都計発第一〇八号・住建発第一四〇号・住街発第一七七号
平成三年一二月九日

建設省都市局長・建設省住宅局長から各都道府県知事・各指定都市の長・住宅・都市整備公団総裁・住宅金融公庫総裁あて

通知


都市計画一団地の住宅施設の決定について


標記については、平成三年一二月九日付け建設省都計発第一〇七号をもって建設事務次官から通達されたところであるが、今般、「都市計画一団地の住宅施設計画標準」を別紙のとおり定めたので、今後は本標準に準拠し、都市計画一団地の住宅施設の決定を積極的に行われたい。
なお、昭和三二年八月六日付け建設計発第二三五号計画局長、住宅局長通達「一団地の住宅経営計画標準の改訂について」及び昭和三三年五月一五日付け建設計第一六六号計画局長、住宅局長通知「都市計画一団地の住宅経営の規模について」は、廃止する。
以上、貴管下関係市町村に対しても、この旨周知徹底方取り計らわれたい。

(最終行は各都道府県知事あてのみ)



別紙

都市計画一団地の住宅施設計画標準

第一 計画方針

都市計画一団地の住宅施設は、都市の総合的な土地利用計画に基づき、良好な居住環境を有する住宅及びその居住者の生活の利便の増進のため必要な施設を一団の土地に集団的に建設することにより、もって都市における適切な居住機能の確保及び都市機能の増進に資するものとする。

第二 計画

一 団地の選定

(一) 団地は、市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針に定める土地利用の方針等を勘案し、良好な住宅市街地が形成されるよう計画すること。なお、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五〇年法律第六七号)第三条の六第一項に規定する住宅市街地の開発整備の方針を定めた都市計画区域においては、積極的に一団地の住宅施設を都市計画に定めること。また、同項第二号の地区においては、当該地区に係る良好な住宅市街地の開発整備を促進するため、特に積極的に定めるよう努めること。
(二) 団地は、原則として第一種住居専用地域、第二種住居専用地域又は住居地域内において計画すること。ただし、その他の地域においても、周辺又は近隣の市街地の状況等を勘案し、良好な住宅市街地として計画的に整備し、又は開発することが適当と認められる場所においては、団地を計画することができるものであること。
(三) 団地は、通勤、通学、日常品購買等の便並びに上下水道、ガス等の供給処理施設及び交通施設の関連を考慮して選定すること。
(四) 団地は、溢水、湛水、津波、高潮、山崩れ等による災害の発生のおそれのある土地を避け、安全かつ快適な居住環境を確保し得る土地を選定すること。

二 団地の構成及び規模

団地は、一体的な住宅市街地を形成し、かつ、団地の位置に応じ、おおむね次の各号によるものとすること。
(一) 既成市街地の内部又は周辺部において団地を計画する場合には、当該地区の土地利用計画上の位置づけ及び周辺の市街地の状況等を勘案しつつ、適切な人口密度及び住宅形式となるように計画すること。この場合、五〇戸以上の住宅を計画するに当たって、技術的な観点からみて不合理な規模とならないようにすること。
(二) 既成市街地外において団地を計画する場合には、おおむね五ヘクタール以上の規模で計画すること。
(三) 一体的に確保する必要のある公共施設、公益的施設(教育施設、医療施設、官公庁施設、購買施設、集会所その他の施設で、居住者の共同の福祉又は利便のため必要なものをいう。以下同じ。)の用に供する土地は、団地の区域に含めて差し支えないものであること。

第三 設計

一 住宅の配置

住宅は、隣接する市街地との調和に配慮しつつ、単調な配列を避け、地形に順応し、かつ、道路、公園、広場等を総合的に勘案するとともに、日照、採光、通風、プライバシー及び視界等の確保並びに美観等に配慮し、良好な居住環境が確保されるように配置すること。

二 建築密度

団地内の建築密度は、次の各号に基づき、かつ、用途地域その他の地域地区又は地区計画等並びに隣接する市街地の状況等を勘案して定めること。
(一) 建築物の建築面積の敷地面積に対する割合の限度は、一戸建ての場合においては一〇分の四、共同住宅の場合においては一〇分の三を標準とするが、大都市地域における住宅及び住宅地の供給を重点的に図るべき地域においては一〇分の四を標準とするものであること。ただし、立体駐車施設や公益的施設を設ける場合等、土地の有効利用を図るために必要な場合においては、この限りでない。
(二) 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の限度は、必要な公共施設の整備状況等を勘案して、良好な居住環境が確保されるように適切に定めること。

三 道路及び通路

(一) 団地内の道路は、団地の規模及び形状、住宅等の配置並びに周辺の状況等を勘案して、日常生活の利便、通行の安全、災害の防止、環境の保全に支障が生じないような規模及び構造で適正に配置すること。
(二) 道路の都市計画が定められている場合にはこれと整合を図り、これと一体として歩行者及び車両それぞれの安全かつ円滑な道路交通網が形成されるように計画すること。
(三) 住区内の道路は、できる限り通過交通の用に供され難いように計画すること。
(四) 団地内の主要連絡道路は、原則として幅員一二メートル以上、ただし、団地の規模、公共施設、公益的施設及び住宅の配置の方針等を勘案して支障のない場合には原則として九メートル以上とし、通勤、通学、日常品の購買等に利便な配置とすること。
(五) 団地内の区画道路(歩行者専用道路を除く。)は、原則として幅員六メートル以上とすること。
(六) 敷地内の道路は、住宅の居住性を損なわずに、各棟から道路に適切に連絡するように配置すること。

四 公園、緑地等

(一) 団地内の公園、緑地及び広場は、休息、観賞、散歩、遊戯、運動等の利用目的が十分に確保されるように計画すること。
(二) 公園、緑地及び広場の都市計画が定められている場合にはこれと整合を図り、これと適切な役割分担を図りつつ地区の総合的な空地系統の整備に資するように計画すること。
(三) 団地内における公園面積の合計は、団地面積の一〇〇分の三以上であり、かつ、団地内居住計画人口一人当たり三平方メートル以上であることを原則とするが、一近隣住区以下の規模の団地については、周辺の公園計画その他の実情に応じ、人口一人当たり面積を一平方メートル程度まで逓減することができるものであること。
(四) 近隣公園は、一近隣住区に一箇所をなるべく中心部に設け、敷地面積は二ヘクタールを標準として計画すること。
(五) 児童公園は、誘致距離二五〇メートル、敷地面積〇・二五ヘクタールを標準として配置すること。
(六) 緑地は、水辺地、河川沿い、幹線道路沿い、鉄道沿線等に計画し、なるべく公園、緑地を系統的に連絡する遊歩道を設計すること。

五 上下水道

(一) 上水道は、計画人口、市街地の規模等から想定される需要量を十分に供給できるものとすること。
(二) 下水道は、計画人口、市街地の規模等から想定される汚水量及び地形、降水量等から想定される雨水流出量を支障なく処理できるものとすること。

六 公益的施設

(一) 公益的施設は、住区構成を基本として、それぞれの機能に応じ、居住者の有効な利用が確保されるように配置すること。
(二) 集会所は、居住者の利用しやすい位置に、原則として一箇所以上設けること。

七 駐車施設

(一) 団地には、原則として、共同住宅の居住者の保有する自動車の保管等のために必要な駐車施設を設けること。
(二) 駐車施設は、居住者の自動車の保有状況及び住宅の建築形態等を考慮して適正な規模とし、居住者の安全が確保されるように適正に配置すること。

八 その他の附帯施設

自転車置場、ごみ置場等は、必要に応じ、居住者の利便、衛生及び良好な居住環境の確保に支障が生じないように設置すること。

九 その他

(一) 本制度による土地利用の転換に伴い、都市施設等に関する都市計画の見直しが必要となるときは、これを併せて行うこと。
(二) 本制度による土地利用の転換には、都市基盤施設の整備を行うことが必要となる場合もあることから、一団地の住宅施設に関する都市計画の策定に当たっては、都市施設整備担当部局及び市街地開発事業担当部局と必要な連絡調整を図ること。

第四 他の制度の併用等

一 他の都市計画制度等の併用

団地の区域内において、都市計画一団地の住宅施設に定めることのできない事項について規制を行うことが適当な場合その他必要がある場合は、住宅地高度利用地区計画その他の都市計画制度、建築協定制度、緑化協定制度、総合設計制度及び一団地の総合的設計制度等の積極的な活用に努めること。

二 各種事業制度の活用

本制度においては、街路事業、公園事業、下水道事業等の公共施設整備事業や、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業等の市街地開発事業その他各種事業制度を併せて活用することが可能であるので、地区の特性、周辺市街地の状況等を勘案して、必要に応じその積極的な活用に努めること。

第五 図書

公共施設、公益的施設及び住宅の配置の方針については、計画書にその基本的な考え方を記載するとともに、計画図においておおむねの位置等を表記すること。この場合、計画図の表記については、必要に応じ概念図とするなど計画の趣旨を適切に表すものとし、いたずらに詳細な表現を避け、都市計画の内容として適切なものとすること。


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