建設省経収発第一四一号の三
昭和六三年八月三〇日

収容委員会会長あて

建設省建設経済局長通達


土地収用制度の活用について


昭和六三年六月一五日に提出された臨時行政改革推進審議会の「地価等土地対策に関する答申」において、都市基盤施設整備の前提となる公共用地取得を円滑化するための方策として、土地収用制度を適切に活用すべきことが指摘され、これを受けた政府の「総合土地対策要綱」においても、同年六月二八日、その旨閣議決定された。
公共用地の確保については大半は適正な補償により任意契約で取得されているが、用地取得が難航し、長期化している事案の中には、一定の任意協議終了後任意解決が困難であるにもかかわらず収用手続を活用しないまま推移しているものが多く見られるところである。
このような場合には、公共公益事業の円滑な実施と国土の適正かつ合理的な利用を図る観点から、国民の公共の福祉についてのより一層の深い理解を求めつつ起業者が用地取得に対して的確に取り組み、土地収用制度を適切に活用することと併せて、収用手続着手後における円滑な事務の進行を確保する必要があり、起業者、土地所有者、事業認定庁、収用委員会等の各主体が制度の趣旨を十分理解した上で的確な運用を行うことが重要である。
ついては、貴職におかれても、左記の事項につき御留意の上適正な補償を確保しつつ円滑な事務処理を図られるよう御配慮をお願いする。
なお、土地収用制度の活用については、起業者及び事業認定庁あて併せて通知したところであり、参考までに送付する。

一 審理期日の確保について

一部の委員による審理進行が可能な指名委員制度及び常勤委員制度の活用、定例開催日設定等により、必要な審理の開催回数、時間等を確保すること。

二 適正な審理指揮の遂行について

審理に当たっては、正当な議論については十分真意を尽くさしめ、鑑定、審問等の方法を活用して公正な判断を得ることに努めるとともに、手続の遅延を目的とする審理妨害については、意見陳述制限制度を適正に活用しつつ、積極的に審理指揮権を発動して(土地収用法六三条、六四条)、迅速な審理が行われるよう適正な運用に努めること。

三 事務局の強化について

大規模な事業等においては集中的に案件が発生することがあるので、円滑な事務処理に必要な人員を確保するとともに、関係方面からの情報収集等により機動的な対応が可能な体制の整備を図ること。
また、公正・円滑な審理の促進に資するため、職員の理解を深めることにより必要な場合に事前の問題点の整理等を的確に行い得るよう、研修の実施等適切な措置を講ずること。

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