建設省経整発第二三号
平成一一年三月二九日

各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長あて

建設省建設経済局長通達


損失補償取扱要領


第一条 建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償の取扱いについては、建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準(昭和三八年三月二〇日建設省訓第五号)(以下「基準」という。)及び建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準の運用方針(昭和三八年四月一三日付け建設省発計第一八号建設事務次官通達)(以下「運用方針」という。)その他別に定めるほか、この要領に定めるところによるものとする。
第二条 運用方針第一(土地の正常な取引価格)及び第一の二(地価公示区域における土地の正常な取引価格算定の準則)に規定する土地の正常な取引価格は、別記一土地評価事務処理要領により算定するものとする。
第三条 運用方針第二(建物その他の工作物の取得に係る補償)第一項に掲げる現価率は、次の表(現価率表)を適用して求めるものとする。

(1) 木造建物の場合
木造建物現価率表

 
 
 
経過年数
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
等級
建物の程度
耐用年数
償却率
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1
応急住宅程度
20年
0.0400
100.0%
960
920
880
840
800
760
720
680
640
600
560
520
2
公営住宅程度
35年
0.0228
100.0%
977
954
931
909
886
863
840
817
794
771
749
726
3
公庫建築程度
48年
0.0166
100.0%
983
967
950
933
917
900
883
867
850
833
817
800
4
上等の一般建築
60年
0.0133
100.0%
987
973
960
947
933
920
907
893
880
867
853
840
5
極上等の建築
70年
0.0114
100.0%
989
977
966
954
943
931
920
909
897
886
874
863
 
経過年数
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1
 
480
440
400
360
320
280
240
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2
 
703
680
657
634
611
589
566
543
520
497
474
451
429
406
383
360
337
314
291
269
3
 
783
767
750
733
717
700
683
667
650
633
617
600
583
567
550
533
517
500
483
467
4
 
827
813
800
787
773
760
747
733
720
707
693
680
667
653
640
627
613
600
587
573
5
 
851
840
829
817
806
794
783
771
760
749
737
726
714
703
691
680
669
657
646
634
 
経過年数
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2
 
246
223
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3
 
450
433
417
400
383
367
350
333
317
300
283
267
250
233
217
200
 
 
 
 
4
 
560
547
533
520
507
493
480
467
453
440
427
413
400
387
373
360
347
333
320
307
5
 
623
611
600
589
577
566
554
543
531
520
509
497
486
474
463
451
440
429
417
406
 
経過年数
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4
 
293
280
267
253
240
227
213
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
5
 
394
383
371
360
349
337
326
314
303
291
280
269
257
246
234
223
211
200

(2) 非木造建物の場合
非木造建物現価率表

 
 
経過年数
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
等級
耐用年数
償却率
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1
30年
0.0266
100.0%
973
947
920
893
867
840
813
787
760
733
707
680
653
627
600
573
2
35年
0.0228
100.0%
977
954
931
909
886
863
840
817
794
771
749
726
703
680
657
634
3
40年
0.0200
100.0%
980
960
940
920
900
880
860
840
820
800
780
760
740
720
700
680
4
45年
0.0177
100.0%
982
964
947
929
911
893
876
858
840
822
804
787
769
751
733
716
5
50年
0.0160
100.0%
984
968
952
936
920
904
888
872
856
840
824
808
792
776
760
744
6
55年
0.0145
100.0%
985
971
956
942
927
913
898
884
869
855
840
825
811
796
782
767
7
60年
0.0133
100.0%
987
973
960
947
933
920
907
893
880
867
853
840
827
813
800
787
8
65年
0.0123
100.0%
988
975
963
951
938
926
914
902
889
877
865
852
840
828
815
803
9
70年
0.0114
100.0%
989
977
966
954
943
931
920
909
897
886
874
863
851
840
829
817
10
80年
0.0100
100.0%
990
980
970
960
950
940
930
920
910
900
890
880
870
860
850
840
11
90年
0.0088
100.0%
991
982
973
964
956
947
938
929
920
911
902
893
884
876
867
858
 
経過年数
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1
 
547
520
493
467
440
413
387
360
333
307
280
253
227
200
 
 
 
 
 
 
2
 
611
589
566
543
520
497
474
451
429
406
383
360
337
314
291
269
246
223
200
 
3
 
660
640
620
600
580
560
540
520
500
480
460
440
420
400
380
360
340
320
300
280
4
 
698
680
662
644
627
609
591
573
556
538
520
502
484
467
449
431
413
396
378
360
5
 
728
712
696
680
664
648
632
616
600
584
568
552
536
520
504
488
472
456
440
424
6
 
753
738
724
709
695
680
665
651
636
622
607
593
578
564
549
535
520
505
491
476
7
 
773
760
747
733
720
707
693
680
667
653
640
627
613
600
587
573
560
547
533
520
8
 
791
778
766
754
742
729
717
705
692
680
668
655
643
631
618
606
594
582
569
557
9
 
806
794
783
771
760
749
737
726
714
703
691
680
669
657
646
634
623
611
600
589
10
 
830
820
810
800
790
780
770
760
750
740
730
720
710
700
690
680
670
660
650
640
11
 
849
840
831
822
813
804
796
787
778
769
760
751
742
733
724
716
707
698
689
680
 
経過年数
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3
 
260
240
220
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4
 
342
324
307
289
271
253
236
218
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
5
 
408
392
376
360
344
328
312
296
280
264
248
232
216
200
 
 
 
 
 
 
6
 
462
447
433
418
404
389
375
360
345
331
316
302
287
273
258
244
229
215
200
 
7
 
507
493
480
467
453
440
427
413
400
387
373
360
347
333
320
307
293
280
267
253
8
 
545
532
520
508
495
483
471
458
446
434
422
409
397
385
372
360
348
335
323
311
9
 
577
566
554
543
531
520
509
497
486
474
463
451
440
429
417
406
394
383
371
360
10
 
630
620
610
600
590
580
570
560
550
540
530
520
510
500
490
480
470
460
450
440
11
 
671
662
653
644
636
627
618
609
600
591
582
573
564
556
547
538
529
520
511
502
 
経過年数
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
7
 
240
227
213
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
8
 
298
286
274
262
249
237
225
212
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
9
 
349
337
326
314
303
291
280
269
257
246
234
223
211
200
 
 
 
 
 
 
10
 
430
420
410
400
390
380
370
360
350
340
330
320
310
300
290
280
270
260
250
240
11
 
493
484
476
467
458
449
440
431
422
413
404
396
387
378
369
360
351
342
333
324
 
経過年数
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
等級
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
10
 
230
220
210
200
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11
 
316
307
298
289
280
271
262
253
244
236
227
218
209
200
第四条 運用方針第八(土地の使用に係る補償)に規定する一定の率は、土地の種別に応じ次に掲げる率とするものとする。

(一) 宅地、宅地見込地及び農地 六パーセント
(二) 林地及びその他の土地 五パーセント

第五条 基準第二五条(空間又は地下の使用に係る補償)は、次により処理する。

一 同条に規定する空間又は地下の使用に係る補償額は、別記二土地利用制限率算定要領の定めるところにより算定するものとする。
二 土地の最有効使用の方法、周辺地域を含めた公的規制の状況、将来の利用構想及びその可能性、地盤・地質等の状況、地域における慣行等の事情を総合的に勘案して、土地の利用が妨げられないと認められる場合等前項の算定要領により難い場合は、その適用はないものとする。

第六条 運用方針第一一(建物等の移転料)第一項(六)第一号に掲げる従前の建物の標準耐用年数は、次の表(等級別標準耐用年数表)を適用して求めるものとする。

(1) 木造建物の場合
木造建物等級別標準耐用年数表

等級
建物の程度
耐用年数
備考
1
応急住宅程度
20年
仮設程度のもの及び物置、畜舎その他これらに類するものを含む。
2
公営住宅程度
35年
工場、倉庫、車庫、市場その他これらに類するものを含む。
3
公庫建築程度
48年
劇場、映画館、学校、病院その他これらに類するものを含む。
4
上等の一般建築
60年
 
5
極上等の建築
70年
 

(2) 非木造建物の場合
非木造建物等級別標準耐用年数表

等級
 
建物の構造
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄骨造(肉厚9mm以上、主としてH型構造)
れんが造、コンクリートブロック造、石造
鉄骨造(肉厚9mm〜4mm)
鉄骨造(肉厚4mm以下)、軽量鉄骨造
 
建物の用途
 
 
 
 
 
 
1
工場及び倉庫(塩素、塩酸、硝酸等の腐食性を有する液体又は気体を使用しているもの)
 
40年
40年
35年
35年
30年
2
工場及び倉庫(一般的なもの)、市場その他これらに類するもの
 
65
60
55
50
45
3
旅館、ホテル、百貨店、劇場、飲食店その他これらに類するもの
 
80
70
65
60
50
4
事務所、住宅、アパート、店舗、病院、学校その他これらに類するもの
 
90
80
70
60
55
第七条 運用方針第一一(建物等の移転料)第一項(六)第一号に掲げる価値補正率は、次の表(各項目別補正率表)に掲げる補正率の範囲内で定めた各補正項目ごとの補正率を合計して算定することとし、三〇パーセントを超えることができないものとする。ただし、算定した値が実態に適合しないと認められるときは、一級建築士等の意見を聴取し、又はその他適切な方法により定めるものとする。

なお、従前の建物が非木造建物である場合においては零とする。
各項目別補正率表

番号
補正項目
補正率
備考
1
柱が15cm角以上の建物
5%
 
2
屋根に補修が施されている建物
3
葺替え
3
内壁に補修が施されている建物
3
張替え
4
外壁に補修が施されている建物
4
張替え
5
柱に補修が施されている建物
5
取り替え
6
土台に補修が施されている建物
5
取り替え
7
その他の補正項目
 
 
 
(1) 軒先のたる木、野地板を保護するための鼻かくし、破風板による補修が施されている建物
3
 
 
(2) 土台に防腐、白蟻消毒が施されている建物
2
 
 
(3) 出入口、雨戸、窓等の木造建具がアルミサッシ等の金属建具に取替えられている建物
4
 
 
(4) 建築基準法に定められている床高以上の床高によって湿気等の対策が施されている建物
1
 
 
(5) 浴室の浴槽、壁及び床タイル等の補修が施されている建物
3
 
 
(6) 建物の立地条件から判断して採光による環境条件が優れている建物
4
 
 
(7) 建物の立地条件から判断して通風による環境条件が優れている建物
3
 
第八条 基準第二九条の二(区分所有建物の取得等)は、別記三区分所有建物敷地取得補償実施要領により処理するものとする。
第九条 運用方針第一一の三(動産移転料)は、次により処理するものとする。

一 動産移転料は、次式により算定する。

貨物自動車一台当たりの動産の移転費×当該動産の運搬に必要な貨物自動車台数

(一) 貨物自動車一台当たりの動産の移転費は、貨物自動車一台当たりの動産の移転に通常要する梱包、小運搬、積み込み及び積み卸しのため必要な労力費、運賃、荷造りの材料費並びにその他の雑費の合計額とし、次により求めるものとする。この場合において、貨物自動車の車種は、屋内動産にあっては二トン積又は四トン積貨物自動車とし、一般動産にあっては動産の品目、種類、数量、体積等に応じた貨物自動車とするものとする。

なお、取扱いが困難な動産があるときは、実情に応じて必要な経費を加算することができるものとする。
一 労力費 屋内動産にあっては、二トン積貨物自動車の場合は荷扱夫の平均賃金の二人分とし、四トン積貨物自動車の場合は荷扱夫の平均賃金の四人分とし、一般動産にあっては二トン積貨物自動車の場合は荷扱夫の平均賃金の一人分とする。ただし、通常の小運搬の範囲を超える小運搬が必要であると認められるときは、実情に応じて適宜補正することができるものとする。
二 運賃 屋内動産にあっては当該地域における引越荷物に係る一日当たりの標準的な一般貨物自動車の運賃を一日当たりの往復回数(通常二回とし、当該地域の実情に応じて適宜一回とすることができるものとする。)で除した運賃とし、一般動産にあっては使用車両の最大積載量及び移転距離(通常四キロメートルとし、当該地域の実情に応じて適宜加算できるものとする。)に基づいた当該地域における一般貨物自動車の標準的な運賃とする。
三 荷造材料費 ダンボール箱、ガムテープ等の荷造りに要する資材費とする。
四 その他の雑費 前三号の費用の合計額の一〇パーセントとする。

(二) 建物を残地に移転する場合においては、(一)にかかわらず実情に応じて(一)により算定した額の五〇パーセントから一〇〇パーセントの範囲内で適正に定める額を貨物自動車一台当たりの動産の移転費とする。
(三) 当該動産の運搬に必要な貨物自動車台数は、屋内動産については、原則として、次の表(住居面積別標準台数表)を適用して求めるものとし、屋内動産については次の表によることが著しく実情に合わないと認められる場合及び一般動産については、動産の品目、種類、数量、体積その他台数算出上必要な事項を調査して、適当と認められる車種及び台数を決定するものとする。

住居面積別標準台数表

住居面積
15m2未満
15m2以上30m2未満
30m2以上50m2未満
50m2以上75m2未満
75m2以上105m2未満
105m2以上140m2未満
140m2以上180m2未満
180m2以上
2トン積貨物自動車台数
1台
 
1台
 
1台
 
1台
 
4トン積貨物自動車台数
 
1台
1台
2台
2台
3台
3台
4台


(一) この表は家族人員五名以内の場合又は家族人員が五名を超え、かつ、住居面積が五〇平方メートル未満の場合に適用するものとし、家族人員が五名を超え、かつ、住居面積が五〇平方メートル以上の場合については、五名を超え三名を増すごとに二トン積貨物自動車一台を加算(加算したことにより二トン積貨物自動車が二台となるときは、四トン積貨物自動車一台に置き換えるものとする。)して適用するものとする。この場合において、人員に三名未満の端数が生ずるときは三名として計算するものとする。
(二) 住居面積は、移転対象となっている建物のうち、常時居住の用に供している部分の延べ面積とする。

二 仮住居等を経由して移転する場合においては、前項により算定した額に同額((一)第一号のただし書きにより補正しているときは補正により増額した額を、(一)第二号において一日の往復回数を一回又は移転距離を四キロメートル以上としているときは、一日の往復回数二回又は移転距離四キロメートルとして計算した額を超える額を、それぞれ控除するものとする。)を加算するものとする。

第一〇条 運用方針第一二(借家人に対する補償)第三項に掲げる補償年数は、次の表(家賃差補償年数表)の区分による範囲内で定めるものとする。ただし、この表により難い特段の事情があると認められるときは、各区分の補償年数を一年の範囲内で補正することができるものとする。

家賃差補償年数表

従前の建物との家賃差
年数
三・〇倍超
四年
二・〇倍超三・〇倍以下
三年
二・〇倍以下
二年
第一一条 運用方針第一五(移転雑費)第二項(一)に掲げる移転先又は代替地等の選定に要する日数は、次の表(移転先等選定補償日数表)の日数欄に掲げる日数を限度として実情に応じて適宜求めた日数とするものとする。

移転先等選定補償日数表

種別
 
 
日数
 
 
 
 
自己選定の場合
業者選定の場合
自用家
再築
 
(二〇日)
一五日
三日
 
曳家
自己所有地
五日
二日
 
 
他人所有地
一〇日
三日
貸家
再築
 
一〇日
三日
 
曳家(他人所有地)
 
五日
三日
借家人
継続
 
(五日)
(二日)
 
継続困難
 
一〇日
三日
附属家
再築
 
一〇日
三日
 
曳家(他人所有地)
 
五日
三日
農地
 
 
一〇日
工作物
 
 
三日
三日
資材置場等
 
 
一〇日
三日
墓地
 
 
一五日
三日

(一) 種別欄の二以上の項目に該当する場合は、いずれか大なる日数によるものとする。ただし、農地、資材置場等又は墓地とその他の項目に該当する場合は、その他の項目の日数に農地、資材置場等又は墓地の日数を加えることができるものとする。
(二) 工場、倉庫、店舗、事務所等については、この表に準じて算定するものとする。
(三) 建設予定地については、建設を予定している建物の用途及び移転工法等を考慮の上、この表に準じて算定するものとする。
(四) 区分所有建物については、自用家再築に準ずるものとする。
(五) ( )の日数は、仮住居を必要とする場合に適用するものとする。
(六) 立竹木は、工作物に準じて取り扱うことができるものとする。

第一二条 運用方針第一五(移転雑費)第六項に掲げる就業不能日数は、次の表(就業不能補償日数表)の日数欄に掲げる日数を限度として実情に応じて適宜求めた日数とするものとする。

就業不能補償日数表

種別
 
 
日数
 
 
 
 
自己選定の場合
業者選定の場合
自用家
再築
 
(四〇日)
三二日
(二三日)
二〇日
 
曳家
自己所有地
一五日
一二日
 
 
他人所有地
二〇日
一三日
貸家
再築
 
二〇日
一三日
 
曳家
自己所有地
五日
 
 
他人所有地
一〇日
八日
借家人
継続
 
(一五日)
七日
(一二日)
七日
 
継続困難
 
一五日
八日
附属家
再築
 
一五日
八日
 
曳家
自己所有地
五日
 
 
他人所有地
一〇日
八日
農地
 
 
一五日
工作物
 
 
五日
五日
資材置場等
 
 
一五日
八日
墓地
 
 
二〇日
八日

(一) 種別欄の二以上の項目に該当する場合は、いずれか大なる日数によるものとする。ただし、農地、資材置場等又は墓地とその他の項目に該当する場合は、その他の項目の日数に農地、資材置場等又は墓地の日数を加えることができるものとする。
(二) 工場、倉庫、店舗、事務所等については、この表に準じて算定するものとする。
(三) 建設予定地については、建設を予定している建物の用途及び移転工法等を考慮して算定した移転先選定に要する日数にそれ以外の就業ができない日数を実情に応じて加えた日数とするものとする。
(四) 区分所有建物については、自用家再築に準ずるものとする。
(五) ( )の日数は、仮住居を必要とする場合に適用するものとする。
(六) 立竹木は、工作物に準じて取り扱うことができるものとする。

第一三条 運用方針第一五の二(立木の移植補償)第二項に規定する立木の正常な取引価格は、果樹等の収穫樹については、近傍における同種の収穫樹の取引事例に基づいて求めることができる場合を除き、運用方針第一八に準じて算定するものとする。
第一四条 運用方針第一五の二(立木の移植補償)第三項に掲げる収穫樹の移植に伴う移植後の減収率は、次の表(移植後の減収率表)を適用して求めるものとする。

移植後の減収率表

 
年別(n)
一年目
二年目
三年目
四年目
種別
 
 
 
 
 
 
〇・九
〇・七
〇・三
〇・一
びわ
 
〇・九
〇・五
〇・三
〇・一
 
〇・八
〇・四
〇・二
〇・一
 
〇・九
〇・五
〇・三
〇・一
みかん
 
一・〇
〇・八
〇・四
〇・二
 
〇・九
〇・五
〇・三
〇・一
 
〇・六
〇・三
〇・一
 
いちじく
 
〇・四
〇・三
〇・二
〇・一
ぶどう
 
〇・八
〇・四
〇・二
〇・一
りんご
 
〇・九
〇・五
〇・三
〇・一
くるみ
 
〇・八
〇・四
〇・一
 
第一五条 運用方針第一八の二(庭木等の伐採補償等)第二項に規定する庭木等の正常な取引価格は、同項により基準とした取引価格に、観賞樹又は利用樹にあってはその手入れ、管理等の状況に応じてその二〇パーセントの範囲内で適正に定めた額を加算し、又は減額して算定するものとし、風致木にあってはその五〇パーセントに相当する額を標準として算定するものとする。
第一六条 土地等の取得又は土地等の使用に係る土地に基準第三九条から第四一条の二までに規定する立木以外の立木がある場合において、これを伐採することが相当であると認められるときは、伐採除却に通常要する費用相当額を補償するものとする。
第一七条 運用方針第二〇(営業休止の補償)第一項(四)に掲げる得意先喪失補償に係る売上減少率は、次の表(売上減少率表)を適用して求めるものとする。

売上減少率表(一か月間の売上高を一〇〇とする)

大分類
符号
分類
構外移転
構外移転
(休業あり)
構内移転
(休業あり)
製造業
自主的な生産活動を行い、全国を商圏とする大企業
一五
一五
一〇
(一〇)
 
主として受注状況等によって生産し、特定地域を商圏とする中小企業
八五
一二〇
一〇〇
(五〇)
 
主として発注者の計画に従って生産し、限定的取引先を有する中小企業
一一五
二〇五
一九〇
(一〇〇)
 
主として発注状況等によって生産する極めて小さな企業(零細、家内工業)
九五
一二五
一〇〇
(五〇)
建設業
大・中規模の総合建設業
三五
四〇
三〇
(一〇)
 
その他の建設業(工務店、設備工事業、杭打業、さく泉(井)業)及び塗装店、畳店、その他これに類する業種
九〇
一〇五
八〇
(四〇)
卸売業
特定地区(問屋街)にあるもの及び店頭販売を主としている卸売業
九〇
一〇〇
六〇
(三〇)
 
店頭以外の販売を主としている卸売業
四五
五〇
三〇
(一〇)
小売業
飲食料品、日用品、雑貨等の最寄品を主として販売する小売業及び製造販売業(生鮮食品、一般食品等の食料、弁当惣菜類、医薬品、化粧品、文具、書籍、陶磁器等)
一四五
一五五
九〇
(五〇)
 
一〇
衣料品、身回品等の買回品を主として販売する小売業(紳士服、婦人服、子供服、呉服、和装品、寝具、鞄、靴、袋物、アクセサリー)
一一〇
一二五
八〇
(四〇)
 
一一
家具、電気、レコード店等の専門品を主として販売する小売業(ホームセンター、インテリア、スポーツ用品、時計、メガネ、自動車販売)
九〇
一〇〇
六〇
(三〇)
飲食店業
一二
大衆食堂等の食事を主としている飲食店業(うどん、そば、中華そば、レストラン、すし屋、お好み焼き等)
一六〇
一七〇
一〇〇
(六〇)
 
一三
スナック、酒場等の飲食を主としている飲食店業(バー、喫茶店、小料理店等)
八〇
八五
五〇
(三〇)
 
一四
料亭等の比較的高級の飲食店業
四五
五〇
三〇
(一〇)
サービス業
一五
環境衛生、宿泊、娯楽に関するサービス業、その他これに類する業種(理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業、旅館、ホテル、パチンコ店等)
一一〇
一二五
八〇
(四〇)
 
一六
事務所を備えて営業を行うサービス業、その他これに類する業種(会計・経理事務所、弁護士事務所、不動産仲介業、広告代理業、司法書士、行政書士等)
八〇
一四〇
一三〇
(七〇)
 
一七
機械整備に関するサービス業、その他これに類する業種(自動車整備業、機械整備業等)
七〇
七五
五〇
(三〇)
 
一八
医療、健康、保健衛生に関するサービス業、その他これに類する業種(医院、マッサージ師等)
一二〇
一三〇
七〇
(四〇)
 
一九
ガソリンスタンド、洗車場業、その他これに類する業種
一一〇
一二五
八〇
(四〇)
 
二〇
その他のサービス業
七五
八〇
四〇
(二〇)

(一) この表における「構外移転」とは、店舗等を構外再築工法により移転をすることを想定したものであり、店舗等の移転、開店(業)の準備期間の休業は含まれているものである。
(二) この表における「構外移転(休業あり)」とは、店舗等を構外再築工法により移転をし、かつ、機械設備等の移設が生じるため、長期の休業を伴う場合を想定したものである。
(三) この表における「構内移転(休業あり)」とは、同一敷地内で現在店舗等に使用されている建物を撤去し、同一敷地内に店舗等を再築又は改造等を行い、かつ、長期の休業を伴う場合を想定したものである。なお、短期の休業の場合には( )内の率を適用するものとする。
(四) その他

イ 塾、各種学校その他本表を直ちに適用できない業種については、実情により別途適正に売上減少率を定めるものとする。
ロ 地域性、又は知名度等により本表により難い場合は実情により適正に補正することができるものとする。

第一八条 運用方針第二〇(営業休止の補償)第一項(四)に掲げる限界利益率算定に係る固定費の認定は、次の表(費用分解基準一覧表)を適用して求めるものとする。ただし、限界利益率を算出することが困難な場合は、「中小企業の原価指標」(中小企業庁)の付表「業種別損益分岐点関係計数表」に掲げる計数によることができるものとする。

費用分解基準一覧表

番号
 
勘定科目
科目の内容
限界利益の認定に係る固定費(○)変動費(×)
 
 
 
 
 
備考
 
 
 
 
製造業
建設業
卸売業
小売業
飲食業
サービス業
 
1
 
売上高
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

総売上高

 
 
 
 
 
 
 
 
 
2)

売上値引

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

売上戻り高

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

返品戻り高

 
 
 
 
 
 
 
 
 
3)

雑収入

作業屑、貯蔵品、原材料の処分屑等、リベート受取保険料
 
 
 
 
 
 
 
2
 
売上原価
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

期首商品棚卸高

 
×
 
×
×
×
×
 
 
2)

商品仕入高

 
×
 
×
×
×
×
仕入運賃を含む。
 
3)

仕入値引

 
×
 
×
×
×
×
商品の返品戻しを含む。
 
 

仕入戻し高

 
×
 
×
×
×
×
 
 
4)

期末商品棚卸高

 
×
 
×
×
×
×
 
3
 
製造原価
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

期首材料棚卸高

 
×
 
 
 
×
 
 
 
2)

材料仕入高

 
×
 
 
 
×
 
材料の引取費用、材料副費を含む。
 
3)

期末材料棚卸高

 
×
 
 
 
×
 
 
 
4)

賃金

 
 
 
 
 
 
 
 
5)

賞与

 
 
 
 
 
 
引当金の繰入、戻入は除く。
 
6)

雑給

 
×
 
 
 
 
 
臨時雇員に対する臨時的な賃金、給与
 
7)

法定福利費

 
 
 
 
 
 
 
 
8)

厚生費

 
 
 
 
 
 
 
 
9)

特許権利使用料

 
×
 
 
 
 
 
 
 
10)

試験研究費

 
 
 
 
 
 
 
 
11)

退職金

 
 
 
 
 
 
引当金の繰入、戻入は除く。
 
12)

外注加工費

 
×
 
 
 
 
 
 
 
13)

電力費
ガス、水道代

動力費
光熱費
×
 
 
 
 
 
基本料金は除く。
 
14)

運搬費

 
×
 
 
 
 
 
外注運賃、自社車両費(燃料費、修繕費)を含む。
 
15)

減価償却費

 
 
 
 
 
 
 
 
16)

修繕費

 
 
 
 
 
 
 
 
17)

租税公課

 
 
 
 
 
 
 
 
18)

貸借料

不動産貸借料、機械等リース、レンタル料
 
 
 
 
 
 
 
19)

保険料

 
 
 
 
 
 
 
 
20)

消耗品費

 
×
 
 
 
 
 
工場、事務用消耗品、消耗工具・器具を含む。
 
((21))

旅費

 
 
 
 
 
 
 
 
((22))

交通費

 
 
 
 
 
 
 
 
((23))

通信費

 
 
 
 
 
 
 
 
((24))

保管料

 
 
 
 
 
 
 
 
((25))

雑費

 
 
 
 
 
 
 
4
 
工事原価
(建設業)
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

材料費

 
 
×
 
 
 
 
 
 
2)

仮設経費

 
 
×
 
 
 
 
仮設材貸借料、仮設損料、仮設損耗費等
 
3)

機械等経費

 
 
×
 
 
 
 
機械等賃借料、機械等損料、機械等運搬費等
 
4)

退職金

 
 
 
 
 
 
現場従業員に対するもの
 
5)

外注費

 
 
×
 
 
 
 
労務下請をしている場合の賃金を含む。
 
6)

動力用水光熱費

 
 
×
 
 
 
 
電力、ガス、水道、石油等の費用及び計器類の損料。現場の事務、管理で使用した経費
 
7)

労務管理費

 
 
 
 
 
 
労務者の募集、解散の費用、作業用具、作業用被服、宿舎用品等
 
8)

設計費

 
 
×
 
 
 
 
外注設計料及び社内の設計費の負担額
 
9)

運搬費

 
 
×
 
 
 
 
材料費、機械等経費に含まれるものを除く現場関係の運送諸経費。自社車両費を含む。
 
10)

地代家賃

 
 
 
 
 
 
現場で使用する土地、建物等の賃借料
 
11)

事務用消耗品費

 
 
 
 
 
 
 
 
12)

通信交通費

 
 
 
 
 
 
 
 
13)

交際費

 
 
 
 
 
 
 
 
14)

補償費

 
 
 
 
 
 
道路、河川、隣接物の毀損に対する補償費の額
 
15)

労務費

 
 
×
 
 
 
 
現場における直接作業に対する労務者の賃金、割増金、現物給与等
 
16)

租税公課

 
 
 
 
 
 
現場において賦課される固定資産税、自動車税等
 
17)

保険料

 
 
 
 
 
 
現場において賦課される火災保険料、自動車保険料
 
18)

現場従業員給料手当

 
 
 
 
 
 
現場に従事する従業員の給料手当、賞与、賃金等(労務者の賃金等は含まず)
 
19)

法定福利費

 
 
 
 
 
 
現場において賦課される社会保険料、労災保険料共済組合掛金等
 
20)

福利厚生費

 
 
 
 
 
 
現場従業員に対する福利厚生費、賄費
 
((21))

雑費

 
 
 
 
 
 
 
5
 
販売費・一般管理費
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

販売員給与

 
 
 
 
 
2)

販売員旅費

 
 
 
 
 
3)

広告宣伝費

 
 
 
4)

容器包装費

 
×
×
×
×
×
×
荷造材料費を含む。
 
5)

発送配達費

外注運搬費
荷造費
自社車両費
×
×
×
×
×
×
○50%
×
×
×
×
×
×
車両燃料費、修繕費を含む。
 
6)

販売促進費

 
×
×
×
×
×
×
販売手数料、見本費を含む。
 
7)

役員報酬

 
 
 
8)

事務員給与

 
 
 
9)

雑給

 
×
×
×
×
×
×
臨時雇員に対する臨時的賃金、給与
 
10)

従業員賞与

 
引当金の繰入・戻入は除く。
 
11)

退職金

 
引当金の繰入・戻入は除く。
 
12)

減価償却費

 
 
 
13)

地代・家賃

 
不動産賃借料、事務用機械車両等のレンタル料、リース料を含む。
 
14)

修繕費

 
 
 
15)

事務用消耗品費

 
 
 
16)

通信交通費

 
 
 
17)

水道光熱費

 
×
×
 
 
18)

租税公課

 
 
 
19)

寄付金

 
 
 
20)

外注費

 
×
×
×
×
×
×
 
 
((21))

保管料

 
 
 
×
×
 
 
 
 
((22))

接待交際費

 
 
 
((23))

保険料

 
○50%
 
 
((24))

備品・消耗品費

 
 
 
((25))

法定福利費

 
 
 
((26))

厚生費

 
 
 
((27))

管理諸費

 
顧問料等の専門家費用
 
((28))

試験研究費

 
 
 
((29))

諸会費

 
 
 
((30))

組合費

 
 
 
((31))

図書費

 
 
 
((32))

雑費

 
 
6
 
営業外費用
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1)

支払利息割引料

借入金利息
手形割引料
社債利息
 

(一) 費用分解にあたり、個人営業の場合には必要経費中に自家労働の評価額は含まないものとする。なお、個人営業と事実上ほとんど差異のない法人営業については、個人営業の場合と同様に取り扱うことができるものとする。
(二) 貸倒償却、繰延資産の償却は除く。

第一九条 運用方針第二八(残地等に関する損失の補償)第一項(三)に掲げる残地の売却損率は、次の表(残地売却損率表)を参考として求めるものとする。

残地売却損率表
(単位:%)

 
標準地と残地の格差率
5%未満
5%以上10%未満
10%以上20%未満
20%以上
必要となる早急性の程度
 
 
 
 
 
高い
 
10
20
25
30
普通
 
5
15
20
25
低い
 
0
5
10
20

(注) 「必要となる早急性の程度」の判断に当たっては、事業施行の緊急性等を勘案することができるものとする。

第二〇条 運用方針第二八(残地等に関する損失の補償)第一項の取扱については、残地の状況が次の各号のいずれかに該当する場合は、同項によらず、当該残地を相当と認める他の利用目的に転換するために通常要する費用及び当該利用目的に転換することにより生ずる価格の低下に相当する額を補償することができるものとする。この場合の補償額は、取得に係る画地の評価格に残地の面積を乗じて得た額を限度とするものとする。

一 取得に係る画地が建物等の敷地であって、その残地が合理的な移転先とならないと認められ、かつ、周囲の土地の状況等からこれを従前の利用目的に供することが著しく困難になると認められる場合
二 取得に係る画地が農地地域内の田又は畑であって、その残地の水利が不良となること等により、これを従前の利用目的に供することが著しく困難になると認められる場合

第二一条 運用方針第二八の二(残地等に関する工事費の補償)に関する高低差に係る残地工事費の補償額については、別記四残地工事費補償実施要領により算定するものとする。
第二二条 運用方針第三一の五(隣接土地に関する工事費の補償)に関する高低差に係る工事費の補償額については、別記四残地工事費補償実施要領(ただし、同要領第七条第二項を除く。)に準じて算定するものとする。
第二三条 運用方針中の補償額の算定に用いる年利率等は、次により処理する。

(一) 第三(立木の取得に係る補償)第一項及び第三項、第一五の二(立木の移植補償)第三項、第一六(用材林の伐採補償)第二項、第一七(薪炭林の伐採補償)第二項並びに第一八(果樹等の収穫樹の伐採補償)第一項及び第二項の年利率は、六パーセント
(二) 第五(漁業権等の消滅に係る補償)、第七(水を利用する権利等の消滅に係る補償)第二項、第一〇(権利の制限に係る補償)(一)、第一九(営業廃止の補償)第二項及び第三一(特産物補償)の年利率は、八パーセント
(三) 第六(鉱業権、租鉱権又は採石権の消滅に係る補償)第二項の蓄積利率は、六パーセント
(四) 第一一(建物等の移転料)第一項(六)及び第三項(三)並びに第一二(借家人に対する補償)第二項の年利率は、四・五パーセント
(五) 第二八(残地等に関する損失の補償)第三項の年利率は、土地の種別に応じ第四条に定める率

第二四条 自動車の保管場所に係る補償は、別記五自動車保管場所補償実施要領により処理するものとする。



附 則
一 公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について(昭和五一年二月二三日付け建設省計用発第四号建設事務次官通達)、公共施設の設置に起因するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に係る費用負担について(昭和五四年一〇月一二日付け建設省計用発第三五号建設事務次官通達)及び公共事業に係る工事の施行に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領の制定について(昭和五九年三月三一日付け建設省計用発第九号建設事務次官通達)の付録に規定する年利率は、第二三条(四)に定める率とする。
二 通常損失補償の算定について(昭和四一年一〇月二八日付け建設省厚発第六一号建設大臣官房長通達)、通常損失補償の算定について(その二)(昭和四二年二月一七日付け建設省厚発第四六号建設大臣官房長通達)、借家人補償の取扱いについて(昭和四四年六月九日付け建設省用発第一八号建設大臣官房長通達)、土地評価事務処理要領(昭和六二年一月八日付け建設省経整発第二号建設経済局長通達)、通常損失補償の算定について(その三)の改正について(昭和六二年三月二三日付け建設省経整発第一六号建設省建設経済局通達)、営業休止補償における得意先喪失補償の算定について(平成二年一一月二七日付け建設省経整発第六二号)及び自動車の保管場所の補償について(平成五年六月八日付け建設省経整発第四〇号建設省建設経済局長通達)は、廃止する。
三 土地鑑定評価依頼事務要領準則(昭和四三年四月五日付け建設省厚発第一三七号建設大臣官房長通達)の一部を次のように改める。



別記一

土地評価事務処理要領

(趣旨)
第一条 土地の評価については、基準第二章第一節並びに運用方針第一及び第一の二に定めるもののほか、この要領に定めるところによるものとする。
(土地の面積)
第二条 土地の価額を求める場合は、実測面積を用いるものとする。
(用途的地域の区分)
第三条 運用方針第一第二項の地域の区分は、次の各号に定めるところによるものとする。

一 宅地地域

居住、商業活動、工業生産活動等の用に供される建物等の敷地の用に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、住宅地域、商業地域及び工業地域に区分する。
イ 住宅地域

居住の用に供される建物等の敷地の用に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、優良住宅地域、標準住宅地域、混在住宅地域、農家集落地域、別荘地域等に区分する。
a 優良住宅地域

敷地が広く、街区及び画地が整然とし、植生と眺望、景観等が優れ、建築の施工の質の高い建物が連たんし、良好な近隣環境を形成する等居住環境の極めて良好な従来から名声の高い地域

b 標準住宅地域

敷地の規模及び建築の施工の質が標準的な住宅を中心として形成される居住環境の良好な地域

c 混在住宅地域

比較的狭小な戸建住宅及び共同住宅が密集する地域又は住宅を主として店舗、事務所、小工場等が混在する地域

d 農家集落地域

農家等で集落を形成している地域又は市街地的形態を形成するに至らない戸建住宅地域

e 別荘地域

高原、湖畔、海浜等自然環境の良好な場所にあって、主として、避暑、避寒、保養又はレクリエーション等に利用される住宅が現に存し、又は建てられることが予定される地域

ロ 商業地域

商業活動の用に供される建物等の敷地の用に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、高度商業地域、準高度商業地域、普通商業地域、近隣商業地域、郊外路線商業地域等に区分する。
a 高度商業地域

大都市の都心又は副都心にあって、広域的商圏を有し、比較的大規模な中高層の店舗、事務所等が密集している地域

b 準高度商業地域

高度商業地域に次ぐ商業地域であって、広域的商圏を有し、店舗、事務所等が連たんし、商業地としての集積の程度が高い地域

c 普通商業地域

高度商業地域、準高度商業地域、近隣商業地域及び郊外路線商業地域以外の商業地域であって、都市の中心商業地域及びこれに準ずる商業地域で、店舗、事務所等が連たんし、多様な用途に供されている地域

d 近隣商業地域

主として近隣の居住者に対する日用品の販売を行う店舗等が連たんしている地域

e 郊外路線商業地域

都市の郊外の幹線道路(国道、都道府県道等)沿いにおいて、店舗、営業所等が連たんしている地域

ハ 工業地域

工業生産活動の用に供される建物等の敷地の用に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、大工場地域、中小工場地域等に区分する。
a 大工場地域

標準的な敷地の規模が三〇、〇〇〇平方メートル程度の大規模な工場が立地する地域

b 中小工場地域

標準的な敷地の規模が三、〇〇〇平方メートル程度の中小規模の工場が立地する地域

二 農地地域

農業生産活動のうち耕作の用に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、田地地域、畑地地域等に区分する。
イ 田地地域

大部分の土地が水田として利用されている地域

ロ 畑地地域

大部分の土地が畑地として利用されている地域

三 林地地域

林業生産活動のうち木竹の生育に供されることが自然的、社会的、経済的及び行政的観点から合理的と判断される地域とし、都市近郊林地地域、農村林地地域、林業本場林地地域及び山村奥地林地地域等に区分する。
イ 都市近郊林地地域

都市の近郊にある地域で、宅地化の影響を受けている地域

ロ 農村林地地域

農家集落の周辺にある地域で、いわゆる「さとやま」とよばれ、一般に農業を主に林業を兼業している農家の多い地域

ハ 林業本場林地地域

林業経営を主とする林家の多い地域又は地方の有名林業地で、有名林業地としての銘柄の用材又はこれに準ずる用材を生産している地域

ニ 山村奥地林地地域

農家集落への距離等の交通接近条件の劣る地域で、林家は少なく、かつ、散在している地域

四 見込地地域

宅地地域、農地地域及び林地地域に他の地域から転換しつつある地域とし、宅地見込地地域、農地見込地地域及び林地見込地地域に区分する。
イ 宅地見込地地域

宅地地域以外の地域から宅地地域へと転換しつつある地域とし、大中規模開発地域及び小規模開発地域に区分する。宅地見込地地域の判定は、別に定めるところにより行うものとする。
a 大中規模開発地域

周辺の宅地化率が低く、道路等も未整備で、相当規模で宅地開発をすることが合理的と判断される地域

b 小規模開発地域

市街地に近接し、宅地への転換度合いが高く、小規模開発で宅地化が可能と判断される地域

ロ 農地見込地地域

農地地域以外の地域から農地地域へと転換しつつある地域

ハ 林地見込地地域

林地地域以外の地域から林地地域へと転換しつつある地域

五 その他の地域

宅地地域、農地地域、林地地域及び見込地地域以外の地域(鉱泉地、池沼、牧場、原野等)とする。

(同一状況地域の区分の場合の留意事項)
第四条 運用方針第一第三項の(一)の同一状況地域は、次の各号に掲げるものに配意して区分するものとする。

一 地勢及び地盤
二 道路、鉄道、河川、水路及び公園
三 街区及び集落
四 土地利用の状況
五 市町村、大字、字等の境界
六 都市計画法の地域地区等
七 駅勢圏及び通学区域

(標準地の選定方法)
第五条 運用方針第一第三項の(1)の標準地は、同一状況地域において、別に定める個別的要因が概ね標準的と認められる一の画地とするものとする。
(標準地からの比準)
第六条 運用方針第一第三項の(1)の標準地から各画地への比準は、別に定めるところにより標準地の個別的要因と各画地の個別的要因を比較して行うものとする。
(取引事例比較法による標準地の評価)
第七条 運用方針第一第三項の(2)の取引事例比較法は、近隣地域(同一状況地域のうち評価対象地を含む地域をいう。)又は類似地域(近隣地域を含む同一需給圏内から選定した当該近隣地域と類似する地域をいう。)に存する取引事例を用い次式により算定して得た価格を比較考量して行うものとする。

M×C×T×H×S×N
M 1平方メートル当たりの取引価格 別に定めるところにより選択した取引事例の価額のうち土地に係る部分を取引面積で除して得た価格
C 事情補正率 取引事例が別に定める特殊な事情が存する取引である場合の適正に定めた補正率
T 時点修正率 取引の時点が価格時点と異なる場合の別に定めるところにより求めた土地価格の変動率
H 建付減価補正率 取引価格が建付減価していると認められる場合の当該建付減価に係る補正率
S 標準化補正率 取引事例地が近隣地域にある場合にあっては当該近隣地域の標準地の個別的要因、類似地域にある場合にあっては当該類似地域の標準地の個別的要因と取引事例地の個別的要因を別に定めるところにより比較して求めた格差率
N 地域要因の格差率 取引事例地が類似地域にある場合において、近隣地域の地域要因と当該類似地域の地域要因を別に定めるところにより比較して求めた格差率

(収益還元法による標準地の評価)
第八条 運用方針第一第三項の(2)の収益還元法は、次の各号の式によるものとする。

一 宅地地域内の土地

R/r
R 1平方メートル当たり宅地の純収益 1年を単位として、土地及び建物等の賃貸収入から諸経費を控除し、さらに建物等に属する純収益の部分を控除し、土地の面積で除して求める。

賃貸収入は、賃料、敷金等の一時金の償却額及び運用益その他の収入の合計額とする。
諸経費は、減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料その他の経費の合計額とする。
建物等に属する純収益の部分は、建物等の現在価格に期待利回り(年利率7パーセントを標準とする。)を乗じて得た額とする。

r 還元利回り 年利率5パーセントを標準とする。

二 農地地域内の土地

R/r
R 1平方メートル当たり平均純収益 1年を単位として、農業粗収入から農業経営費を控除し、土地の面積で除して求める。

農業粗収入は、農産物の販売収入、自家消費分相当額その他の収入の合計額とする。
農業経営費は、種苗費、肥料費、諸材料費、水利費、防除費、建物費、農機具費、畜力費、雇用労働費、自家労働費、賃料料金、公租公課その他の経費の合計額とする。

r 還元利回り 年利率4パーセントを標準とする。

三 林地地域内の土地

((Au+Dn1(1+r)u−n1+…−{C1(1+r)u−1+…Cu})/((1+r)u−1))−V
Au 1平方メートル当たり伐期収入 当該地方の慣行伐期時における立木材積に現在山元立木価格を乗じて得た額を土地の面積で除して求める。
Dn1… 1平方メートル当たり間伐収入 間伐収穫材積に現在山元立木価格を乗じて得た額を土地の面積で除して求める。
u 慣行伐期齢 当該地方の慣行伐期齢を調査し、森林法の地域森林計画において定める標準伐期齢を参考として定める。
n1… 間伐年 植林より間伐までの年数
C1…Cu 1平方メートル当たり造林費 当該森林の造林に要する新植費、補植費、下刈、つる切り、伐除等の手入費その他の経費の合計額を土地の面積で除して求める。
V 1平方メートル当たり管理資本 当該森林の経営上投下される森林組合費、森林火災保険料、森林見回り費等の年間経費の合計額を土地の面積で除した後、管理資本還元利率(年利率4パーセントを標準とする。)で除して算定する。
r 年利率 4パーセントを標準とする。

(原価法による標準地の評価)
第九条 運用方針第一第三項の(2)の原価法は、次の各号の式によるものとする。

一 宅地地域内の土地(次号に該当する場合を除く。)

G+D
G 1平方メートル当たり素地価格 当該近隣地域内の素地の取得価額を取得面積で除して求める。
D 1平方メートル当たり造成工事費等 当該近隣地域内の土地の造成に要する標準的な1平方メートル当たりの工事費及び付帯費用

二 最近造成された一団地の宅地

(G+D+I)÷S
G 素地の取得価額 開発区域全体の素地の取得価額
D 造成工事費等 当該開発区域の造成に要する工事費及び公共施設負担金の合計額とする。この場合の工事費は、測量調査費、設計費、道路築造費、排水工事費等の直接工事費及び運搬費、準備費、仮設費、現場管理費等の間接工事費とする。
I 付帯費用 通常必要とされる販売費、一般管理費、その他の経費の合計額
S 宅地面積 開発区域内の有効宅地部分の総面積

三 農地地域内の土地及び林地地域内の土地

第一号又は第二号に準ずる。

四 宅地見込地地域内の土地

{Lf−D(1+nc)−Lfi}÷(1+n’c)÷(1+r)m
L 1平方メートル当たり転換後造成後の更地価格 想定上の開発区域内における宅地開発後の標準的な画地の更地価格を類似の宅地開発地の取引事例等により算定する。
f 有効宅地化率 想定上の開発区域の規模、自然的条件、公共施設の整備水準等を考慮して作成した想定開発図による有効宅地化率を基に類似の宅地開発地の有効宅地化率を参考にして定める。
D 1平方メートル当たり造成工事費等 当該開発区域の想定上の開発設計及び想定開発図を基に造成に要すると見込まれる工事費に公共施設負担金を加え、開発区域全体の面積で除して求める。
i 付帯費用割合 通常必要とされる販売費、一般管理費その他の経費の合計額が転換後造成後の更地価格に占める割合であって、想定上の開発区域の規模、開発期間等を考慮して適正に定める。
n 工事等の期間 造成工事費等の支払時から宅地販売時までの標準的な所要月数
n’ 素地取得等の期間 素地取得時から宅地販売時までの標準的な所要月数
c 月当たり投下資本収益率 月利率1パーセントを標準とする。
r 年利率 6パーセントを標準とする。
m 熟成までの期間 評価時点から素地取得までの期間とする。当該開発区域の位置、自然的条件、都市発展の動向等をしんしゃくして求める。

五 農地見込地地域内の土地及び林地見込地地域内の土地

第四号に準ずる。

(公示価格等との均衡)
第一〇条 運用方針第一の二により公示価格と標準地の評価格を比較するときは、第七条の取引事例比較法の算定式を準用するものとする。
2 近隣地域又は類似地域に公示価格に係る土地がない場合において、国土利用計画法施行令(昭和四九年政令第三八七号)第九条に規定する基準地があるときは、当該基準地の標準価格と標準地の評価格について前項に準じて比較を行うものとする。



別記二

土地利用制限率算定要領

(土地利用制限率)
第一条 基準第二五条に掲げる「土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に定めた割合」(以下「土地利用制限率」という。)の算定は、この要領の定めるところによるものとする。
(土地の利用価値)
第二条 土地の利用価値は、地上及び地下に立体的に分布しているものとし、次の各号に掲げる使用する土地の種別に応じ、当該各号に掲げる利用価値の合計とすることを基本とし、それぞれの利用価値の割合は、別表第一「土地の立体利用率配分表」に定める率を標準として適正に定めるものとする。

一 高度市街地内の宅地

建物による利用価値及びその他の利用価値(上空における通信用施設、広告用施設、煙突等の施設による利用及び地下における特殊物の埋設、穽井による地下水の利用等をいう。以下同じ。)

二 高度市街地以外の市街地及びこれに準ずる地域(概ね、市街化区域内又は用途地域が指定されている高度市街地以外の区域をいう。)内の宅地又は宅地見込地

建物による利用価値、地下の利用価値及びその他の利用価値

三 農地又は林地

地上の利用価値、地下の利用価値及びその他の利用価値

(土地利用制限率の算定方法)
第三条 土地の利用制限率は、次式により算定するものとする。

一 前条第一号の土地の場合

建物による利用価値の割合×(B/A)+その他の利用価値の割合×α

A 建物利用における各階層の利用率の和
B 空間又は地下の使用により建物利用が制限される各階層の利用率の和
α 空間又は地下の使用によりその他利用が制限される部分の高さ又は深さによる補正率(0〜1の間で定める。)

二 前条第二号の土地の場合

建物による利用価値の割合×(B/A)+地下の利用価値の割合×p+その他の利用価値の割合×α

A、B それぞれ前号に定めるところによる。
p 地下の利用がなされる深度における深度別地下制限率
α 前号に定めるところによる。

三 前条第三号の土地の場合

地上の利用価値の割合×q+地下の利用価値の割合×p+その他の利用価値の割合×α

q 空間又は地下の使用により地上利用が制限される部分の利用率の割合
p 第2号に定めるところによる。
α 第1号に定めるところによる。

(建物利用における各階層の利用率)
第四条 前条に規定する建物利用における各階層の利用率を求める際の建物の階数及び用途は、原則として、使用する土地を最も有効に使用する場合における階数及び用途とするものとし、当該階数及び用途は、次の各号に掲げる事項を総合的に勘案して判定するものとする。

一 当該地域に現存する建物の階数及び用途
二 当該地域において近年建築された建物の標準的な階数及び用途
三 土地の容積率を当該土地の建ぺい率で除して得た値の階数
四 当該地域における都市計画上の建ぺい率に対する標準的な実際使用建ぺい率の状況
五 当該地域における用途的地域
六 当該地域の将来の動向等

2 建物の各階層の利用率は、当該地域及び類似地域において近年建築された建物の階層別の賃借料又は分譲価格等を多数収集の上これを分析して求めるものとする。この場合において、高度市街地内の宅地にあっては、別表第二「建物階層別利用率表」を参考として用いることができるものとする。
(深度別地下制限率)
第五条 第三条に規定する深度別地下制限率は、地域の状況等を勘案して定めた一定の深度までの間に、一〜一〇メートルの単位で設ける深度階層毎に求めるものとし、原則として当該深度階層毎に一定の割合をもって低下するとともに、最も浅い深度階層に係る深度別地下制限率を一として算定するものとする。
(農地等の地上利用)
第六条 第三条に規定する地上利用が制限される部分の利用率は、農地及び林地における農業施設の所要高、立木の樹高の最大値等を考慮の上、地域の状況に応じて、地上利用の高さ及び高度別の利用率を決定することにより適正に定めるものとする。
(空間又は地下の使用による残地補償)
第七条 同一の土地所有者に属する土地の一部の空間又は地下を使用することによって残地の利用が妨げられる場合の当該残地に関する損失の補償額の算定は、次式によるものとする。

土地価格×建物利用制限率×残地補償対象面積

残地補償対象面積=残地面積−建築可能面積
建築可能面積 当該残地の建ぺい率、画地条件、周辺の環境及び直接利用制限部分との関係等を考慮して適正に定める。
建物利用制限率 使用する土地の土地利用制限率(その他の利用価値に係る制限率が含まれる場合は、これを除く。)



別表第1 土地の立体利用率配分表

 
 
土地の種別
宅地
 
 
 
 
 
宅地見込地
 
 
容積率等
900%を超えるとき
600%を超え900%以内
400%を超え600%以内
300%を超え500%以内
150%を超え300%以内
150%以内
 
利用率等区分
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最有効使用
建物等利用率
 
0.9
0.8
0.7
0.7
0.6
0.6
0.6
その他使用
地下利用率
 
0.2
0.3
0.3
0.3
 
 
 
0.1
0.2
0.3
 
 
 
 
 
その他利用率(δ)
 
 
 
 
 
 
 
0.1
0.1
0.1
0.1
 
(δ)の上下配分割合
 
1:1
 
 
 
2:1
3:1
4:1
 
土地の種別
農地
林地
利用率等区分
 
 
地上利用率
 
0.9
地下利用率
 
 
その他利用率(δ)
 
0.1
(δ)の上下配分割合
 
5:1

(注)

1 建築基準法等で定める用途地域の指定のない区域内の土地については、当該地の属する地域の状況等を考慮のうえ、土地の種別のいずれか照応するものによるものとする。
2 土地の種別のうち、宅地の同一容積率での地下利用率については、原則として当該地の指定用途地域又は用途的地域が商業地域以外の場合等に適用するものとする。
3 土地の種別のうち、宅地中、当該地の指定用途地域又は用途的地域が商業地域の場合の建物等利用率については、当該地の属する地域の状況等を考慮して、上表の率を基礎に加算することができるものとする。
4 土地の種別のうち、農地・林地についての地上利用率と地下利用率との配分は、宅地見込地を参考として、それぞれ適正に配分するものとする。



別表第2 建物階層別利用率表
<別添資料>



別記三

区分所有建物敷地取得補償実施要領

(目的)
第一条 本要領は、建物の区分所有等に関する法律(昭和三七年法律第六九号。次条において「区分所有法」という。)の適用のある建物で移転が困難なものの敷地の取得に当たって必要となる当該建物及びその敷地に係る補償について、一般的と認められる方法を定めるものである。
(用語の意義)
第二条 本要領における用語の意義は、区分所有法の定めるところ等により次の各号のとおりとするほか、同法によるものとする。

一 区分所有建物 一棟の建物でその構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものそれぞれが所有権の目的とされているものをいう。
二 区分所有権 区分所有建物の前号に規定するそれぞれの部分(規約により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
三 区分所有者 区分所有権を有する者をいう。
四 専有部分 区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
五 共用部分 支柱、耐力壁、屋根、外壁、基礎等建物の基本的な構造たる部分、数個の専有部分に通ずる廊下、階段室等構造上区分所有者の全部又は一部の用に供される部分等専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び規約により共用部分とされた附属の建物をいう。
六 区分所有建物の敷地 区分所有建物が所在する土地及び規約敷地をいう。
七 規約敷地 規約により区分所有建物の敷地とされた土地をいい、区分所有建物が所在する土地とは筆を異にする土地であって庭、通路、自動車の保管場所、附属の建物等の用に供するためこれと一体として管理又は使用をする関係にあるものである。
八 敷地利用権 専有部分を所有するための区分所有建物の敷地に関する権利をいい、所有権又は地上権、賃借権等が該当する。

(補償金の支払方法)
第三条 次の各号に掲げる補償については、集会の決議による管理者、管理組合法人の理事等区分所有者を代表する権限を有する者と契約を締結し、この者に一括して補償金を支払うことに努めるものとする。

一 第一三条第一項に規定する残存部分に対する補修費等の補償
二 第一六条第一項に規定する残存部分の維持管理費の増分に対する補償
三 第一七条に規定する附属の建物等に対する補償
四 第一八条に規定する立木等に対する補償

(区分所有建物の敷地の画地)
第四条 区分所有建物の敷地の評価に係る画地については、運用方針第一第一項第二号の規定にかかわらず、所有者を異にする場合においても、区分所有建物の敷地を構成する一団の土地とする。
(敷地利用権の価格の評価)
第五条 敷地利用権が所有権である場合におけるその価格の評価は、敷地利用権の対象である画地の正常な取引価格による価額(画地が二以上ある場合においてはそれぞれの価額の合計額とする。)に当該敷地利用権の共有持分の割合を乗じて行うものとする。この場合において、区分所有建物の老朽化が著しいにもかかわらず建替計画が具体化していないこと、建物と敷地の関係が不適合であると認められること、付近の土地利用からみて有効な利用と認められないこと等により、土地価格に減価が生じていると認められるときは、適正に減価補正するものとする。
2 前項の共有持分の割合については、原則として、不動産登記簿に記載されている敷地権の割合により確認し、定めるものとする。ただし、敷地権の割合が区分所有建物の共用部分の共有持分の割合と著しく異なる場合には、その事情を確認の上で適切に定めるものとする。
(借地権等である場合の取扱い)
第六条 敷地利用権が所有権以外の権利である場合におけるその価格の評価は、前条の規定に準じて行うものとする。
(残存区分所有者の敷地利用権の持分の取得方法)
第七条 区分所有建物の一部のみを取得する場合において、残存する区分所有者が有する敷地利用権のうち事業に必要な用地に相当する部分については、できる限り区分所有権の取得に伴い事業者が取得した敷地利用権のうち残地に相当する部分と交換することによって取得するよう努めるものとする。この場合において、交換差額が生ずるときは、清算を行うものとする。
(区分所有権の取得価格)
第八条 取得に係る区分所有権(共用部分の共有持分を含む。)の正常な取引価格は、当該区分所有権(共用部分の共有持分を含む。)及びその敷地利用権(以下「区分所有権等」と総称する。)の価格から、第五条及び第六条の規定に基づき求めた敷地利用権の価格を控除して求めるものとする。
2 前項の区分所有権等の正常な取引価格は、次条に定める取引事例比較法により求めた価格を基準として、第一〇条に定める原価法により求めた価格を参考として求めるものとする。ただし、取引事例比較法により価格を求めることが困難な場合は、原価法により求めた価格を基準とするものとする。
(取引事例比較法による区分所有権等の比準価格)
第九条 区分所有権等の取引事例比較法による比準価格を算定するに当たっては、原則として、当該区分所有権等の属する区分所有建物及び事例の区分所有権等の属する区分所有建物のそれぞれに評価の基準となる区分所有権等(評価の基準として適当と認められる階層において評価に適当と認められる位置に存する専有部分に係る区分所有権等をいい、以下「基準戸」という。)を設定するものとする。
2 区分所有権等の比準価格は、概ね、次の各号に定める順序に従って算定するものとする。

一 事例の区分所有権等の属する区分所有建物に係る基準戸における価格時点の専有部分一平方メートル当たりの正常な取引価格を、事例の区分所有権等と当該基準戸の次項第三号及び第四号に掲げる個別的要因の比較等により算定する。
二 事例の区分所有権等の属する区分所有建物に係る基準戸と取得に係る区分所有権等の属する区分所有建物に係る基準戸の格差率を、地域要因、次項各号に掲げる個別的要因等の比較により算定する。
三 取得に係る区分所有権等の属する区分所有建物に係る基準戸と取得に係る区分所有権等の格差率を、次項第三号及び第四号に掲げる個別的要因等の比較等により算定する。
四 取得に係る区分所有権等の比準価格は、第一号の規定により算定した正常な取引価格に前二号の規定により算定した格差率を乗じて算定する。

3 前項に規定する個別的要因は、概ね、次の各号に例示するとおりとする。

一 区分所有建物に係る個別的要因

ア 施工の良否
イ 建物の経過年数及び残存耐用年数
ウ 建物の構造、設計、設備等の良否
エ 玄関、集会室等の施設の状態
オ 建物の階数
カ 建物の用途及び利用の状態
キ 管理の良否
ク 居住者、店舗等の構成の状態

二 敷地に係る個別的要因

ア 敷地の形状及び空地部分の広狭の程度
イ 敷地内施設の状態
ウ 敷地の規模
エ 敷地に関する権利の態様

三 専有部分に係る個別的要因

ア 階層及び位置
イ 日照、眺望及び景観の良否
ウ 室内の仕上げ及び維持管理の状態
エ 専有面積及び間取りの状態
オ 隣接不動産等の利用の状態
カ エレベーター等の共用施設の利便性の状態
キ 敷地に関する権利の態様及び持分

四 専用使用権に係る個別的要因

ア 自動車の保管場所の形態及びその権利の態様
イ 専用庭の有無
ウ バルコニー、トランクルーム等の施設の状態

(原価法による区分所有権等の積算価格)
第一〇条 区分所有権等の原価法による積算価格は、当該区分所有権等が属する区分所有建物一棟及びその敷地利用権全体について求めた原価法による積算価格に、当該区分所有権等に係る効用比による配分率を乗じて算定するものとする。
2 前項の区分所有建物一棟及びその敷地利用権全体について求める積算価格は、当該区分所有建物の再調達原価を減価修正した額と当該敷地利用権全体の再調達原価を減価修正した額を合計した額に、第五条第一項後段に規定する減価補正を適正に行って算定するものとする。
3 前項に定める減価修正は、区分所有建物については建物又は設備の破損及び老朽化に係る要因を主として行うものとし、敷地利用権については擁壁、石垣等の破損があるような場合に限りその復旧費用を考慮して行うものとする。
4 第一項の効用比による配分率は、次の各号の項目を参考にして適正に定めるものとする。

一 当該区分所有建物販売時における当該区分所有権等に係る戸の設定価格の全戸の設定価格の総額に対する割合
二 近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域に存する同類型、同品等、同階建の区分所有建物(以下本号において「近隣区分所有建物等」という。)の階層別設定価格を参考にして定めた階層別効用比率及び近隣区分所有建物等の評価対象の区分所有権と同一の階層における設定価格を参考にして定めた位置別効用比率の相乗積

5 前項第二号の階層別効用比率及び位置別効用比率は、次式により求める。

階層別効用比率=(対象階の階層別効用比×対象階の専有面積)/((各階の階層別効用比×各階の専有面積)の合計値)
位置別効用比率=(対象区分所有権の位置別効用比×対象区分所有権の専有面積)/((対象区分所有権の存する階の各戸の位置別効用比×各戸の専有面積)の合計値)

(内装に要する費用等の補償)
第一一条 区分所有権等の価格が、専有部分の壁、天井等の内装又は台所、浴室等の水回り設備が改修されていない状態のものとして算定されているときは、これら内装又は水回り設備の改修に要する費用を補償するものとする。
(建物の一部が支障となる場合に取得する建物の範囲)
第一二条 区分所有建物の一部が事業の支障となる場合における取得する建物の範囲については、次の各号に掲げる項目について取りこわすことによる影響の程度を総合的に検討して取りこわすべき建物の範囲を定めた上で、当該範囲を取得するものとする。

一 構造の安全性
二 法令の規定の充足度
三 取りこわし工事の難易度
四 残存部分に対する補修費、補強費と残存する効用との対照

2 前項の検討に当たっては、あらかじめ一級建築士等の建築の専門家に構造の安全性等につき診断を求めなければならない。
(残存部分に対する補修費等の補償)
第一三条 区分所有建物の一部のみを取得する場合においては、残存する区分所有建物の区分所有者が有する取得部分の共用部分の共有持分に対する金銭による補償は行わず、残存部分を存置させるために必要な次の各号に掲げる工事に要する費用を補償するものとする。

一 切断面の補修
二 設備の移設、取り替え
三 構造部の補強
四 その他必要となる工事

2 前項に掲げる工事の期間中、区分所有者又はその借家人が仮住居を必要とし、又は営業を一時休止する必要があると認められるときは、仮住居に通常要する費用又は休止による収益減(若しくは所得減)を補償するものとする。
(残存専有部分に対する工事費等の補償)
第一四条 十分な広さを有する専有部分の一部が事業の支障となる場合で、当該専有部分の残存部分を専有部分として利用することが可能であり、かつ、妥当であると認められるときは、利用を可能とするための工事に要する費用を補償するものとする。この場合において、当該残存部分を第三者に譲渡することが妥当と認められるときは、売急ぎに伴う売却損相当額を補償するものとする。
(残存部分の価値減等に対する補償)
第一五条 区分所有建物の一部の取りこわしに伴い残存部分に存する区分所有権の価値が低下すると認められる場合は、価値の低下相当額を補償するものとする。
2 価値の低下に対する補償額は、従前建物と残存部分との外観の差異等による市場性の低下の程度、残存部分に対する補修、補強等の措置の程度、建物と敷地の適合性の程度等を総合的に検討して定めるものとする。この場合において、不動産鑑定業者等の意見を参考とするものとする。
(残存部分の維持管理費の増分に対する補償)
第一六条 残存する区分所有者が残存部分を維持管理するために負担する諸費用のうち次の各号に掲げる費用で区分所有者の数に比例して減少しないものについては、次項に定めるところにより維持管理費の増加分を補償するものとする。

一 電気料金、水道料金等の基本料金に係る費用
二 エレベーター、テレビジョン受信施設等の点検費、修繕費
三 給排水施設の清掃費、修繕費
四 外壁等の塗装費、補修費
五 集会所等の共同施設の管理費
六 管理委託費用
七 その他の費用

2 維持管理費の増分は、次式により算定する。

(A−B)×(((1+r)n−1)/(r(1+r)n))
A 残存する区分所有者1人当たりの残存部分における維持管理費の合計額
B 残存する区分所有者1人当たりの従前建物における維持管理費の合計額
r 年利率 4.5パーセントとする。
n 補償期間 残存部分の残耐用年数又は20年のいずれか短い期間とする。

(附属の建物等に対する補償)
第一七条 集会所等の附属の建物を再築する必要があると認められるときは、残存する区分所有者の数に見合った適正な規模の建物の再築に要する費用を補償するものとする。
2 取得した専有部分に事業の支障とならず、かつ、集会所等として利用が可能であるものがあるときは、これを前項の補償に代えて提供することができるものとする。この場合においては、集会所等とするための室内の改造等に要する費用を補償するものとする。
3 不足する自動車の保管場所を確保する必要があると認められるときは、残存する区分所有者の数、従前の区分所有者の数と自動車の収容台数との割合、従前の保管場所の形態等を考慮し、適正な保管場所を確保するのに要する費用を補償するものとする。
(立木等に対する補償)
第一八条 立木又は工作物(前条に規定するものを除く。)を移転する必要があると認められるときは、当該移転に要する費用を補償するものとする。
(管理組合法人の理事等の費消時間に対する補償)
第一九条 区分所有建物の管理組合法人の理事等で、分離処分可能規約の作成のための集会の開催等敷地の売却に係る法令上の手続きを行った者に対しては、これらの実施のため通常必要となる費消時間に対して補償するものとする。
2 前項の補償については、就業不能補償に係る運用方針第一五第六項の規定を準用する。この場合において、通常必要となる費消時間(日数)は、関係する区分所有者の数、実際に時間を費消する理事等の数及び建物の支障となる程度に応じて、当該理事等の業務の内容を適正に認定した上で定めるものとする。



別記四

残地工事費補償実施要領

(目的)
第一条 本要領は、残地と道路の路面高との間に高低差が発生し又は拡大する場合において必要と認められる残地の従前の用法による利用を維持するための工事に通常要する費用の補償について定めることを目的とする。
(通路等の設置の補償)
第二条 残地の規模、利用状況等に鑑み、通路又は階段を設置することにより従前の用法による利用を維持することができると認められるときは、通路又は階段を設置するのに通常要する費用を補償するものとする。
(盛土又は切土の工事費の補償)
第三条 残地における盛土又は切土の工事に要する費用の補償は、次の各号のいずれにも該当するときに実施するものとする。

一 残地に建物が存するとき又は残地が取得する土地に存する建物の通常妥当な移転先と認定されるとき。
二 前条に規定する通路等の設置では、従前の用法による利用を維持することができないと社会通念上認められるとき。

(盛土高)
第四条 事業施行後において、道路の路面より残地が低くなる場合おける補償の対象とする盛土高の標準は、高低差が事業施行前の状態に復するまでの間の値とする。ただし、事業施行前において道路の路面より〇・五メートル以上高い敷地の残地にあっては、路面より〇・五メートル高くなるまでの高さを限度とする。
(切土高)
第五条 事業施行後において、道路の路面より残地が高くなる場合における補償の対象とする切土高の標準は、下表によるものとする。
事業施行前の状態
補償対象切土の高さ
道路の路面と敷地が等高又は敷地が低い場合
(住宅敷地の場合)

事業施行後の道路の路面と残地の高低差が一メートルを超える場合は、高低差が一メートルとなるまでの間の値

(店舗等敷地の場合)

等高になるまでの間の値

道路の路面より敷地が高い場合
(住宅敷地の場合)

事業施行後の道路の路面と残地の高低差が一メートルを超える場合は、高低差が一メートルになるまでの間の値。ただし、事業施行前すでに高低差が一メートルを超えていた場合は、事業施行前の状態に復するまでの間の値

(店舗等敷地の場合)

事業施行前の状態に復するまでの間の値

(盛土高及び切土高の限界)
第六条 前二条に規定する盛土高又は切土高が当該地域における地勢の状況、宅地の擁壁高の状況、隣接宅地との関係等を勘案し、社会通念上妥当と認められる範囲を超えるときは、当該範囲において盛土高又は切土高を決定するものとする。
(標準的な盛土高又は切土高としない場合の処置)
第七条 前条により第四条又は第五条に規定する盛土高又は切土高としない場合において、残地に接面道路への出入りのための通路等を設置し、及び必要により自動車の保管場所を確保する場合においては、これらの工事に通常要する費用を補償するものとする。
2 前条に規定する範囲における盛土又は切土の工事及び前項に規定する工事を実施してもなお社会通念上妥当と認められる範囲を超えて価値減が生じていると認められるときは、当該価値減相当額を補償するものとする。
(盛土又は切土の平面的な範囲)
第八条 補償の対象とする盛土又は切土の範囲は、原則として、残地の全部とする。ただし、残地のうち盛土し、又は切土する必要性がないと認められる部分は除く。
(補償の限度)
第九条 残地に関する損失及び工事費の補償額の合計額は、残地を取得した場合の価額(取得価格に残地面積を乗じて算定した価額)を限度とする。ただし、当該地域の地価水準等を勘案して、特に必要があると認められる場合において、本要領に基づく補償を行うことを妨げるものではない。



別記五

自動車保管場所補償実施要領

(適用範囲)
第一条 本要領は、次に掲げる要件に該当する自動車の保管場所について適用する。

一 平家建又は二階建の建物の存する一団の土地内の自動車の保管場所の一部又は全部が取得又は使用(以下「取得等」という。)されることにより使用できなくなる当該自動車の保管場所
二 現に自動車の保管場所の用に供されており、引続き同一目的に供されると見込まれる自動車の保管場所
なお、自動車の保管場所と共に建物が取得等される土地に存する場合には、自動車の保管場所の機能回復を含めて当該支障建物の移転工法を検討することから、本要領は適用しない。ただし、この場合には、本要領のうち参考となる事項について、これに準じて取扱うものとする。

(定義)
第二条 「自動車の保管場所」とは、自動車の保管場所の確保等に関する法律(昭和三七年六月一日法律第一四五号)第二条第三号に規定する保管場所(車庫、空地その他自動車を通常保管するための場所)及び業務用建物敷地内における当該業務と密接不可分な車両の駐車のための場所(以下「保管場所」という。)をいう。
2 「一団の土地」とは、居住用建物又は業務用建物及び保管場所が機能的に一体利用されている画地をいう。

なお、この場合において、土地に関する権利の形態については、自己の所有権と所有権以外の権利(借地権等)が混在していても差支えないものとする。

(補償方法)
第三条 一団の土地内に存する自動車の保管場所の一部又は全部が取得等される場合においては、原則として、次により補償するものとする。

なお、この場合において、残地内の建物等の移転、近隣の貸駐車場(保管場所)の借上げ又は残地内での立体駐車場(保管場所)の設置を行わなければ従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、一団の土地に存する建物の所有者の請求により、補償するものとする。
また、本要領は標準的な取扱いを示すものであり、これにより難い場合は個々の具体的な実情に即して妥当な補償となるよう適正に運用するものとする。
(1) 保管場所の機能回復の方法

保管場所の機能回復の方法は、一団の土地の用途(一般住宅敷地、共同住宅(貸家)敷地又は業務用建物敷地)により、残地の状態、保管場所の機能回復に要する費用の経済性等を検討の上、次表に掲げる回復方法の中から合理的な方法を決定する。

番号
用途
保管場所の機能回復の方法
機能回復の方法の内容
一般住宅敷地
共同住宅敷地
業務用建物敷地

残地内の建物を移転することなく保管場所を確保
残地内の主たる建物を移転することなく、物置その他の工作物及び立竹木を再配置することによって、保管場所を含む現状機能を確保

一般住宅敷地
共同住宅敷地
業務用建物敷地

近隣に保管場所とすることができる土地を確保
「近隣」とは、現在の保管場所から概ね二〇〇メートルの範囲を標準とするが、具体的には各地域の実情等によって決定(以下において同じ。)

一般住宅敷地
業務用建物敷地

近隣の貸駐車場(保管場所)を借上げ
比較的容易に借上げが可能な場合とし、順番待ち等の状況(短期間で確実に借上げできる場合を除く。)にあるときは、該当しない。

共同住宅敷地
業務用建物敷地

残地内に立体駐車場(保管場所)を設置
地域内の一部に立体化された駐車場(保管場所)が設置されている地域においては、これらの使用実態、設置場所、設備の種類(機械式、半自走式、自走式)等の調査を行い、残地内に設置する設備を検討・決定

一般住宅敷地
共同住宅敷地
業務用建物敷地

残地内の建物を構内に移転して、保管場所を確保
残地内の主たる建物の一部又は全部を移転することによって、保管場所を含む現状機能を確保

一般住宅敷地
共同住宅敷地
業務用建物敷地

構外に建物を移転して保管場所を確保
前記の五つの方法による保管場所の確保が困難な場合又は他の方法に比べ経済合理性を有する場合には、構外移転によって、保管場所を含む現状機能を確保
(注) 合理的な回復方法は、番号一から順次検討を行った上で決定するものとする。

留意事項

1) 共通

ア 表中、番号二の「保管場所とすることができる土地」とは、一団の土地に存する建物の所有者が所有等する土地又は土地に関する権利の取得等が明らかな他人の土地で、保管場所とすることができる土地をいう。
イ 保管場所を借上げにより確保することの可否、及び保管場所を一団の土地以外の土地に確保することが行われている地域であるか否かの判定に当たっては、地元不動産業者等からの聞込み等により行うものとする。
ウ 立体駐車場(保管場所)は必要最小規模のものとし、二段式を妥当とする。この場合における駐車台数の決定に当たっては、単に起業地内の支障となる台数分だけでなく、設置するために新たに支障となる分も含めたものとする。
エ 残地内の建物を移転して保管場所を確保する方法の検討に当たっては、建物の一階部分を保管場所とするなど、立体的な機能回復方法の検討も行うものとする。
オ 建物の移転工法を構外再築工法と決定する場合には、他の方法による保管場所の確保が困難である旨の資料等を十分備えた上で、慎重に判断するものとする。
カ 保管場所の規模等の検討に当たっては、現在の保管場所の利用状況、使用頻度(使用率)等を検討して判断するものとする。

したがって、保管場所の利用状況、使用頻度(使用率)等によっては、現状の保管場所機能の完全な回復を必要としない場合もあることに留意するものとする。

2) 住宅敷地内の保管場所

ア 住宅敷地内の保管場所で本要領の対象とするのは、生活上自動車が不可欠な地域(通勤、買物等に自動車を使用することが一般的な地域)内の保管場所とする。

3) 共同住宅敷地内の保管場所

ア 保管場所を備えていることを必ずしも貸家の一般的な条件としていない地域内の共同住宅(貸家)の保管場所については、残地内の建物の移転又は立体駐車場(保管場所)の設置等による機能回復の必要性までは認められないことに留意するものとする。

したがって、このような地域内の共同住宅(貸家)の保管場所が支障となった場合には、残地の簡易な工作物等を移転すること等により、できる限りの保管場所を確保するものとする。

イ 建物の一部を分割して構外に移転する工法を採用するに当たっては、構外再築工法と同様に他の方法による保管場所の確保が困難である旨の資料等を十分備えた上で、慎重に判断するものとする。

4) 業務用建物敷地の保管場所

ア 保管場所の支障の状態、業種等によっては、本要領による保管場所の確保に要する費用の補償と保管場所の機能回復を行わずに営業規模の縮少による補償とを比較検討するものとする。
イ 現状と同様移転後も残地に保管場所を確保することを標準とするが、次のような使用実態等にある場合には、建物の存する土地と保管場所とが分離(割)することが可能であると判断することを原則とする。

・従業員が通勤に使用している保管場所
・主として夜間に多く使用されている業務用トラック等の保管場所
・その他、分離(割)が可能と認められるとき。

ウ 立体駐車場(保管場所)の設置の検討に当たっては、業種、保管場所の使用状況、使用頻度等から総合的に検討するものとする。

(2) 補償額の算定式

自動車の保管場所の確保に要する費用の補償額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる式により算定した額とする。
なお、建物等の移転に伴い営業休止、家賃減収等が生ずる場合には、その損失額を補償するものとする。
一 残地内の建物を移転することなく保管場所を確保する場合

補償額=保管場所の移転料+物置その他の工作物移転料+立竹木移転料+(動産移転料)+(移転雑費)

注1 移転先又は従前の保管場所の残存部分に整地を行うことが必要であると認められる場合には、これに要する費用は保管場所の移転料に含む(以下において同じ。)。

二 近隣に保管場所とすることができる土地を確保する場合

補償額=保管場所の移転料+移転雑費(移転先選定に要する費用、契約に要する費用、就業できないことによる損失額等)

三 近隣の貸駐車場(保管場所)を借上げる場合

補償額=貸駐車場(保管場所)の利用料相当額+現在の保管場所の現在価額+現在の保管場所の取りこわし工事費−発生材価額
貸駐車場(保管場所)=当該地域における標準的利用料金(1か月)×0.9×月数の利用料相当額


1 0.9は、現在の保管場所に対する管理費、土地に係る公租公課等相当分を考慮し、補正したものである。
2 月数は、24か月以内で適正に定めるものとする。

四 残地内に立体駐車場(保管場所)を設置する場合

補償額=立体駐車場(保管場所)設置費用相当額+立体駐車場(保管場所)の維持管理費相当額+(移転雑費)+現在の保管場所の取りこわし工事費−発生材価額


1 立体駐車場(保管場所)の維持管理費相当額は、設置する設備が機械式であって、通常の維持管理費が必要と認められる場合に、補償できるものとし、次式により算定する。

維持管理費相当額=A×(((1+r)n−1)/(r(1+r)n))

・Aは、新設した設備に係る年均等化経常費から既存の設備に係る年均等化経常費を控除した額とする。
・rは、年利率とし、4.5パーセントとする。
・nは、新設した設備の維持管理費の費用負担の対象となる年数とし、当該補償設備の耐用年数に相応する一代限りの期間とする。

2 立体駐車場(保管場所)の設置に伴い工作物及び立竹木の移転の必要を生ずる場合には、これらを移転するのに要する費用を補償するものとする。

五 残地内の建物を構内に移転して保管場所を確保する場合

補償額=建物移転料(曳家、改造、除却又は再築工法)+保管場所の移転料+その他の工作物移転料+立竹木移転料+動産移転料+移転雑費

六 構外に建物を移転して保管場所を確保する場合

補償額=建物移転料(再築工法)+保管場所の移転料+その他の工作物移転料+立竹木移転料+動産移転料+移転雑費


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