第二号イからヘまでのいずれに該当するものであるかについての記載を求めるものとすること。
(二) 許可申請書の副本の提出部数は原則として三部とするものとすること。
二 添付図書について
(一) 国土利用計画法施行規則(以下「規則」という。)第五条第二項第一号の規定により土地登記簿の謄本が必要的添付書類とされているが、これは、許可申請書に記載された土地登記簿上の地番、地目及び面積が誤記された場合には、許可の処分が行われても登記所において登記申請が受理されないこととなるためである。
したがつて、許可申請書を受理するときには、許可申請書の記載事項を土地登記簿の謄本により正確に照合すること。
(二) 規則第五条第二項第六号に掲げる書面は、法第一六条第一項第二号イからヘまで(ヘに該当するものについては、令第一二条各号)のいずれに該当するものであるかを証するに足りる事由を当事者において具体的に記載した文書とすること。
三 許可申請書が提出されるに際しては、左記の事項に留意するものとすること。
(一) 規制区域における土地取引については、公有地の拡大の推進に関する法律の規定による届出は要しないものとされていること。
(二) 規制区域が指定された際、既に法第二三条の規定による届出がされている場合においては、令第六条第一二号の規定により、当該届出については届出の審査を行えば足り、改めて許可申請は要しないものとされていること。
四 令第一三条の規定により行うこととされている許可若しくは不許可の処分又は法第一七条第二項の規定により許可があつたものとみなされた場合の通知は、それぞれ許可申請書の副本の上部に別紙一様式第一から第三までに従い記載することにより行うものとして差し支えないこと。なお、同一の許可申請に係る土地の一部についてのみ許可の処分を行うことにより、これにより難い場合には、前記二の(一)及び左記第三の一の趣旨を踏まえて、適宜の方法により処理するものとすること。
第三 許可又は不許可の通知について
法第一四条第一項の規定による処分(法第一七条第二項の規定により法第一四条第一項の許可があつたものとみなされたときを含む。)をしたときは、令第一三条第一項の規定により、遅滞なくその処分に係る土地の所在、面積、土地の地目、土地に関する権利の種別及び内容等を文書をもつて申請者に通知すべきこととされている。令の規定に基づく通知を行うに当たつては、左記の点に留意すること。
一 令第一三条第一項の規定により通知する許可(又はいわゆるみなし許可)の処分に係る文書は、不動産登記法第三五条第一項第四号において必要とされる許可等を証する書面に該当し、その添付がない場合には、不動産登記法第四九条第八号の規定により登記の申請が却下されることとなる。したがつて、令第一三条第一項の規定による文書は、規制区域において許可を受けることを必要とする土地取引について、所要の不動産登記を行う場合における必須の書類であることに留意のうえ、その処理を行うこと。
二 令第一三条第一項の規定による不許可の処分に係る文書に記載する不許可の理由には、少くとも法第一六条第一項各号等のいずれに該当するかを記載するほか、法第一六条第一項第三号又は第四号に該当することにより不許可の処分を行う場合には、当該号に該当すると判断した事由の概要についても記載するものとすること。
三 法第一四条第二項又は令第六条の規定により許可を要しない場合とされているもののうち、不動産登記の申請が法第一四条第二項又は令第六条各号に該当する事由に基づくものであることが不動産登記申請書類上明らかでない場合には、登記申請に当たり法定除外事由に該当するものであることを証する書面の添付が必要となるものである。
法定除外事由に該当することを証する書面は、おおむね左記のとおりであるが、このうち、5)については、法所管部局において処理することとなるので、その処理に遺憾なきを期するとともに左記4)については、法を所管する市町村部局にその旨の周知を図ること。
1) 令第六条第三号の場合にあつては、裁判所が発行する許可のあつたことを証する書面
2) 令第六条第六号前段の場合にあつては、都道府県知事が発行する土地収用法第一五条の二のあつせんに基づくものである旨を証する書面
3) 令第六条第八号の場合にあつては、事業認可権者が発行する処分計画に従つて行う造成施設等の処分である旨を証する書面
4) 令第六条第一一号の場合にあつては、市町村(指定都市を含む。)の長が発行する同号に該当するものであることを認定した旨を証する書面
5) 令第六条第一二号の場合にあつては、都道府県知事又は指定都市の長が発行する同号に該当するものである旨を証する書面
第四 法第一八条の協議の方法について
一 趣旨
法第一八条の規定により、国及び地方公共団体並びに令第一四条の法人が当事者である土地売買等の契約については、都道府県知事との協議の成立をもつて法第一四条第一項の許可があつたものとみなすこととされている。
これは、特に必要性がある区域に限つて許可制を行う規制区域制度の趣旨にかんがみ、国等についても適用除外として扱うこととせず法第一六条の趣旨を踏まえて行われる都道府県知事との協議が成立した場合に限り許可と同様の効力を附与することとしたものである。
二 解釈上とくに留意すべき点
(一) 国等と協議を行う場合におけるその手続及び協議の基準については、法第一五条から第一七条までの規定の適用はないが、第一六条については、国等についても遵守されるべきことは当然であり、また、第一七条において処理期間を六週間以内と定めている法の趣旨にかんがみ、協議は、申し出があつてから六週間以内で可及的速やかに行うこと。
(二) 法第一四条第一項の規定に基づく処分を前提とする法第一九条から第二一条までの規定及び第二八条から第三五条までの規定による措置は、本条による協議については適用されないこと。
三 国等との協議の運用準則
本条の規定による協議については、前記一の趣旨を考慮し、あわせてとくに公共事業等の施行に係る場合等が多いことを踏まえて、左記により運用するものとすること。
(一) 協議の方法
国等が土地に関する権利を取得又は処分する場合においては、次の要領により処理するものとすること。
(イ) 協議の開始
都道府県知事は、国等から土地に関する権利の取得又は処分を行おうとする土地について、別紙二記の欄に国等において必要な事項を記載した書面が提出された場合はもとより国等から当該予定地の位置、当該予定地内の状況類似地区ごとの標準地及び最高価格地の所在及び地番、当該標準地及び最高価格地の取得又は処分の予定対価の額並びに当該予定地の取得又は処分後における土地の利用目的を明らかにした書面が提出されたときにおいても協議を開始するものとすること。
なお、協議の開始は、事業施行予定区域等土地の所在及び利用目的等が定まつていれば足り、必ずしも、当該予定地の登記簿上の地番及び地積、土地に関する権利の取得又は処分の相手方の氏名等のすべてが判明している必要はないものであること。
(ロ) 協議事項
都道府県知事は、国等の取得又は処分の予定に係る土地について、状況類似地区ごとに前記(イ)の標準地及び最高価格地に係る取得又は処分の予定対価の額に関し、協議を了するものとし、特に国等が公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づいて土地に関する権利を取得する場合には、当該協議に係る予定対価の額を尊重して迅速に処理するものとすること。
また、国等の行う土地に関する権利の取得又は処分後における土地の利用目的について、法第一六条第一項第二号から第四号までの規定の適用に準じて協議を了するものとすること。なお、国又は地方公共団体が土地に関する権利の取得を行う場合又は令第一四条に掲げる法人がそれぞれの設置法等に定められた本来業務の遂行のために土地に関する権利の取得又は処分を行う場合にあつては、一般的に同項第二号から第四号までに該当しないものと解して差し支えないこと。
(ハ) 特定事案に係る協議の特例
都道府県知事は、左記1)から5)までに掲げる国等の土地に関する権利の取得又は処分に係る協議については、前記(イ)及び(ロ)の手続によらず、左記四(イ)の書面が提出された場合において当該土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、当該国等が土地に関する権利の取得又は処分の価格を従来の方式により算定しているときは、直ちに協議を了して差し支えないものであること。
1) 国等がいわゆる用地先行取得につき法第一四条第一項の許可(法第一八条による協議の成立を含む。)を受けた者から当該許可に係る土地を取得する場合
2) 現に居住の用又は事業の用に供されている土地を当該土地について使用又は収益を目的とする権利を有する者に処分する場合
3) 地形が狭長である等単独利用が困難な土地又は極めて小規模な土地をその隣地の所有者又は使用収益権者に処分する場合
4) 国等が国有財産特別措置法第三条の規定等法令の規定に基づき時価から一定の割合を減額した対価で土地に関する権利を処分する場合
5) 国等が法律上定められた土地に関する権利を時価で買い取るべき義務を履行するために土地に関する権利を取得する場合
(二) 協議の運用に当たつての留意事項
国等との協議の運用に当たつては、前記(一)によることとするほか、左記の事項に留意すること。
(イ) 土地売買等の契約の当事者の双方が国等である場合には、都道府県知事は、そのいずれか一方の者から協議を受ければ足りるものであること。
(ロ) 都道府県知事は、前記(一)(ロ)の協議を了した内容について、国等からその内容を確認する文書の交付を求められたときは、これに応ずるものとすること。
(ハ) 流通業務市街地の整備に関する法律第三三条第一項の規定により土地を処分する場合、日本住宅公団がその業務として土地を処分する場合等法令等に基づき定められた処分価額があるときには、協議に当たりその価額を尊重すべきものであること。
(ニ) 災害復旧等緊急を要する事業に係る土地の取得に関する協議については、おおむね二週間を目途として処理すべきものであること。
四 協議の成立を証する文書の発行
協議の成立を証する文書の発行に当たつては、規則第一七条の規定によるほか、下記によるものとすること。
(イ) 都道府県知事は、前記三(一)(ロ)の協議を了し又は三(一)(ハ)に該当する事案について、国等から当該協議に係る土地の所在、面積及び地目、土地に関する権利の種別及び内容、土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額、土地に関する権利の移転又は設定後における土地の用途並びに土地に関する権利の取得又は処分の相手方の氏名を明らかにした書面の提出あつたときは、可及的速やかに協議が成立した旨及びこれらの事項を明らかにした文書を発行するものとすること。
(ロ) 前記(イ)の文書は、一件別に作成することを要せず、一覧表形式のもので足りるものであること。
なお、当該協議成立済証の様式は別紙二によるものとすること。
(ハ) 都道府県知事は、国等から土地に関する権利の取得又は処分を完了した案件について契約書の写しが送付されたときにおいても、前記三(一)(ロ)の協議を了した内容に適合しているものについては、当該契約書の写しに協議が成立した旨を証する公印等を押印した上協議が成立した旨を証する文書として国等に送付するものとすること。
第五 法第一六条の運用について
法第一六条の規定の具体的運用に当たつては、左記の点に留意すること。
一 昭和四八年改正前の公有水面埋立法第二七条第一項の規定により港湾管理者の長の許可を要する埋立地の譲渡について法第一四条第一項の許可の申請があつたときは、港湾管理者の長が当該申請に係る埋立地の譲渡等の予定対価が当該埋立地の造成価格を考慮して定められたものであると認めて処分を行つたものである場合にあつては、直ちに許可をするものとすること。
二 法第一六条第一項第二号の運用について
(一) 第二号イについて
法第一六条第一項第二号イには、土地収用事業施行者が残地を買い取る場合が含まれるものであること。
(二) 第二号ホについて
法第一六条第一項第二号ホの要件に該当するか否かについては、具体的事案に即して判断すべきものであるが、例えば、次に掲げる土地取引については、事業の性格等からみて一般的にこの要件を満たすものと解して差し支えないこと。
(イ) 住宅の建設の用に供する宅地(住宅と併せて建設され又は整備されるべき施設の用に供する宅地を含む。)の造成又は造成された宅地の譲渡若しくは賃貸に係る事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の用に供されるためのものであるとき。
(ロ) 共済組合、健康保険組合、年金福祉事業団、簡易保険郵便年金福祉事業団、労働福祉事業団、宇宙開発事業団等の公共的な法人等がその業務の用に供するためのものであるとき。
(ハ) 職業訓練法第二四条第一項の規定により認定を受けて職業訓練を行い、又は行おうとする者が当該職業訓練の用に供するためのものであるとき。
(ニ) 農地保有合理化法人が農地法第三条第二項ただし書の農地保有合理化促進事業の実施の用に供するためのものであるとき。
(ホ) 生産組合又は出資施設組合が、森林法第七九条第一項第二号又は第八五条の二第一項の事業を行うため森林を取得する場合及び出資施設組合又は出資連合会が同法第七九条第二項第五号の三又は第一五四条第一項第六号の三の事業として売り渡し、貸し付け又は交換する場合
(ヘ) 飛行場設置者が飛行場の進入表面、転移表面又は水平表面の上に出る物件に係る土地又はこれらの表面の投影図に係る土地を取得する場合
(ト) 事業主、事業主団体、労働組合、民法第三四条の規定により設立された法人等が労働会館等の労働者のための福祉施設の用に供するためのものであるとき、及び地域の健全な発展のために支障とならない労働者のための教養、文化、体育又はレクリエーシヨンの施設の用に供するためのものであるとき。