61国水政第八五号
昭和六一年四月八日

各都道府県水資源担当部長・政令都市水資源担当部局長あて

国土庁水資源政策課長通達


雑用水利用の促進について


水資源行政の推進につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、感謝いたしております。
さて、今後の水需給のひっ迫に対処し、水資源の有効利用を推進するためには、総合的な水資源対策の一環として、雑用水利用(排水の再利用)を推進していくことが、重要な課題となっております。
全国的にみますと、節水、水使用の合理化等を目的として、事務所ビル等における排水を処理し、水洗便所用水、空調・冷却用水等の雑用系用途に循環利用する事例がかなり多くなってきています。また、一部の自治体におきましては、独自に要綱等を策定し、雑用水利用を推進しているところです。
国におきましても、従来より別添のとおり雑用水利用施設に係る税制、金融上の優遇措置を講じるなど、関連する施策の充実に努めております。
貴職におかれては、これらのことを御了知の上、関係部局と密接な連携を図りつつ、雑用水利用の促進方について積極的な取組みを願います。



参考―一

関係省庁の雑用水に係る行政

実施年月
省庁名
通知・事業等の名称
発信・あて先
内容
四八年四月
通産省
工業用水道からの雑用水の試験的供給について
工業用水課長から各都道府県の工業用水道事業管理者あて
工業用水の使用合理化等により、工業用水道の供給能力に相当余剰が生じている場合、その供給能力の一〇パーセントの範囲内で、試験的に雑用水供給を行うことができる旨の通知
五三年八月
国土庁
官公庁施設における雑用水利用の促進について
事務次官から関係事務次官あて及び水資源局長から関係九都府県知事あて
水需給のひつ迫した大都市圏地域においては、地域の水需給の動向等を勘案したうえで、官公庁施設に、雑用水利用システムを導入することについて検討を願いたい旨の通知
五四年二月
国土庁
雑用水利用の促進について
水資源局長から都道府県知事及び政令指定都市の長あて
排水の再生利用施設についても公害防止施設に準じ、耐用年数の特例及び特別償却制度が、適用されることになつた旨の通知
五四年五月
国土庁
通産省
建設省
水資源有効利用融資に係る日本開発銀行に対する推せんについて
水資源局長、立地公害局長、都市局長連名で都道府県知事及び政令指定都市の長あて
新規に、水資源有効利用融資が立目され、雑用水利用等の施設の設置に対し、融資の途が開かれた旨の通知
五四年六月
建設省
排水再利用の配管設備の取り扱いについて
建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて
建築物に設ける排水再利用の配管設備の設置及び構造についての指導通知
五四年度
建設省
下水処理水循環利用モデル事業の実施
 
福岡市の中部下水処理場の処理水を再開発地区の業務用水として利用するためのモデル事業。
五六年度からは、東京都の新宿副都心においても同様のモデル事業を実施
五六年四月
厚生省
再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定水質基準等の設定について
環境衛生局長から各都道府県知事あて
再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定水質基準等を設定した旨の通知
五六年四月
建設省
排水再利用の配管設備の取り扱いについて
建築指導課長から特定行政庁建築主務部長あて
五四年六月の通知内容の一部見直し及び排水を水洗便所洗浄水として用いる場合の基準を定めた旨の通知
五六年七月
建設省
下水処理水循環利用技術指針(案)について
下水道部長から各都道府県下水道担当部長あて
水質、施設計画、維持管理等の技術的事項についての指針(案)を作成し通知
六〇年一二月
建設省
中水道施設等を設置する建築物に係る建築基準法第五二条第四項第一号の規定の運用について
住宅局長から特定行政庁あて
中水道施設等に係る容積率について、その限度を基準容積率の一・二五倍に緩和する旨の通知



参考―二

地方公共団体の雑用水に係る行政指導

実施年月
地方公共団体名
指導の根拠
内容
四九年五月
大阪市総合計画局
大規模建築物の建設計画の事前協議に関する取扱要領
公共施設に関する協議事項
(上水道)

事業者は、建設計画区域内において多量に水道水を使用するときは、回収利用等水の合理的利用に努めるものとする。

*一日最大水使用量一、〇〇〇立方メートル以上の建築物は雑用水道の設置を図る。
四九年八月
東京都下水道局
大量排水者の取り扱いについて(下水道局施設管理部長通知)
大量排水者に対する暫定基準
(削減要請)

建築物から排出される日最大汚水量が下水道計画汚水量を超える場合は、下水道計画汚水量の一・二倍となるよう排出汚水量の削減を要請する。

五一年六月
東京都水道局
新規大規模建築物に対する水の循環利用指導について(水道局長通達)
今後の指導基準

特定街区等、都市計画法上の申請の際、関係局と協議のうえ、雑用水の利用について指導する。

五四年二月
福岡市
福岡市節水型水利用等に関する措置要綱
制定の趣旨

第一章 総則(目的、市の責務、市民及び事業者の責務)
第二章 水の有効利用と節水施策(節水型機器の使用、雑用水道、建築に伴う節水対策)
*口径五〇ミリメートル以上の給水装置又は五、〇〇〇平方メートル以上の延床面積を有する建築物(但し、共同住宅等を除く)を建築しようとする者は、節水型機器の使用、雑用水道の設置等の節水対策計画書を提出する。

五四年一一月
福岡県
福岡県の公用又は公共用建築物に対する再利用施設設置要綱

福岡県が新設又は全面改築する公用又は公共用建築物のうち次の各号のいずれかに該当するものについて、原則として水の再利用施設を設置する。
(一) 水需給のひつ迫している地域で、上水を利用し、かつ一日当たり五〇立方メートル以上の汚水を排出するもの。
(二) 公共下水道の普及地域で終末処理場の処理水が利用できる地域にあるもの。

五九年四月
東京都

都市計画局
衛生局
水道局
下水道局

雑用水に係る指導指針

指導基準として、対象建築物を個別及び地区循環方式の場合は、建築物の延べ面積が三〇、〇〇〇平方メートル以上のもの、又は循環利用水量(計画可能水量)が、一日当たり一〇〇立方メートル以上のものとする。



参考―3
<別添資料>



参考―4
<別添資料>


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