建設省経民発第三三号、建設省住街発第八八号
平成五年六月二五日

建設省建設経済局宅地開発課民間宅地指導室長、建設省住宅局市街地建築課長通知


宅地開発等指導要綱の適切な見直しの徹底について

標記については、平成五年六月二五日付け建設省経民発第三二号、住街発第八七号(以下「局長通達」という。)をもって建設省建設経済局長及び住宅局長から通達されたところであるが、宅地開発等指導要綱(以下「指導要綱」という。)の見直しの徹底に当たっては、更に左記の事項に留意の上遺憾のないようにされたい。

一 寄附金等の適正化

寄附金等(公共公益施設の提供等を含む。以下同じ。)の適正化については、局長通達記の二において示された趣旨を踏まえ、例えば以下のような指導要綱及びそれに基づく行政指導については、適切な見直しを行われたい。
(一) 公共公益施設用地提供等に係る負担について

1) 公共公益施設用地提供等の必要性、合理性等の再検討

例えば児童数の減少等により、新たな学校等の整備が必要ない地域にもかかわらず学校用地の提供を求めたり、周辺に十分な公園が整備されているにもかかわらず過大な公園の整備を求める指導要綱及びこれに基づく行政指導等については、社会経済情勢の変化、地域の状況等を踏まえ、その必要性、合理性等について十分な検討を行い、適切な見直しを行われたい。
また、計画人口に応じて公園等の確保を求める指導要綱においては、特に中高層住宅の建設を目的とする開発について過大な負担を求めることとならぬよう、実態に即した運用が図られるよう適切に措置されたい。
さらに、公益用地の提供について無償提供や、相当程度の減額譲渡を求めているもの、用地の提供のほかに校舎の建設等の負担を求めるものについては、国庫補助制度、立替施行制度等を有効に活用する等の方策を講ずることとされたい。
このほか、特に大規模開発に際し開発区域外の既存の道路の拡幅整備等既存の公共施設等の改修等を開発者に求めるものについては、当該開発区域と周辺地域における受益と負担の公平の確保に十分留意するほか、国庫補助制度、地方財政支援措置等の有効な活用に努める等の方策を講ずることとされたい。

2) 提供された公益施設用地等の用途の適正化

指導要綱に基づく行政指導による確保を求める公益施設用地は、あくまで、主として開発区域内の住民が利用するための公益施設のための用地とすべきであり、例えば、当該開発区域と直接関係のない公共公益施設整備のための代替地に充てる等、当該開発区域内の住民を直接そのサービスの対象としないような施設用地の提供を求める行政指導については(公共公益施設用地又はその代替地の適正価格による通常の用地買収活動と認められる場合は格別)、負担の公平の観点から合理化へ向けて再検討することとされたい。

(二) 寄附金、負担金等の適正化について

1) 寄附金、負担金等の必要性、合理性等の再検討

例えば児童数の減少等により新たな学校の整備が不要である地域において教育施設負担金の納入を求めているもの、開発者負担による施設整備が行われるにもかかわらず併せて寄附金、負担金等の納入を求めているもの、寄附金、負担金等の額が多額に及ぶ等の指導要綱及びこれに基づく行政指導については、社会経済情勢の変化、地域の状況等を踏まえ、その必要性、合理性等について十分な検討を行い、適切な見直しを行われたい。

2) 寄附金、負担金等の取扱いの適正化

さらに、寄附金等の受入れについては、引き続き基金の設置等を通じたその使途及び収支の明確化等に努めることとされたいが、併せて、設置された基金については、特に地域における関連公共公益施設、都市環境の整備等のため積極的に活用に努めることとされたい。

二 その他

(一) 関連公共公益施設の整備の促進

建設省としては、住宅宅地事業の実施に伴う地方公共団体の財政負担増の軽減、事業者の関連公共公益施設整備に係る負担の適正化等を図るため、別添のとおり、平成五年度予算において、住宅宅地関連公共公益施設整備事業助成制度を創設したほか、自治省との調整により、平成五年度より、地方単独事業で実施する住宅宅地関連整備事業等に対する財政支援措置が講じられたところであり、住宅宅地開発に伴い必要となる関連公共公益施設の整備に当たっては、これらの積極的な活用に努められたい。

(二) 指導要綱に関する実態調査の実施について

建設省としては、今年度において、自治省とも協力して、指導要綱の制定状況、見直しの状況等について、実態調査を予定しているところであり、貴職におかれても、本通達の趣旨を十分にご理解いただき、今後とも、低廉で良好な住宅宅地の供給の促進のため、宅地開発等指導要綱の適切な見直しの徹底について、一層のご協力をお願いする。


(別添)

住宅宅地事業に関連する公共公益施設の整備の推進について

(平成五年四月五日)
(建設省経宅発第五三号、建設省住市発第四二号)
(各都道府県担当部長、各政令指定都市の担当局長あて建設省建設経済局宅地開発課長、建設省住宅局住宅建設課長通知)
住宅建設事業及び宅地開発事業(以下「住宅宅地事業」という。)に関連する公共公益施設の整備に関する事業については、従来より、通常の国庫補助事業に加えて別枠で補助を行う住宅宅地関連公共施設整備促進事業等により、その整備の推進を図ってきているところであるが、現下の内政の最重要課題の一つである住生活の充実を図り、国民が豊かさとゆとりを実感できる生活大国を実現するためには、住宅宅地事業の実施に伴う地方公共団体の財政負担増の軽減、事業者の関連公共公益施設の負担の適正化等を一層推進することにより、良質かつ適正な価格の住宅宅地の供給をさらに促進する必要がある。
このため、平成五年度予算案において、住宅宅地関連公共施設整備促進事業の事業費を増額するとともに、関連公共公益施設整備事業の地方負担額について、通常の起債枠を超えて発行される地方債の利子相当額の一部に対し助成を行う住宅宅地関連公共公益施設整備事業助成制度を創設することとしているところであるが、今般、自治省との調整により、平成五年度より新たに左記の財政支援措置が講じられることとなったので、これらの措置を積極的に活用して関連公共公益施設の整備を推進すること等により、円滑な住宅宅地供給の促進に努められたい。
なお、貴管下関係地方公共団体に対しても周知徹底方取り計らわれたい。
一 住宅宅地関連公共施設整備促進事業に係る地方負担に対する財政措置について

(一) 住宅宅地関連公共施設整備促進事業(公共下水道及び流域下水道に係るものを除く。)に係る地方負担額に対する一般単独(一般)事業債の充当率については、事業の種類にかかわらず一律に、都道府県及び指定都市にあっては七〇%、指定都市以外の市及び町村にあっては七五%とされ、かつ、当該事業債の元利償還金の三〇%に対し後年度事業費補正が講じられる。
(二) 住宅宅地関連公共施設整備促進事業のうち公共下水道及び流域下水道に係るものに係る地方負担額及びこれに伴い実施される地方単独事業分については、下水道事業債が充当され、通常事業と同様の財源措置が講じられる。

二 地方単独事業で実施する住宅宅地関連整備事業に対する財政措置について

良好な住宅宅地事業(その規模が住宅宅地関連公共施設整備促進事業の対象規模要件に該当するものをいう。)に関連して、当該住宅宅地事業の事業区域及びその周辺地域において地方単独事業として実施される生活道路、小公園等及び河川環境等の整備事業(以下「住宅宅地関連生活環境整備事業」という。)に要する経費については、一般単独(一般)事業債の都市生活環境整備特別対策事業において、地方債の充当(充当率七五%)及び当該地方債の元利償還金の四〇%に対し後年度事業費補正が講じられる。

三 前記、住宅宅地関連公共施設整備促進事業(公共下水道及び流域下水道に係るものを除く。)に係る地方負担及び住宅宅地関連生活環境整備事業に対する財政措置は、当面、生活大国五か年計画期間中(平成五年度から平成八年度までの四年間)の措置とされている。


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