発都第一八号
昭和二五年七月一四日

各都道府県知事都市計画地方審議会長あて

建設次官通達


都市計画学校設計標準について(抄)


今般都市計画の施設として行う場合の学校計画設計標準を別紙の通り定めたから、本標準により処理されたい。



(別紙)

都市計画学校設計標準

第一 計画方針

学校の計画は健全な教育目的の達成に資する事を目的とし、学校の通学範囲を綜合的に調整して土地利用計画に適合する位置を選定し校地の内外の環境の整備を図り市民の文化教養の向上に資する中心施設となる様に計画するものとする。
註 校地内に於ける校舎、運動場其の他の施設については、本標準に定めるものの外、学校関係法令及規則の定めるところによる。

第二 設計

一 学区計画

1 小学校及び中学校については計画方針に基いて学区計画を行うこと。
2 小学校の学区は「近隣住区」の単位に合致する様計画すること。

近隣住区とは、市街地を構成する単位組織で人口八、〇〇〇人乃至一〇、〇〇〇人を有する小学校を中心とした日常生活を営む区域をいう。

3 学区の配置は都市構成及土地利用計画に適合せしめ既存の学校との関係を考慮して定めること。
4 学区の面積は、人口密度、人口増加率を勘案して児童数及生徒数を推定し、学校の適正規模に応じる大きさに定めること。
5 学区は児童、生徒の通学に際し危険のある交通頻繁な道路、鉄道、軌道、運河、河川等が貫通しない区域とすること。
6 通学距離は、小学校に対しては〇・五「キロメートル」以下、中学校に対しては一・〇「キロメートル」以下を標準とすること。

二 校地の選定

1 校地の位置は学区分に於ける児童及生徒の分布を考慮し、通学に安全で便利な位置を選ぶこと。
2 校地日照、通風、排水のよい高燥な且つ閑静な土地を選び崖地、低地等災害のおそれある場所はさけること。
3 衛生上、保安上、訓育上支障のおそれある工場、塵埃処理場の類、盛り場、風俗営業地、観物場等に近接しないこと。
4 小学校の位置は近隣住区の中心施設となるよう他の公共施設との利用上の関連を考慮して定めること。
5 中学校以上の位置についても通学圏内の文化的集団生活の基地となるを考慮し、特に高等学校以上の学校にあつては、他の教育施設と関連を保ち都市の文化中心としての環境を構成する位置を選ぶこと。

三 校地内の施設

1 校地面積は、学校関係法令及規則の規準による他、屋外運動場の面積は小学校にあつては七〇「メートル」×一二〇「メートル」、中学校にあつては一〇〇「メートル」×一二〇「メートル」を下らないこと。
2 屋外運動場は校舎敷地に連接する一体の土地に設けること。又その面積が前項の標準を満し得ないときは、近隣公園、児童公園その他学校以外の運動場の利用もしくは、二以上の学校で共用することを考え、これにより管理上支障なく運動場の面積を確保するよう考慮すること。
3 校地の周囲は道路で囲まれるのを原則とする。但し児童公園等と接する場合にはその間に道路を挿入しないこと。校舎の周囲には防火活動に支障を来すことのないよう十分考慮をはらうこと。
4 図書館、講堂等一般市民と共用する施設を併設するとき は、その配置及び位置について、管理上、防火上支障を来すことのないようにすること。

第三 図面

一 都市計画として決定する場合には次の図面を作成すること。

(イ) 一般図(縮尺 二五、〇〇〇分の一以上)

既定都市計画施設及び学区割の現状並びに計画、既存学校(淡黄色に彩色し、名称を記入)の配置その他関係のある重要事項(公園、運動場、本標準第二の二の3の施設等)を記入し計画区域の位置を表示する。

(ロ) 計画図(縮尺 一、二〇〇分の一以上)

区域境界線、水路、屋外運動場、校舎及びその他の施設の配置を表示する。
(都市計画事業決定と同時に内申する場合は設計図を以てこれに代える)

二 都市計画事業として決定する場合には次の図面を作成すること。

区域境界線、水路、屋外運動場、校舎及びその他の施設の配置を表示する。
(ロ) 校舎施設設計図(縮尺 二〇〇分の一以上)

校舎及び校舎以外の建築物の各階平面図、主要立面図により表示する。

第五 都市計画、都市計画事業決定資料

一 都市計画として決定する場合は、計画書、理由書、説明資料、事業費概算書並びに土地収用法施行令第三条の規定に依る図書、自作農創設特別措置法第一六条及び同法施行規則第七条の二の三に関する土地調書を提出すること。

備考 1 説明資料は左記により記載すること。

項目
説明内容
一 学校に関する調査
学区別に現在人口表、現存就学生徒数、学級数、学区面積、将来の予想、人口密度人口数、生徒数、最近人口増加状況
二 計画学校の校地の概況
面積、地目別面積、地形、地質、地価(権利金、作離料)、所有関係、市街地建築物法による地域地区等
三 附近地との関係
給水排水電気等の施設の難易、交通(主要道路、鉄道、軌道、乗合自動車等)、通学区域、利用公園、運動場、図書館の位置面積規模等の関係
四 事業予定計画
土地取得の方法及見込校舎棟数、建築面積、階数、運動場、その他の附属施設の計画の概要、事業執行予定者、事業費充当財源見込等

備考 2 工事概算調は左記により記載すること。
<別添資料>
二 都市計画事業として決定する場合は、設計書及び財政計画書、事業費明細表を提出すること。


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport