標記については、平成五年六月二五日付け建設省都計発第九六号、建設省住街発第八九号をもって建設省都市局長、住宅局長から通達されたが、さらに左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。
第一 地区整備計画における容積率の特例
一 誘導容積制度の運用に当たっての留意事項
誘導容積制度を適用する地区整備計画の区域内を通過し、又は区域の相当部分に隣接して未整備の都市計画道路が存する等により当該地区計画による土地の有効利用の促進と都市計画道路の整備が密接不可分な場合には、当該都市計画道路の整備見通しを十分考慮する必要があること。
二 容積の適正配分の運用に当たっての留意事項
指定容積率を上回る局所的な高容積率の設定により、道路に対する交通負荷の発生等によって近隣の環境に著しい支障をきたすことのないよう、道路担当部局と所要の調整を図ること。
第二 市街化調整区域における地区計画
一 区域の基準
市街化調整区域における地区計画の区域の基準としては、局長通達記のIの第二の(三)に加え、次の事項に留意すること。
(一) 都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号。以下「法」という。)第一二条の五第一項第二号イにおける「住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域」の基準は、次によるものとすること。
(イ) 「住宅市街地の開発その他相当規模の建築物若しくはその敷地の整備に関する事業」とは、以下のものに限られるものであること。
1) 法第三四条第一〇号イに該当するものとして法第二九条の許可(以下「開発許可」という。)を受けた開発行為
2) 開発許可申請を行えば直ちに法第三四条第一〇号イに該当するものとして開発許可を受けることが確実であることから当該事業が「行われる」段階にあるものとして、次の(ロ)の定めるところにより、都道府県知事が認めた事業
3) 法第二九条第三号から第六号若しくは第九号に掲げる事業、法第四三条柱書中法第二九条第三号に規定する建築物の建築等に関する事業又は同条第一号、第二号若しくは第五号に掲げる事業(街区の整備に係る事業以外の事業にあっては、原則として1)、2)又は3)に該当する他の事業と一体的に行われ街区を形成するものに限る。)
(ロ) 「事業が行われる」の判断は次によるものとすること。
1) 開発許可を要する事業については、開発行為を行おうとする者が開発許可の申請を行えば開発許可が行われることが確実であると都道府県知事が認めた段階に至っていること。
この場合、「都道府県知事が認めた段階」とは、少なくとも開発許可の事前審査(「開発許可事務処理マニュアル」(昭和六一年五月一三日付け建設省経民発第一九号建設経済局長通達)第一の二の「事前審査」をいう。)及び農地転用許可の事前審査(農林水産大臣の農地転用許可を要する場合に限る。)等を了したことをいうものであること。
なお、地区計画を策定しようとする市町村は、当該地区計画に係る事業が前記段階に至っていることについて都道府県知事に照会し、前記段階に至っている旨の回答を得た後に当該地区計画の計画策定手続を開始するものとすること。この場合、当該地区計画の内容は、当該開発行為の事前審査の内容に即して定めるものとすること。
2) 開発許可を要しない事業に当たっては、農地転用許可の事前審査(農林水産大臣の農地転用許可を要する場合に限る。)等の関係行政機関との調整が了されている等により事業の実施が確実であると認められる段階を意味するものであること。
この場合、地区計画の策定手続は、当該段階に至った後に開始され、かつ、当該地区計画の内容は、当該調整の内容に即して定めるものとすること。
(ハ) 「事業が行われる土地の区域」について地区計画が策定された後、当該事業が行われないことが明らかとなった場合には、当該地区計画は定めることを要しないものとして速やかに都市計画の変更手続を行うものとすること。
(二) 法第一二条の五第一項第二号ハにおける「健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域」の基準は、次によるものとすること。
当該区域は、住宅の連たんする街区により構成され、良好な居住環境を既に有している都市的な市街地であって、主として農林漁業者以外の者が居住する住宅市街地の土地の区域であり、集落地域整備法(昭和六二年法律第六三号)に規定する「集落地域」はもとより、農山漁村の既存集落は含まれないものであること。
また、当該土地の区域(法第一二条の五第一項第二号イ及びロに該当するものを除く。)は、市街化区域と市街化調整区域との区域区分が行われる前から既に健全な住宅市街地として存在していた土地の区域に限られるものであること。
なお、集落地域においては、従来通り、集落地区計画制度により営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るよう努めること。
(三) 市街化調整区域における地区計画は、一定の道路整備がなされた又はなされることが確実な土地の区域を対象とするものであること。
(四) 市街化調整区域における地区計画の区域には、次の区域を含まないものであること。
(イ) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和四四年法律第五八号)に規定する農用地区域
(ロ) 農村地域工業等導入促進法(昭和四六年法律第一一二号)に規定する工業等導入地区
(ハ) 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四一年法律第一一〇号)の規定により流通業務団地の都市計画の定められている土地の区域
また、市街化調整区域における地区計画の区域には、原則として森林法(昭和二六年法律第二四九号)に規定する保安林・保安施設地区、保安林・保安施設地区予定地又は保安林整備臨時措置法(昭和二九年法律第八四号)に規定する保安林整備計画に基づく保安林指定計画地(以下「保安林等」という。)を含めないこととし、含める場合であっても、保安林等の指定の目的に反する制限は定めないこと。
(五) 法第一二条の五第一項第二号ハの地区計画の区域には、原則として農用地を含まないものとし、例外的に含まれる場合であっても、その農用地は、介在農地等であって、これは、「農地転用許可基準」(昭和三四年一〇月二七日付け三四農地第三三五三号(農)農林事務次官通達)第一章第四の四の(四)の第三種農地をいうものであること。また、当該地区計画の対象とする森林は、街区に介在する森林に限られるものとすること。
(六) 市街化調整区域における地区計画の区域と自然環境保全法(昭和四七年法律第八五号)の指定地域及び自然公園法(昭和三二年法律第一六一号)の特別地域とは、極力重複させないようにすること。
二 地区計画策定の基準
市街化調整区域における地区計画の策定の基準としては、局長通達記のIの第二の(四)に加え、次の事項に留意すること。
(イ) 市街化調整区域における地区計画に係る地区整備計画の土地の利用に関する計画には、計画内容として農用地に関する事項を定めないものであること。
(ロ) 市街化調整区域における地区計画に係る地区整備計画の土地の利用に関する計画においては、もっぱら良好な居住環境の確保を図る観点から定められる都市計画法施行令(昭和四四年政令第一五八号)第七条の六に規定する事項以外には、森林に関する事項を定めないこと。
また、森林法第五条の地域森林計画対象民有林並びに国有林野及び公有林野等官行造林地については、都市計画法施行令第七条の六に規定する事項を定めないこと。
(ハ) 市街化調整区域における地区計画は、当該地区計画に即した地区の整備又は保全が周辺の土地の農業上の利用に支障を及ぼすおそれがないよう定めるものとすること。
(ニ) 市街化調整区域における地区計画の策定に当たっては、当該地区計画の区域における環境の保全に十分配慮して行うものであること。
(ホ) 市街化調整区域内における地区計画の策定に当たっては、当該計画の区域における環境の保全に十分配慮するとともに、農業農村整備事業等の計画策定及び事業実施等に影響を与えることがないよう定めるものとすること。
三 市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針又は市町村の都市計画に関する基本的な方針への位置付け
法第一二条の五第一項第二号イの地区計画に関する事項については、同号イの事業が一の(一)により行われると判断できる段階にある場合及び当該事業が実施された場合に限り、市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針又は市町村の都市計画に関する基本的な方針に位置付けられるものであること。
四 関係部局との連絡調整等
市街化調整区域における地区計画の策定又は承認に当たっては、市町村又は都道府県の都市計画担当部局は、次により、あらかじめ関係部局との連絡調整等を行うこと。
(一) 地区計画の策定又は承認に当たっては、昭和五六年一〇月六日付け建設省計民発第二九号、建設省都計発第一二二号、建設省住街発第七二号建設省計画局長、建設省都市局長、建設省住宅局長通達「都市計画法及び建築基準法の一部改正について」記五の(三)の(ル)により、都市計画担当部局は関連部局と協議を行うこととされているが、市街化調整区域における地区計画を定めるに当たっての農林水産担当部局又は農林水産関連企業担当部局との協議は次によること。
(イ) 市町村が市街化調整区域において地区計画を定める場合には、当該市町村の都市計画担当部局は、地区計画の区域の設定を含む地区計画の策定に当たり、当該市町村の農林水産担当部局に、法第一二条の五第一項第二号の要件に該当すると見込むに足りる資料を添えて、あらかじめ協議すること。
(ロ) 都道府県知事が市町村が作成した市街化調整区域における地区計画を承認するに当たっては、都市計画担当部局は、農林水産担当部局に、法第一二条の五第一項第二号の要件に該当すると見込むに足りる資料を添えて、あらかじめ協議すること。
(ハ) 市街化調整区域における地区計画の区域内に農林水産関連企業用施設が含まれる場合には、当該地区計画の策定に当たっては当該市町村において、当該計画の都道府県知事の承認にあたっては当該都道府県において、都市計画担当部局は農林水産関連企業担当部局にあらかじめ協議すること。
(二) 市街化調整区域における地区計画として決定しようとする土地の区域内に四ヘクタールを超える農用地(農林水産大臣の転用許可権限の対象となるようなまとまったもの)が含まれるときは、法第一九条第一項の規定に基づき都道府県知事が地区計画の都市計画の承認を行うに当たり、都道府県知事は、あらかじめ地方農政局長(北海道にあっては農林水産省構造改善局長、沖縄県にあっては沖縄総合事務局農林水産部長)と法第一二条の五第一項第二号の要件に適合すると見込むに足りる資料を添えて協議を行うこと。
(三) 市街化調整区域における地区計画の区域に国有林野及び公有林野等官行造林地が含まれる場合には、市町村の都市計画担当部局は関係営林(支)局とあらかじめ協議を行うこと。
(四) 市街化調整区域における地区計画の策定に当たっては、農林漁業及び農林水産物の処理、貯蔵若しくは加工の事業について、その事業の円滑な実施に配慮し、これらの事業の継続に支障を来さないようにするとともに、その事業を営む者の意見を十分聴いて定めるものとすること。
(五) 市街化調整区域において定める地区計画を都道府県知事が承認しようとする場合にあっては、都市計画担当部局は、土地対策担当部局と連絡・調整を図ること。
(六) 市町村が市街化調整区域における地区計画を策定する際には、都市計画担当部局はあらかじめ道路担当部局に協議するとともに、都道府県知事が、市街化調整区域における地区計当を承認する際には、都市計画担当部局はあらかじめ道路担当部局に協議すること。
第三 地区整備計画の要請制度
地区整備計画の要請に必要な書類の作成については、次の要領によること。
(一) 地区整備計画要請書は、要請に係る土地の区域内に土地の所有権又は建物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権を有する者の住所、氏名及び押印並びに法第一二条の五第九項の規定に基づき地区計画に関する都市計画に地区整備計画を定めるべきことを要請する旨を記載し、同項の協定の写しを添付して、都市計画の決定権者である地方公共団体の長あてに作成すること。この場合、要請する者が法人である場合においては、氏名は、その法人の名称及び代表者の氏名を記載すること。
(二) 要請に係る土地の位置及び区域を表示した図面は、縮尺が概ね三、〇〇〇分の一程度以上の図面に区域の境界が明確に判断できるように表示したものとすること。
第四 地区計画の区域内における市街地整備の推進
(一) 局長通達記のIIの第三により、各種事業手法との連携を一層強化することとされているところであるが、局長通達に列記した事業手法以外にも、市街地住宅密集地区再生事業、コミュニティ住環境整備事業、特定住宅市街地総合整備促進事業、都市住宅整備事業、都市居住更新事業、優良再開発建築物整備促進事業、地区再開発促進事業、都市拠点総合整備事業、多機能交流拠点整備事業、市街地総合再生事業、新市街地土地利用転換促進事業、街なみ環境整備事業、市街地空間総合整備事業、公営住宅等建設事業、都市再開発関連公共施設整備促進事業、都市拠点開発緊急促進事業、住宅宅地関連公共施設整備促進事業、緊急住宅宅地関連特定施設整備事業、街区高度利用推進事業、都市防災不燃化促進事業等の各種事業手法と積極的に連携を図ること。
(二) 今後、当該各種事業の区域において誘導容積制度又は容積の適正配分を適用する場合には、都市計画担当部局は、あらかじめ、当該事業担当部局と連絡調整を図り、互いに連携して、円滑な事業の実施及び適正な土地利用の規制・誘導に努めること。
第五 地区計画の策定等に係る連絡調整
(一) 従来より、昭和五六年一〇月六日付け建設省計民発第二九号、建設省都計発第一二二号、建設省住街発第七二号建設省計画局長、建設省都市局長、建設省住宅局長通達「都市計画法及び建築基準法の一部改正について」記の五の(二)の(ハ)により、法第一六条第二項の条例を制定しようとするとき又は地区計画を定めようとするときは、当分の間、あらかじめ、都道府県を通じ建設省都市局と適宜必要な連絡調整を行うこととされており、これは誘導容積制度若しくは容積の適正配分を適用する地区計画又は市街化調整区域における地区計画を定めようとするときにも適用されるものであるので留意すること。なお、容積の適正配分により、指定容積率を超える容積率の最高限度を定めようとするときは、その定め方について、当分の間、あらかじめ、都道府県を通じ建設省住宅局とも適宜必要な連絡調整を行うこととすること。
(二) 誘導容積制度に係る特定行政庁の認定を行おうとするときは、当分の間、あらかじめ、都道府県知事又は地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二五二条の一九第一項に規定する指定都市の長たる特定行政庁は直接、それ以外の特定行政庁は都道府県を通じて、建設省住宅局と適宜連絡調整すること。