経収発第九三号
昭和六〇年九月二五日

収用委員会会長あて

建設省建設経済局長通達


土地収用法施行令の一部を改正する政令の施行について


土地収用法施行令の一部を改正する政令は、去る九月一八日付け官報により公布され、一〇月二日から施行されることとなる。本改正は、社会情勢の変動をふまえ、権利者の保護を図るため、公示送達及び公示による通知に係る手続の整備合理化等を行うものであり、改正後の土地収用法施行令(以下「令」という。)の運用に当たっては、左記の点に留意し、遺漏なきを期されたい。

一 第五条の改正について

(一) 公示送達の方法について

1) 令第五条の改正により、公示送達は、都道府県の掲示場に掲示するとともに都道府県の公報に掲載することによって行うこととなったので、留意されたい。この場合において、収用委員会は、次に掲げる事項を掲示し、かつ、掲載するものとする。

イ 送達すべき書類の名称
ロ 送達を受けるべき者の住所・氏名(知れている場合に限る。)
ハ ロに掲げる事項が不明である場合は、収用し、又は使用しようとする土地等の表示
ニ 送達すべき書類を保管している部局の名称及びその所在地

(例)


<別添資料>




2) 令第五条第二項の掲示は、少なくとも送達があったものとみなされる時までしなければならない。また、同条同項の掲載は、送達があったものとみなされる時までに、しなければならない。

(二) 公示送達の周知措置について

1) 収用委員会は、(1)の掲示及び掲載をするに当たって必要があると認めるときは次に掲げる方法により、周知措置を講ずることができることとなったので、留意されたい。

イ 収用し、又は使用しようとする土地等の所在する市町村の長に対して公示送達があった旨を掲示することを求めること
ロ 送達を受けるべき者の住所の属する市町村の長に対して公示送達があった旨を掲示することを求めること
ハ 送達を受けるべき者の最後の住所の属する市町村の長に対して公示送達があった旨を掲示することを求めること
ニ 公示送達があった旨を官報に掲載すること

2) 1)の手続の採否は、収用委員会の裁量判断に委ねられるものであるが、公示送達をすべき個別の事例に応じて次に掲げるところにより、1)に掲げる手続を少なくとも一つ実施することが望ましい。

イ 送達を受けるべき者を確知することができない場合 1)のイ又はニの方法
ロ 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達すべき場所を確知することができない場合

a 送達を受けるべき者の最後の住所が知れている場合 1)のイ、ハ又はニの方法
b 送達を受けるべき者の最後の住所が知れていない場合 1)のイ又はニの方法

ハ 令第四条第二項の規定によることができない場合 1)のロの方法

3) 収用委員会は、市町村長に対して掲示を求めるときは、掲示すべき書類の案を添えるものとし、その案には次に掲げる事項を記載するものとする。

イ 送達すべき書類の名称
ロ 送達を受けるべき者の住所・氏名(知れている場合に限る。)
ハ ロに掲げる事項が不明である場合は、収用し、又は使用しようとする土地等の表示
ニ 令第五条第二項の掲示がされている都道府県の掲示場の所在地、掲示を始めた年月日、同条同項の掲載がされた、又はされる公報の名称及び同公報の発行年月日

(例)



<別添資料>




4) 市町村長は、少なくとも送達があったものとみなされる時まで令第五条第四項の掲示をすべきであるので、市町村長に対して掲示を求めるに際し、その旨を通知すること。

(三) 公示送達の効力発生

改正前の土地収用法施行令においては、公告の日から二週間を経過したときに送達があったものとみなされていたが、本改正により都道府県の掲示場に掲示を始めた日の翌日から起算して二〇日を経過した時に送達があったものとみなされることとなるので、留意されたい。

二 第六条の二の改正について

(一) 収用委員会がする公示による通知について

令第六条の二の改正により、収用委員会がする公示による通知の方法及び効力発生並びにその周知措置は、公示送達の場合に準ずることとなったので、留意されたい。

(二) 起業者がする公示による通知について

令第六条の二の改正により、起業者がする公示による通知は、収用委員会が起業者の求めにより、その者のために通知に係る書面を通知を受けるべき者にいつでも起業者が交付する旨を都道府県の掲示場に掲示するとともに都道府県の公報に掲載することにより行うこととなったので、留意されたい。この場合において、収用委員会は、起業者の求めを受けたときは、令第六条の二において準用する第五条第一項の要件の充足について判断すべきである。

(三) 市町村長がする公示による通知の周知措置について

令第六条の二の改正により、市町村長が公示による通知をする場合に市町村長が必要があると認めるときは、収用し、又は使用しようとする土地等の所在する都道府県の収用委員会に対して都道府県の掲示場に掲示するとともに都道府県の公報に掲載することを求めることができることとなったので、留意されたい。この場合において、市町村長の求めを受けた収用委員会は、求めを受けた日から一週間以内かつ市町村長が掲示を始めた日の翌日から起算して二〇日以内に求めに係る掲示及び掲載をすべきであるが、極力すみやかにすることとされたい。


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