所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成六年法律第一〇九号)及び地方税法等の一部を改正する法律(平成六年法律第一一一号)が平成六年一二月二日に公布され、消費税の税率等の改正及び地方消費税の導入が平成九年四月一日から施行されることとされている。
このため、これらの施行日以後、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準」(昭和三八年三月二〇日建設省訓第五号)及び「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う公共補償基準」(昭和四三年六月四日建設省訓第八号)並びに「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和五一年二月二三日付け建設省計用発第四号建設事務次官通達)、「公共施設の設置に起因するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に係る費用負担について」(昭和五四年一〇月一二日付け建設省計用発第三五号建設事務次官通達)、「公共事業に係る工事の施行に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領の制定について」(昭和五九年三月三一日付け建設省計用発第九号建設事務次官通達)及び「公共事業に係る工事の施行に起因する地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理要領の制定について」(昭和六一年四月一日付け建設省経整発第二二号建設事務次官通達)等(以下「補償基準等」という。)に基づき、土地等の権利者等及び公共施設等の管理者並びに公共施設の設置又は公共事業の施行に起因し損害等を受けた者(以下「土地等の権利者等」という。)に対し損失の補償及び公共補償並びに損害等に対する費用の負担(以下「損失の補償等」という。)を行うに当たっては、下記に定めるところにより、消費税及び地方消費税額を加算し、若しくは消費税及び地方消費税相当額を適正に考慮して算定の上、土地等の権利者等に対する補償基準等に基づく損失の補償等を実施するよう通知する。
なお、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年三月九日付け建設省経整発第一四号建設省建設経済局長通達)、「消費税の導入に伴う公共用地の取得等に関する契約の取扱い」(平成元年一月九日付け建設省経整発第一号建設経済局調整課長通達)、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年三月九日付け建設省経整発第一五号建設経済局調整課長通達)、「消費税の導入に伴う損失の補償等の契約の取扱いについて」(平成元年一〇月一三日付け建設省経整発第六一号建設経済局調整課長通達)及び「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税の取扱いについて」(平成元年八月四日付け建設省建設経済局調整課長補佐、調整課用地調整官事務連絡)は、本通達をもって廃止する。
1 事業者である土地等の権利者等から課税資産の譲渡等を受ける場合の対価たる補償金について
建設省の直轄の公共事業のため、事業者(消費税法第二条第一項第四号で定める「事業者」をいい、同法第九条の規定に基づき、納税義務の免除を受けた事業者(以下「免税事業者」という。)を除く。)である土地等の権利者等から、公共事業に用いるため、課税資産の譲渡等(同法第二条第一項第九号で定める「課税資産の譲渡等」をいう。以下同じ。)を受ける場合の対価たる補償金については、消費税及び地方消費税を含まない価額等に、消費税及び地方消費税率を乗じた額を加算したものとする。
2 前記一の対価たる補償金以外の損失の補償等について
建設省の直轄の公共事業のため、土地等の権利者等に対し、前記一の対価たる補償金以外の損失の補償等を行う場合は、資産の譲渡等の対価に当たらないため不課税となる。
しかしながら、当該損失の補償等の補償金の算定上、土地等の権利者等が実質的な消費者として、第三者である事業者(この場合の事業者は免税事業者を含むものとする。)から課税資産の譲渡等を受けることを前提に算定している補償金については、以下に定めるところにより消費税及び地方消費税相当額を考慮して適正に補償金を算定するものとする。
(1) 損失の補償等の補償金の算定方法
1) 補償金を当該補償金が構成する各費目に区分したうえで積み上げて算定する場合(例‥建物移転料、工作物移転料)
損失の補償等の補償金を構成する各費目の積算において使用する資材価格等(諸経費を含む。以下同じ。)は、消費税及び地方消費税抜きの価格等によるものとする。
この場合において、消費税及び地方消費税相当額を含む補償金の算定は、消費税及び地方消費税を含まない価格等に基づき算定した額に、消費税及び地方消費税率を乗じて得た額を加算して行うものとする。
なお、端数処理は、通常の補償金の算定の例によるものとする。
2) 資材価格等が単独で補償金となる場合(例‥交通費、権利金等の一時金(ただし実態調査による場合に限る。)、報酬額)
市場調査の結果、資材価格等が、消費税及び地方消費税込みで構成されている場合は、当該価格等を補償金とする。ただし、消費税及び地方消費税が含まれていない価額等の場合は、当該価格等に消費税及び地方消費税率を乗じて得た額を加算した額を補償金とするものとする。
なお、端数処理は、通常の補償金の算定の例によるものとする。
3) 将来の維持管理費等を現在価格に換算(以下「前価計算」という。)し、損失の補償等を算定する場合等
土地等の権利者等が、消費者として、第三者である事業者(この場合の事業者は免税事業者を含むものとする。)から課税資産の譲渡等を受けることを前提に算定している補償金で、当該課税資産の譲渡等の時期が将来又は過去(平成元年度以後の経費に限る。)のものである場合の当該補償金に係る消費税相当額(平成元年四月一日から平成九年三月三一日の間)又は消費税及び地方消費税相当額(平成九年四月一日以降の場合)は、当該補償金の算定方法と同様に前価計算等を行い、積算するものとする。
(2) 土地等の権利者等が事業者である場合において、当該事業者が実質的な消費者に当たらない場合の取扱い
土地等の権利者等が事業者である場合において、建物移転料等の損失の補償等を対価とし、第三者から課税資産の譲渡等を受け、消費税及び地方消費税を負担しても、当該消費税及び地方消費税が当該事業者としての消費税及び地方消費税納付税額の計算上、仕入税額控除の対象となる場合は、実質的な消費者に当たらないこととなり、損失の補償等の算定上、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要がないこととなるので、このような土地等の権利者等に対しては、次のように取扱うこととする。
1) 損失の補償等の補償金算定上、消費税及び地方消費税額を考慮不要との申し出のある土地等の権利者等については、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。
2) 前記1)に該当しない土地等の権利者等については、消費税及び地方消費税相当額を考慮する必要性を個別に調査・判断の上、適正に損失の補償等を算定するものとする。
この場合においては、土地等の権利者等から、消費税確定申告書(控)又は消費税及び地方消費税確定申告書(控)を収集する等により、個別に調査の上、当該損失の補償等の確定申告時に仕入税額控除の対象となると判断される場合は、実質的な消費者に当たらないことになるので、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。
3) 土地等の権利者等が、国・地方公共団体(一般会計又は特別会計)又は消費税法別表第三に掲げる法人の場合は、前記2)に準じ、個別に調査の上、損失の補償等を算定するものとするが、前記1)と同様の考慮不要との申し出のある場合については、消費税及び地方消費税相当額を積算上考慮しないものとする。