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別添 都道府県地価調査事業事務取扱要領運用細則
第一 都道府県地価調査事業実施計画について
要領第五条の都道府県地価調査事業実施計画については、別記様式一により都道府県地価調査事業実施計画書を作成し、二月末日までに国へ報告するものとする。
第二 基準地の選定について
要領第六条の基準地の選定については、次に定めるところにより行うものとする。
1 用語の定義
次の用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
(一) 地価公示対象区域
地価公示法(昭和四四年法律第四九号)第二条第一項に規定する区域をいう。
(二) 住宅地
市街化調整区域を除く都市計画区域(都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第四条第二項の規定による区域をいう。以下同じ。)内の第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域及び第二種住居地域(以下「第一種住居地域等」という。)において、居住用の建物の敷地に供されている土地並びに都市計画法第八条第一項第一号に定める用途指定のされていない都市計画区域及び都市計画区域外において、居住用の建物の敷地の用に供されている土地をいう。
(三) 宅地見込地
市街化調整区域を除く都市計画区域内の第一種住居地域等のうち、現に大部分の土地が農地、採草放牧地、林地等として利用されており、かつ、将来において、市街化されることが、社会的にみて合理的とみとめられる地域内の宅地化されていない土地をいう。
(四) 商業地
市街化調整区域を除く都市計画区域内の準住居地域、近隣商業地域及び商業地域(以下「商業地域等」という。)において、商業用の建物の敷地の用に供されている土地並びに用途指定のされていない都市計画区域及び都市計画区域外において、商業用の建物の敷地の用に供されている土地をいう。
(五) 準工業地
市街化調整区域を除く都市計画区域内の準工業地域において、居住用若しくは商業用の建物又は工場等の敷地の用に供されている土地をいう。
(六) 工業地
市街化調整区域を除く都市計画区域内の工業地域及び工業専用地域(以下「工業地域等」という。)において、工場等の敷地の用に供されている土地並びに用途指定のされていない都市計画区域及び都市計画区域外において、工場等の敷地の用に供されている土地をいう。
(七) 調整区域内宅地
市街化調整区域内において、居住用又は商業用の建物の敷地の用に供されている土地をいう。
(八) 林地
市街化区域外において次に掲げるそれぞれの林地をいう。
ア 都市近郊林地
市街地的形態をしている地域の近郊にある地域内の林地をいい、市街地の宅地化の影響を受けている林地
イ 農村林地
農村集落の周辺に位置するいわゆる里林地に属する林地で、一般に農業を主に、林業を兼ねている地域内の林地
ウ 林業本場林地
林業の中心にある地域又は地方の有名林業地で、有名林業地としての銘柄又はこれに準ずる用材を生産している地域内の林地
エ 山村奥地林地
交通機関から判断して最も不便な山村奥地に属する地域内の林地
2 基準地選定の原則
基準地は次に掲げる諸原則にできる限り合致するものでなければならない。
(一) 代表性の原則
基準地は、市町村の区域内において、適切に分布し、当該区域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること。
(二) 中庸性の原則
基準地は、当該近隣地域内において土地の利用状況、環境、地積、形状等が中庸のものであること。
(三) 安定性の原則
基準地は、できる限り土地の利用状況が安定した近隣地域内にあって、当該近隣地域の一般的用途に適合したものであること。
(四) 確定性の原則
基準地は、土地登記簿、住居表示、建物、地形等によって明確に他の土地と区分され、かつ、容易に確認できるものであること。
3 基準地選定の基準
基準地を設定する近隣地域は、地価公示対象区域及び地価公示対象区域外の区分並びに土地の種別に応じ、次に定めるところによるものとする。
(一) 地価公示対象区域
ア 宅地
基準地を設定する近隣地域は、地価公示で用いられている標準地設定区域の区分に基づき、市町村ごと、用途別に標準地との均衡を考慮し、選定すること。
ただし、要領第六条の指定基準地となる基準地については、第三に定めるところにより原則として標準地から選定すること。
イ 宅地見込地
宅地見込地については、原則として、想定開発規模の程度に応じ、次に定めるところにより選定すること。この場合において基準地を選定するときは、基準地相互間の間隔等を考慮して基準地を設定するものとする。
(ア) 小規模開発適地に基準地を選定する場合
(i) おおむね〇・三ヘクタールから一ヘクタールまでの規模で開発することが適当と思われる地域。
(ii) 鉄道駅から約一・五キロメートルから三キロメートルまで又はバス停から約〇・五キロメートルから一・五キロメートル離れた地域。
(iii) 周辺一帯は農地として利用され、一般住宅等が散在するところから約五〇メートル以上離れている熟成度の比較的低い宅地見込地地域。
(イ) 大中規模開発適地に基準地を選定する場合
(i) おおむね五ヘクタールから一〇ヘクタールの規模で開発することが適当と思われる地域。
(ii) 鉄道駅から約一・五キロメートルから五キロメートル離れた地域。
(iii) 周辺一帯は農地、採草放牧地又は林地として利用され、一般住宅等がほとんどみられない熟成度の低い宅地見込地地域。
ウ 林地
基準地を選定する地域は、各都道府県における林地の価格水準を的確に把握しうる近隣地域から選定すること。
この場合において基準地を選定するときは、林地の地域的特性により、都市近郊林地、農村林地、林業本場林地及び山村奥地林地の類型にそれぞれ分類し、選定するものとする。
(二) 地価公示対象区域外
ア 宅地及び宅地見込地
基準地を設定する地域は、市街地的形態をなしている地域又は集落を形成している地域から選定する。
イ 林地
地価公示対象区域内における林地の基準地の選定に準じて行うこと。
4 基準地の個別的要因に関する要件
基準地は、できる限り次に定める個別的要因を有するもののうちから選定するものとする。
(一) 住宅地、商業地、準工業地、工業地及び調整区域内宅地
ア 原則として、一方が道路に接する画地であること。ただし、近隣地域の状況に応じて二方路の土地、角地等を選定しうるものとする。
イ 画地の形状は、できる限り長方形のものであること。
ウ 画地の面積は、近隣地域において標準的なものであること。
エ 画地の用途は、原則として、将来相当の期間にわたって安定的なものであること。ただし、用途が移行しつつある地域においては、必要に応じて移行地を選定しうるものとする。
オ 公営住宅、公団住宅(分譲したものを除く。)、市庁舎等公共建物の敷地でないものであること。
(二) 宅地見込地
ア 小規模開発適地に基準地を設定する場合
(ア) 道路(幅員三メートル程度)から一画地離れた田又は畑であること。
ただし、土地改良事業施行済の地域においては、幹線農道より相当離れた支線農道に面した田又は畑であること。
(イ) 画地の面積は、約八〇〇平方メートルから約一、二〇〇平方メートルのものであること。
(ウ) 基準地を含む周辺地域は、三年程度は宅地化される見込みのないものであること。
イ 大中規模開発適地に基準地を選定する場合
(ア) 道路(幅員三メートル程度)から約五〇メートル以上離れた田、畑、採草放牧地又は林地であること。ただし、土地改良事業施行済の地域においては、アの(ア)のただし書の例によること。
(イ) 画地の面積は、田又は畑にあっては約八〇〇平方メートルから約一、二〇〇平方メートル、採草放牧地又は林地にあっては約二、〇〇〇平方メートルから約一〇、〇〇〇平方メートルのものであること。
(ウ) 基準地を含む周辺地域は、五年程度は宅地化される見込みのないものであること。
(三) 林地
ア 画地の面積は、約一、〇〇〇平方メートル以上のものであること。
イ 位置、標高、傾斜度、林産物の搬出の難易等が近隣地域内において標準的なものであること。
5 基準地の確定に関する要件
基準地は、他の土地と明確に区別するため、次に掲げる全ての条件を満たすものから選定するものとする。
(一) 基準地の所在及び範囲が、宅地にあっては土地登記簿、住居表示、土地区画整理事業等に基づく仮換地の指定又は建物等によって、宅地見込地及び林地にあっては土地登記簿、道路(畦畔を含む。)、谷、沢、樹木等によって確定されるものであること。
(二) 宅地にあっては、建物等の敷地として利用されている又は利用されることが明らかな一筆の土地又は二筆以上の一団の土地の全部を対象とすること。ただし、借地権の付着している土地の場合において、借地契約書等により、当該借地権の付着している土地と他の土地とが明確に区別できるときは、一筆の土地の一部を対象とすることができる。
また、宅地以外の土地にあっては、原則として、一筆の土地の全部を対象とすること。
(三) 土地登記簿記載の地積と実際の地積との差が、宅地にあっては約二〇パーセント以内のもの、宅地見込地にあっては約三〇パーセント以内のもの、林地にあってはできる限り少ないと思われるものであること。
6 基準地の点検及び選定
都道府県は、別記様式二による基準地の点検表及び基準地の候補地の選定を行う必要があるときは別記様式三による基準地の選定調書を鑑定評価員に作成させ、審査のうえ基準地の点検及び選定を行うものとする。
なお、基準地の点検及び基準地の選定調書の記載は別紙一によるものとする。
第三 指定基準地について
指定基準地の選定については、次に定めるところにより行うものとする。
1 指定基準地設定の趣旨
都道府県地価調査は、各基準地についての価格と公示価格との間の均衡の保持については、とくに留意する必要があり、基準地の数も相当数となるため、各基準地相互間の価格についても、その均衡を失しないよう配慮することが必要である。したがって、相当数の基準地について地価公示における標準地群等を考慮して一定の範囲で基準地群をまとめ、その中から基準となる指定基準地を選定し、当該指定基準地より各基準地群に属するそれぞれの基準地の価格について秤量的検討を行い評価の適正を期するものとする。
2 対象用途
指定基準地は、住宅地及び商業地として設定されている基準地(市街化調整区域に設定されている基準地を除く。)から選定する。
3 基準地群
都市計画法上の地域地区、市町村、交通体系等の観点から価格牽連性があると認められる基準地を地域的にまとめ、地価公示における標準地群等を考慮して、おおむね五地点から一五地点を含む基準地群として区分するものとする。
なお、都道府県は、指定基準地のうち地価公示の標準地と同一である基準地について別記様式一五の指定基準地及び基準地群調書を分科会幹事に作成させ、審査のうえ五月末日までに国へ提出するものとする。
4 指定基準地の性格
指定基準地は、当該指定基準地の属する基準地群全体の価格水準をできるだけ代表しうるものであるとともに、当該基準地群に属する基準地について規範性を有するものでなければならない。
5 指定基準地の協議
指定基準地を決定しようとするときは、六月一〇日までに別記様式四により国と協議するものとする。
第四 基準地の報告について
要領第六条の基準地の報告は、別記様式五により行うものとする。
第五 基準地の鑑定評価の審査について
要領第七条第一項の基準地の鑑定評価の審査については、次に定めるところにより行うものとする。
1 標準価格の判定の基本原則
標準価格の判定にあたっては、国土利用計画法施行令第九条、不動産鑑定評価基準の設定に関する答申(平成二年一〇月二六日 二国鑑委二五号)の趣旨を遵守のうえ適正に行うものとする。
2 鑑定評価の審査方法
鑑定評価の審査は書面により行うものとする。ただし、必要と認めるときは実地に調査し、又は相当鑑定評価員等の意見を求めて行うものとする。
3 鑑定評価書の記載事項の確認
鑑定評価書の提出があった場合には、鑑定評価書の各項目別記載事項及び付属資料について記載内容を確認するものとする。
4 鑑定評価書の審査
鑑定評価書を受理した場合には、次に掲げる土地の種別に応じ記載事項について審査を行うものとする。
(一) 宅地
ア 公報記載事項
鑑定評価書中の公報記載事項については、基準地の選定調書等(都道府県公報及び点検表を含む。)との照合をすること。
イ 基準地(宅地)価格評価の内訳
(ア) 近隣地域の状況、範囲と基準地の最有効使用の判定に関する記載内容
近隣地域の範囲、地域的特性、地域要因の将来予測及び最有効使用の判定について、妥当性を検討すること。
(イ) 比準価格の試算
(i) 取引事例の検討
採用した取引事例の所在、位置等を取引事例カードにより確認するとともに、事例の妥当性、規範性等について検討すること。特に、小規模開発地における事例及び過小画地の事例については、価格水準が異常に高いことが多いので、当該事例が採用されている場合には十分留意すること。
(ii) 事情補正の検討
採用した事例の取引きについて、取引事例カード等によりその内容を把握し、補正率の妥当性について検討すること。同一事例を二以上用いている場合は補正率が同一であるかを確認し、異なっている場合は、事情の内容によりいずれの率が妥当であるかを検討すること。
(iii) 時点修正の検討
1) 採用した取引事例の価格時点が価格判定の基準日と異なることにより、価格水準に変動があると認められる場合は、標準地及び基準地の対前年変動率を指標とし、国土庁から送付する地価動向に関する資料並びに要領第一三条に定める学識経験者等の会議(以下「都道府県地価調査委員会等」という。)において検討した変動率及び地価動向を参考として、修正率の妥当性について検討すること。
2) 近隣地域及び同一需給圏内の類似地域において、各鑑定評価員の採用した時点修正率が著しく異なる場合には、時点修正率の妥当性について特に留意すること。
(iv) 建付減価の補正の検討
採用した取引事例が建付地に係るもので、最有効使用のものでないと判断され建付減価の補正が行われている事例の場合は、取引事例カード等により建物の老朽化、敷地と建物の適合の状態等を把握し、補正率の妥当性について検討すること。
(v) 事例地の個別的要因の標準化補正の検討
個別的要因の標準化補正が行われている取引事例は、その個別的要因が取引事例の属する地域の標準的な使用に合致していないものであるから、取引事例カードにより、間口、奥行等の画地の状況、面積、前面道路の状態等の個別的要因を把握し、補正率の妥当性について検討すること。
(vi) 地域要因の検討
採用した取引事例が同一需給圏内の類似地域に存し、基準地の属する近隣地域との比較により修正されている場合は、修正率の妥当性について検討すること。
(vii) 基準地の個別的要因の検討
基準地が近隣地域における標準的使用の土地でないことにより、補正が行われている場合は、補正理由を把握し、補正率の妥当性について検討すること。
(viii) 比準価格の決定理由の検討
比準価格は、採用した事例資料の特徴等との関連において適正に決定されているかを検討すること。
(ウ) 収益価格の試算
(i) 収益価格の算定
収益価格算定内訳について、手法が適切に適用されているかどうか検討する。直接法を適用した場合、特に純収益がマイナスになった場合等については、その理由の妥当性を検討するとともに、算定過程等についても十分検討すること。
(ii) 採用した還元利回りの検討
採用した還元利回りが金融市場において最も一般的と思われる投資利回りを標準とした還元利回りに比較して、開差がある場合には特に留意のうえその妥当性について検討する。
(エ) 積算価格の試算
(i) 造成事例の検討
取引事例の検討に準じて行うこととし、特に積算過程について検討すること。
(ii) 素地価格の検討
素地の取得価格並びに当該取得価格に係る事情補正及び時点修正の妥当性について検討すること。
なお、価格時点における類似の素地の取引価格等から素地の価格を求める場合は、素地の価格の妥当性について検討すること。
(iii) 造成工事費及び付帯費用に係る時点修正の検討
造成工事費及び付帯費用に係る時点修正は、建設資材価格、労務単価等の推移及び一般物価指数等を標準として検討すること。
(iv) 有効宅地化率の検討
当該事例の有効宅地化率は、類似の造成事例の標準的な有効宅地化率を参考として検討すること。
(v) 熟成度修正の検討
造成完了時から価格時点までの間に環境条件が整備され近隣地域の要因が変化している場合にあっては、熟成度補正率の妥当性について検討すること。
(vi) その他
事情補正、時点修正、事例地の個別的要因の標準化補正、地域格差、基準地の個別的要因の比較及び積算価格の検討にあたっては、比準価格の試算の各項目を準用すること。
(オ) 試算価格の調整及び鑑定評価額決定の理由
試算価格の調整、単価と総額との関連、指定基準地との標準価格との秤量的検討、公示価格を規準とした価格との均衡を図った経過の内容等鑑定評価額決定の理由について検討すること。
(カ) 公示価格を規準とした価格の検討
標準地が設定されている市区町村にあっては、基準地が地価公示の標準地と同一である場合は当該標準地の公示価格を規準としているか、またそれ以外の場合は基準地の属する近隣地域における標準地又は同一需給圏内の類似地域にある標準地の公示価格を規準としているかを検討すること。
(キ) 指定基準地価格からの検討
基準地群に属する基準地については、当該基準地群に属する指定基準地を確認し、当該指定基準地の価格(前年度において既に地価調査の対象となっている場合は、その前年の価格)から推定される対象基準地の価格決定の妥当性について検討すること。
ウ 基準地の価格の対前年変動率の要因分析等の検討
(ア) 前年の標準価格の確認
前年の標準価格については、都道府県公報により確認すること。
(イ) 鑑定評価格の確認
鑑定評価格については、基準地価格評価の内訳に記載されている価格と照合のうえ確認すること。
(ウ) 対前年変動率の確認
対前年変動率は、正しく算出されているか確認すること。
(エ) 価格形成要因の検討
基準地ごとに地域要因及び個別的要因の変動について的確に分析されているか検討すること。
エ 地価公示の標準地と同一である基準地の価格の対前年(同年一月一日時点。以下同じ。)変動率の要因分析等の検討
(ア) 前期の公示価格の確認
前期の公示価格については、官報等により確認すること。
(イ) 鑑定評価格の確認
鑑定評価格については、基準地価格評価の内訳に記載されている価格と照合のうえ確認すること。
(ウ) 対前期変動率の確認
対前期変動率は、正しく算出されているか確認すること。
(エ) 価格形成要因の検討
基準地ごとに地域要因及び個別的要因の変動について的確に分析されているか検討すること。
(二) 宅地見込地
ア 宅地の鑑定評価書の審査事項の準用
公報記載事項及び価格評価の内訳等の審査は次により行うほか宅地と同一の事項については前記(一)に準じて行うものとする。
イ 基準地(宅地見込地)価格評価の内訳
(ア) 転換後・造成後の更地を想定した価格からの試算
(i) 転換後・造成後の更地を想定した価格からの検討
転換後・造成後の更地を想定した価格の試算については、宅地の比準価格の試算及び収益価格の試算の審査に準じて各々の価格の妥当性について検討すること。また、それぞれの価格と、標準地又は基準地の価格との均衡が保たれているかを確認すること。
(ii) 有効宅地化率の検討
想定開発区域の概況、想定開発工事の概要、当該市町村の宅地開発指導要綱等から有効宅地化率の妥当性について検討する。
(iii) 造成工事費の検討
造成工事費は、地勢等を考慮した当該地域における標準的なものか検討すること。
(iv) 公共公益施設負担金の検討
積算された公共公益施設負担金(現物による提供を含む)は、当該市町村の宅地開発指導要綱等に照らし、想定開発規模に応じた標準的なものか検討すること。
(v) 対投下資本収益の検討
対投下資本収益は、造成工事費にたいして年間一二%を限度としているか検討すること。
(vi) 販売費及び一般管理費の検討
販売費及び一般管理費は、当該想定開発規模に応じた期間等を考慮のうえ積算された額か検討すること。
(vii) 投下資本(土地)収益等控除後の価格の検討
造成宅地の素材となる土地の購入費に対する収益額(開発利潤を含む)は、想定開発規模に相応した期間及び年間一二%を限度とした収益率を考慮のうえ算定されているかを検討すること。
(viii) 熟成度修正の検討
都市の外延的発展を促進する諸力が当該近隣地域に及ぼす影響度、付近における公共施設の整備の動向等を考慮のうえ、期間及び金利の妥当性について検討すること。
(ix) 個別的要因の比較の検討
素地としての個別的要因の比較は、当該想定開発区域内の標準的な画地と行うもので、その格差率の妥当性について宅地の基準地の個別的要因の標準化補正率の検討に準じて検討すること。
(イ) 想定開発区域の概況及び想定開発工事の概要の検討
想定開発区域の概況及び想定開発工事の概要については、既に開発された同一需給圏の類似の地域における住宅地の規模、工事の内容等を比較してその妥当性を検討すること。
また、各種工事の概要については、当該宅地見込地の存する市町村において定めた開発指導要綱に照らして、その妥当性をあわせて検討すること。
(三) 林地
ア 宅地及び宅地見込地の鑑定評価書の審査事項の準用
公報記載事項及び価格評価の内訳等の審査は、次により行うほか宅地及び宅地見込地と同一の事項については前記(一)、及び(二)に準じて行うものとする。
イ 基準地(林地)価格評価の内訳
(ア) 比準価格の試算
採用した取引事例の所在、位置等を取引事例カードにより確認するとともに、事例の妥当性、規範性等について検討すること。特に、地域の特性が同一であり、価格水準が似かよった林地地域の取引事例を用いているかどうか十分検討すること。
(イ) 収益価格の試算
(i) 採用方式の検討
適用した収益価格の式が当該地域の宅地等への転換可能性からみて妥当であるかを検討すること。
(ii) 主伐収入の検討
伐期については、樹種に応じた地域における標準伐期齢に基づき、材積については、当該標準伐期齢に相応した数量を標準としてその妥当性について検討すること。
(iii) 間伐収入及び造林費の後価合計(複利終価合計)並びに管理費資本の検討
間伐年次、間伐材積及び造林費並びに管理費資本の算定については、樹木の種別に応じ当該地域における標準的なものを参考としてその妥当性について検討すること。
(iv) 純収益率の検討
純収益率は、樹木の種別に応じ当該地域における標準的な収益割合(五〇%を限度とする。)からその妥当性について検討すること。
(v) 転用見込時期の検討
転用見込時期は、市街化区域との接近の程度、都心からの距離、交通体系及び地勢等宅地化するための基礎的条件の具備の程度並びに当該都市地域における宅地の需給関係等からみてその妥当性について検討すること。
5 価格の調整及び標準価格の判定
(一) 鑑定評価書の審査の結果、次の場合には都道府県地価調査委員会等の意見を求めて必要な調整を行うものとする。
ア 当該基準地の価格と標準地又は他の基準地の価格との間において均衡を欠くと認められる場合。
イ 当該基準地の鑑定評価格と指定基準地の価格から推定される当該基準地の価格との間に開差がある場合。
ウ その他必要があると認められる場合。
第六 都道府県地価調査の鑑定評価員の指名等について
要領第八条の都道府県地価調査鑑定評価員の指名等については、次に定めるところにより鑑定評価員の指名、分科会の設置、分科会幹事の指名等を行うものとする。
1 鑑定評価員
(一) 指名等
ア 都道府県は、原則として当該都道府県の区域に存する当該年地価公示に係る分科会に所属する者を鑑定評価員として指名するものとする。
イ 都道府県は、鑑定評価員たるに適しない行為等があると認めるときは、受託者に当該鑑定評価員の委嘱の取消しを申し入れることができる。
(二) 職務
鑑定評価員の職務は、次のとおりとする。
ア 基準地の鑑定評価を行うこと。
イ 基準地の候補地の選定(基準地の点検を含む。以下同じ。)を行うこと。
ウ 分科会において価格形成要因の分析等を行うこと。
2 分科会の設置
分科会は、原則として都道府県の区域に存する当該年地価公示に係る分科会をもってあてるものとする。ただし、これによりがたい場合には、国と協議して新たな分科会を設置することができるものとする。
3 分科会幹事
(一) 指名等
ア 都道府県は、原則として当該年地価公示に係る分科会幹事である者を分科会幹事として指名するものとする。
イ 都道府県は、分科会幹事たるに適しない行為等があると認めるときは、受託者に当該分科会幹事の委嘱の取消しを申し入れることができる。
(二) 職務
分科会幹事の職務は、次のとおりとする。
ア 分科会を代表し、会議を招集すること。
イ 代表幹事(代表幹事のおかれていない県にあっては、都道府県地価調査主管課)と鑑定評価員との連絡を行うこと。
ウ 基準地の候補地の選定、価格形成要因の分析等について鑑定評価員を指導するとともに、その相互の意見の調整を行うこと。
エ 都道府県地価調査に関連する資料のとりまとめを行い、鑑定評価員等へ送付すること。
オ 指定基準地の設定に関し、都道府県の求めに応じて意見を述べること。
カ その他の都道府県地価調査の実施について、都道府県の求めに応じて意見を述べること。
4 分科会幹事会の設置
分科会幹事会は、原則として都道府県の区域に存する当該年地価公示に係る分科会幹事会をもってあてるものとする。ただし、都道府県の区域を単位として分科会が設置されている場合には、この限りでない。
5 代表幹事
(一) 指名等
ア 都道府県は、必要に応じ当該年地価公示に係る代表幹事である者を代表幹事として指名することができるものとする。
イ 都道府県は、代表幹事たるに適しない行為等があると認めるときは、受託者に当該代表幹事の委嘱の取消しを申し入れることができる。
(二) 職務
代表幹事の職務は、次のとおりとする(分科会幹事会が設置されていない都道府県の区域の代表幹事にあっては、イとする。)。
ア 分科会幹事会を代表し、会議を招集すること。
イ 都道府県地価調査主管課と分科会幹事との連絡を行うこと。
ウ 基準地の候補地の選定、価格形成要因の分析等について分科会幹事に助言するとともに、その相互の意見の調整を行うこと。
第七 基準地の鑑定評価について
要領第九条の基準地の鑑定評価については、次により求めるものとする。
1 鑑定評価によって求める価格
基準地の鑑定評価によって求める価格は、当該基準地の正常価格とし、この場合の「正常価格」は、国土利用計画法施行令(昭和四九年一二月二〇日政令第三八七号、以下「令」という。)第九条第二項に規定する標準価格とする。
2 鑑定評価の基準
基準地の鑑定評価は、令第九条第三項および第四項の規定によるほか、不動産鑑定評価基準の設定に関する答申(平成二年一〇月二六日 二国鑑委第二五号)に基づき行うものとする。
3 鑑定評価書の提出
都道府県は、鑑定評価書のほか、付属資料(取引事例カード、収益事例カード及び造成事例カード並びに市区町村概況調書)を各都道府県が定める期日までに鑑定評価員に提出させるものとする。
4 鑑定評価書等の様式
(一) 第七の三の鑑定評価書の様式は、宅地については別記様式六、宅地見込地については別記様式七及び林地については別記様式八によるものとし、その記載は別紙一によるものとする。
(二) 付属資料の様式は、宅地及び宅地見込地の取引事例カードについては、別記様式九、林地の取引事例カードについては別記様式一〇とし、収益事例カードについては別記様式一一、造成事例カードについては別記様式一二とし、並びに市区町村概況調書については別記様式一三とする。
第八 指定基準地及び林地の基準地の価格の協議について
要領第一〇条の指定基準地及び林地の基準地の価格の協議については八月八日までに別記様式一四により行うものとする。
この場合において、指定基準地及び林地の基準地に係る鑑定評価書(付属書類は除く。)の副本及び市区町村概況調書(全市区町村分)各一通を添付するものとする。
第九 都道府県地価調査に係る書面等の保存について
都道府県は、基準地の選定調書については選定替した後三年間、基準地の鑑定評価書及びその付属資料並びに要領第一二条各号の図書については五年間、それぞれ保存しなければならない。
第一〇 都道府県地価調査業務の委託契約について
要領第七条第一項の基準地の鑑定評価を求めるにあたっては、別紙二の「都道府県地価調査業務委託標準契約書」を標準として契約を締結するものとする。
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附 則 この運用細則は、昭和六〇年五月一八日から施行する。
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