国土総第一〇号・13経営第一一四八号
平成一三年五月二〇日

各都道府県知事、政令指定都市・中核市長あて

農林水産省経営局長・農林水産省農村振興局長・国土交通省総合政策局長・国土交通省土地・水資源局長・国土交通省都市・地域整備局長・国土交通省住宅局長通知


農住組合法の一部を改正する法律の施行について

農住組合法の一部を改正する法律(平成一三年法律第三六号)及び農住組合法の一部を改正する政令(平成一三年政令第一八七号)は、平成一三年五月一八日に公布され、同年五月二〇日に施行されました。
今回の改正は、農住組合の設立認可申請期限の延長により、引き続き、農住組合制度の活用による市街化区域内農地の良好な住宅地等への円滑な転換を推進するとともに、飛び農地の設定要件の緩和、生産緑地地区の指定要請制度の拡充により、農地を活かした良好なまちづくりの推進を図るものです。
つきましては、下記の通り、制度改正の趣旨及び具体的な改正内容を通知しますので、貴管内関係市町村(政令指定都市、中核市を除く。)及び関係団体に周知いただくとともに、関係部局相互間、市町村及び農業協同組合等の関係者との連携を一層密にし、制度の普及、農住組合の設立及び事業の積極的な推進に努められるようお願いします。

第1 改正の趣旨について

農住組合(以下「組合」という。)は、市街化区域内農地の所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ、土地区画整理事業等の基盤整備事業及び住宅の建設・管理等を総合的かつ一体的に行うことにより、農地を活用した良好なまちづくりを進めるものであり、これまで、組合の設立を通じて良好な住宅地及び住宅の供給が図られてきました。
しかしながら、大都市圏を中心として居住環境は依然として低水準であり、職住近接やゆとりある居住空間が必要であり、市街化区域内農地は依然として相当量が残されていることから、組合による、市街化区域内農地の良好な住宅地への転換を、引き続き促進する必要があります。また、一部に営農地を残しながら宅地化を進める組合の手法は、緑豊かな都市環境の形成にも資するものであり、地域の実状に応じて、より柔軟な地区設定を可能にすることが求められています。
このような状況にかんがみ、今回、組合の設立認可の申請期限の延長、飛び農地に係る組合の設立要件の緩和等を内容とする改正が行われたものです。

第2 改正の内容について

(1) 組合の設立認可申請期限の延長(平成二三年五月一九日まで一〇年間延長) (農住組合法第六七条第三項)

市街化区域内農地については、新総合土地政策推進要綱(平成九年二月閣議決定)にあるように、農住組合制度等を積極的に活用し、良好な住環境を備えた宅地等への転換を計画的に進めることとされています。今回の法改正は、組合の設立認可申請期限を平成二三年五月一九日まで一〇年間延長し、農住組合制度の活用による農地を活かしたまちづくりを推進することを図るものです。

(2) 飛び農地を含む組合の設立要件の緩和 (農住組合法第六八条第二項、農住組合法施行令第一五条の二)

従来、飛び農地は、1)組合の本体地区に近接するおおむね〇・五ha未満の市街化区域内農地であり、2)住宅地に転換を行う見込みが確実であり、3)その所有者は、本体地区において当面の営農の継続を図ることが要件とされていたものです。
今回の「飛び農地の設定要件の緩和」は、従来からある「飛び農地を住宅地等として利用する場合」に加え、「飛び農地で営農を継続する場合」にも、組合の設立認可ができることとするものです。具体的には、土地の交換分合を通じて、新たに飛び農地の所有権を取得する者が当該飛び農地において当面の営農を継続し、一方、飛び農地と交換して組合の本体地区内の土地の所有権を取得する者が、当該土地を住宅地等として利用することを要件としています。 (農住組合法第六八条第二項第二号、農住組合法施行令第一五条の二)
これにより、本体地区内において、市街化区域内農地の計画的な宅地化を図りつつ、飛び農地側において営農継続農地を確保するといった手法が可能となることから、農地所有者の意向に応じた組合制度の一層の活用により、農地の有する緑地機能や防災機能等を活かした良好な住宅地の供給がさらに促進されることを期待しています。
なお、一団の営農地等の区域を含む組合の地区設定に当たっては、宅地化すべき農地については、円滑な住宅地等への転換がなされるよう、組合の本体地区内での市街化区域内農地等の集約・整序化、及び飛び農地の設定による集約・整序化の手法を多角的に勘案・検討し、最も適切であると判断される手法により行われるよう、組合の設立認可の際に留意下さい。

(3) 生産緑地地区の要請制度の拡充 (農住組合法第八八条)

現行農住組合法には、「交換分合によって設定された一団の営農地等の区域」について、所有者の営農意欲が高い場合には、組合を通じて、都市計画決定権者である市町村に、生産緑地地区の指定を要請する制度があります。(農住組合法第八八条)
今回の改正は、従来の制度に加え、「土地区画整理事業によって設定された一団の営農地等の区域」についても、同様に、生産緑地地区の指定要請ができることとするものです。
この結果、今回の指定要請制度の拡充により、都市計画決定権者である市町村による円滑な生産緑地地区の指定につながり、営農意欲の高い農地所有者のより安定的な営農の継続と、良好な都市環境の形成に資するものと期待しています。本制度による生産緑地地区の指定要請に当たっては、各市町村における生産緑地担当部局等と密接な連携を図るようにして下さい。
なお、要請の際の様式については、五月一九日付けで「農住組合の行う土地区画整理事業の施行及び生産緑地地区に関する都市計画についての要請に関する省令(昭和五六年建設省令第一〇号)」を改正していますので、別途参照して下さい。

(4) 組合の設立対象地域の見直し (農住組合法施行令第一五条、附則第二条)

改正前の農住組合制度において、組合の設立対象地域とされている新産業都市建設促進法(昭和三七年法律第一一七号)により指定された新産業都市の区域、工業整備特別地域整備促進法(昭和三九年法律第一四六号)による工業整備特別地域、高度技術工業集積地域開発促進法(昭和五八年法律第三五号)の開発計画に係る地域(以下「新産・工特地区等」という。)については、それぞれの根拠法が既に廃止されています(新産業都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法(平成一三年四月)、高度技術工業集積地域開発促進法(平成一一年二月))。
したがって、新産・工特地区等については、これらの根拠法の廃止により、組合の設立対象地域から除外する必要があることから、今回の改正により、組合の設立対象地域から除外しました(農住組合法施行令第一五条第一号)。
一方で、直ちに除外することとすると、当該地域において設立準備を進めている組合の円滑な事業実施に支障を生じるため、経過措置を設けています。
経過措置の期限としては、新産・工特地区等の廃止に伴う激変緩和措置の期限に鑑み、今回の農住組合法施行令の改正により、新産・工特地区については、平成一七年度末まで、高度技術工業集積地域開発促進法の開発計画に係る地域については、平成一六年度末までです。このため、新産工特地区等以外の設立対象地域要件を満たしていない市町村(別紙)において、組合が設立される場合には、これらの経過措置の期限内の設立が必要となるので、貴管内市町村あて周知お願いします。

第3 今後の農住組合制度の推進について

本制度の推進に当たっては、制度内容の周知徹底を図るとともに、農地所有者の合意形成の促進から、組合の事業を行うための資金の調達及び円滑な事業進捗や事業後の施設運営等についてのノウハウの提供等に至る支援措置を一体的・総合的かつ円滑に行う必要があります。
このため、国においては、国土交通省及び農林水産省が相互に連携し、(財)都市農地活用支援センター、農協系統組織等との協力の下、一体となった取組を行うこととしているので、都道府県、市町村の各段階においても関係部局間の緊密な連絡調整を図るとともに、農地所有者にとって身近な存在である農業協同組合との連絡協議会の設置を一層促進する等推進体制を整備し、これらの協議会組織等を通じて普及啓発活動、計画策定等を積極的に実施し、組合の設立を推進する必要があります。
なお、組合の設立のための普及啓発活動、計画策定等については、農住組合推進事業、農住型土地利用転換計画策定事業、計画的土地利用転換推進体制整備事業、農住組合設立支援対策調査等により、都道府県・政令指定都市・中核市及び農住組合に対して助成を行うこととしていますので、積極的活用を図って下さい。
特に、農住組合推進事業においては、平成一三年度から、市町村の本制度への積極的な参画を促し、組合と市町村の連携したまちづくりを推進するため、市町村が組合の地区と周辺地区の一体的な基盤整備等の計画を策定する場合や、市町村が市民農園等の農住コミュニティー施設の整備を行う場合にも新たに補助することとしておりますので、留意下さい。
さらに、組合が行う基盤整備、住宅建設等の円滑な実施を図るため、従来から、財政・金融及び税制上の助成措置が講じられており、特定市街化区域内農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法による税制特例措置、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給制度、都市再生区画整理事業、土地区画整理事業に対する無利子貸付け、特定優良賃貸住宅供給促進事業等の活用が図られるよう、留意下さい。


(別紙)
新産・工特法等の廃止により、農住組合の設立対象地域から除外される市町村一覧
○新産:新産業都市建設促進法により規定された新産業都市の区域
○工特:工業整備特別地域整備促進法に規定する工業整備特別地域
○テクノポリス:高度技術工業集積地域開発促進法による開発計画に係る地域
新産

 
県名
市町村名
北海道
小樽市
北海道
室蘭市
北海道
江別市
北海道
登別市
北海道
伊達市
北海道
石狩市
北海道
北広島市
北海道
鵡川町
宮城県
塩竈市
一〇
宮城県
名取市
一一
宮城県
多賀城市
一二
宮城県
岩沼市
一三
宮城県
松島町
一四
宮城県
七ヶ浜町
一五
宮城県
利府町
一六
秋田県
昭和町
一七
秋田県
飯田川町
一八
秋田県
天王町
一九
福島県
須賀川市
二〇
福島県
鏡石町
二一
新潟県
新発田市
二二
新潟県
新津市
二三
新潟県
豊栄市
二四
新潟県
豊浦町
二五
新潟県
聖籠町
二六
新潟県
紫雲寺町
二七
新潟県
小須戸町
二八
新潟県
横越町
二九
新潟県
亀田町
三〇
富山県
婦中町
三一
長野県
松本市
三二
長野県
塩尻市
三三
長野県
豊科町
三四
岡山県
玉野市
三五
岡山県
総社市
三六
岡山県
瀬戸町
三七
岡山県
山陽町
三八
岡山県
灘崎町
三九
岡山県
早島町
四〇
岡山県
山手村
四一
岡山県
清音村
四二
岡山県
船穂町
四三
岡山県
金光町
四四
岡山県
真備町
四五
愛媛県
今治市
四六
愛媛県
新居浜市
四七
愛媛県
西条市
四八
愛媛県
東予市
四九
愛媛県
小松町
五〇
愛媛県
丹原町
五一
愛媛県
波方町
五二
愛媛県
大西町
五三
福岡県
大牟田市
五四
福岡県
高田町
五五
熊本県
荒尾市
五六
熊本県
菊陽町
五七
熊本県
合志町
五八
熊本県
嘉島町
五九
熊本県
西合志町
六〇
大分県
別府市

工特

 
県名
市町村名
茨城県
鹿嶋市
茨城県
潮来市
茨城県
神栖町
茨城県
波崎町
静岡県
御殿場市
静岡県
裾野市
静岡県
韮山町
静岡県
大仁町
静岡県
函南町
一〇
静岡県
小山町
一一
静岡県
伊豆長岡町
一二
兵庫県
相生市
一三
兵庫県
龍野市
一四
兵庫県
赤穂市
一五
兵庫県
西脇市
一六
兵庫県
三木市
一七
兵庫県
小野市
一八
兵庫県
加西市
一九
兵庫県
社町
二〇
兵庫県
滝野町
二一
兵庫県
新宮町
二二
兵庫県
上郡町
二三
広島県
三原市
二四
山口県
新南陽市

テクノポリス

 
県名
市町村名
宮城県
大和町
宮城県
富谷町
宮城県
大衡村
山形県
上山市
山形県
天童市
栃木県
真岡市
栃木県
芳賀町
栃木県
高根沢町
広島県
東広島市
一〇
広島県
黒瀬町
一一
愛媛県
伊予市
一二
愛媛県
北条市
一三
愛媛県
重信町
一四
愛媛県
川内町
一五
愛媛県
松前町
一六
愛媛県
砥部町
一七
佐賀県
鳥栖市
一八
佐賀県
基山町
一九
熊本県
益城町
二〇
宮崎県
清武町
二一
宮崎県
佐土原町
二二
宮崎県
高岡町
二三
宮崎県
国富町

新産業都市建設促進法等の廃止による農住組合の設立対象地域の見直しの概要

農住組合の対象地域から除外される地域
経過措置の適用期限
1) 新産業都市建設促進法により指定された新産業都市の区域(平成一三年四月廃止)
平成一八年三月三一日
2) 工業整備特別地域整備促進法による工業整備特別地域(平成一三年四月廃止)
平成一八年三月三一日
3) 高度技術工業集積地域開発促進法の開発計画に係る地域(平成一一年二月廃止)
平成一七年三月三一日


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