都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)は、平成四年六月二六日付けで公布され(平成四年法律第八二号)、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされたところである。
本改正においては、用途地域が現行の八種類から一二種類に細分化され、現行制度に基づき指定されている用途地域(以下「現行用途地域」という。)は、改正法施行の日から起算して三年以内に改正後の用途地域(以下「新用途地域」という。)に切替えるものとされているが、新用途地域の決定に向け、また、新制度への円滑な移行のため、左記の事項に留意して準備を進められたい。
一 新用途地域の決定及びその準備について
1) 現行用途地域の新用途地域への切替えについては、総合的な土地政策の一環として土地利用計画制度の充実を図るとともに、良好な市街地環境を整備し、都市の秩序ある発展を図るという改正法の趣旨に照らし、極力速やかに行うことが必要であること。
2) 新用途地域への切替えは、用途地域に関する都市計画が用途地域が定められている区域全体にわたるものであることから、部分的な切替えはできず、都市計画区域ごとに全体にわたり一度に行うものであること。また、適切な住環境の保護等今回の用途地域制度の改正の趣旨に照らし、安易な規制緩和とならないよう留意の上、住居系用途地域を中心としつつも、商業系及び工業系用途地域にわたって全面的な検討を行うことを原則とするものであること。
3) 新用途地域への切替えに係る全面的な検討に際し、実態調査等により市街地の現況と動向を的確に把握して行うこと等が必要であることから、準備作業を早急に開始するとともに、指定替えに必要な予算措置、人員配置等執行体制の確保を図ること。
なお、市町村においては、今回の改正により、新用途地域の決定とも密接な関連を有する「市町村の都市計画に関する基本的な方針」を定めるものとされ、また、地域の特性に応じた適切な土地利用規制とするため、市町村の定める都市計画である特別用途地区、地区計画等の一層の活用が必要となるので、都市計画に関する事務の執行体制の充実強化に特段の配慮をすること。
4) 今回の改正により、新用途地域による建築物の用途規制の一層の的確な運用が必要となり、また、特別用途地区、地区計画等の活用のためには、建築基準法に基づく条例の制定等が必要となることにかんがみ、建築行政の執行体制の充実強化を図るため、必要な予算措置、人員配置等特段の配慮をすること。
5) 新用途地域への切替えに当たっては、都道府県及び市町村の一層の連携の強化を図りつつ、また、各都道府県及び市町村において、都市計画担当部局及び建築担当部局の相互の連絡・調整を密にし、十分に協力して行うこと。
6) 新用途地域の指定方針等については、現在検討中であり、追って通知する。
二 新制度への円滑な移行のための措置について
(一) 改正法施行後の現行用途地域の変更等について
現行用途地域に関しては、改正法の施行日から新用途地域に関する都市計画の決定に係る告示の日までの間は、改正法附則第三条の規定により、改正前の都市計画法第八条、第九条等の規定がなおその効力を有することとされているので、新用途地域への切替えに係る作業を了し新用途地域が決定される前に、現行用途地域の変更が必要となる場合においては、当該改正前の都市計画法の規定に基づき現行用途地域の変更を行うこととなること。
ただし、適切な土地利用規制制度の構築が緊要の課題であり、今回の法律改正が所期の効果をあげるためには極力速やかに新用途地域に切替えることが必要であることから、改正法施行後の現行用途地域の変更は、次に掲げる場合に限り行うこと。
イ 土地区画整理事業等の市街地の面的整備事業等に合わせ、現行用途地域の変更を行う必要がある場合又は市街化区域及び市街化調整区域の区域区分の見直しを行い、新たに市街化区域に編入する区域について用途地域を指定する必要がある場合において、新用途地域の決定まで現行用途地域の変更を行わないことが著しい支障を生ずるとき。
ロ イに準ずるやむを得ない事情があると認められる場合
(二) 改正前の建築基準法別表第二等を引用する地区計画等、建築基準法に基づく条例等の取扱い
地区計画等における建築物等の用途の制限に関する事項、建築基準法に基づく地方公共団体の条例の規定等において、改正前の建築基準法別表第二等の規定を引用している場合には、改正法附則第四条の規定は直ちには及ばないものであること。このため、改正法施行後にこれらの都市計画又は条例の内容が不明確となり、取扱いの混乱を招くおそれがあるので、改正法の施行と同時に、これらの都市計画又は条例について必要な変更又は改正が行われるよう、所要の措置を講ずること。