各都道府県知事あて
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別添 宅地開発等指導要綱に関する措置方針
(昭和五八年七月)
(建設省)
目次
第一 宅地開発に関する技術的指導について
I 共通事項
II 道路
III 公園・緑地等
IV 治水・排水施設
V 画地・公益施設
VI その他の関連事項
第二 中高層建築物に関する指導について
第三 寄附金等の負担について
宅地開発等指導要綱については、その内容及び運用にわたり各種の問題点が指摘されているが、当面、これらの諸点について、次のような方針の下にその是正を求めるものとする。
第一 宅地開発に関する技術的指導について
I 共通事項
「必要と認めるときは、必要と認める施設を整備すること」等、基準が不明確なものがあり、個別の事案ごとに指導内容が異なつているものについて
II 道路
一 主要道路(主要な区画道路を含む。)
宅地開発(区画道路のみで対応できる場合を除く。)に伴つて整備を行う団地内道路の幅員について、開発の規模等からみて、不相応な広幅員の道路整備を求めているものについて
二 区画道路
[一] 区画道路として六mを超える広幅員の道路を求めているものについて
[二] 利用形態に見合つた小規模道路が認められないことにより設計上の創意工夫が生かされないことについて
三 取付道路
地区外の道路に至る取付道路について、その路線数、整備
内容等に過大な要求をしているものについて
四 幅員・勾配等
[一] 自治体により幅員の考え方に差異があることにより、開発者の設計方針に混乱が生ずるとともに、結果として広幅員の道路整備をさせられることがあることについて
[二] 勾配について、最大七%等道路構造令等の比し厳しい基準を定めることにより、結果として地形条件を生かした造成工事を困難としているものについて
[三] 沿道の土地利用形態を考慮せず、一律に停車帯を含む幅員構成で整備を求めているものについて
五 暫定整備
発生交通量、地域の実情からみて、相当将来にならなければ必要がない高水準の道路の整備を要求されることがあることについて
六 管理引継
工事完了した道路について相当程度入居が進まないと引継ぎがない等引継がすみやかに行われない場合があることについて
III 公園・緑地等
一 公園等の確保
都市計画法に基づく開発許可基準を大幅に超えて公園、緑地又は広場の確保を求めているものについて
* 五ha未満の開発行為においては、代替機能をもつ緑地及び広場を含む。
二 公園等の確保を求める開発規模
開発規模〇・三ha未満の小規模開発についても一律の基準により公園等の確保を求めているものについて
三 洪水調節(整)池と公園等の兼用
洪水調節(整)池を公園等に使用することを認めていないものについて
四 公園等の位置、形状等
公園等の位置、形状、規模、勾配、施設、接道条件、高圧線下りの取り扱いにバラツキがみられ混乱を生じているものについて
五 緑地面積率等
開発指導要綱以外の条例等において一定の緑地面積率等を定めて開発区域内の既存樹林の保存、緑化面積の確保を求めているものについて
IV 治水・排水施設関係
一 治水対策の選択
宅地開発に関連する治水対策について河川改修、洪水調節(整)池のいずれか一つの方式に限る指導を行つているものについて
二 河川改修
[一] 計画降雨確率等
宅地開発に伴う河川改修について計画降雨確率等を当該地域の河川改修計画とかけ離れた計画としているものについて
[二] 改修区間
宅地開発に伴い必要となる河川改修区間が明確でないものについて
[三] 流出係数
開発に伴う流出量の算出に当たつての流出係数が通常の水準を大幅に上回つているものについて
三 洪水調節(整)池
[一] 対象となる開発
開発に伴い必要となる流出抑制対策の方法として小規模な宅地開発にも一律に専用の洪水調節(整)池の設置を義務づけているものについて
[二] 計画対象降雨量
洪水調節(整)池の洪水調節(整)容量を決定する超過確率が著しく大きいものについて
[三] 恒久調節池と暫定調整池の区分
洪水調節(整)池を設置する場合について当該施設が恒久調節池であるか、暫定調整池であるか明らかにされないものについて
[四] 設置位置
開発区域外に洪水調節(整)池の設置を認めないものについて
[五] 堤高
洪水調節(整)池の堤高について五m以下にする等高さを制限しているものについて
[六] 多目的利用
洪水調節(整)池を公園等に使用する多目的利用を認めないものについて
四 下水道及びコミュニティ・プラント
[一] 計画規模
雨水排除計画に当たつて一〇年を大幅に上回る確率年を対象とする指導を行つているもの及び汚水について開発区域より発生することが想定される量を大幅に上回る汚水量を基本として施設を設置させているものについて
[二] 構造・処理水質
(一) 管渠について下水道施設設計指針を上回る管径の設置を指導し、管内流速ついても同指針により厳しく指導しているものについて
(二) 汚水について三次処理を義務づける等処理後の水質について高水準を求めているものについて
[三] コミュニティ・プラントの維持管理を開発者に行わせているものについて
五 排水に関する放流同意
洪水調節(整)池、沈砂池、終末処理施設等からの排水について
放流先河川の水利権者等の同意を義務づけ、宅地開発事業期間の長期化、宅地開発のコストの上昇を招いていることについて
V 画地・公益施設
一 画地等
[一] 画地規模
画地規模の規制について、最低敷地規模として二〇〇m2を超える規模を求める等指導要綱による行政指導の性格からみて過大な水準を要求しているものについて
[二] 画地規模の規制方法
画地規模を多様な住宅形式等が見込まれるにもかかわらず、画一的に一定規模以上とすることについて
[三] 有効宅地率規制
いわゆる有効宅地率規制(開発区域のうち住宅用地とすることができる部分の上限割合を規定すること)を行つているものについて
二 学校施設
[一] 用地の規模
学校施設用地について、その対象となる児童生徒数に対して必要以上の用地の確保を求めているものについて
[二] 開発区域外設置
開発区域外での学校施設用地の確保を認めていないものについて
三 用途を特定しない公共公益施設用地
開発区域内に用途を特定しない公共公益施設用地を確保させているものについて
四 その他の公益施設
上水道施設、ごみ処理施設、公民館・集会所、交通施設(バス回転広場)等の整備を要求しているものについて
VI その他の関連事項
一 協議期間
指導要綱に基づく開発協議に当たり長期を要する場合があることについて
二 周辺住民の同意
宅地開発に際して、周辺住民の同意を義務づけることにより、開発者が根拠の不明確な負担等を強いられているものについて
三 制裁措置
指導要綱による指導に従わない開発者に対する制裁措置を定めているものについて
四 埋蔵文化財
宅地開発事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査に関し、宅地開発事業と埋蔵文化財との調整のための期間、それに伴う調査コストの上昇、調査費用の負担について問題を生ずる場合があることについて
第二 中高層建築物に関する指導について
一 周辺住民の同意
中高層建築物の建築に際して、日照等に関して周辺住民の同意を求めていることによつて、周辺住民との調整に時間を要するとともに、根拠の不明確な負担を強いているものについて
二 建築制限
良好な市街地環境の形成等を目的として、用途制限、住宅容積制限等の建築制限に関する指導を行つているものについて
三 建築確認の申請書の受理等
中高層建築物指導要綱は、都市計画法の開発許可に係らないような建築行為を対象とするものも多く、このため、一部地方公共団体において、その担保措置を建築確認の申請書の受理に係らしめているもの等について
第三 寄附金等の負担について
寄附金等の金銭負担について、負担の当否のほか次のような問題点が指摘されていることについて
(一) 寄附金等の必要性又は使途が不明確なものがあること。
(二) 寄附金等の額が多額に及ぶものがあること。
(三) 開発者負担による施設整備等とあわせて寄附金等の納入を求めるものがあること。
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(参考) 規制の緩和等による都市開発の促進方策
(昭和五八年七月)
(建設省)
安全、快適な都市環境の形成や居住水準の向上を求める国民の声に応えるためにも、我が国経済の、内需を中心とした安定的な成長に寄与するためにも、都市、住宅分野への民間投資の活力ある展開を図つて、都市整備、住宅建設を一層推進することが極めて重要である。
特に、大都市の都心地域等における都市再開発と市街地住宅の供給及び新市街地等における宅地の開発には、民間事業者が大きな役割を担つており、これらの分野で、民間活動の前提となる条件整備を進めることが、当面の緊要な政策課題となつている。
本年四月五日決定された経済対策においても、このような見地から、いくつかの施策が掲げられた。このため、同月八日、省内に、事務次官を長とする「都市対策推進委員会」を設置し、民間有識者からの意見聴取、関係地方公共団体との協議等を行い、また、部会等を組織してこれらの課題の検討を進めてきた。
委員会における検討結果の概要は、次のとおりである。
I 都市計画・建築規制の緩和等による都市再開発の促進
一 基本的考え方
都市の再開発を促進する方策としては、
1) 土地の高度利用を促進すべき地域について、地域地区指定等を高度利用に適する方向へ変更する一般的規制緩和を行うとともに、都市再開発方針を策定し、幅広い再開発の推進を促すこと
2) 環境改善、住宅供給に寄与する任意の民間建設活動を含む広義の再開発が計画される区域について、事業内容に即した個別的な規制緩和を積極的に行い、事業意欲の高揚と事業の円滑な推進を図ること
3) 大都市の既成市街地においては、狭小宅地が密集し、また道路整備が遅れている地域が多く、これが高度利用を困難にしている基本的な要因であることに鑑み、道路の整備を推進し、あわせて広義の再開発と道路整備が一体的に行われる方策を講ずるとともに、再開発事業制度についても、民間活用の見地から改善・拡充を行い、また広義の再開発の推進に必要な税制上の特例措置等を講ずること
4) 中高層建築物指導要綱の行き過ぎの是正を図ること
等が必要であると考えられる。
二 都市計画・建築規制の緩和等の実施方策
(一) 高度利用を促進すべき地域についての一般的規制緩和
1) 第一種住居専用地域の見直し
東京都の環状七号線以内の地域等土地の高度利用を図るべき地域における第一種住居専用地域について、良好な居住環境の維持のため必要な場合を除き、第二種住居専用地域に指定替えを行う。
この場合、防災上の観点から不燃化を促進すべき地区、道路等都市施設の整備を行うべき地区及び居住環境の改善を図るべき地区については必要に応じ地区計画制度の活用等を図りつつ指定の変更を行うほか、各種の制度を活用して良好な居住環境を有する中高層住宅の建設が行われる場合には、一定規模以上のまとまりのある区域についてその変更を行う。
2) 最高限高度地区の見直し等
東京都の環状七号線以内の地域等土地の高度利用を図るべき地域における最高限高度地区について、用途地域指定の変更にあわせて指定を見直すとともに、高容積率の指定されている地区、土地の高度利用を図るための事業が予定されている地区及びそれらの周辺地区について指定の変更を行う等、これに伴う日影規制の変更を含め、適切な見直しを進める。
3) 第一種住居専用地域における高さ制限の緩和
良好な市街地環境の形成を図りつつ、良質な三階建住宅等の普及による居住水準の向上等を進めるため、第一種住居専用地域の高さ制限の緩和について検討を行う。
(二) 広義の再開発についての個別的規制緩和
1) 市街地住宅総合設計制度の活用
敷地内に公開された緑地等を確保した良好な建築計画に対して容積率の大幅な割増しを認める市街地住宅総合設計制度について、積極的に普及・活用を推進する。
2) 特定街区制度の活用・改善
都市計画により個別の開発計画に即して容積率、高さ等を定めることのできる特定街区制度に関し、適用要件の見直し等を行うとともに、土地利用目的に応じた容積率の割増率の改善を検討して、同制度の広範な活用を推進する。
3) 一団地の建築物に対する特例制度の活用
街区内の複数敷地(表宅地と裏宅地等)を一体的に計画・利用することにより、法定容積を有効に利用するため、一団地の建築物に対する特例制度を活用する。
4) 計画道路の沿道における土地利用の高度化のための措置等
都市計画に定められた計画道路に接する敷地について、民間再開発により前面道路の用地が確保される場合、一定の基準に従い計画道路の幅員を前面道路幅員とみなすこと等により容積率を緩和するための所要の許可準則の整備等を行う。
また、一定の基準による道路の整備に関し、地権者等の合意がある等の場合における当該道路の建築規制上の位置付けについて検討を行うこととする。
(三) 再開発事業等への重点的公共投資及び再開発事業制度の改善・拡充
1) 再開発事業への重点的公共投資
民間投資を誘発しその活性化を図るため、都市再開発法に基づく市街地再開発事業その他各種の制度に基づく再開発事業への重点的公共投資を行い、再開発プロジェクトを推進する。
2) 民間再開発に資する道路整備の推進
大都市の既成市街地における道路整備の遅れが土地の高度利用を困難にしている一因であることに鑑み、街路事業の機動的執行により再開発に資することとなる道路整備を積極的に推進する。
3) 市街地再開発事業制度の改善
都市再開発法に基づく市街地再開発事業について、その一層の推進を図るため、施行要件の緩和その他所要の措置を講ずる。
4) 優良な民間再開発事業の推進
都市再開発法によらず、細分化された敷地の共同化等を行う一定の優良な民間再開発事業について、税制上の特例、補助、融資等を行う制度を創設する。
II 国公有地等の活用による都市開発の推進
国公有地等の活用のモデルプロジェクトとして、四箇所の国鉄用地の活用について、内閣官房を中心とする検討により、今後の方向が示されたが、関係機関と協議しつつ、その他の国公有地等の有効活用の推進を図る。
III 規制の緩和等による宅地開発の促進
一 線引きの見直し及び開発許可の規模要件の引下げ
(一) 線引きの見直し
建設省から都道府県に対し、線引きの見直しの一層の推進を要請したところであり、現在、各都道府県において見直しの作業を鋭意進めている。
その結果、五七年度中に二県においておおむね法定手続を終了したが、五八年度中には二三道府県において法定手続が開始される予定である。
さらに、見直しが終了したばかりの四都県を除く一八府県についても五九年度中には法定手続を開始する予定である。
(二) 開発許可の規模要件の引下げ
市街化調整区域における開発許可の規模要件は、従来二〇ヘクタール以上とされていたが、都道府県の規則で定めるところにより、五ヘクタール以上二〇ヘクタール未満のものについても開発許可を行うことができるよう、去る五月に政令改正を行つた(七月一日施行)。
二 宅地開発等指導要綱の行き過ぎ是正
かねてより、その一部に行き過ぎがあることが指摘されてきた宅地開発等指導要綱による行政指導について、概要次のとおりの措置方針に基づき、今後早急に、地方公共団体を指導する。
(一) 宅地開発に伴い整備すべき公共公益施設について
1) 道路関係
○ 主要道路の幅員は、交通量等に相応するものとし、安易に広幅員としないものとすること。
○ 住宅地の区画道路については、六メートルを超える広幅員を原則として求めないものとすること。
2) 公園・緑地関係
○ 公園の面積は、負担の調整を行う場合を除き、開発区域の三%かつ一人あたり三平方メートルを確保することを基本とし、優良樹林を残す場合等も、これらを含め、開発区域の六%又は一人あたり六平方メートルまでとすること。
○ 洪水調節(整)池は、公園として活用する途を開くものとすること。
3) 治水・排水施設関係
○ 河川改修を行う場合の計画降雨確率等は、下流の改修計画の内容を超えないものとすること。
○ 洪水調節(整)池の地区外設置、堤高の制限緩和についても弾力的に認めるものとすること。
4) 公益施設等関係
○ 公共公益施設用地と称して用途を特定しない土地の提供を求めないものとすること。
○ 主として地区外の利用者のための公益施設の設置を義務づけないものとすること。
(二) 中高層建築物の建設に伴う指導について
1) 建築確認の申請書の受理の機会を捉えて行う行政指導は最小限にとどめ、行き過ぎのないよう留意すること。特に、日照等に関して周辺住民の同意書の提出までは義務づけないものとすること。
2) 用途制限、容積制限等については、法律等で確立された諸制度によつて行うものとすること。
(三) 寄附金等の負担について
1) 宅地開発等に伴う地方財政上の問題について検討するため、自治省が行う検討とあわせて、基本的な検討を行う。
2) 当面の措置として都道府県を通じ、市町村ごとに適正化が図られるよう、自治省と協力して、個別に指導を行う。
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