農住組合法の一部を改正する法律(平成三年法律第二六号)及びその関係法令の施行に伴う農住組合制度の運用については、「農住組合法の一部を改正する法律の施行について(平成三年五月二〇日付け国土政第一四三号、3農経A第六一〇号、建設省経宅発第八六号国土事務次官・農林水産事務次官・建設事務次官依命通達)に定めるもののほか、下記の事項に留意されたい。
第一 農住組合制度の積極的推進について
農住組合(以下「組合」という。)は、住宅の需要の著しい地域において市街化区域内農地の所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ当該市街化区域内農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行うことを目的としており、本年一月二五日に閣議決定された総合土地政策推進要綱においても、土地の有効利用の促進等の中で市街化区域内農地の計画的な宅地化を進めるに当たっての事業手法の一つとして位置付けられ、当事業の積極的な推進を図ることとされている(同要綱第六の一のイ)。
この農住組合制度については、現在、三大都市圏等において住宅・宅地需給がひっ迫している中で依然として市街化区域内に多くの農地が残存しており、これらの農地についての計画的な宅地化及び農地所有者による賃貸住宅の建設を一層促進することが緊急の課題となっていることから、今後ともその積極的な活用が期待されている。
今回の農住組合法(昭和五五年法律第八六号)の改正は、このような現状を踏まえ行われたものであり、今後、本制度の実施に当たっては、国土庁の補助事業である農住組合推進事業等の活用により制度の普及・啓発に努められるとともに、組合の早期設立、着実な事業の実施等制度の積極的推進に努められたい。
第二 対象地域の拡大について
(一) 組合を設立することができる対象地域については、これまで三大都市圏を対象として、市町村単位で規定されてきたところであるが(改正前の農住組合法(以下「旧法」という。)第二条第一項)、今回の改正により、道府県庁の所在の市等地方主要都市を対象に含むことになるため、主要な都市と密接に関連する区域を一つの区域としてとらえて一体的な住宅・宅地の供給を図ることができるよう、組合設立の対象地域を都市計画区域単位で規定することとされた(改正後の農住組合法(以下「新法」という。)第六一条)ので留意されたい。
(二) 今回三大都市圏の都市開発区域においても組合の設立が可能となったが、当該拡大された地域だけでなく、従来の対象地域においても組合の設立・事業の実施が積極的に行われるよう指導されたい。
第三 組合の設立認可について
(一) 三大都市圏の特定市の市街化区域内農地の計画的な宅地化促進の観点から、長期営農継続農地に係る固定資産税の特例措置が廃止されることとされているが、同市街化区域内農地の所有者が平成四年一二月三一日までに農住組合の設立の手続を行い、平成五年末までに設立の認可がなされた場合には、平成四年度から三年度分について宅地並み税額の一〇分の九が軽減されることとなっている(基盤整備を伴った計画的な宅地化が行われる区域に限る。)ので、組合の設立の申請・認可等が速やかに行われるよう配慮されたい。
(二) 組合の地区内にある市街化区域内農地等については、その面積の合計が、組合の地区全体の面積のおおむね八〇%以上を占めるべき旨「農住組合法の運用について(昭和五六年七月二〇日付け56国土政第一七七号、56農経A第九五一号、建設計宅発第九八号国土長土地局長・農林水産省経済局長・農林水産省構造改善局長・建設省計画局長・建設省都市局長・建設省住宅局長通達)」により運用してきたところであるが、農地の宅地化の促進の必要性、最近の市街化区域内農地の賦存状況等にかんがみ、当該占める面積がおおむね七〇%以上であれば、組合の設立を認めることとされたい。
(三) 組合の設立認可等の運用については、工業用地の供給等産業立地政策に係る土地利用が計画されており、それが適正な土地利用の確保にも資する場合には、当該産業立地政策に係る土地利用が円滑に行われるよう配慮されたい。
第四 組合の事業について
(一) 農地利用規約を定めることのできる一団の農地の区域の面積に関する要件が廃止されたが(新法第一三条)、これにより、営農地等の面積に関わらず、当面の営農の継続が可能な条件を備えていると認められる場合には規約を定めることができることとなったので、本規約の設定の促進に努められたい。
(二) 法第七条第二項第三号の土地に関する権利の交換分合については、農地の集約化を図るという観点から極めて有効な手法であり、その積極的な活用が図られるよう指導されたい。
(三) 平成四年度より長期営農継続農地に係る固定資産税の特例措置が廃止されることとされたが、この廃止に伴う農地の切り売り等の無秩序な宅地化が行われることのないよう、土地区画整理事業、交換分合等組合の行う各種事業を積極的に活用し、基盤整備等を伴った計画的な宅地化の推進、農地の集約化を図るよう指導されたい。なお、これらの事業を通じて設けられた一団の営農地等については、都市計画において生産緑地地区に指定されることもありうる。
(四) 組合の行う土地区画整理事業について、別途建設省都市局より通達を発することとしているので、同事業の運用に当たっては同通達に従われたい。
第五 制度の推進体制について
(一) 本制度の推進及び組合の指導監督については、多方面にわたる関係部局の連絡調整を十分に行う必要があるため、貴(都府県市)におかれても、連絡会議を活用する等事業の推進体制の一層の強化に努められたい。
(二) 本制度の積極的推進を図る観点から、農住組合事業推進費、農住型土地利用転換計画策定費補助等の財政措置を積極的に活用するとともに、特に農業協同組合、市町村等との連携に努められたい。
(三) 本制度の推進に当たっては、国、地方公共団体、住宅・都市整備公団、農業協同組合等の連携により設立する予定の(財)都市農地活用支援センター(仮称)を積極的に活用し、農地所有者等による都市農地を活用した良好な住宅市街地の整備、賃貸住宅建設等を推進されたい。